「2245」 佐藤優・古村治彦著『世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理』(ビジネス社)が発売 2026年8月24日
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SNSI・副島隆彦の学問道場の古村治彦(ふるむらはるひこ)です。今日は2026年8月24日です。
佐藤優・古村治彦著『世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理』(ビジネス社)が発売になります。発売日は2026年9月1日です。

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『世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理』は佐藤先生との2冊目の対談だ。今回の対談はイラン戦争開戦後に行われ、イラン戦争、米中首脳会談、高市早苗政権について分析を行った。その中で、私たちは「宗教」や「使命感」といったアプローチの重要性について話した。今回の対談は非常に濃い内容となっている。
以下に、まえがき、目次、あとがきを掲載します。参考にしていただき、是非手に取ってお読みください。
(貼り付けはじめ)
まえがき 佐藤優(さとうまさる)
ロシア・ウクライナ戦争と米イラン戦争によって、世界は新しい時代に入った。1991年12月のソ連崩壊後、アメリカを中心とする民主主義、人権、市場経済などの価値観を基準とする外交は過去の時代のものとなった。これに代わって、力の均衡を原理とするリアリズム(現実主義)外交が主流を占めるようになった。
実は、この変化に日本外交は、西側諸国の中では適切に対応している。ロシア・ウクライナ戦争に関し、日本は政治的にウクライナを支持しているが、ロシアからLNG(液化天然ガス)を輸入し続けている。ウクライナに殺傷能力を持つ装備品を供与していないG7(日米英仏独伊加)中唯一の国だ。米イラン戦争に関し、日本はアメリカを支持しているが、イランとも比較的良好な関係を維持し、日本のタンカーがホルムズ海峡を通過することを革命防衛隊が認めている。
このような外交を展開できているのは、日本のインテリジェンス能力が高いからだ。具体的には、国家情報局(2026年7月31日、内閣情報調査室を改組・格上げ)の情報収集と分析の能力が高いからだ。インテリジェンスの要は近未来情勢分析にある。政策とインテリジェンスは分離されている。同時に、国家情報局が首相に示した近未来情勢分析の枠組みから外れる政策を採用しても、それが成果を出す可能性は低い。外交には立場がある。日本の場合、日米同盟は、いわば数学でいう公理系を形成しており、その前提を崩すような政策を日本が取ることはできない。この制約条件を無視した外交は、評論家や学者が行う頭の体操ならばともかく、政治家や職業外交官としては無責任だ。アメリカの基本的立場と国際政治のリアリズムの間で均衡点を見いだすのが、国家を担う政治指導者の責任なのである。
日本のインテリジェンスが比較的成果を出しているのには、私が見るところ、二つの要因がある。第一は、価値観ではなく、現実の力関係に基づいて情勢を分析するリアリズムだ。第二は、各国の指導者が持つ内在的論理を尊重することだ。国家指導者には、さまざまな性格の人がいる。合理性を重視する人もいれば、感情的な人もいる。さらに、それぞれの国家を成り立たせている基本原理がある。
現在、国際政治の主要なプレイヤーになっているのは、トランプ米大統領、習近平中国国家主席、プーチン・ロシア大統領、ネタニヤフ・イスラエル首相、モジタバ・ハメネイ・イラン最高指導者、金正恩・朝鮮労働党総書記らだが、本書ではこのうち一神教文明(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)に属するトランプ、プーチン、ネタニヤフ、モジタバを扱った。程度の差はあれ、ヨーロッパ、北アメリカ、日本では、宗教が人間の行動規範ではなくなる世俗化が進んでいる。しかし、ストレートに信仰と政治を一体化させているモジタバだけでなく、一見すると世俗化されたように見えるが、その背後で宗教的な超越性が強く表れているトランプ、ネタニヤフ、プーチンの内在的論理を解明することに本書では力を入れた。
本対談に丁寧にお付き合いいただいた古村治彦氏に深甚なる謝意を表します。また、本書の刊行にあたっては、ビジネス社の小笠原豊樹氏、フリーランスの編集者兼ライターの水波康氏に多大なお力添えをいただきました。心より御礼申し上げます。
2026年7月31日、曙橋(東京都新宿区)の自宅にて、
佐藤優(さとうまさる)
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世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理 ◆ 目 次
まえがき(佐藤 優) 2
第1章 世界は「宗教戦争」に突入した──イラン戦争の〝合理〟を超える〝使命〟 11
■トランプはなぜイラン攻撃を決断したのか 12
ホルムズ海峡封鎖で世界は一変した 12
ネタニヤフのプレゼンテーション 18
「対ナチス戦」に転換したトランプ 23
崩壊した「軍事大国イラン」という神話 27
イランが狙うパキスタンの核 32
■神に選ばれた確信と使命 38
死者との連帯を強調したモジタバ・ハメネイ 38
トランプ版聖書が意味するもの 45
ネタニヤフが担う「ユダヤ民族存続」の使命 51 対立する「神に選ばれた確信」 58
■始まった21世紀の宗教戦争 63
トッドの「宗教ゼロ」は当てはまらない 63
目に見えない価値観の闘いがイラン戦争の本質 67
第2章 トランプは変節していない──宗教で読み解く「支配者の論理」 71
■トランプはなぜ止められないのか 72
トランプの政権基盤は揺らいでいない 72
第3次世界大戦を阻止したトランプ 84
トランプの「ダークトライアド」と「理性の狡知」 89
トランプは神の召命に逆らえない 94
■メディアが報じないイランの脅威 98
イランは特殊なイデオロギーの国 98
