「1288」 日本は、「新・知日派」の台頭でも基地移設問題でアメリカの要求に屈服してはいけない 2012年3月2日
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日本は、「新・知日派」の台頭でも基地移設問題でアメリカの要求に屈服してはいけない
副島国家戦略研究所・中田安彦
(2012年3月2日)
<先に進まない普天間移設問題>
野田佳彦首相が、長島昭久補佐官や斎藤勁(さいとうつよし)官房副長官らを引き連れて、沖縄を2月末に訪問した。懸案になっている普天間飛行場(沖縄中部・宜野湾市)にある、米海兵隊の移転が膠着しているが、これを打開するためだ。しかし、この移設問題、日米のみならず、沖縄の思惑も複雑に入り交じり、もはや今のままの思考法では解決不能という状況である。
米軍基地には足で降り立つが名護市はヘリで視察した野田首相
95年に12歳の少女暴行事件があり、容疑者の二人が海兵隊員だったことから、住宅地に近接して宜野湾市の中心部を「占領」している普天間飛行場の危険性に注目が集まったのは、当然のことであった。普天間飛行場は沖縄米海兵隊のヘリ部隊と航空機部隊が利用する滑走路である。
96年4月に、当時の橋下首相とモンデール駐日米大使が共同会見し、普天間飛行場の全面返還がこれで決まった。同年12月には日米安全保障協議委員会(SACO)でこの移設は沖縄県内で行うことが決まり、1500メートル規模の海上施設を建設し、運用可能になった後に普天間の返還が決まった。そしてその代替施設は沖縄本島東海岸沖に設置することが決まったのである。
この代替施設は当初は、撤去可能なものとして位置づけられ、97年には当時の久間章生防衛庁長官が海上ヘリポートにすると案を提示したが、同年12月に移設先になる予定の沖縄本島・北部の名護市ではこのヘリポート基地建設反対を問う市民投票が実施され、反対投票が過半数を閉めた。この投票では「賛成、地元経済の振興に役立つので賛成、振興に役立たないので反対、反対」の4種類の選択肢が用意され、賛成派に誘導しやすいものであったが、反対票が過半数をしめた。地代や基地労働者にとっての基地バブルはベトナム戦争の時、この時出征する米兵が湯水のようにカネを落としていったと、キャンプ・シュワブ(名護市・辺野古地区など)で語り継がれている。
しかし、今の時代、基地経済は沖縄全体の5%しか寄与していないという調査結果もあり、基地依存が原発自治体が原発に依存するように、「麻薬」のようになっている。
<沖縄の南北問題が基地移設に影を落とす>
沖縄の南北問題
普天間基地移設問題は、移設元である宜野湾市は歓迎するが、移設先である名護市辺野古では反対派と賛成派が拮抗する。今の名護市長は稲嶺進という反対派から出ている。沖縄県民である以上は積極的な賛成派はいない。これは県知事、普天間の自治体である宜野湾市長も同じである。賛成派ではなく「条件付き容認」派である。そして、この移設問題を複雑にしているのは、この沖縄本土内の利害関係が微妙に異なることである。
まずは、沖縄の地図を見ればわかるように、沖縄南部は平野が多いが、北側は「やんばる(山原)」と昔から言われているように山間の土地であり、大きな集落がない。したがって、那覇市が本土における「東京」のような位置づけであるとすれば、名護市は岩手県か福島県と言ったところである。この認識を持つことが基地問題の複雑さを理解する上で極めて重要だろう。これを沖縄在住の目取真俊(めどるましゅん)氏は、「沖縄の南北問題」と表現している。 沖縄の中南部は都会であり、北部は過疎地であるということである。
東京電力の福島第1原発を地域振興の一環として受け入れた、福島県大熊町が「福島のチベット」と言われ続けたように、「沖縄のチベット」があるとすれば、それは北部の辺野古や更に北部の村々である。やってくる「迷惑施設」が、原発か基地かという違いでしかないわけである。(沖縄には原発はない)
