「1731」 『サピエンス全史』について話します(第2回・全3回)副島隆彦  2018年3月23日

副島隆彦です。今日は2018年3月23日です。

『サピエンス全史』について の全3回のうちの第2回を話します。


サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

(第1回からのつづき です)

 そして大きい知識として 私がはっきりわかったのは、100万年の間に10万年に1回ぐらいずつ「氷河期」というのが来た。アイス・エイジ(ice age)と英語ではいいます。この氷河期というのは、10万年に1回ぐらいずつ来たんだということを皆さんも分かってください。それ以上細かいことを言い出すと切りがない。

私たちに近いほうで、最後の氷河期が7万5000年前に始まったと。そしてその最後の氷河期が終わったのが1万6000年前か、それぐらいのことだったと、ちょっと不正確ですがこの本に書いてあった。ということは、また3万年とか経つと、次の氷河期が、地球にやってくる、ということですね。

ということは、今は、氷河期が終わった、間氷期(かんぴょうき)というのか、温暖な季節の時期だ。
だが、どうも、アフリカの砂漠(サハラ砂漠)や、ユーラシア大陸の大きな砂漠(タクラマカン砂漠)は、この氷河期になると、砂漠の高温乾燥が無くなって、雨がたくさん降るから、再び大草原になって、ここに、もの凄い数の動物がまた繁殖する、ということだ。類人猿(=高等猿類 ape エイプ) や、初期の猿人(えんじん、高等猿類から分離した 原人) とかも、今のサハラ砂漠で、骨が見つかっている。砂漠が、大草原や密林地帯だったことが分かる。

 氷河期には谷間とピークとがある。それ以上のことは私もわからない。今は、その谷間のところの温暖な時代だ。 ネアンンデルタール人は氷河期を生き延びている。雪や嵐、氷の世界でも洞窟に住んで。洞窟に住むというのを、ケイブマン( cavemen )という言葉で、洞穴人間(どうけつにんげん)や穴居人(けっきょじん)と書くんだけと、これはどうも正確ではない。 穴の中で暮らしたと言っても、自然の洞穴に、自分達で掘ったような穴じゃなくて、大きな岩の割れ目の裂け目の中にいたということは事実でしょう。

 現生人類である私たち、ホモ・サピエンスは簡単に言えば15万年前に出現した、でいいようだ。
その前には、ネアンンデルタール人がヨーロッパ全体とか中東にいたんです。これが10万年前にもいたんだけど、7万年前に、ホモ・サピエンスの押され出した。 そして、3万年前に完全に死滅した。
 ネアンデルタール人も、正確には、ホモ・ネアンデルターレスと言うべきで、ホモ(ヒト)の一種だ。
 
 どちらも、やっぱり 東アフリカの谷間で発生(誕生)して、そこから移動していったという説になっています。これは今、誰も反対する人はいません。同一場所からの起源説で、「天地創造」に似ているので、私は少し疑うが、この点をあまり私も争いたくない。

 そうすると私たちが知っているのは、フランスの南のほうのラスコー( Grotte de Lascaux )というのとアルタミラ( Cueva de Altamira )というところの洞窟の中で、きれいな動物がいっぱい、青や赤や黄色で描かれている。その動物の群れなんかを描いている絵は3万年より前に描かれた、と言われています。そしてネアンンデルタール人だということになっている。どうして、ホモ・ササピエンスじゃないのかな。 

私たち現世人類 ホモ・サピエンス の別名が、クロマニヨン人 だったが、もう、今の世界史、考古学では使わないみたいだ。


ラスコーの壁画


アルタミラの壁画

 これらの見事な洞窟壁画は、私が習ったときも、やっぱりネアンンデルタール人説でした。ハラリ教授は、細かく書いていないけれども、じゃあ50万年前、あるいは70万年前に、すでに中国とかインドネシアにいた直立原人(ホモ・エレクトス)は、どうやって、どこから移動してきたんだよって話は、わかりません。西洋人の考古学者(アルケオロジスト)は、このことにはあまり触れない。 

