「1375」黒田金融緩和と金価格急落、そしてBRICS開発銀行の設立。新しい秩序に向けて世界は動いている。副島先生の最近の「重たい掲示板」への書き込みをまとめて載せます。2013年4月20日
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副島隆彦を囲む会の中田安彦です。今日は2013年4月20日です。
5月に予定しています、「会員交流会 自由におしゃべり」はまだ募集しております。詳しくは、こちら(http://www.soejima.to/cgi-bin/kouen2/kouryu.html)を御覧ください。会員の間で横のネットワーク(ざわざわと情報交換をするネットワーク)を作りましょう。
さて、米国でもっともリベラルな州といわれるマサチューセッツ州のボストンでは、今週になって、不可解な爆破事件が起きました。米国内ではテキサスで化学工場爆破事件が起きており、更に今週はその危機対応のせいで、オバマ政権二期目の最初の見せ場になるはずの、民間人に対する銃規制法案(骨抜きにされたもの)の上院での採決ができませんでした。失敗しました。ボストンの事件に前後して、銃規制容認派だった、共和党の上院議員あてに猛毒のリシンが送付されたとわかりました。米国では2001年の911直後にも議会関係者に炭疽菌を送りつける事件があったわけですが、あの事件も当時は911と合わせて騒がれましたが結局、うやむやになりました。
銃規制法案頓挫を受けて悲痛な表情で会見するオバマ、バイデン正副大統領
ボストンではSWATチームが道路を封鎖して住民の移動を制限した
昨日から今日にかけて、爆破事件があったボストン周辺では交通規制、侵入が行われるなど事実上の戒厳令(夜間外出禁止令)状態です。アメリカ国民の間に恐怖が植え付けられることになる。これでますます銃がアメリカ国内では売れるでしょう。
そのような中で先週から今週は国際金価格(ドル建て価格)が急落しました。今回は、1ヶ月の副島先生の金融についての文章(「重たい掲示板」に投稿されたもの)をまとめて掲載します。
金価格、黒田日銀金融緩和、そして新しい世界秩序(BRICS開発銀行=新世界銀行)についてという順番です。このBRICS開発銀行の主導権を握っているのは中国でしょう。アメリカのボストン爆破事件のようなことが続くと、米国でもいよいよ国家統制が強まっていくでしょう。日本でも統制色の強い改憲案が出される。そして事実上ブロック経済にほかならないTPPが自由貿易体制として推進されていくわけで、世界は再び1930年代のような状況に向かいつつあるのかもしれません。
そのような中で先週から今週は国際金価格(ドル建て価格)が急落しました。今回は、1ヶ月の副島先生の金融についての文章(「重たい掲示板」に投稿されたもの)をまとめて掲載します。日常資金以外に、お金に余裕のある人は金を買ったほうがいい、と副島先生は書いていますが、確かにそうでしょう。
金価格(1年間)
(1)[1252]金(きん)が少し下がった今だからこそ買い増すべきである。
投稿者:副島隆彦 投稿日:2013-04-18 10:30:39
副島隆彦です。 今日は、2013年4月18日です。
金(きん)の価格が、先週末から、急落しました。そして週明けの4月15日、16日に、激しい動きがあったようです。
私の理解では、 1オンス(31グラム。世界値段)が、1550ドルだったのが、1350ドルあたりまで、200ドル下げた。日本国内の値段では、卸(おろし。東京商品取引所、商品先物市場)で、1グラム4800円が、4400円まで、400円下げた。
これを、小売り(田中貴金属など)で買う時は、250円(消費税と手数料)を足すので、5050円ぐらいが、4650円ぐらいの買値になっている。売値は、消費税分が戻ってくる(金と言う鉱物資源は消費、消滅しないので)戻ってくるので、4550円ぐらいで買い取ってくれる。
だから、金の売りを仕掛けた、ゴールドマンサックスや、NYのグローバル・マクロのヘッジファンドたちは、たしかに大きな収益を出しただろう。国際バクチ打ちたちのやることだ。彼らは、懲りることなくこういう荒っぽいことをする。 先週の水曜日(10日)に、ゴールドマンが、「1オンス1390ドルまで金は下がる」という予想価格の変更を急に出していた。 あとにその記事を載せる。 それで、200ドルの急落相場を作ったのだ。
中国の経済見通しが、「成長率7.7%という低い予想だったので」と、それを理由のひとつにした。年7.7%のGDP成長率というのは立派なものである。自分たち先進国の成長率は、マイナス(▼)2%か? 一体、どういう神経をしていたら、他人(ひと)の国の7.7%を悲観して見せて、自分たちの▼2%のデフレ経済(衰退国家。成長なし。デフレ不況のまま)の現実を見ないで、あれこれ勝手な妄想を書けるのか。
私は、今の世界の金融市場の大きな変調と、異常な乱高下の様子を心配している。おそらく世界規模での金融恐慌への突入が迫っている。 秋まではヨーロッパは崩れないと、一番厳しい見方をしている、私でさえ考えていたが、3月18日のキプロス(人口90万人の小国。それでもユーロ圏=ゾーン=17か国のひとつ)が、預金封鎖、銀行預金引き出し凍結、預金への強制課税、という金融危機を世界に露呈させた。銀行の前に人があふれる「取り付け騒ぎ」 bank-run バンク・ランが起きている。 the run on the bankとも言う。
●キプロスのポピュラー(ライキ)銀行のATMの前で現金を引き出そうと並ぶ人たち
●13日ぶりに銀行の営業が再開された3月28日、キプロス・ニコシアの銀行店舗前で、営業再開を待つ市民ら
それで、今もヨーロッパ人たちは、各国で、どんどん自分の預金を引き下ろす動きに出ている。キプロスでは、自分の預金を下ろせなくなって怒った人が、ブルドーザーで銀行に体当たりしていったそうだ。すでに世界金融恐慌は、始まっている。私、副島隆彦は、3月20日ごろ、と 4月1日と、4月11日に、矢継ぎ早に、「すでに預金封鎖、金融統制体制に日本も入った。自分で現金を身近に持ちなさい」と書いた。
金(ゴールド)の価格の急落は、乱高下が3日間、金の先物市場(NYのCOMEX市場)で起きただけのことだ。ばくち打ち(目先の金儲けの投資家たち)の間で、400円近い急落があったので、レバレッジ(投資倍率)を10倍から20倍ぐらい掛けていた客たちが、ポジション解消の投げ売り、あるいは、強制的なロスカット(証拠金の没収)にされた。 あるいは、今も追証(おいしょう)とい追加の担保金(保証金、証拠金)の提出を先物業者に求められて慌てている。
それでも、4月16日の金(きん)市場(相場)の最後で、4350円(NYなら、1オンス1400ドル)に戻して、「底打ち」(取り合えず、これ以上は下がらないで。食い止って、反転=反騰した)した。 だから、400円の幅の乱高下で、プロやセミプロのばくち打ちたち(女性でも、一生、この金融バクチが止められない人たちがいる)は大慌てして、そして、もっと規模の大きい金融投資法人のファンド・マネージャーたちは、大慌てして、予想を超える大きな損を出したら、会社をクビになるから、必死の形相で、のたうちまわったはずだ。
ところが、現物(げんぶつ)で金を買っている、副島隆彦の言うことをよく聞いている人たちは、私が、本でも書いているとおり 「4600円ぐらいにまで下がったら買い足しなさい。下がったら買う、暴落したら買い増すという姿勢で、金を保有しなさい」のとおりに今の金の乱高下でも平静を保って市場を見ていられる。
いくらアメリカのドルと米国債の無制限の刷り散らしを防御するために、金を苛(いじ)めて、金に スパイダー・ゴールドシェア(トラスト)という売り崩しの仕組みを使って、大暴落を仕掛けても、15日の1334ドル(瞬間の最安値)ぐらいが、限度だ。
やはり、新興5大国の、インド、中国、ブラジルの新興の小金もちたちが、1500ドル/オンス以下になるとどんどん買ってくる。 成長国家群であるBRICS と 先進国(歴史の運命、必然としての衰退国家群)との重要な闘いの場のひとつだ。
そしてBRICSがどうせ勝つのだ。 先進国が、もう歴史的に成長が止まっているくせに、「成長にさらに成長を付け加える」というような インチキの金融政策1点張り ― これが日本では、アベノミクスだ ― をやってみても、それは人類を支配する歴史の法則に反する。
「クローサーの国家の6つの発展段階説」 の すでに、第6段階である、 「貿易赤字に続いて経常赤字にもなり 資本収支を食いつぶす段階に来た」ところの「対外債権の取り崩し国家段階」に日本も突入しつつある。 この冷酷な現実のことを、近刊の拙著である『浮かれバブル景気から 衰退させられる日本』(徳間書店、2013年3月末刊)に私はある程度詳しく書いた。
国家の発展段階の第7段階とは何か、そんなものがあるのか、を私、副島隆彦は、今、真剣に考えている。超新星爆発(スーパーノヴァ)以外には、考えられない。誰も考えることが出来ない。 誰も正直に答えられない。
金の値段は、結局、私が、買いなさいと進めて、数人の読者に買わせたときが、2週間ぐらい前に、1キロ480万円(1グラムなら4800円)だったのが、今は、これが、田中貴金属で買うと、465万円 (1グラム 4650円)だから、たったの250円下がっただけだ。為替は1ドル98円ぐらいで全く変わらない。これ以上の円安にも向かえない。世界中から、「日本は通貨戦争で、自分だけ通貨安を仕掛ける気か」と叱られる。
だから金(きん)を今こそ今の安値で買いなさい。まだ買ったことがない人は、100グラム(47万円)でもいいから買いにゆきなさい。そして自分の手元に置いておきなさい。それが近い将来、自分の生活を守ることになるだろう。なんら動揺することなく、不安がることなく、どんどん余裕資金の預金のある人は預金を銀行から下ろして(引き出して)、金とかの安全な実物資産(タンジブル・アセット)に換えなさい。 この実物資産というコトバは、私、副島隆彦が、日本の金融・経済の世界に流行らせたコトバだ。使う専門家は、副島隆彦の顔が頭に浮かぶ。「属国・日本論」と同じだ。
今は、もう世界中が、市場経済(マーケット・エコノミー)ではなくて、統制経済(コントロールド・エコノミ―)なのだ。 すべては統制されようとしている。 世界恐慌への突入を前に、すべての経済活動を、政府、官僚が、各国連携で統制、管理しようとしている。
だから自由な価格決定の市場(マーケット)が操作され、政府の資金で動かされ存在しないのだから、経済学(エコノミックス)も経済学者(エコノミスト)も死んでいる。生きているのは、フィナンシャル・サプレッション(金融抑圧)をやると決めた統制主義者たちだけだ。
国債(ナショナル・ボンド)を中心とする 債券市場(ボンド・マーケット)の乱高下が激しい。この債券市場で、高速ロボット・トレーディング(CTA コモディテイ・トレイディング・アドヴァイザリーズ)が暴走して、それで大きな金融システム破壊、大爆発、大暴落が、近く起きるだろう。
だから皆、今のうちに、自分の預金を下ろして、金を現物で買いなさい。
副島隆彦拝
( 新聞記事の転載貼り付け始め)