沖縄南部にいると、そこではあまり基地問題を意識することがない。ところが、嘉手納町、普天間となると基地がすでに生活の一部になっている。普天間の土地は住宅地にあるのだが、この跡地利用については、沖縄の財界が大きな関心を集めている。沖縄のトップゼネコンである國場組(こくばぐみ)は大きな関心を持っており、ジョージ・ソロスに関わりが深い、リサ・パートナーズとは國場は一時は経営支援をしてもらっていた。沖縄財界を見てみても那覇高校出身の沖縄エリート財界人のネットワークがあり、稲嶺恵一(いなみねけいいち)、仲井真弘多(なかいまひろかず)の二人の知事は、それぞれ琉球石油、沖縄電力の出身であり、沖縄経済に深い人脈を持っている。
彼らにしてみれば、当初は沖縄の「利用価値の高い土地」である普天間を含めた嘉手納以南の米軍地の返還を期待している。これらの土地には様々な産業が誘致できる余地があるからだ。ところが、沖縄の名護市は北部に位置し、誘致する巨大産業が存在していない。それはすでに述べた山間の土地という地理的条件もあるし、沖縄の県庁所在地から離れているという点もある。名護市はたしかに沖縄北部の最大の都市であるが、名護市の中でも西側と東側がキャンプ・シュワブで隔たれており、名護に中心部のようには辺野古には産業が成立しづらいのである。
これも、東北の福島、宮城県のようなところにある山に囲まれた海沿いの過疎地が原発を誘致して中央の富の配分を受けたのと同じ構図である。この南北問題を日本の自民党政権やアメリカは巧みに利用して分断工作を図ってきた歴史がある。
辺野古は1950年代にキャンプ・シュワブを受け入れるに当たって、沖縄全体で島ぐるみの「反基地運動」が起きていた時に、先んじて米軍と基地建設の条件闘争に入ってしまった。「やんばるの地」の主な産業は山から木を切り出す林業や木炭といったものであり、これでは那覇のような大都市圏には太刀打ち出来なかった。そこで基地経済に依存することになったわけである。もっと言えば、この根底には沖縄王朝時代(三山時代)からの格差があるのではないかと思われる。
このように沖縄だけをとってみても、自民党政権が続いていた時代は、南北問題の固定化が起きていた。民主党政権になって鳩山政権の誕生もあり多少風向きが変わったように見えたが、鳩山政権でも前原誠司沖縄担当大臣(当時)は、同じ京都市選出の自民党重鎮だった、野中広務元官房長官がやってきたような、地元辺野古に対する利益配分込みの慰撫(いぶ)活動をやってきた。前原元大臣は、前の名護市長を介して、地元の移設容認派に対する工作をやっていた。これが反対派の頭越しで行われていたのである。しかもこれは鳩山政権の大方針とは異なるものであった。
結局、鳩山元首相は頓挫した。鳩山は辞任会見などで、「海兵隊の抑止力」を理由にして、政権を投げ出したが、実際は抑止力は方便に過ぎず、実際の理由は別にあった。海兵隊は訓練ローテーションで世界中を空路、海路で移動して訓練を続けているが、本質的には沖縄に所在している必要はない。対中国戦略で重要な抑止力は、むしろ米海軍、空軍の軍事力である。
それでは、鳩山が抑止力を方便にせざるをえなかったのはなぜか。
もともと、2006年の自民党時代の日米合意では、沖縄の海兵隊司令部の人員8000人及びその家族はグアムに移転することが決まっていたが、この移転先のグアムでの受け入れ施設の建設がブッシュ政権当初に描いた「青写真」のようにはうまくいっていないからである。
要するに、海兵隊というサープラス(余剰人員)を日本とアメリカで責任転嫁しあっているだけなのである。アフガン戦争が終わるとすれば、更にこの余剰人員が増えてくる。一部は退役するかもしれないが、全部という訳にはいかないだろう。だから太平洋にばら撒く。要するに、「ネオコン戦争バブル」の後始末が大変なのである。
つまり、アメリカ海兵隊は、当初の目論見としては、グアムに新しい軍事基地を構えて、司令部も写した上で、沖合から西太平洋全体に睨みを効かせる方針だった。