 北京原人(ホモ・エレクトス・ペキネンシス)は、ヨーロッパにいたネアンデルタール人の一種で、同じだ、と、誰か、西洋人の考古学者が言ってくれればいいのだが。

 ただし、世界中の考古学者たちにとって、はっきりしているのは、私たちが習ったときは5万年だったが、ハラリ教授は、4万5000年前と書いていますけれど、このときにホモ・サピエンスが、オーストラリアに移動してきた。 口が出っ張ってがばっと歯が前に出ている、ゴリラに近い顔の人たちが、今のオーストラリアに来た。

 ハラリは、この人々に強く惹かれて、この本でも詳しく説明している。これをアボリジニ(Aborigine)といいます。私もオーストラリアに行ったときに、何十人か見かけました。テレビの番組にもよくなっています。アボリジニも、今の白人と、1700年代からオーストラリアに植民者としてやってきた白人たちと混血している人たちもいます。人類学者みたいな人たちが保護しているというか、彼らを保護区に隔離して面倒を見ているようだ。

 4万5000年前にオーストラリアやインドネシアに、船で浅瀬のところを渡ってたどり着いている。そして、それ以前の1億年ぐらいの間からいたオーストラリアにいた大型動物が死に絶えている。オオナマケモノとか、大型のダチョウのような動物たちです。アボリジニたちが殺して食べてしまったんです。

私が、大笑いしたのは、この背丈が3メートルもある 草食の大型の動物たちは、堂々としていた。
そして、突然、出現した、アボリジニを見ても、全く、動じなかった。ジロ と一瞥(いちべつ)しただけで、知らん顔をした。 そうしたら、そのあと、オオナマケモノたちは、アボリジニ(ホモサピエンス)に、殺されて食べられたのだ。

 私は、ハラリ教授のこの「サピエンス全史」を読んでいて、一番、感動して、笑ったのは。 同じく、
サバンナの ライオンや ジャングルの 虎たちは、 実に堂々としていた、今も、堂々としている、と書いてあったことだ。 大型肉食獣たちは、自分たちが、食物連鎖の 生態系の頂点に、長い1億年ぐらいをかけて上(のぼ)り詰めた( ちなみに、恐竜=ダイナソア は、6000「万」年前の ジュラ期に 絶滅している)から、 何も恐れるものがいないから、だから、自分たちが王者だから、威風、堂々としている。

 そこへ、 ホモサピエンス という 神経質な、未熟児がそのまま成長したような、変な 猿たちが、自分たちの目の前に、出現した。 ライオン や虎は、ちっともこいつらを、怖くない。だから堂々と、ゆったりと、平然と構えている。腹が減ったら、いつでも、食い殺してやる、という態度だった。

ところが、このホモサピエンス という 残忍な連中は、 ネアンデルタール人ともちがって、集団戦法で、極めてずる賢く、ライオンたちを、 嵌(は)め殺し始めた。 ホモサピエンスは、大型肉食獣たちを、狭い谷間に追い込んで、逃げられないようにして、 そして、高い上の方から、大きな石を、たくさん投げて、ずっと、投げ続けて、この大量投石で、打ち殺した。彼らは、数日たってから、恐る恐るライオンに近づいていって、本当に死んでいるかを確認しただろう。 これは、真に、ホモサピエンスという、 陰惨(いんさん)極まりない、人類(ホモ)が、やったことだ。 こういうことまでは、ハラリ教授は、書いていない。私、副島隆彦が、ずっと昔から、考えついていた説だ。