●「 日本で高まる金の需要、アベノミクスで世界に逆行 」
2013年 04月 17日 17:00 JST ロイター
金に向かう個人投資家の中には、国内総生産(GDP)の2倍以上の債務を抱える日本の財政が、「アベノミクス」で危機的な状況に陥る可能性を懸念する向きもある。「金を買っている人は、アベノミクスが引き起こす円安と物価上昇、財政破綻を懸念している」と、田中貴金属工業の原田和佳子・貴金属部長は言う。「円資産の劣化は避けられないということで、ヘッジをしたいとして来店する」。
安倍政権の経済政策に反応し、日経平均株価は今年に入って27%ほど上昇した。しかし都内で年金生活を送るある女性(64)は、アベノミクス効果が長続きしないと感じている1人だ。彼女は先週、銀座で開催された金製品の展示会で、30万円分の24金製の金貨を3枚購入した。女性は紙袋に入った金貨を手に、「(株は)自分が働いていた会社の持ち株はあるし、ほかの銘柄は買おうとは思わない」と言う。「株は下がるときは大きく下げるし、今は(相場は)強いけど、どれだけ持つか分からない」。
<売れ筋は金の仏具>
スタンダードバンクの池水雄一・東京支店長によると、2─3年前に金の価格が上昇した際は、大量の現物売りが出たという。しかし、今回は様相が異なる。「下がったところは買ってきている。金融危機や、日本の財政状況を見て、円、債券や株なども不安だということから、発行体のリスクのないものとして、金に資金を振り向けている人が出ている」と、池水支店長は指摘する。
円建ての金価格が史上最高値に迫った先週、都内の貴金属店には高齢者を始め、使わなくなった金の指輪やネックレスを売る人の長い列ができた。しかし今週火曜日には状況が一変、買い手が売り手を大きく上回った。田中貴金属の銀座本店には、金を買う人々が列を作り、中には3時間待ちという人もいた。
田中貴金属からほど近いSGC銀座では、火曜午後だけで6キロ分の金製品が売れた。店から出てきた男性客(60)は、500グラムの金を220万円で購入したという。また、松坂屋銀座店で開催していた金製品の展示会でよく売れたのは、平均価格400万円の、仏具として使う18金製の鈴(りん)だった。「(客は)これらの金製品の仏具を家宝として購入していく」と、展示会の販売員は言う。「仮に家が火事になっても、形は変わっても金製品は金製品として残るので、価値をそのまま残すことができる」。
●「 NY金、3日ぶり反発 6月物1387.4ドルで終了 一時1400ドル回復 」
2013/4/17 6:22 NQNニューヨーク=大石祥代
前日まで急落していたニューヨーク金先物相場は16日、3営業日ぶりに反発した。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心である6月物は前日比26.3ドル高の1トロイオンス1387.4ドルで終えた。中国や米国の低調な景気指標などを背景に前日まで膨らんだ売りが一服。短期的な戻りを期待した買いが優勢になった。一時は心理的な節目である1400ドルを回復した。
外国為替市場でドルが対ユーロで下落したため、ドルの代替資産として逆の値動きになりやすい金に買いが入りやすかった面もある。一方、市場では「追加担保の差し入れなどに伴う金先物の換金売りはまだ一巡していない」と相場の先行きに慎重な声も聞かれた。
6月物は15日夜の時間外取引で1321.5ドルと、中心限月として約2年3カ月ぶりの水準まで売られていた。銀、プラチナはともに3営業日ぶりに反発した。
●田中宇(たなかさかい)の国際ニュース解説 無料版 2013年4月16日 http://tanakanews.com/
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★通貨戦争としての金の暴落
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金地金の相場が暴落した。4月12日からの2営業日で、金価格はドル建てで10%ほど下がった。しばらく前から、米国の金融界は、金相場の大幅下落を予測する報告書を出していた。3月末にはゴールドマンサックス(GS)が、金相場が1オンス1200ドルまで下がるという予測を出していた。3月末の金相場は1600ドル前後で、急落後のいま(4月16日)は1300ドル台だ。GSの予測はほぼあたっていた。
http://www.activistpost.com/2013/03/ignore-banks-bearish-statements-on-gold.html
Ignore Banks’ Bearish Statements on Gold
米金融界が、今回の金暴落を事前におおむね正確にあてられたのは、当然ともいえる。金相場の暴落は、米金融界が引き起こしたものだという指摘があるからだ。暴落が始まった4月12日、メリルリンチ(バンカメの一部門)の仲買部門が、顧客からの依頼を受け、金先物市場で60億ドル分の売り注文を出し、相場が急落したという。その後、ヘッジファンドや投資銀行などの機関投資家がこぞって金先物を売り放ち、合計150億ドル分の売り注文によって下落が加速した。
http://investmentwatchblog.com/massive-20-billion-paper-gold-sell-orders-trigger-stop-loss-selling-and-unfounded-panic/
Massive $20 Billion Paper Gold Sell Orders Trigger Stop Loss Selling And Unfounded Panic
この日の数時間で売られた金先物は、金地金の現物に換算すると400トン分で、世界で1年間に掘り出される金地金の15%にあたる。とはいえ実際に売られたのは金の現物でなく、現物とつながりがない金先物だ。金地金の価格は、金相場によって決まるが、金相場は現物の市場でなく、現物との交換を前提としていない先物市場だ。
価格操作が頻発する先物相場に影響されない、現物の需給だけで決まる「金の現物価格」は、今の世界に存在しない。先物の価格が現物の価格である。先物市場は、実際に賭けた資金の10倍とか20倍の価格分を投資できるので、取引の額は、現物より先物の方が何十倍も大きい。だから、金相場は金融界の意志によって簡単に動く。
http://tanakanews.com/130413bubble.php
◆世界的バブル崩壊の懸念
米金融界が金相場を急落させたのだとしたら、その理由は、債券や株などの市場から、金市場に資金が流出していく事態を未然に防ぎ、金融界の儲けの源泉となっている債券や株の市場を守るためだろう。金融界の中心にある債券金融システムは、08年のリーマンショックのバブル崩壊後、米連銀による資金供給の大増加策(量的緩和、QE3)などによって表向き再び繁盛しているが、実体的には延命しているだけで、連銀がQE3をやめたら再崩壊の危機に陥りそうだ。連銀はQE3ドルの刷りすぎによって不健全な状態になっており、連銀内から「早くQE3をやめるべきだ」との声が挙がっている。
http://www.marketwatch.com/story/fed-could-start-tapering-qe3-this-summer-williams-2013-04-03
Fed could start tapering QE3 this summer: Williams
金融システムの崩壊を防ぐには、資金量を増やして価格を維持する方法のほかに、金融界から他の分野への資金の逃げ道を断ち、資金がほかに行かないようにする方法がある。そして、株や債券から資金が逃避しうる先の一つとして存在するのが金地金だ。株や債券、預金、現金(通貨)などは、いずれも連銀など当局と金融界の発明物であり、金融界が価値を操作して崩壊を防げる。
対照的に、人類が金融界を持つ前に価値の備蓄先として使っていた金地金は、古くさく野蛮なものであるが、金融界やドルのライバル的な存在だ。だから金融界は、連銀のQE3が限界に近づき金融崩壊が再来する懸念が増す中で、金相場に先制攻撃をかけて暴落させたのだろう。金融界は、ドルを守るために金を攻撃する通貨戦争をやっている。
米金融界が金相場を暴落させたのなら、それは自分たちの儲けを守る意味もあるものの、同時に、ドルや米国債を崩壊から守り、世界の混乱を防いだともいえる。だがさらに深く掘り下げると、ドルや米国債を崩壊に瀕する状態にした原因は、この30年間続いた債券金融の急拡大であり、米金融界はその急拡大を煽って儲けてきたのだから、もともとの悪者はやっぱり金融界だともいえる。
明確に報道・指摘されていないので、多くの人は気づいていないだろうが、このところ世界的に、通貨や金融界に対する信用がゆらいでいる。日米などは株高だが、その背景にあるのが日銀や連銀による過激な緩和策であり、株価は目先上昇してみんな浮かれているが、上昇の理由を考えると恐ろしさ(高いリスク)を感じる人も多いはずだ。
日本株5月下落説なども出ている。ユーロ圏は投機筋の攻撃を受けてキプロスが金融危機となり、銀行口座が封鎖・没収(徴税)される事態が起きた。日本人の多くは、自分らと無関係な遠くの出来事と思っているだろうが、欧州の人々は、これまで無リスクだったと思っていた銀行預金が、実はリスクの高い資金置き場であることを感じ始めている。
債券も、債券群の上位にある国債が、米国も日本も政府の財政難がひどくなり、以前のような無リスクな投資先でなくなり、それに連動して下位の社債やジャンク債の安全性が低下している(本来は、安全性が低下すると債券の価値が下がるが、その下落を連銀や日銀が緩和策による流通資金増によって止めている)。ドルや円といった現金も、日銀や連銀の過剰発行によって、いずれインフレ(お金の価値の減価)がひどくなるかもしれない状態だ。株や債券だけでなく、預金も現金もリスクが高まり、安心してお金をあずけられなくなった。
リスクの高まりを感じた人々は世界的に、昨年あたりから、金地金を買う傾向を強めていた。資金を安心して置ける先がないので、金地金が注目された。
この状態を放置すると、株や債券、預金から資金が流出し、金融崩壊が起こりかねなかった。それを防ぐため、金融界が金地金相場を暴落させ、金に群がり始めた世界の人々を追い払った。金融界は、金を買おうとする人に「金は安全でない」と思わせることで、金への資金流入を防ぎ、ドルと金融界自身を延命させている。
http://tanakanews.com/120830gold.php
金地金の復権
今回、金と銀は暴落したが、商品市場の中でも、白金など他の金属や原油、食糧は、大して価格が動いていない。金以外の商品の多くは、リーマンショック後の世界不況の中で実需(工業需要など)が減り、値下がりしたので、それ以上の下落にならない。金と、金に準じると考えられている銀だけは「商品」でなく「通貨」の側面があり、リーマンショックがドル崩壊でもあったため、その後、他の商品が安値を続けるのをしり目に、金と銀の相場だけは上がる傾向が続いた(銀は、2011年に暴落させられた)。