47年間続くアメリカとの戦争 103
モジタバ・ハメネイの危険な意思決定 110
トランプが放棄したオバマの核合意 114
■クリスチャン・シオニズムの謎を解く 118
『エクソダス』が変えたアメリカ人のユダヤ観 118
終末論が生んだ親イスラエル思想 123
イスラエルはなぜ戦い続けるのか 127
第3章 世界は敗北していない──「西洋の敗北」から米中ロ3極体制へ 131
■台湾カードを握る中国 132
米中首脳会談の基本は協商関係 132
米中は対等な関係となった 138
台湾カードを握る中国 145
■アメリカはなぜ敗北し続けるのか 149
見えてきたアメリカの限界 149
アメリカの国力が落ちている理由 156
イラン戦争はアメリカにとっての世界最終戦になるはずだった 163
■米中ロ世界3極体制の出現 168
ウクライナ戦争が独ロ戦になる怖さ 168
アメリカを側面から支援したロシア 172
世界は米中ロの3極体制となる 179
第4章 大変革する世界、日本の選択──高市戦略は国益にかなうか 185
■高市政権と孤立する日本の危機 186 高市政権が持つ「偽物の強さ」 186
協商は同盟を壊す ── 日本だけが気づかない米中協商 192
日本が行う「周回遅れの喧嘩外交」 195
日本外交は無能ではない 200
ホルムズ危機が直撃する日本 205
日本が米中共通の敵とされる危険性 209
■世界と日本は連動している 216
明の成立と南北朝の動乱 216
トルデシリャス条約と「徳川の平和」 221
アヘン戦争と天皇親政 226
■世界の大変革に日本はどう立ち向かうか 230
メディアや国民は日本の危機を理解できていない 230
「本を読まない人」にお金が集まる時代 235
反・新自由主義が日本の生き残り策 240
あとがき(古村治彦) 245
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あとがき 古村治彦(ふるむらはるひこ)
本書は、佐藤優先生との2冊目の対談本である。現代の日本を代表する知識人である佐藤先生との対談の機会をいただけることは私にとって光栄なことだ。また、絶好の挑戦の機会ともなる。そして、自分自身の力不足を痛感し、改めて精進を誓う。佐藤先生に深く感謝申し上げます。
今回の対談は、アメリカとイスラエルによるイランへの大規模攻撃が実施され、その後、60日間の停戦の覚書MOUが締結された後に行われた。アメリカとイランは停戦に合意したが、その後もアメリカ軍とイラン革命防衛隊の双方による攻撃は続き、ホルムズ海峡の状況も先行き不透明ということになっている。ホルムズ海峡の迂回ルートとなっている紅海 Red Seaのバブ・エル・マンデブ海峡 Bab al-Mandab Straitでは、イエメンの新イラン組織フーシ派がサウジアラビアのタンカーに攻撃を実施した(2026年7月23日)。紅海の状況も不安定になると、世界経済への悪影響は増大する。覚書締結で楽観ムードが流れたが、イラン戦争は収束していない。アメリカはウクライナ戦争に加え、イラン戦争でも出口を見いだせない状態になっている。
トランプ政権の2期目は「アイソレイショニズムIsolationism」「アメリカ・ファースト」という、トランプ政権の基礎となる考え方である「アメリカ国内問題の解決を優先し、海外では戦争を起こさない」から外れ、ヴェネズエラへの奇襲攻撃とニコラス・マドゥロ大統領夫妻の拘束とイスラエルと共同でイランへの大規模攻撃を実施した。その他にもカナダやグリーンランドの併合に言及したり、キューバに対して厳しい経済制裁を科したりしている。「海外には関わらないと言っていたのに」とトランプを支持したアメリカ国民ですら不可解に感じている。
トランプ政権のこうした一連の行動について様々な分析や評論がなされている。今回の対談を通じて、私たちは、「宗教」や「信念」、「使命感」というアプローチから、イラン戦争に関わる重要人物であるドナルド・トランプ大統領、ベンヤミン・ネタニヤフ首相、モジタバ・ハメネイ師の行動について分析した。「経済合理性」や「利益」を前提にしてばかりでは理解が上辺(うわべ)だけになってしまう。その基底(きてい)にある宗教や文化について私たちは知識を持ち、社会を見る目を養うようにするべきだ。そうすることで、本質を明確に捉えることができ、将来を見通すことができる。
アメリカ帝国が衰退し、中国が台頭し、米中G2体制が構築されつつある中で、西洋近代600年の培った価値観やシステムが揺らいでいる。アメリカ国内でも自由、平等、人権、法の支配 rule of law(ルール・オブ・ラー)、民主政治体制 democracy(デモクラシー)、資本主義 Capitalism(キャピタリズム)に対する疑念が生まれている。暗黒啓蒙Dark Enlightenment(ダーク・エンライトンメント)やポストリベラリズム Postliberalismと呼ばれる「反動的な reactionary(リアクショナリー)」思想潮流が生まれている。また、左派では民主社会主義 Democratic Socialism(デモクラティック・ソーシャリズム)が勢いを増している。これからは私たちがこれまで培ってきた常識 common sense(コモン・センス)が通用しなくなってくる。佐藤先生が指摘しておられるように、日本は「本を読まない人にお金が集まる」社会になってしまっているが、複雑化する社会をより深く理解するためには、やはり本、できれば古典を読み、基礎教養を学ぶことが必要となる。本書がその手助けとなれば望外の喜びだ。
ビジネス社の小笠原豊樹氏と水波ブックス代表の水波康氏には対談の調整とまとめをしていただいた。記して感謝申し上げます。
2026年7月
古村治彦(ふるむらはるひこ)

(貼り付け終わり)
※『ザ・フナイ』2026年10月号(2026年9月1日発売)から連載(全10回)が始まります。こちらもよろしくお願いいたします。

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(終わり)
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