 今の犬や猫は、小型の 肉食動物だが、すっかりおとなしくなって、家畜(ライブストック。生きている食糧)ではなくて、人間の ファミリー・フレンドになって、ファミリー・コンパニオンのペットにされてしまって、卑屈に生き延びている。哀れなものだ。 だから、副島隆彦は、これまでに、よく書いたが、 私の愛していた猫ちゃんが、私に向かって、20年前に、言った。 「今に見ていろ。このキチガイザルども。よくも、私たち を、去勢して、奴隷にしたな。 間違いなく 狂った、キチガイであるお前たちが、お互いで激しく殺し合って滅んだあとは、また、悠然とした、私たちの時代が来るのだ 」
と、私の愛していた ミューミュー とニャンタ は、私に言った。 

 ハラリ教授 の本では、日本にホモ・サピエンスがたどり着いたのが3.5万年前と書いていました。88ページです。台湾に3万年前と書いていました。私は、あれ、おかしいなと思った。 案の定、ハラリの日本語版には、有るこの記述が、私が入手した、その後のペイパーバック(普及版)では、この2行の英文が、消されていた。 ハラリ教授が、まわりの専門家たちから指摘を受けて、 この2行を、ペイパーバック版では削った(削除した)ことが分かる。

 私の知識では、かつて私が西尾幹二(にしおかんじ)が、「70万年に遡る、人類最古の日本文明 」と愚か際なり無いことを、西尾たちが、書いたので、ぶったたいた。それは、「旧石器発掘ねつ造事件と、「日本文明派」の壊滅と、西尾幹二のおわり」(『新版 属国日本論を超えて』[PHP研究所、2014年刊、所収)だ。 このとき、私は、1万年をさかのぼる人類の遺跡は、日本には存在しないと私は、書いた。日本島嶼(とうしょ)には、旧石器時代の遺跡はないんだ。 新石器時代しかない。

 ここで、「1万年前」という言葉が大事なんです。このときからを、ニオリシック(neolithic)というんです。 極めて分かり易く言うと、一万年前からこっちを、ニオ、ネオ(neo 新しい)リシック(lithic)で、新(しん)石器時代というんです。理解して覚えてください。リシックは石という意味なんです。 この世界基準の学問の知識をほとんどの日本人が知らない、だから、自分の脳をあれこれ、使えないんです。


[新版]属国日本論を超えて


旧石器時代と新石器時代の時代区分

その代わりに、縄文人という変な言葉を使う。縄文人などというホモ・サピエンスは、いません。勝手に日本人だけで使っている変なコトバだ。世界基準の学問から、故意に、わざと分離させている。世界基準では、新石器時代のヒト(ホモ)だ。 これが1万年前ぐらいから、日本にも来ている。

中国の湖南省(こなんしょう)の マオタイ遺跡(揚子江=長江 流域)などから、8000年前の稲作文化(アカゴメ)が見つかっていて、日本列島でも、5000年前ぐらいからのアカゴメ(赤こめ)の栽培、食料のあとが残っている。 おそらく中国から稲作と共に渡ってきた人々だ。

 だから、この、1万年前、から日本にヒト(ホモ)が来ている、と、覚えなさい。そしてそれを世界基準では、新石器時代( 地質学では、沖積世=ちゅうせきせい = という、淡水の川岸の堆積地で農作を始めた)である。縄文人などと言う人間たちはいない。
 「そのあとの紀元前500年ぐらいから 弥生人(やよいじん)が、稲作を始めた」と、ずっと、日本史の教科書で教え続けた。が、真っ赤なウソだった。日本列島での5千年前からの稲作の始まり(山内丸山遺跡からも出た)と、 狩猟採集民が、重なっている。こういう事実が、どんどん発見されて、日本考古学界(先史=せんし=時代の研究 ともいう)は、ぼろぼろになった。

 だから、すぐに、「 縄文人が、どうのこうの」という、コトバを使いたがる人は、もともと学力が無くて、知能の低い人だから、あまり相手にしないように。

 日本では、インテリを気取ってる連中でも、こういう簡単な知識を知らない。判断力が無いのだ。文部省と 多くの日本の歴史学者たちがやってきたことが、事実に照らして、どんどんバウソがバレて、赤っ恥ものだから、困ってしまっているのだ。