http://tanakanews.com/081107gold.htm
操作される金相場
金地金は、ドルと対極の関係にある。ドルが隆々とすれば金がすたれ、ドルが弱体化すると金が輝くのが自然な関係だ。今回、金相場が暴落したが、それはドルが隆々としたからでない。ドルは依然として弱く、むしろ金融崩壊を防ぐために、ドルの発行者である連銀が無理に続けねばならない量的緩和によって、ドルの弱体化が進んでいる。
今回の金暴落は、ドルの弱まりを顕在化することを防ぐためのものだ。ドルが再生するのは難しい。連銀と日銀以外の世界の中央銀行の多くが、自国の通貨の今後の後ろ盾(外貨備蓄)を、失墜しつつあるドルや米国債から金地金に替えるべく、金地金を買い増している。金融のプロである中央銀行自身が、ドルへの見放しを意味する金の買い増しをやっている。
http://www.tanakanews.com/100405gold.php
操作される金相場(2)
長期的にみると、金は再び買われるだろう。しかし、金が再び買われるようになると、米金融界が債券システムで簡単に作れる資金を使って金先物に巨大な売り爆弾を落として金相場を暴落させる攻撃を再発するかもしれない。金の現物価格が先物で簡単に下落させられる、金にとって無力な価格決定の仕掛け(それを作ったのは金融界だ)は、今後も変わらない。金に対する通貨戦争はまだ続きそうだ。
◆世界的バブル崩壊の懸念
http://tanakanews.com/130413bubble.php
【2013年4月13日】米国以外の投資先が隆々として繁盛していたら、米国から他の投資先に資金が流出し、債券金融バブルが崩壊しかねない事態になるが、他の投資先が次々と壊れていけば、少なくともその間、ドルは安泰だ。ユーロ危機など、米国以外の市場が崩壊するたびに「いちばん安全な投資先はやはり米国債だ」という話が喧伝され、投資金が米国債からジャンク債までの債券金融システムから資金が逃げず、ドルのバブル崩壊が防げる。米金融界は、ドルのバブル崩壊を先送りするため、米国以外の世界中のバブルを崩壊させようとしている。
◆北朝鮮と世界大戦の危機
http://tanakanews.com/130411nkorea.php
【2013年4月11日】報道を読むと、北朝鮮を発火点に米中が戦争して世界大戦になりかねない感じを受ける。だが、世界的な視野に立つと、世界大戦が起きるとしたら、その可能性は、北朝鮮より、イランとイスラエルなど中東地域の方が高い。米国の著名な分析者の何人もが、これから世界大戦が起きるとしたら、イランなど中東から発生すると予測している。米国の権力筋を動かす政治力で見ても、日韓よりイスラエルの方がはるかに強い。
◆キプロス金融危機の意味
http://tanakanews.com/130402cyprus.php
【2013年4月2日】キプロスで検討されているような、銀行危機に際して預金を返さず損失の穴埋めをするやり方は、これから増えていく可能性がある。
ニュージーランドでは、このやり方が危機対策の一つとして検討されている。
リーマン危機が直後に感染して08年に銀行危機に陥ったアイスランドでは、銀行を救済せず国有化したうえで破綻させ、その代わり、アイスランド国民の預金は保護するやり方を採った。日本でも、デフレ脱出のためと称し、円や日本国債を意図的に弱体化する策が続けられており、今は安定している日本の金融界が、国債危機などが起きて不安定化した場合、日本人の預金も安泰でなくなる。
(副島隆彦注記。田中宇(さかい)氏は、倦まず弛まず、正確な情報を書き続けている。)
●「 インドの結婚・祝祭シーズンに金需要増の見込み-相場下落で 」
2013年4月16日 ブルームバーグ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MLC3JR6JTSEB01.html
金相場が過去30年で最大の下落率を示したことにより、結婚・祝祭シーズンを控えたインドで主婦や新婦の宝飾品需要が回復するとの見通しを、同国 の宝飾品業者、ジタンジャリ・ジェムズ とラジェッシュ・エキスポーツが示した。
売上高でインド最大のダイヤモンド・金宝飾品小売企業、ジタンジャリのメフル・チョクシ最高経営責任者(CEO)によると、金相場が15日、 9.1%下げ、1983年以降で最大の下落率を示したことから、インド人は金を購入しやすくなっている可能性がある。ラジェッシュ・エキスポーツ のラジェッシュ・メータ会長は、相場下落により既に消費者の金に対する関心が再び高まっていると指摘した。
インドでは8-10月が祝祭シーズン、11-12月と3月下旬から5月初めが結婚シーズンに当たる。
●「 金相場急落、多くのファンドマネジャーに驚き=米著名投資家 」
2013年4月16日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE93F01Q20130416
金への長期投資家として知られ、ヘッジファンドを運営するジョン・バーバンク氏は、最近の金相場の急速な下落は多くの投資家にとって驚きだとの認識を示した。
米サンフランシスコを拠点に活動するバーバンク氏は、先週の劇的な金相場下落を「予期しない出来事」と表現。世界的に中央銀行が金融緩和政策を進める中、インフレ率が上昇するとみていた複数のヘッジファンドがすきを突かれたと
いう。
バーバンク氏は、金相場が下落すれば備えが不十分なファンドマネジャーにとって大きな打撃となると指摘。電話インタビューで「金をロング(買い待ち)にしている人の大半はロングポジションしか持っていない」と述べた。
ただ、同氏のファンド「パスポート・キャピタル」(資産運用規模37億ドル)は、現物金を保有する一方、金鉱株をショート(売り待ち)にしており、リスクをヘッジしていたという。現在、金鉱株は急落している。
● **社 ***編集長へ
副島隆彦から 2013年4月12日
以下の記事は、重要です。 アメリカ政府は、ゴールドマンを使って、スパイダー の 売り崩しの 仕組みを使って、金を 下落させることの 宣言文だと 考えるべきです。
BRICS は全て産金国 です。 彼らは、金を買い上げる密かな合意があります。しかし、 先進諸国を 敵に回して あからさまにやる気はない。これは、世界規模での大きな闘いです。ですから、「金は、これからも 何度か、暴落する (させられる)から、 その時が買いだ」 という のを 、私たちの次の本の標語にするべきです。
副島隆彦拝
(副島隆彦注記。金の暴落の開始 は、以下の記事から始まった。)
●「 ゴールドマン、金価格見通しを引き下げ-サイクルの転換加速 」
2013年4月10日 ブルームバーグ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-ML2E616JIJVM01.html
米ゴールドマン・サックス・グループは2014年にかけての金相場の見通しを引き下げた。米景気回復の勢いが増し、金相場サイクルの転換が加速し ていると指摘した。金相場は12年連続で上昇していた。
ゴールドマンは、金相場の3カ月間の見通しを1オンス当たり1530ドルと、1615ドルから下方修正。半年間の見通しは1600ドルから 1490ドルに、1年間の見通しについては1550ドルから1390ドルに、それぞれ引き下げた。アナリストのダミアン・クールベイリン氏とジェ フリー・カリー氏は10日のリポートで、10年10月11日に219ドルの上昇の可能性を見込んで推奨したニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門のロングポジション(買い持ち)を手じまうよう勧めた。
景気が回復する中、米連邦準備制度理事会(FRB)が景気刺激策を縮小するとの観測を背景に金相場は年初来で5.8%下落している。ソシエテ・ ジェネラルは2日のリポートで、金相場はバブルの領域に入っていると指摘した。金ETF(上場投資信託)としては最大の「SPDRゴールド・トラスト」を通じた金保有量は9日、約1200トンと11年6月以来の低水準に減少。ドイツ銀行は同日、ドル相場の上昇と安全資産としての買いの減少 を理由に今年の金相場見通しを12%引き下げた。
ゴールドマンのアナリストらはリポートで「ユーロ圏に関連するリスク回避の動きが再開し米経済指標が低調でも、金相場の動向は過去1カ月間、変化しなかった。それは、金保有への確信がいかに急速に低下しているかを示している」と指摘。「インフレ率上昇が次の金相場サイクルのきっかけとなる 可能性があるが、数年先だろう」との見方を示した。
原題:Goldman Cuts Gold Price Forecast Through 2014 as CycleTurns
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
(2) [1249]黒田東彦(くろだはるひこ)超金融緩和(ちょうきんゆうかんわ)について
投稿者:副島隆彦 投稿日:2013-04-11 12:24:25
副島隆彦です。今日は4月10日です。
黒田東彦(くろだはるひこ)日銀総裁が、4月4日に突如、発表した超金融緩和(ちょうきんゆうかんわ)の金融政策の発表とその後の様子について書きます。あれには私も驚いた。びったまげた、と言うべきだ。
日本の金融問題として極めて重要な問題だ。簡潔にポイントフォームで書いてゆく。後のほうに黒田東彦自身が自分で書いたと思われる「黒田超金融緩和」(日本のイージング・マネー、easing money 政策 )を載せます。
1. 黒田は、「マネタリーベースを今の138兆円から270兆円にする」と驚くべきことを発表した。これは日本が持っている資金の一挙投入である。小出しにしない、ダラダラとやらない、ということだ。
2.これで、黒田東彦は山本五十六(やまもといそろく)の再来だと、アメリカでも驚かれた。「Admiral Yamamotoアドミラル・ヤマモト(Isoroku イソロク、提督、元帥)の1941年12月の真珠湾攻撃、及びその半年後のミッドウェー海戦と同じである」と見られている。黒田は山本五十六と同じで短期決戦に出た。持てる力の一挙投入であり短期決戦である。
当時、日本海軍の空母5隻を投入したに等しい(これらが撃沈されたらあと4隻しかなかった)。黒田は山本・連合艦隊司令長官と同じでこれからの半年、1年で決着をつけるしかない。
3.黒田は己れのfortuna(フォルチューナ)に賭けたと思われる。フォルチューナ、即ち運命の女神に全てを託した。今のまま、ぐずぐずやっていたら、日本はデフレ大不況の巨大な渦(スパイラル)に飲み込まれる。だから黒田は一気投入の賭けに出た。勝算は1割ぐらいしかない。
4.「5月の連休前にやらないと間に合わない」と黒田は考えた。キプロス崩れ(預金封鎖だ。銀行引き出し凍結、預金への一律の強制課税)が、3月18日に勃発していた。
だからヨーロッパ各国で富裕層が銀行預金をどんどん引き下ろす動きに出た。ヨーロッパ金融危機は、この秋を待たずに再発・再燃しそうである。これを日本からの資金で一気に封じ込める策に出た。