このために軍事施設、住宅施設、インフラ設備の建設を進めなければならなかった、このグアム移転費はこれも同じ自民党政権時代に総額100億ドルの内、日本側が6割で、アメリカ側が4割の負担割合で決まっていたのだが、アメリカが折からの軍事費の削減という流れにあり、また日本側の辺野古移設問題が足踏みする中、予算を承認する米議会としては、不確かなものに予算は付けられないということで、関連予算を相次いで削除、減額する動きにでたのである。
これは日米の責任の押し付け合いのようなものであるが、問題はアメリカ政府にある。
間違えていけないのは悪いのは日本ではなく、当初から無理な移設案を打ち出したアメリカであるという点だ。現在は、先行移転ということで、海兵隊4700人を先にグアムに移すことになっているようだ。これが今年2月からの動きである。当初は8000人を移転する予定だったのだが、残りはオーストラリアやハワイに分散させるようだ。
しかし、当初言われていた話では、海兵隊の司令部をグアムに移すはずだったのだが、これがそうならないで、戦闘部隊(陸軍のような扱いの第三海兵師団)の一部を移し、問題のヘリ部隊についてははっきりしていないという点なのである。普天間の継続使用か辺野古を受け入れろとアメリカは言ってくるだろう。これがこのままでは、あと何年も続く。非常に頭の痛い話になりそうだ。
グアム島のアンダーセン空軍基地や海軍のアプラ港湾
少なくとも日本では反対運動が沖縄県レベルでは起きているが、日本政府レベルでは「日米合意を守る」ということを崩していない。辺野古の「環境アセスメント」の評価書も出している。形式上、踏むべき手続きはきちんと行なっているわけだ。ただ、遅れているだけである。しかし、アメリカは日本側の動きの相対的な遅れをいいことに義務を果たそうとしていない。北朝鮮が核放棄したらアメリカが少しだけ譲歩してやろうとする米朝交渉と同じである。
アメリカとしては、海兵隊の負担をあまりに多く押し付けられては溜まったものではないと考えている。だから、様子を見ている。日本側が沖縄を押し切って、辺野古の埋立てを強行するかどうかを模様眺めしているのだろう。「居座っている側」、それも「武器を持って居座っているヤクザ」は、強いのである。テコでも動かない。米軍こそがヤクザではないか。
沖縄から海外に移転する海兵隊の部隊の内訳もはっきりしない。ひょっとすると、アメリカは部隊移設の「空手形」だけを出して、日本政府にカネを更に出させようとしているだけかもしれないのである。
<抑止力は単なる方便である>
米軍事予算削減の中、米戦略では空軍と海軍を優先する「エアシーバトル」というものを採用するようである。このプランでは海兵隊の位置づけがはっきりしていない。米国は大規模な陸軍のアジアや中東への派遣を今後は行わないと決めている。リビア戦争でも活動したのは無人戦闘機だけであった。海兵隊ではなく、海軍の特殊部隊(シールズ)を使った隠密作戦も増えるだろう。軍事革命(RMA)によって、海兵隊をまず「殴りこみ部隊」として送り込む必然性が薄れているのである。
また、アジアにおける海兵隊の必要性の根拠とされた北朝鮮、台湾問題にしても、これは海兵隊がグアムにいても対応できる。すると、沖縄から海兵隊を撤退させることは、「海兵隊の一部余剰人員のリストラ」という決定につながるのである。
海兵隊は米西海岸のカリフォルニア州のサンディエゴ海軍基地から離れた(やっかいなので隔離された)、ペンドルトンや、サウスカロライナ州に米本土の本部を置いている。そこに戻されても彼等は困ってしまうのだ。本当は沖縄の海兵隊もここに戻すべきなのだ、それが無理なので軍事合理性でも理由が立つグアムになっていたのだが、これがどうもおかしいことになってきている。
そこで彼等はリストラを避けるためにグアムのアンダーセン空軍基地近くに建設されるであろう新しい本部や、あるいは太平洋戦争のあとで占領して「既得権」になっている沖縄にしがみつくのである。
つまり、抑止力のような「軍事合理性」ではなく、彼ら自身の「組織内合理性」によって沖縄に居座りたいというインセンティブが働く。