 だから1万年前からがネオリシック、新石器時代なんですよ。その前をパレオリシック(paleolithic)といいます。旧石器時代。これが、北京原人の50万年とか、旧石器時代人のホモサピエンスが東アジアにもやってきたであろう10万年前とかだ。だが、この旧石器時代の遺跡は日本にはありません。来ていません。人骨や石器が見つかっていない。 いや、沖縄にあるとかバカなことを言うやつがいるんだけど、ないんです。

 ホモ・サピエンスの古いやつ(旧石器時代のホモ、ヒト )が日本列島に来たのが3.5万年前と、ハラリ教授は、書いて、それを、新版の本では消している。このことに、私は鋭く気づいた。

ハラリ教授は、この旧石器時代、新石器時代の分類をあまりしていません。洪積世、沖積世 という地質学上の分類も彼は全然書いていない。 ユーラシア大陸(アジア大陸)から、アリューシャン列島を通って、まだ 寒かったんだろうけど(大型象類の マンモスがいた)、1万6000年前に、アメリカ大陸に人(ホモ・サピエンス)が渡っている。

 メキシコのあたりの中米、中央アメリカを通って、1万2000年ぐらい前に南米のほうまで渡っている。そして、今のメキシコのアステカ文化や、ペルーのインカ文化=インカ帝国( 文明と呼ぶべきではない )を作った。 ここで、万と千の桁に違いをみんな、何とかわかってください。

 恐竜が絶滅したのは、6000「万」年前。 メキシコのユカタン半島に、巨大な隕石がぶつかって、このときの高温が吹き荒れて、地球上の大型は虫類動物が、絶滅したとされる。 この「6000万年前」と、「6000年=6千年前」 のメキシコのアステカ文化(帝国)では、10000倍(1万倍) の桁(けた)、すなわち、オーダー order がちがう。 この 「オーダー(桁)が、違う」 ということが分からないと、頭のいい人間には、なれません。 

 これを、6000万円と、6000円 のちがい、と言い換えると、なんとか分かるかな? 
こういう理解の明確化のことを、真に頭がよくなる、と言う作業をすることです。

 ただ、驚くべきことに、どうやら 紀元「後」の1500年代ぐらいに、日本でいうと江戸時代の前の、戦国時代(室町時代)ぐらいのときに、最後に、シベリア側から、北アメリカ大陸に渡っていった人たちがいるんです。その人たちは、今の日本人と本当にそっくりです。当然のことながら。どれもインディアンの部族(エスキモーとまた言い出したようだ。イヌイット、ヤクート) の名前がついている。今の日本人の女の子とそっくりの顔のインディアンたちがいるんです。それは何とわずか今から500年前に渡っていってるんですよ。

 それと、1万2千年前から渡って、5000年前ぐらいからなのかなあ、南米アンデスの山中に、インカ帝国を作った人たちと、自分の頭の中で、しっかり区別を付けてください。そうすると、北米大陸に広がっていた、他のアメリカ・インディアンたちの種族、部族 (シャイアン族、アパッチ族、スー族、モヒカン族、セミノール族など )ことが分かってくる。 彼らも、この1万2千年前に北米に渡った 東アジア人(モンゴリアン)たちだ。

 そして、今から500年前の、1492年のコロンブスのアメリカ大陸の発見があって、紀元後1600年代から、北米大陸にヨーロッパ白人たちが来始めたわけですから、最後のエスキモー(イヌイット)たちがアジア側から渡っていったのは、同じ時期なんです。 

 もっと言うと、ハワイにどの時点でヤップ人がたどり着いていったか。 というとやはり、今から、500年前ぐらいです。その前にニューギニアのほうから順番にトラック諸島とか、ヤップ諸島から、2000年ぐらい前に、あの辺まで渡っていってます。だからハワイにハワイ原住民がたどり着いたのが、これは嵐か何かに遭って丸木舟で移動していたやつがたどり着いて、そこで繁栄して、数がふえたというぐらいに考えないといけない。ヤップ諸島からはハワイは遠いです。