5.ヨーロッパ金融崩(くず)れ以外に、東アジアに戦争(その3歩手前の軍事衝突)の危機が迫っていた。黒田は、よく分からない理屈なのだが、日本の資金に余裕を持たせるために、日銀のジャブジャブ・マネーを最高限度のギリギリのところまで出すことを決めた。この後はもうあまり、通貨量のコントロールが出来なくなる。
アメリカは黒田の決断に賛成の意思を表明した。これほどの巨額のものだとはアメリカでさえ予想しなかった。黒田は、本来なら総裁就任の直後の顔見せの初回の日銀・政策決定会合であるから穏便に済ませるだろう、と回(まわ)りは見た。しかし違った。
ヨーロッパの首脳たちは、円安による通貨戦争(カレンシー・ウォー。通貨安による輸出攻勢)だとして嫌がっている。安倍晋三首相たちは、「110%の満額回答の、満点の評価を与える」と称賛した。
6.黒田東彦は私が昔から注目しているとおり、バカ者ではない。賢い男である。だから、このようなヨーロッパやアメリカ、新興諸国をもビックリさせるような巨額のジャブジャブマネーの一挙投入策にでた。これで日本国内にも、保守派の間から却(かえ)ってある種の不安が起きている。黒田さんは大丈夫か。こんなことまで言い出して、と。
同じリフレ派(ジャブジャブマネー推進派)の中にも躊躇が見られる。黒田はバカではないので、愚かな見え見えの円安誘導(=為替介入)はしなかった。しかし黒田発表によって、極端なまでに膨れ上がることになる円資金は海を越えてすぐに諸外国に流れ出している。
これはマンデル=フレミングの法則の問題にぶち当たる。日本の生損保(機関投資家、インスティチューショナル・インベスターズ)が、日本国内の金利のあまりの低さ(10年もの国債は、4日に瞬間で、0・315%という人類史上初の最低利回りをつけた)から、なんと、年率6%取れる、危険極まりない、スペイン国債にまで手を出し始めている。いつ、これが逆回転して、恐ろしい大損害を出すかもしれない。その打撃の凄(すご)さを黒田はジリジリと測定している。
7.黒田が、竹中平蔵・安倍晋三からの強い指図と命令があって、それに従って動いたことは明白である。しかし同時に、日本財務省の国金局(こっきんきょく)あがりなのでアメリカにお金を貢ぐ係でもある。この己れの運命にも従っている。
野口悠紀雄(のぐちゆきお)氏がハッキリとその近著『金融緩和で日本は破綻する』(ダイヤモンド社刊、2013年1月)で書いているが、「インフレ目標(消費者物価上昇)2%を達成するのは絶対に無理なことだ」なのだそうだ。これは、従来の経済学理論からはっきりしている。だから黒田を後押しするリフレ派(インフレーション・ターゲィテング理論)は失敗する運命にある。
8.だが、このリフレ派こそは、アメリカのノーベル賞クラスの経済学者たちの多数派が、こぞって推進している政策である。ポール・クルーグマンやジョゼフ・スティグリッツらだ。彼らは自分たちのことを“ニュー・ニュー・エコノミックス”(新しい新しい経済学)だと呼んでいる。
そして従来の経済学理論にこだわる者たちを、古くさい時代遅れの経済学理論だと言って貶(けな)して罵(ののし)っている。浜田宏一と高橋洋一が、その日本国内での扇動係、旗振り人をやっている。
日本でもこのリフレ政策(再通貨膨張政策)を無理やり実行させるために竹中平蔵がアメリカの忠実な手先の最高司令官として動いている。浜田宏一(イェール大学教授)という、おかしなジイさんを内閣参与の肩書にして使っている。そして失敗したら浜田をスケープ・ゴートにしてお払い箱にする気だ。
8. 日銀(中央銀行)が、資金を金融市場に無制限に供給しさえすれば、①国民の消費が伸び、②企業への銀行からの貸出しが増え、設備投資が増え、③雇用が新たに生まれ、④従業員(サラリーマンたち)の給料が上がり、⑤これで国民の消費がさらに伸びて、景気が回復する。だから⑥ 増税をしても国民経済は破綻しない、という理屈である。しかし、こんなことはどうせ出来ない。
9.中央銀行が持つ金融政策(フィナンシャル・ポリシー)の力は限られている。金融政策は古くから、あまりに過熱してしまった経済(インフレ、好景気)を引き締めて、糸(いと)で手前に手繰(たぐ)り寄せ引っ張り寄せることはできる。
しかしその反対は出来ない。この金融政策という糸を向こう側に押して、現状のデフレ(不景気)を無理やりインフレに変えて景気を良くすることはできない、のである。ところが、
今のアメリカの激しい不況(デフレ)に直面して、バーナンキFRB議長以下、気が狂ったようにアメリカの経済学者たちは、自分たちが実際の政権運営に関わって来たものだから従来の経済学の理論をかなぐり捨てた。
彼らは過去に経済政策(エコノミック・ポリシー)を泥だらけになって提案し、運営・執行しなければならないポリシー・エクセキューター(policy executor、政策立案かつ実行者)でもあったから、このニュー・ニュー・エコノミックス(新新経済学)に突き進んでいる。
10.だから私、副島隆彦が、日本も又すでに金融統制体制(=預金封鎖)に突入したのだと宣言した(4月1日)ことは、その3日後の黒田発表と矛盾しない。私たち国民は、すぐに自分の銀行預金をどんどん引き下ろすべきである。
私たちは、政府や官僚たちから今後どんなひどい目に遭わされるか分からない。預金封鎖とは、①銀行預金引き下ろしの規制、制限そして禁止=凍結と、②新札切り替えである。そうなると旧札の「タンス預金」を使えなくなる事態が起きるであろう。
だから、金持ち(富裕層)は特にどんどん自分の預金を下ろして、実物資産(タンジブル・アセット)に変えるべきである。本当に緊急事態となったら、古いお札は急激に、たった3ヶ月ぐらいしか使えなくさせられてしまう。1946年(昭和21)2月に起きたことが、また、繰り返し起きようとしている。
11.日本政府は、アメリカの言いなりになって日本国民のタンス預金のあぶり出しにかかっている。だから、日本の金持ちたちは、自分の資産を守りたかったら実物資産=その代表はやはり金(きん)である= に、今からでもどんどん変えるべきである。
あるいは、安全な外国に持ち出すべきだ。capital flight(キャピタルフライト、資産避難)はすでに起きている。日本の富裕層は“金持ち難民”化して続々と国外に脱出しつつある。日本の国税庁や金融庁は、「金持ちが資産を外国に持ち出すのを絶対に阻止してやる」という、あからさまなまでに見苦しい態度に出ている。
12.黒田東彦自身は人格者であり、いい奴(やつ)なのだが、彼はもう日本国民の生活のことなど考えていられない。黒田であっても、国家体制と自分たち財務官僚が敷いてきた金融秩序を守ることで精一杯である。
実は、日本国債の新規の発行での「札割れ」がすでに起き始めていたのである。「札割れ」とは、財務省が新規に発行する国債をもう買うだけの力が、日本の民間銀行に無くなっていた。民間銀行はすでにアップアップの状態で日本国債を買っている。
それに更に買い余力を持たせる、というのが、今回の黒田ショックであり、これを「財政ファイナンスの意図はない」と黒田自身がシラを切った。財政ファイナンスというヘンなコトバは、日本政府(財務省)が自分の借金の穴埋めにをするためにこれほどの巨額の日銀資金の投入を決めた、ということだ。
そうではない、と黒田たちは居直る気だ。黒田発表で、これから毎月日銀が7兆円の日本国債を直接買う(=引き受ける)ことに公然となった。「日銀の直接引き受けではありません。市場からの購入です」と公式にはまだ居直っている。しかし専門家だったら誰も信じない。
13.日本財務省は、毎月10兆円(1年間で120兆円だ)の新規の国家借金証書である国債を発行している。そのうちの7割である7兆円を日銀が直接引き受ける。このことを恥も外聞もなく宣言したのだ。前の白川日銀総裁(2月5日に抗議の辞任発表)でさえ、毎月4兆円を脅されながら、ずっと買っていた。それをあと3兆円増やすというのだ。
それでも、これだけやってもデフレ不況から脱出して、インフレ経済(穏やかな物価上昇と好景気)にすることはできなかった。だから黒田は、一か八かの、270兆円への一挙投入で、それを実現する、インフレ目標2%を達成してみせる、と世界に向かって宣言した。
14. 黒田は、今にも、日本国債がアメリカのヘッジファンドたちによって暴落させられる危険を鋭く察知していた。ADD(アジア開発銀行)の総裁として、アジア諸国の通貨金、金融危機の様相を肌で感じてきた。だから、もうちょっとやそっとの小出しの治療法では効き目がない、と分かっていた。
世界がアッと驚くぐらいの規模のことをやって見せなければ、信用不安=金融危機は避けられない、と腹をくくった。「270兆円のマネタリー・ベース」というおそるべき、唖然とするような、紀伊国屋文左衛門(きのくにやぶんざえもん)が吉原の芸者衆(花魁、おいらん)を総挙げして、小判を気前よくばら撒いてみせたような、真珠湾攻撃の奇襲作戦に打って出た。
これで、10年物の日本国債は4月4日午後3時前に年率0.315%という恐ろしい超低利回りになった。日本国債を売ることで暴落させるつもりだったヘッジファンドどもが、慌てて日本国債買いに回った。日本国債を怒涛のように買いに走る動きが債券市場で起きた。債券市場は、株式市場よりも100倍は大きい。
この債券市場での「途転(ドテン)買い」は、高度に危険なバクチ用の高速取引(CTA 超高速ロボット・トレーディング)で出現したようだ。人為を超えた、ロボット取引の危険性まで黒田は読み込んでいたのだ。
そのあと10年もの国債の利回り 10-year bond yield は 0.6%に急激に戻った。黒田は、日本国債の暴落(年率2%とかに利回りが跳ね上がること)を立派に阻止した。ヨーロッパ・ロスチャイルド系と、ビル・グロース率いるカリフォルニア州の公務員年金ファンドCalpers と ピムコPimco たちヘッジファンド(国際投機筋)の鼻を明かした。 これで、黒田は、アメリカやヨーロッパのグローバリスト系の首脳たちから称賛された。
15.日本の「黒田超緩和」は、世界の金融不安を払しょくし、一瞬、取り除いた形になった。これからの半年ぐらいで100兆円規模の日銀信用をふり出す、すなわち、空母5隻を運命の女神に任せて荒波の太平洋の中に発進、突入させたのである。
前にも書いたが勝算は1割ぐらいしかない。それでもニュー・ニュー・エコノミックスのバカたちは、日本の黒田のこの前代未聞、前人未到のジャブジャブ・マネー作戦を歓迎して、自分たちの仲間だとして称賛している。果たしてそれだけのことで終わるだろうか。
16.黒田がやったことは、外側から見れば、去年の2012年9月に、ベン・バーナンキFRB議長が、全米12の地区連銀の総裁たちの反対を押し切って実行したQE3(キュー・イースリー)で、毎月450億ドル(4.5兆円)のFRBが不良資産を市中(民間銀行たち)から買い取るという政策と全く同じである。
FRBが不良資産を買い取って自分自身がボロボロの汚れた雪だるまの中央銀行になることを覚悟した。これでアメリカの株と土地を人工的に吊り上げることに今のところは成功している。ヨーロッパでも同じく昨年9月に、マリオ・ドラギECB(ヨーロッパの中央銀行)総裁が、ドラギ大砲(LTOR砲)を発射して、ヨーロッパ全体の(EU27か国)の全ての銀行830行を無理やり救出するために無制限のユーロ通貨の供給を決定した。