これが真実である。誰も言わないので、ここで私がはっきりと書く。米軍内にもれっきとした差別構造があるのだ。沖縄地元の事情と海兵隊内部の「米4軍(他は陸軍、空軍、海軍)の中での序列」という米軍内の格差問題がある。
たとえるならば、陸軍や海軍が「正社員」だとすれば海兵隊は単なる「派遣労働者」である。だから、いざとなればすぐにリストラされる。これまで海兵隊廃止の動きは米国内にもあった。前の国防長官のロバート・ゲイツは、海兵隊を削減しようと狙っていた。そこで海兵隊の大反発があったようだ。
そこで、今ある職場である沖縄の司令部や駐屯地にしがみつく。彼らは中国の台頭を口実に彼等は組織防衛を図っているに過ぎないのだ。だが、よくわからない中国の脅威というようなものよりも、海兵隊個人の生活問題や軍隊という官僚機構における既得権維持という動機の方が重大なのである。
先ほど述べた(1)沖縄の南北問題(2)グアム移転候補地の整備が進まない問題(3)海兵隊の既得権問題が普天間移設が、デッドロックに陥った原因であり、鳩山元首相はこれをそのまま言う訳には行かないので「抑止力」という方便を使ってやむなく日米合意に回帰したのである。
ただ、この問題を解決するためのアイデアを日本側が全く出していないというのも問題だった。沖縄から見れば日本政府との付き合いはせいぜい江戸時代からのものであり、歴史が浅い。
だから沖縄の人たちは「ヤマト」のことを植民地の宗主国だと今でも思っている。したがって、彼らは日本と米国を、双方を交渉対象として見ているところがある。ただ、米国との交渉はできないし、日本政府の頭越しにモノを言うことはあまりしない。
そこで、沖縄の条件闘争は基地を受け入れている代わりの振興策を、求める形で、日本政府の補助金を求めるという形になる。
沖縄にとってそれは負担に対する当然の代償であるが、米国や日本政府の側からみると、移設先を受け入れると言い続けて補償を引き出すやり方に見える。
そこで、アメリカの元国務省日本部長であるケビン・メアは震災前に話題になった「沖縄はゆすりとたかりの名人」だという辛辣な言い方をすることになる。
しかし、沖縄はメアの言うような「補助金争奪ゲーム」のようなことをやっているかもしれないが、米国も同じように日本政府に対しては、まったくおなじ「ゆすりとたかりの名人」である。ケビン・メアは事実の半分しか伝えていなかったのである。アメリカも「ゆすりとたかりの名人」であり、基地問題だけではなく、米国債買い支え、TPP参加による市場開放要求など「ゆすりとたかり」そのものである。
結局、沖縄の基地問題は基本的に米国の大統領や議会の重鎮と沖縄の指導者の直接交渉によってしか打開できない。
このことに仲井真知事が気づいているし、名護市の稲嶺進市長も気がついている。稲嶺市長は今年の2月に訪米し、議会関係者やシンクタンク関係者の意見聴取を行なっているし、仲井真知事は、新年度開けにも野田首相と前後してみずから訪米するのではないかと言われている。
仲井真知事は沖縄の地元紙で、「どう政府に効果的に、新たな意思決定を、ないしはそういう方向に選ばせられるかというと、かなり上のほうじゃないと、どうもだめなんじゃないかという感じを持っている」と議会で述べたと報じられている。(http://www.okinawatimes.co.jp/article/2012-02-28_30395/)
沖縄のことは沖縄が決めるしか無く、日本政府はそれをそのまま受け入れるしかないのだ。
ところが、沖縄ルート、日本政府外務省ルート、日本政府防衛省ルートがあり、これがアメリカの議会や国務省、国防総省にバラバラに働きかけを行う。場合によっては沖縄の埋立てに関わる地元業者が日本の防衛省よりも前に自分たちの利権につながる案をアメリカ側に持ちかけ、それを日本政府に対してアメリカ側が提示ししたことも過去にあったという。(守屋武昌・元防衛事務次官らの証言)
<基地問題解決を困難にしている知日派たち>
さらに言えば、そういう地元業者の利権がらみのロビイイングを受け入れれば、米政府としてはうまくいくと考えていたところもある。そこで問題になるのがジャパン・ハンドラーズと言われる知日派のシンクタンク関係者や政府高官である。