そして、1770年代に、クック(James Cook、1728-1779年)船長がハワイ諸島に来ている。大砲を持って、船で何隻かで。それで、カメハメハ大王(Kamehameha I、1758-1819年)に大砲をあげている。だからハワイ島とかカウアイ島などの、身長が1メートルぐらいしかない小さな民族が、この大砲の力で全滅しているんですよ。そして北のノースショアの崖から突き落とされて殺された。それでハワイ島四つを彼が、全部統一したんです。だからそれが1800年ぐらいでしょう。


クック船長


カメハメハ大王

 そして、この1800年には、もう白人の入植者たちが、ハワイに来て盛んに殖産興業している。そしてカメハメハ大王から100年後の1898年には、アメリカに併合された。カメハメハ大王の孫の、王女さまが、ドールという白人のパイナップル業者に、クビを締められて殺されて、それで原住民の王朝が滅んだ。日本から、金剛という戦艦が、「私たちを助けてください」という連絡が天皇にあって、日本から駆けつけて、真珠湾に来ていた。しかし、そのときの日本にはハワイ原住民を救援するだけの力がなかった。 

 そして、ハワイは、アメリカ合衆国の 準州(Territory)になった。そして1958年に、50番目の州に昇格した。このように考えるとハワイの歴史も、そんなに昔のことじゃないんだ。

 こういう知識を日本人がもっと知らなきゃいけない。ただ私でも、東南アジア諸国にいるのはポリネシアンとミクロネシアンとメラネシアンといいまして、区別がよくつかない。日本人はポリネシアンだと言われる。世界中の人類学者たちからそう言われるから、そう言われるだけのことであって、ハワイなんかもポリネシアンなんですって。

この南太平洋の種族の分類は、この地帯全部を大きくぐるっと巻き込む形であって、私は東京で見たりしたけど、ニューギニア原住民の酋長たちが、東京で会議を開いている様子を見ていたら、赤茶けた顔をしていて古い感じの人間たちです。あれがメラネシア系、赤いんです。ちりちりでアフリカ系黒人とも違う。簡単に言えば、恐らくオーストラリアに渡ったアボリジニたちと同じ系統だと思う。それとミクロネシアというのがいて、これはよくわからない。私たちはポリネシアンだと。もうこの話は今はやりません。そのうちきちんとやります。

 ネアンンデルタール人をホモ・サピエンスが、恐らく戦いになって全滅させた、残忍に殺したんだろうというような書き方をハラリ教授は、しています。完全に、ネアンデルタールが死滅したのは3万年前ということです。このふたつのホモ(ヒト)の違いは、サピエンスが、抽象観念みたいなもの、共同幻想の想像力とか、が有ったために、残忍に勝った、という書き方をハラリはしている。大量殺人が行われたんじゃないかという書き方をしている。

 ホモ・サピエンスと、ホモ・ネアンデルターレシス のほかに、ホモ・デニソワ(Denisova hominin)とかいろんなのがいたんですって。ヒトって訳すから、現生人類といえば、ホモ・サピエンスなんだけれど、それしかいなくなった。7万年前ぐらいから。4.5万年前にたどり着いたオーストラリアのアボリジニもホモ・サピエンスなんですよ。 

 前述した、南米のブラジルのアマゾンの山奥の密林地帯の、熱帯に住んでいる人たちは、たかが、1万2000年ぐらい前にたどり着いていった原住民なんですよ。そんなに古くない。それはっきりしていることだ。ホモ・サピエンスです。だから私たちがセックスをしたら子供が生まれるんです。

そこが大事なところで、誰でも知っているんだけど、ロバと馬をかけ合わせるとラバができる。これは高校の生物の教科書にも書いてあると思うけど、交配した雑種第一代は生まれて育つ。第二代はもうできないんです。それぐらい離れているからなんですよ、遺伝子が既に。それには2000万年前ぐらいかかっているじゃないか。