日銀黒田がやったこともバーナンキとドラギがやったことと全く同じだ。これで、米・欧・日の先進国3カ国が目出度く首を揃えた。ということは、アメリカから見れば、このあと、まずヨーロッパの金融が崩れまくって、ヨーロッパが没落し自滅する。その次は日本が資金を無理やり紙切れにして大放出したことで日本が次に破滅する。
最後に残るアメリカに一番最後に、ようやく危機が訪れるという悪賢い手に出たということである。だから、アメリカのニュー・ニュー・エコノミックスのバカたれ経済学者たちは、アメリカ・ロックフェラー石油金融(金・ドル)帝国の忠実な家来どもであり、残酷な悪魔たちだ。
彼らはそのことを分かってやっている。それを知っていて黒田東彦は270兆円の一挙投入をやったということは、運を天に任せての過激な短期決戦である。日本は果たして、アメリカの支配者たちの裏を掻いて(寝首を掻いて)いの残れるだろうか。勝算は1割ぐらいしかない。この黒田バズーカの1割の希望に、世界の現在の支配者たちが踊らされたとも言える。
17.だから当然に、BRICS(ブラジル・ロシア・インド・中国・南ア)新興国5大国の指導者たちは、苦虫を噛み潰したようになる。一番、煮え湯を飲まされるのは、北朝鮮の危機まで、アメリカのあからさまな挑発(B2ステルス爆撃機で上空を飛ばし、テニソンという空母まで北朝鮮沖に近づけた)までされて締め上げられた韓国である。
韓国は可哀想だ。韓国は、自国の生き残りのために、必死になってサムスンと朴槿恵(パク・クンヘ)新政権が密かにどんどん中国に近づいているのがアメリカは気に食わない。朴槿恵をアメリカの支配層はキツネのようなずるい女 fox lady と呼んでいる。北朝鮮は何もしてないのに、ミサイルが飛んでくると、日本国民まで脅している。日本人は皆でシラけている。
18.黒田超緩和に対して、これは自分たち新興国、発展途上国への攻撃であり、自分たち新興国つぶしの攻撃であると見抜いている。ブラジルの天才的な財政家(財務長官)のギガ・マンテガが厳しく正確に分析している。
それでも新興5大国は、まだまだ貧しい国民を抱えながらも成長経済路線に正しく乗って、国民の旺盛な需要と消費に支えられて着実に成長している。それに対して「すでに成長が終わったことが確実な」アメリカもヨーロッパ先進地帯も日本もどうしていいか分からないので、こういう血迷った奇襲作戦に打って出るしかない。
「クローサーの国家の6つの発展段階説」によれば、すでに最終段階である第6段階の「対外債権取り崩し国家」段階に日本も入った。その次の第7段階は何なのかは、どこにも書いていないし、誰も経済学者たちは語らない。
第7段階とは、すなわち超新星爆発である。星(スター)の命の最終段階である超新星爆発(スーパーノヴァ)そして燃え滓(かす)である白色矮星(はくしょくわいせい)段階に、アメリカもヨーロッパも日本も突入しているのである。
だから、黒田は、「質・量ともに異次元の金融緩和策」とはっきりと発言した。まさしく異次元空間への突入である。おそろしいことになったものだ。
19.これは、まさしく宇宙戦艦ヤマトのイスカンダルへの旅の始まりである。だから、黒田超緩和は、宇宙戦艦ヤマトが宇宙空間(あるいは時空)のひずみ、ゆがみを利用して一気に越えてワープ warp をするようなものだ。
だから私は以後「黒田ワープ」と呼ぼうと思う。黒田インフレや、黒田ショックや、黒田バズーカ(大砲)では済まないと思っている。宇宙戦艦ヤマトはワープできるのなら、物語のはじめからさっさとワープしていけばよかったのだ。
黒田ワープが、マネタリーベースを一挙に倍の270兆円にまで緩和すると発表した、この「マネタリー・ベース」とは、何か。それは従来のベース・マネーの概念をかなぐり捨ててしまったあとの指標(しひょう)だ。旧来は、マネー・サプライ(M2+CD)というコトバを使っていたのに、今はもう使わなくなった。
あまりにもアメリカも日本もジャブジャブ・マネーをやりすぎて、マネー・サプライの発表すらできなくなっている。だからその一部であるマネタリー・ベースという、現金(お札、紙幣)と日銀当座預金の民間銀行たちの残高(民間銀行たちが資金を従来の倍まで日銀から借りられるようにした、ということ)をこれからの新しいベースにする、と決めたのだ。
これで民間銀行たちは日銀からほとんど無料(ただ)のお金でいくらでもお金を借りられる、そしてそれを民間企業や個人にどんどん貸し出せ、という政策である。ところが企業も個人も、もうおそろしくて新しい借金(銀行融資を受けること)をする気が無くなっている。
それでもジャブジャブにさらに貸し付けろというのだ。民間銀行たちは、ただでさえ借金だらけの企業にさらに融資を増やすと、もっと返してもらえなくなるので、追加の融資をしたくない。それで、何をやるかというとやっぱり日本国債を買うのである。だから10年もの国債が0.6%というおそろしい超低金利(利回り)まで下がっている。
健全といえば健全で、日本円(日本国債)は、世界一の安全資産である。それなのに、日本財務省も、FT(英フィナンシャル・タイムズ)紙も、「日本対GDP比で230%の財政赤字国であり、ギリシアよりもヒドい」と今でも言っている。アホじゃなかろかの、田舎芝居だ。日本はアメリカ国債を1千兆円(10兆ドル)も密かに(国民に内緒で)買っている。
だからこんなに公表している財政赤字が世界一ヒドい国なのだと誰も正直に言わない。私、副島隆彦だけがずっとこのことを書いてきた。 それで、世界一の安全資産(セキュア・アセット)が日本国債(利回り年率0.6%)という世界一おかしなお笑い劇をやっている。「ギリシアよりもヒドい財政赤字の国が日本」(笑)というコトバの意味を正しく理解している人間は世界中で副島隆彦だけではないのか自嘲している。
20.民間銀行は、日銀がいくらでも貸すから、それでまた国債を買っている。利ざやがこれで微かだが取れる。財務省と日銀の言うことを聞いていれば、お取り潰しに遭うことはない。
本当に馬鹿じゃなかろかの話である。日本国債とお札をジャブジャブに刷って、それで又、銀行たちが日本国債を買っている。だからやっぱり黒田ワープの一挙投入でも、あと半年したら空母5隻が撃沈されてダメだろう。
21.真実の動機は、やはり日本政府(財務省)の発行する国債の秩序がぶっ壊れないために黒田ワープをやったのだ。前述した「札割れ」(新規に発売される日本国債を買う人がいなくなること)が起きないようにするためには、財務省の国債を、手篭(ご)めにされた日銀が無制限に直接、毎月買い取るしかない。
こうすれば、一国の金融秩序は安泰である。、金融市場もへったくれもない。もう市場(マーケット)は死んだのだ。マーケットが死んだら、経済学(エコノミックス)も経済学者(エコノミスト)という奇っ怪な人種も全部死んでしまうのだ。それなのに、彼らは、自分たちを「ニュー・ニュー・エコノミックスス」と言って、幽霊のように生き残っている。
真実は、市場統制(マーケット・コントロール)であり、市場そのものの政府・権力者たちによる乗っ取り劇である。白川方明を死ぬほど脅しあげて脅迫して辞めさせた。そして日銀の独立性を奪い取り手籠めにして強姦して政府に合体させ、その一部にしてしまった。そして黒田東彦に取って替えた。
22.ということは、「国家(政府)は、どんな悪いことをしてもいい」ということだ。お札と国債は発行し放題、それでデフレ不況から脱出して国民経済が安定し、あるいは繁栄をし続けることが出来ると、このバカヤローの「新しい新しい経済学」者たちは自信たっぷりだ。
このまま世界を自分たちの支配統制下において、運営、経営してゆけると思っている。だから、やがて天罰が落ちるのである。政府と中央銀行が合体して、無制限にお札を刷ってもいい、ということになったら、それは、天( てん、Heaven 、 自然の摂理、providence)に対する冒涜(ぼうとく)であり無謀なる反逆である。
いつか天罰が落ちる。それは激しいインフレとなって襲い掛かる。新しい新しい経済学(リフレ派)はこれを自分たちの力で上手に阻止できる、と思い込んでいる。だから世界恐慌への突入はない、と信じ込んでいる。
23.黒田はマネタリーベースという新しいベース・マネーにこだわった。その「ベース」、基準、土台とは何か。それこそは、まさしく世の中の信用や信頼ということである。
黒田は自分がこだわった、マネタリー・ベースの「ベース」base、 基底、本拠、基礎が、実は現実のものではない仮想(バーチャル)のベースであると分かっている。分かっていてその幻想の仮想のベースを世界中に示して、「自分を信用してくれ。日本を信用してくれ」と大見得(おおみえ)を切ってみせた。
金融とは信用の別名だ。信用、信頼 trust 、credit こそは金融である。だから、その反対に、信用不安、信用危機 というのは、=金融不安、金融危機なのである。人間の信用も国家の信用も同じだ。 信用を失った通貨(お札)や、国債はクズになる。誰も持ちたがらない。捨て去る。
24.だから黒田ワープがやったことは、心理作戦、心理戦争(サイコロジカル・ウォー)の一種である。一国の金融の政策というのは、自分の国民や諸外国に対する心理的な安心感や安定感の押し売りや見せかけのパフォーマンスである。
「この人(国)は、大丈夫だ、ちゃんと借金を返せる」、「信用のおける人だ、国だ」と思わせるためには、それなりのハッタリをかまさなければならない。だから、一挙投入の短期決戦でアメリカも驚くような資金を出して見せた。270兆円(2.7兆ドル)という資金を見せびらかしてみせた。どこにそんな実態・実質のある金があるのかと私は聞きたい。
実は、私は、その在り処(か)を知っている。それは、今本屋に並んでいる私の新刊本『浮かれバブル景気から 衰退させられる日本』(徳間書店、3月末刊)のp53に書いた。
25. たしかに日本財務省は資金を隠し持っている。そのことがちらちらと私には分かる。アメリカは、ブー・フー・ウー(3匹の子ブタ)に襲い掛かるオオカミのようなものだから舌なめずりして、日本の隠し金を奪い取ろうと考える。
お金は天下のまわりものであるが同時に水もの(リクイディティー、liquidity)でもある。しかし、同時に決済手段、蓄蔵手段であると同時に、お金は、実体のあるものであり、人間の血と汗と脂(あぶら)が結晶化したものである。
お金とは、人間の苦しい労働や、ずる賢い商業の中から生まれた血と汗と涙の結晶である。学生アパートの家賃5万円にもそれなりの苦しい若者、学生たちの、肌をさすられるようなアルバイトの実体がある。
人間の血と涙の結晶がお金なのだ。このことを知らずに、このことを無視して、政府がお金をジャブジャブに刷り散らして撒き散らせば、それでいい、という考えは、いくら危機的な財政状況(大借金)にあるといえ、許されることではない。アメリカもヨーロッパもさっさと、正直に国家破産すべきなのだ。
26. 去年2012年3月に、フランスの3大銀行は、国有化したうえで破綻処理されるべきだったのだ。その上で預金(者)の保護という真面目な国家政策に出ればよかったのだ。それをやらなかったから、今のヨーロッパ金融危機がずるずると続いている。