知日派のパイプが切れて久しいなどと大手新聞が書くが、それは日本にとって役に立つ人材がいなくなったということで、逆に日本を利用してアメリカの利益につなげようとする、ロビイストのような悪質な知日派は今も残っている。マイケル・グリーンやリチャード・アーミテージたちであるが、新しい世代の知日派も登場している。世襲化した利権になってしまっているようである。
オバマ政権では、国務省と国防総省がタッグを組んで、辺野古移転を強力に推し進めた。まず普天間の部隊の辺野古移転がなければ他の米施設(嘉手納以南の米軍施設)の返還もないという「パッケージ論」に固執したのが、ウォーレス・グレッグソンという人物であり、元々は海兵隊出身である。
つまりは、海兵隊利権の代弁者であった。グレッグソンは前国防次官補、前国防次官補、その下に居た国防次官補代理のマイケル・シファーも今年になって退任を決めている。
ところが、ジャパン・ハンドラーズは、国務省にもおり、現在メアの後任として務めている日本部長のマーク・ナッパーという人物は、自分の大学の卒業論文に「在日米軍基地の近隣日本社会とのコミュニケーション」というテーマを選んでおり、沖縄の地元事情にも非常に詳しい。ナッパーは、自民党国際局に勤務経験がある。要するに、地元反対派をいかに分断していくかという対策のプロなのである。
マーク・ナッパー国務省日本部長
現在も「ゆすりとたかりの名人」であるケビン・メア元日本部長
知日派が増えることは日本にいいことばかりではない。日本の側が彼らをうまく手なづけて、コントロールできない以上は、むしろ日本の問題について、大統領の大きな政治決断を阻害する要因の1つになる。知日派の国務省高官は高官といってもただの「官僚」でしかない。官僚は物事を自分たちの間で勝手に決めてしまう。それを大統領が承認するだけのことも多い。官僚がやってくれれば、選挙を控えているアメリカ大統領が属国の一つである日本の問題について本気になることはないのだ。
そして、より大きな問題としては、沖縄の問題もさることながら、グアム移転先整備の問題がある。辺野古の環境アセスメントでは仲井真知事は、かなり強い反対意見を述べている。これと同様の構図がグアムにもあるようだ。海兵隊はどこに行っても歓迎されない存在である。まるで日本中で反対運動が起きている騒ぎすぎの放射性瓦礫の埋立て問題のようだ。
そのような膠着状態を解決することは難しい。最終的に沖縄県の判断を日本政府は全面的に尊重し、その意向を踏まえて米国に要求するしかないが、米国ベッタリの外務省にそれができるわけがない。野田首相に加えて、玄葉光一郎外務大臣もまた「抑止力」を理由に沖縄海兵隊問題の本質に目を向けようとしない。典型的な「抑止力バカ」たちである。本当の抑止力とはそんな曖昧なものではないのだ。
「この抑止力はバカには見えないんだぞ!」とアメリカに言われれば「へー、よく見えます」というのが日本の属国官僚どもである。日本の官僚というのはその程度の人々である。
そろそろ、誰かが「王様は裸だ」と「海兵隊抑止力」についての欺瞞性を問わなければならない。
繰り返すが、海兵隊問題は、結局は海兵隊のリストラ問題なのである。そして、これは基地に頼らない沖縄の北部振興策を見つけ出すという問題なのである。
結局は「カネの問題」なのである。その上で滞った米軍の基地問題をどのように動かしていくかということを議論するしかない。そこで沖縄に発言してもらう。本土の人間はそれにしたがうべきなのである。
海兵隊問題は純粋な軍事の問題と言うよりは、人件費、移転費の問題であり、地域経済の問題である。そして、世の中で、カネで解決できない問題があるとは思えない。
そのカネが「どのように使われるか」が問題なのである。(会員ページに更にこの問題についての、詳しいレポートを載せます)
アルルの男・ヒロシ拝
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