 種(しゅ species スピーシーズ )の下に、属(ぞくgenus)というのがあって、次に目(もく) というのがあって、それから科(か) というのがあって。私は、この本を読んでいておもしろいなと思ったのは、猫は、2500万年前にネコ科として、ここには、ライオンもトラも入っているんですよ。それで人間にぴったりくっつくようになったというか、飼われるようになったのが、いつかは、それは恐らく2~3万年前なんじゃないか。人間が収穫した穀物を食べるネズミを、猫がとるから人間が大事にした。

 犬というのは、オオカミもイヌ科なんだけど。すべての犬は、古いのと掛け合わせると、どんどんオオカミに戻ってゆく。犬科は、その前はヒョウ科なんだって。ライオンとかトラは。ヒョウ科らしい。
 
2500万年前から出現したのが、犬とか猫ライオンだ、と覚えておくと、2500万年というのが、目安になる。 猿(マンキー monke y )に関しての、私の知識は、元は、キネズミザルというか、小さなネズミです。このネズミが木に登って発達した。これは齧歯目(げっしもく)というのかな、がりがりかじるんです。穴を掘ったり木や果物をかじったり、歯が発達している。こいつらが小さな哺乳類動物として始まって、マンモスとか大きな動物たちがまだいたのです。その間を、ちょろちょろはい回ったのが哺乳動物(ほにゅうどうぶつ)の始まりで、やがて木に登り出すんです。

木の上って、手が発達して、ネズミ猿という、現生の猿になっていくんです。それがモンキーといって下等猿類と訳すの。実は、ニホンザルというのは日本人に似ているんですよ。しかしそれを言うとやっぱりまずい。 モンキーというのは下等猿類ですから、猿の惑星に出てくるのは、チンパンジーですからね。下等猿類じゃないのよ。これもみんなはっきり知らなきゃいけないんだけど、高等猿類、類人猿 というのがいて、エイプ(ape )というんですよ。映画「猿の惑星(Planet of the Apes)」の高騰猿類がエイプですね。
 
 エイプがホモになったのであって、モンキーがなったんじゃないんですよ。だけどその前に、モンキーが発達してエイプになったわけだから。それには5000万年とか1億年とかかかっているんでしょう。

それは構わないんだけれど、エイプというのは4種類と決まっています。これはバブーンというんだけれど、ヒヒです。ヒヒとオランウータンというのがいて、それとゴリラとチンパンジーで、この4つなんです。これが高等猿類です。これがエイプです。しっぽがないんです。大きいんです。知能が発達しているわけね。

ホモに一番近いのが、チンパンジーの中のボノボというのがいて、家族をつくっていて、嫉妬し合ったり憎しみ合ったり裏切ったりするような、集団生活をしているチンパンジーがいるんですね。ボノボが一番近いと言われています。今もアフリカにいるんでしょう。

 この高等猿類から、600万年前に、ホモがそこから分かれたらしい。 それがアウストラロピテクスと言われていたけど、ハラリ教授の本には、あまり出てきません。ハラリの本では、250万年前ぐらいという説をとっています。250万年前に、アフリカ大陸からユーラシア大陸に広がったと、これがアウストラロピテクスですね。 50万年前にネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレス)が出現したと書いていますけど、これがホモです。いや、ごめんなさい。ホモはもう250万年前にいるんだ。この辺(あた)りが、なかなか私にとっても、むずかしい。

 ホモ(ヒト)とチンパンジーである高等猿類は、遺伝子が分かれて交配できなくなった。それが600万年前としていますね。この600万年前、というのが大事みたいですね。 これで大体、いいですかね。みんな自分の脳を、自分の力で、理解と決断で、できるだけ、はっきりさせなきゃいけないんですよ。

(続く)

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