アメリカは2008年9月15日のリーマンショックの日に、リーマン・ブラザーズだけでなく、実はその夜のうちに、AIG(世界最大の保険会社)、もソロモンブラザーズもメリル・リンチも破綻、倒産していたのだ。
実はシテイバンク(シテイグループ)も破産していた。シテイだけでも5兆円(400億ドル)の政府資金が投入された。だから合計5つの巨大金融機関がアメリカではあのとき破綻していたのである。それを隠しながら、今に至っている。
だから、リーマンショックのときに世界は、金融恐慌に突入していたのである。だから、今度の黒田超緩和(ワープ)は、アメリカ、ヨーロッパに引きずりこまれて、日本も、また「地獄の道連れ経済」にはまっていくのである。
これが今度の黒田ワープの本当の姿である。だから私が、始めに書いた通り山本五十六提督(元帥、アドミラル)の短期決戦での一挙空母5隻の投入と同じことを黒田はやった。このことのしわ寄せが日本国民にこれから急激に圧(の)し掛かってくる。
私たちは身構えて、これから襲い掛かってくる日本および世界の金融恐慌への途(みち)を両目をカッと見開いて、冷静に見つめ続けなければいけない。
副島隆彦拝
(以下は、4月4日、黒田発表のとき 日銀が公表した 文書)
「量的・質的金融緩和」の導入について 」 日本銀行
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130404a.pdf
1.日本銀行は、本日の政策委員会・金融政策決定会合において、以下の決定を行った。
(1)「量的・質的金融緩和」の導入
日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定の目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する。
このため、マネタリーベースおよび長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍に拡大し、長期国債買入れの平均残存期間を2倍以上に延長するなど、量・質ともに次元の違う金融緩和を行う。
①マネタリーベース・コントロールの採用(全員一致)
量的な金融緩和を推進する観点から、金融市場調節の操作目標を、無担保コールレート(オーバーナイト物)からマネタリーベースに変更し、金融市場調節方針を以下のとおりとする。
「マネタリーベースが、年間約60~70兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。」※1
※1 この方針のもとで、マネタリーベース(2012 年末実績138兆円)は、2013 年末200兆円、2014 年末270兆円となる見込み(別紙)
②長期国債買入れの拡大と年限長期化(全員一致)
イールドカーブ全体の金利低下を促す観点から、長期国債の保有残高が年間約0兆円に相当するペースで増加するよう買入れを行う※2。
また、長期国債の買入れ対象を40年債を含む全ゾーンの国債としたうえで、買入れの平均残存期間を、現状の3年弱※3から国債発行残高の平均並みの7年程度※4に延長する。
※2毎月の長期国債のグロスの買入れ額は7兆円強となる見込み。
※3「資産買入等の基金による長期国債の買入れ」と「金融調節上の必要から行う国債買入れ」を合わせた全体の平均。
※4長期国債買入れの平均残存期間は、金融機関の応札状況によって振れが生じるため、6~8年程度と、幅をもってみる必要がある。
③ETF、J-REITの買入れの拡大(全員一致)
資産価格のプレミアムに働きかける観点から、ETFおよびJ-REITの保有残高が、それぞれ年間約1兆円、年間約300億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う※5。
※5CP等、社債等については、本年末にそれぞれ 2.2 兆円、3.2 兆円の残高まで買入れたあと、その残高を維持する。なお、CP等、社債等、ETFおよびJ-REITの銘柄別の買入れ限度については、従来通りとする。
④ 「量的・質的金融緩和」の継続(賛成8反対1)
「量的・質的金融緩和」は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで継続する。
その際、経済・物価情勢について上下双方向のリスク要因を点検し、必要な調整を行う。
(2)「量的・質的金融緩和」に伴う対応
①資産買入等の基金の廃止
資産買入等の基金は廃止する。
「金融調節上の必要から行う国債買入れ」は、既存の残高を含め、上記の長期国債の買入れに吸収する。
②銀行券ルールの一時適用停止
上記の長期国債の買入れは、金融政策目的で行うものであり、財政ファイナンスではない。また、政府は、1月の「共同声明」において、「日本銀行との連携強化にあたり、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する」としている。
これらを踏まえ、いわゆる「銀行券ルール」※6を、「量的・質的金融緩和」の実施に際し、一時停止する。
※6「金融調節上の必要から行う国債買入れ」を通じて日本銀行が保有する長期国債の残高について、銀行券発行残高を上限とするという考え方(2001 年3月 19 日決定)。
③市場参加者との対話の強化
上記のような巨額の国債買入れと極めて大規模なマネタリーベースの供給を円滑に行うためには、 取引先金融機関の積極的な応札など市場参加者の協力が欠かせない。市場参加者との間で、金融市場調節や市場取引全般に関し、これまで以上に密接な意見交換を行う場を設ける。また、差し当たり、市場の国債の流動性に支障が生じないよう、国債補完供給制度(SLF)の要件を緩和する。
(3)被災地金融機関支援資金供給の延長
被災地金融機関を支援するための資金供給オペレーションおよび被災地企業等にかかる担保要件の緩和措置を1年延長する。
2.わが国経済は下げ止まっており、持ち直しに向かう動きもみられている。先行きは、堅調な国内需要と海外経済の成長率の高まりを背景に、緩やかな回復経路に復していくと考えられる。
物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は足もと小幅のマイナスとなっているが、予想物価上昇率の上昇を示唆する指標がみられる。また、ここ数か月、グローバルな投資家のリスク回避姿勢の後退や国内の政策期待によって、金融資本市場の状況は好転している。
日本銀行は、1月の「共同声明」において、「物価安定の目標」の早期実現を明確に約束した。今回決定した「量的・質的金融緩和」は、これを裏打ちする施策として、長めの金利や資産価格などを通じた波及ルートに加え、市場や経済主体の期待を抜本的に転換させる効果が期待できる。
これらは、実体経済や金融市場に表れ始めた前向きな動きを後押しするとともに、高まりつつある予想物価上昇率を上昇させ、日本経済を、15年近く続いたデフレからの脱却に導くものと考えている。
(別紙)
日本銀行 2013年4月4日 発表
日銀
以 上
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
(3) [1240]今日、4月1日から 預金封鎖=金融統制体制 である。皆、甘い考えを捨てなさい。
投稿者:副島隆彦 投稿日:2013-04-01 08:07:07
副島隆彦です。
私は、3月31日の午前0時から、 弟子の N 君からのメールを読んで、相当に神経が高ぶった。日本はもうすぐ金融システムの統制の 緊急事態に突入するだろう。
4月1日(月)の朝から、先進国3地域であるヨーロッパ、アメリカだけでなく日本でも、実質的な金融統制体制にはいる。 銀行預金がおろしにくくなる事態 ( controlled output 、銀行引出し規制、禁止、凍結)が起き始めた、と私は判断しました。
これは実質的な「預金封鎖(よきんふうさ)」である。預金封鎖 ( financial accounts clamp down フィナンシャル・アカウント・クランプダウン)とは、1.銀行の引き出し制限 と 2.新札切替(しんさつきりかえ) である。 「クランプダウン」clamp down というコトバの恐ろしさを、これから日本人も味わうようになる。
私、副島隆彦の言うことに耳を傾ける人は、急いで、銀行に行って預金を出来る限り多く引き下ろしなさい。まだ下(おろ)せる。支払いの自動引き落とし分以外の資金は、さっさと現金にしなさい。として肌身に持ちなさい。これは人間が生きるための食料費である。
そのうち、おそらく、あと1か月、2か月(6月末になるとヨーロッパ諸国の年度末で決算期だ)で、本当に日本でも銀行預金引き出し凍結という事態になるだろう。
ですから、私の弟子たちや学問道場の会員になっている貧乏な若者たちも、出来るだけ、、銀行で数十万円でもいいですから(有れば、の話ですが)現金を身近に持ちなさい。最後は自分の食料品を買うお金があるかに掛かってくる。
現に キプロスでは、 1日、ATMで 300ユーロ( 3万6千円)しかおろせない。銀行は28日から13日ぶりに再開したが、10万ユーロ(1200万円)以上の預金は引き出し禁止のままだ。ロシアの金持ちたちが、逃がしてきた資金はほとんどが キプロス政府に没収されるだろう。「80%を強制的に徴収する」でも済まないだろう。この動きは、今後、急速にヨーロッパ全体に広がる。 いや急速に広がっている。
キプロスよりもずっと大きいオランダの財務相が、「キプロス・モデルは、わが国でも起こり得る」と発言して問題になっている。オランダも自国のGDPの10倍以上の外国からの預金が集まっているタックスヘイブン(フリーポート国)だ。自分が預かったお金は引き下ろさせない(自分のものだ)、という恐怖の原理が働く。
アメリカの金融通貨当局も 日本の金融通貨当局も、今の相当の世界中の深刻な事態に青ざめている。自分たちもそうなるのだ、と分かっている。だから金融統制体制に、世界は冷酷に移行を開始した。そのことに対応して、BRICS(5大新興国)が、後ろに載せる記事の通り、神経質に次の新しい世界銀行の設立を緊急に決めた(3月27日、南ア、のダーバンで)。 この2週間のおかしな動きで、私は、事態の急変を感じ取っていた。
今も、日本の銀行では10万円の送金にも「何への支払ですか」と聞く。100万円をおろすのも使途を聞くようになった。ということは、新年度の4月1日から、おそらく1千万円、5千万円、1億円、2億円の預金を引き下ろそうとする 資産家たちは、銀行がおろさせない、という動きに出るだろう。
まさしく預金封鎖の始まりである。私が、そう予見して居たら、まさしくそのアナウンスメントが、NHKから出た。
(転載貼り付け始め)
「 銀行窓口で新たな確認手続き導入へ 」
2013年3月31日 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130331/k10013562731000.html
銀行取り引きが犯罪に利用されるのを防ぐため4月から銀行窓口で10万円を超える現金の振り込みなどを行う際には新たに本人の職業や取り引きの目的を確認する手続きが導入されることになりました。
政府は銀行取り引きが犯罪に利用されるのを防ぐために、平成2年から銀行窓口で本人かどうかを免許証やパスポートなどで確認することを求めています。
さらに来月1日からは国際的な基準に合わせて確認の手続きが強化され、一定額以上の現金を銀行窓口で扱う場合などに、銀行員が本人の確認に加えて、職業や取り引きの目的を尋ねることになります。
具体的には、銀行窓口で口座を開設する際や10万円を超える現金を振り込む場合、200万円を 超える現金を預けたり受け取ったりする際に職業などの確認が行われます。政府は、取り引きに関わる追加の情報を得ることで、疑わしい取り引きをより把握しやすくなるとしています。
全国銀行協会は「法律の改正によって窓口での確認事項が増えることになったが、理解のうえ、協力をお願いしたい」としています。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。このように事態は急激に緊迫している。 ここで盛んに、「政府は銀行取り引きが犯罪に利用されるのを防ぐために」という見え透いた口実を強調し、金融システム自体の世界的な変調と異変を覆い隠そうと必死である。 私たちは、この事態の緊急性を鋭く理解するべきである。
私は、学問道場の会員たちと、私、副島隆彦の言論に注目し敬意を払ってくれる人々を守る。甘い考えで、「安倍首相のアベノミクスで、景気回復をしてくれるのを私は期待しているよ」と言う人々(主に資産家、富裕層)は、そのまま、自分の大切な預金を、そのうち下せなくなって政府に奪い取られるがいい。
私は、全国にいるだろう富裕層500万人の少なくとも10%の50万人の、副島隆彦の本の読者を守らなくてはいけない。皆さんは、急いでご自分の預金のうちの余裕資金部分を銀行から急いで引き出して肌身に置いてください。
10万円下すのにも「何に使うのですか」と銀行員から聞かれなければ済まない、ということの異常性をまともな脳(頭)をしている人間なら本気で考えてみるとよい。
10万円、100万円でこれなら、1千万円、5千万円、1億円では銀行の窓口で、どういう対応をされるか、まともな脳をしているなら、さっさと決断しなさい。だから、既に預金封鎖(よきんふうさ)= 金融統制体制は、始まっているのだ。預金封鎖で1.預金を実質凍結したあと、2.新札切り替え(しんさつきりかえ) が、あと一年ぐらいの間に緊急で行われるだろう。
このことの真実は、すでにヨーロッパ、アメリカ発の世界金融恐慌に突入しているのに、そうではありません。何も起きていません、という振りをするための金融統制官僚たちによる世界共通の統制の開始だ。世界は、今や、世界官僚同盟( WBU , World Bureaucrats Union ワールド・ビューロクラッツ・ユニオン)による、官僚たちの密かなヨコの連携での、この“顔なし君たち”による支配体制に移行した。
1.預金引き出し制限 の、次に襲い掛かってくる、2.の「新札切り替えの強制実施」で、富裕層が、旧札で現金でため込んできた個人資産( これを「タンス預金」と言う)が大変、困ったことになる。金融庁と国税庁が、そのあぶり出しという残忍な行動に出る。これはファッシズム政治体制である。
私、副島隆彦は、 以上のことを重たい掲示板に、書くべきか、この2日間悩んだ。しかし、やっぱり書くと決めた。皆さんも、一刻も早く、甘い考えを捨てて自分のお金を肌身に置くようにしなさい。
おそらく 明日から、どんどん ヒドイことになってゆくでしょう。まだあとこれからの一か月ぐらいなら間に合う。そのうち預金がおろせなくなる。「自分は貧乏だからお金が無いから関係ない」と力なく項垂(うなだ)れる若者たちは、これからの日本は、世界はどうなり、そしてその焼け野が原のあとに、どういう新しい世界に出来てゆくかをじっと真剣に見ていなさい。
私が、以上のことを学問道場のサイトに書けば、 日本各地で、じょじょに「取り付け騒ぎ」 ( bank-run バンクランあるいは bank running バンク・ラニング))が起きるだろう。言論人の私の影響力は今はそれぐらいはある。 そのことを、 私は、昨日からずっと、気にしていた。
それでも、やはり日本国民に 迫り来る危機を いち早く知らせる、という 自分の使命(Beruf 、天命) に従って、やると決めた。先走ったことをして、騒ぎの原因となることで攻撃されることになっても、それはそれで仕方がない。私はいつも嵐の中に身をさらして生きてきた。私は、自分が丁度、10年前(2003年)に書いて、ベストセラーになった 自著の『預金封鎖』(祥伝社刊)の時の自分に立ち戻ろうと思う。
預金封鎖になったので、途端に、この数日、北朝鮮との緊迫した軍事衝突の危機を煽り出した。韓国政府へのどこかからのハッカー攻撃とかの奇妙な事件を起こし始めた。これで国民を脅(おびや)かし脅迫することで、国民が生活統制を受け入れるように強制し、金融統制をやり易くする。 すべては仕組まれている。
キプロスは、ギリシアの隣の国だ。昨年のギリシアの金融危機のつながり、連鎖なのだということに気付く人は少ない。さらにその隣はイタリアだ。キプロスには被差別民のように虐げれて暮らす北部のトルコ系の住民がいる(70年代にキプロス紛争を起こした)。おそらくこれらの地域は、ユーロ通貨が崩壊を始めたら、トルコ・リラを保持し、使い始めるだろう。
貨幣(通貨)は、信用のあるもので、自分の手元に置いていても目減りしないものを人間は持つ。トルコは、今や、インドネシア(人口2億5千万人)と並んで、準BRICSと呼ばれるべき新興大国である。トルコ・リラがこれらの南ヨーロッパの弱体化する国々で公然と使われ出すだろう。
イタリアは、総選挙のあとも政権(内閣)を作れないで、再選挙もできず、マリオ・モンティという、議員(国民の代表)でもない、米ゴールドマンサックスあがりの男がずるずると居座って、崩壊国家に向かっている。イタリアは自国が抱える巨大な財政負債に立ち向かう政治機能がすでに崩れ続けている。
スペインはもっとひどい。フランスも、オランド大統領がお手上げであり、昨年(2012年)の3月にフランスの3大銀行を破たんさせるべきだったのに、それを、「ドラギ大砲」(ヨーロッパ中央銀行の総裁になったマリオ・ドラギのジャブジャブ・マネーのユーロの無制限供給によって)が助けた。その違法行為の毒と報いが全身に回りつつある。
ドイツはオランダやデンマーク、スウエーデンなどの健全財政の北欧諸国だけで自分たちの生き残りを賭けて、貧乏な南ヨーロッパ(南欧)への救済を諦(あきら)めて、独自のドイツ・新マルク通貨圏へと撤退しつつある。先進国はどこも迫り来る預金封鎖の危機に直面している。
ですから、私の言うことに耳を傾ける人は、今から、急いでその準備をしてください。そして、私が、『個人備蓄の時代』(光文社、2012年6月刊)で書いて示したとおりの備蓄の準備を始めてください。
副島隆彦拝
(以下は、N からの 私への 情報の 記事とかです)
—–Original Message—–
Sent: Sunday, March 31, 2013 2:37 AM
To: 副島隆彦
Subject: 【訂正】 「BRICS諸国、1000億ドルの外貨準備基金設立で合意」
副島先生へ
N です。2点訂正です。
BIRICS外貨準備基金の1000億ドルは、9.5兆円です。
それから一つ目のウォール・ストリート・ジャーナル日本版の記事の日付は
3月28日付けの記事です。以上、訂正します。
—– 元のメッセージ —–
宛先: 副島隆彦 GZE03120@nifty.ne.jp
送信済み: Sun, 31 Mar 2013 02:30:06 +0900 (JST)
件名: 「BRICS諸国、1000億ドルの外貨準備基金設立で合意」
副島先生へ
先ほどお電話でお伝えした、BRICS五か国が、3月26、27日の二日間、 南アフリカのダーバンで開催した、第5回 ブリックス(BRICS)首脳会議(サミット)で、BRICS自身が、IMF(国際通貨基金)などのこれまでの欧米の国際基金や国際金融機構に代わる「外貨準備基金」と「開発銀行」を設立するという記事です。
取り急ぎ、四つしか見つかりませんでしたがそのまま転載します。一つ目の記事の後半にある、 キプロスの「預金封鎖」が延長され、銀行の営業再開が3月26日と言われていたのが28日になりました。
ちょうどその前日までのタイミングで、BRICS独自の、1000億ドル(約9.5兆円)規模の「外貨準備基金」と、「BRICS全体で4.5兆ドル(427兆円)規模あるインフラ・ニーズに対応するためのBRICS主導の (今の世界銀行に取って替わる?)新らしい国際銀行」を創設する」という話し合いをしています。
このあたりは、本当に、欧米の金融崩壊がいまにも起こるという事態を想定して、BIRCSだけの金融防衛網を急いで構築しているのだ、という感じが伝わってきます。
(転載貼り付け始め)
「BRICS諸国、1000億ドルの外貨準備基金設立で合意」
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2013年3月28日
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324500504578387221313967876.html
【ダーバン(南アフリカ)】 BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)諸国は27日、将来の経済危機に備え、外貨準備を共同で積み立てる
1000億ドル規模の基金を設立する方針を明らかにした。独自のメカニズムを
新たに構築することで、世界的な金融機関の改革をさらに推進する狙いとみられる。
当地で首脳会議を開いたBRICS首脳は、共同外貨準備基金は、BRICS諸国
の国際収支が危機に陥った場合、国際通貨基金(IMF)などの既存の貸し手に
代わる選択肢となると説明した。
南アフリカのズマ大統領は記者団に対し、「(共同外貨準備基金は)国際金融の安全網を強化し、現行の防衛線としての国際取り決めを補完するうえでも役立つだろう」と述べた。
BRICSの財務相や中銀関係者らは、基金の開設時期について話し合いを続けているという。27日に閉幕した2日間の首脳会議では、為替取引の円滑化によって関係を強化することが主要議題の1つだった。
さらに、南アフリカ準備銀行(中央銀行)から、中国国債を15億ドル(同中銀の外貨準備の約3%に相当)購入する計画が明らかにされた。 ブラジルと中国は26日、ブラジルレアルと人民元を米ドルへの転換を 通さずに、今後3年間、最大300億ドルまで交換する協定に署名した。これにより、人民元の国際決済機能の向上を目指す中国の動きが加速する。
ブラジルのルセフ大統領は、「一般的に世界の経済ガバナンス(統治)がより民主的なものとなれるよう、先進国と同様、BRICS諸国の相対的な影響力についても明確に反映される必要がある」 と述べた。
中国の習近平(しゅうきんぺい)国家主席は、「あらゆる国の繁栄のため、われわれは開発銀行創設を積極的に推進する必要がある。1本の木では森にはならない。BRICS 各国も自国の発展だけを求めるのではなく、あらゆる国の発展に向けて取り組むべきだ」と述べた。
(転載貼り付け終わり)
(転載貼り付け始め)
●「BRICSが1000億ドルの基金設立へー資金拠出では合意できず」
ブルームバーグ 2013年3月28日
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MKBSPE6S972V01.html
ブラジルとロシア、インド、中国、南アフリカ(BRICS)の5大新興国は、通貨危機が発生した場合に備え1000億ドル(約9.5兆円)規模の基金設立を承認した。一方、開発銀行設立のための資金拠出では合意に至らなかった。
ロシアのシルアノフ財務相は27日、南アフリカのダーバンでブルームバーグのインタビューに応じ、基金への拠出金のうちかなりの部分を中国が提供する見通しだと述べた。同財務相によると、中国が410億ドルを拠出し、ブラジルとロシア、インドがいずれも180億ドル、さらに南アフリカが50億ドルを拠出する方向で交渉が進められている。
南アフリカのズマ大統領はダーバンで行われたBRICS首脳会議(サミット)後に、「自己管理型の緊急準備金を設けることで、建設的な予防効果が見込まれ、BRICS諸国が短期流動性のひっ迫を未然に防ぐ一助になるととともに、相互支援や金融の一段の安定化をもたらすだろう」と述べた。世界の人口の43%を抱え、4兆4000億ドルの外貨準備高を持つBRICS5カ国は、台頭する経済力に見合う発言力を求めている。
BRICS首脳らは開発銀行の設立は「実現可能かつ存続可能」との意見で一致したが、設立に向けた資金拠出での詳細を決定するには至らなかった。BRICSは開発銀行の実現性を1年にわたって検討している。
中国の習近平国家主席はサミット閉会にあたって、「広範にわたってコンセンサスが得られた」と述べ、BRICS銀行設立や通貨準備金 の合意は「協力の可能性を広げるだろう。BRICSの協力は世界の経済ガバナンスの安定化に寄与する」と述べた。
原題:BRICS Approve $100 Billion Currency Fund as Bank Start-UpStalls
(転載貼り付け終わり)
(転載貼り付け始め)
●「BRICS首脳会議、開発銀行の正式交渉開始で合意 具体的な成果乏しく」
ロイター 2013年 03月 28日
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPTK831822420130327
南アフリカのダーバンで26─27日開かれた新興5カ国(BRICS)首脳会議は、「BRICS開発銀行」の設立に向け、正式な交渉を開始することで合意した。会議は大部分が非公開で行われたが、具体的な成果に乏しかったとみられる。
開発銀行の設立構想は1年前の首脳会議で議論しており、各国の状況が異なることを踏まえても、実現に向けた歩みは遅いといえる。議長国・南アフリカのズマ大統領は「BRICS主導の新開発銀行を設立するため、正式交渉に入ることが決まった。われわれのインフラニーズは多大であり、今後5年間で4兆5000億ドル前後に達する」と表明した。
ズマ大統領によると、開発銀行は、将来的には他の新興国・途上国との協力も目指す方針。BRICS開発銀行は、国際通貨基金(IMF)や世銀を補う存在になり得るともされているが、具体的な内容はほとんど明らかになっていない。
(転載貼り付け終わり)
(転載貼り付け始め)
「BRICS諸国の外貨準備庫 は真に迫っている」
新華社(しんかしゃ)北京 2013年3月28日
http://jp.xinhuanet.com/2013-03/28/c_132267966.htm
注目を受けていた第5回ブリックス(BRICS)サミットが南アフリカで開幕した。
外貨準備庫 の設立は、今回のサミットの重要な議題であり、実質的な進展を取得する望みが持てるとのことだ。アナリストは、BRICS外貨準備庫の設立は、その意図はBRICS諸国自身の金融セーフティネットを織り出し、共同で資本運営のリスクと金融分野での動揺に対応することにあるとみなしている。
中国商務部研究院の梅新育(ばいしんいく)研究員は、BRICS外貨準備庫の設立は、中国以外のBRICS諸国の通貨安定の助けになる見込みだと考えている。
「新興市場経済のリスクが急速に蓄積して、1994年の メキシコ危機、1997年の東アジア危機、1998年のロシア危機 に類した通貨金融危機が発生するリスクが上昇した点を考えて、この立案中の機構が設立されまた正常な運営が可能なら、その際にはリスクを防ぎ止めることに対しては有利です。」
(新華網日本語)
(転載貼り付け終わり)
最後にもうひとつ、キプロスの銀行営業再開の様子と、キプロスの銀行から海外への資金逃避を取り締まろうとするキプロス政府との攻防が書かれた記事を転載します。
(転載貼り付け始め)
「キプロス、銀行再開準備に大わらわ―資金流出規制など」
By MATINA STEVIS
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2013年3月28日
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324500504578387190287405554.html
【ニコシア】 キプロス政府は、28日にほぼ2週間ぶりに同国銀行の営業を再開させるため大わらわで準備を進めている。政府は、取り付けが起きキプロスから資金が逃避するのを回避するため、一時的に厳しい資本規制を導入する。資本規制は少なくとも1週間、おそらくそれ以上続く見通しだ。中央銀行は銀行再開に備えユーロを積み上げている。
同国政府が100億ユーロ(約1兆2100億円)に上る国際金融支援の見返りに、銀行預金への全面課税を決めた16日以降、同国の銀行は休業を続けてきた。 当初の課税案が議会で否決され、今週初めに合意した新たな見返り策は、多くの預金者にはより大きな打撃となった。
政府の推定によると、預金保険 対象外の大口預金は、同国最大手のキプロス
銀行の場合は最大40%、 第2位のキプロス・ポピュラー銀行では最大で 5分の4(8割)が 削減される見通し。
一方キプロス政府当局者によると、資本規制に関する政令は同国銀行のすべての預金者に適用され、オンラインショッピングによる送金などキプロスから外国への電子決済は停止される。また、国外への現金持ち出しについても1人当たり1回の渡航で外国通貨を含め3000ユーロ(36万円)相当 の上限が課せられる。カード決済は1カ月5000ユーロ(60万円)が上限となる。
これらの措置は28日からまず1週間実施されるが、期間は預金流出状況をみながら毎週見直される。政府当局者は延長は必至とみている。 サリス財務相は26日記者団に対し、資本規制は一時的なものだとしながらも、どの程度継続されるかについては具体的に示さなかった。
ある欧州連合(EU)当局者は、資本規制は何らかに形で「数カ月間」実施されると予想している。一方、キプロス議会の委員会のシロウリス副委員長は、キプロス中央銀行に書簡を送り、金融支援の交渉が始まる前に同国から大量に資金を流出させた銀行預金口座保有者に対する調査を行うよう要請したことを明らかにした。
同副委員長によれば、海外への資金移動は違法ではないが、一部の預金者は金融支援交渉で預金の削減が実施されるとの警告を受けていた可能性がある。
ユーロ圏の高官によると、キプロス中央銀行は、当初の国際金融支援策を受け入れる方向になった15日から、特に認められたものを除き、海外への資金移動の全面禁止を開始した。例外は、医薬品など人道目的のものや、金融破綻を回避するための決済など。
ある政府当局者によれば、キプロスからの資金流出は1月から増加し始め、先週には急増した。銀行が休業していたにもかかわらず、数億ユーロが国外に流出したという。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。 人口100万人の小国キプロスの金融崩壊は、UEのヨーロッパ各国にすでに広がりを見せている。スペインでもイタリアでもフランスでも金持ち(富裕層)は、どんどん銀行預金をおろしている。いや、もう下(おろ)せなくなっている。銀行預金の引き出し規制が始まっている。それは、アメリカでも、そして日本でもすでに始まっているのである。 これは世界の金融統制体制へ突入である。
預金封鎖(よきんふうさ)である。「預金封鎖」とは、銀行引き出し凍結と 新札切り替えである。 金持ち(富裕層)は、一億円、2億円の預金を下ろせなくなる。なぜなら、銀行の窓口で、「何に使うのですか。使途を教えてください。預金者の本人確認をします。送金相手の確認もします」と、日本の銀行でも厳しい預金・送金統制がじわじわと始まっていた。
それが奇しくも4月1日、年度替わりの日にはっきりと開始される。日本でも、現在でさえ、ATMで下せるのはサラリーマンならひとり一日一回10万円である。これがやがて一日5万円となるだろう。キプロスが300ユーロ(3万6千円)なのだから。
そして、10万ユーロ(1200万円)のペイオフ(政府のよる預金保証)も怪しくなっている。なぜなら個々の民間銀行の破たんで預金の返還補償を政府がする、というのがペイオフだが、政府と中央銀行自身が破たんすると、国民全員(預金者全部)に払うということは出来なくなくなる。だからペイオフも無くなる。
(転載貼り付け始め)
「 キプロス、銀行が再開…13日ぶり、引き出せる現金制限 」
毎日新聞 2013年3月28日(木)
銀行の外で入店を待つ人々=キプロス・ニコシアで2013年3月28日、AP
【モスクワ大前仁】 財政危機に陥り、欧州連合(EU)などからの金融支援が決まったキプロスで28日正午(日本時間同日午後7時)、休業していた国内の全銀行が13日ぶりに営業を再開した。現地からの報道によると、長い行列を作った預金者は開店後に次々と入店し、預金を引き出した。
キプロス政府・中央銀行は取り付け騒ぎを警戒し、口座から引き出せる現金を1日最大300ユーロ(約3万6000円)に制限。また、預金の一部が削られる10万ユーロ以上の口座については、預金の強制削減の手続きが終わるまで、引き出しを禁じている。営業再開直後は目立った混乱が起きていない模様だ。
キプロス政府はEUから支援を取り付ける狙いで、今月16日に全ての預金に課税する方針を決めたが、国民の反対を背景に議会で否決された。そのためキプロスとEUは25日、大手2行を整理・再編し、両行の高額預金の一部を削減し、破綻処理などの費用に充てる修正案で合意。EUは4月中に支援を正式決定し、100億ユーロを融資する方針。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
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