「118」 「小沢一郎 対 検察(オール官僚)の闘い」 (4) 「鳩山を甘く見たゲイツのガイアツ」、「小沢の人心掌握術」 副島隆彦 2010.3.15
副島隆彦です。 2010年3月15日です。 続けて載せます。
(転載貼り付け始め)
●【政権交代の意味、CIAが組織した自民党 崩壊後の日本」
「 鳩山を甘くみたゲイツ国防長官 のガイアツ 」
ニューズウィーク誌 2009.11. 4号掲載
マイケル・フリードマン 筆
日本の鳩山首相はアメリカとの「より対等な」関係づくりを国民に約束して政権の座に就き、一方でオバマ米政権は同盟国である日本がアメリカから離れていくのではと疑心暗鬼に陥った。そして今、オバマ政権はこれ見よがしに日本に冷たくしているようだ。
鳩山は在日米軍の在り方を見直し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を県外移設するという公約を掲げて総選挙を戦った。とはいえこれは国内向けで、アメリカのアジア戦略にとって差し迫った脅威になるものではなかった。
しかし10月20~21日にかけて訪日したゲーツ米国防長官は岡田外相、北沢防衛相、鳩山首相と相次いで会談。普天間飛行場をキャンプ・シュワブ(同県名護市)に移設するという日米合意を履行するよう強硬な姿勢で求めた。
同盟国の意見に耳を傾けると胸を張ったオバマ政権はどこへ行ったのか。ゲーツのいら立ちの裏には、移設が進まないことに対する国防総省内の不満や、11月中旬のオバマ訪日前に問題を解決したいとの思惑、米政府内における国外の基地をめぐる意見の対立といったものがあるようだ。
さらには米政府は時代が変わったことを認識せず、「外圧」で日本を動かすという古い手が今も通用すると期待していた。
53年も続いた自民党支配を打ち破った民主党の鳩山は、より独立した日本を築くことに威信を懸けている。普天間問題が解決しても、これ以上アメリカは日本に命令できないとの態度を示す必要がありそうだ。
● 「日本郵政人事に見る小沢流官僚掌握術、民主党の脱官僚政治も自民党系官僚を排除する目的であり、党主導の権力構造を築く」
「小沢一郎氏への権力一元化」 2009年11月4日
ダイアモンド誌 山崎 元 の 文
http://diamond.jp/series/yamazaki/10104/
日本郵政人事のメッセージ
権力は、それがどう行使されるかによって、世間の評判が変わる。世間が満足する間は、権力の存在はさして注目を集めないが、その影響に誰もが満足する訳ではなくなると、俄然、その権力がどんな構造に支えられているのかが問題になる。われわれの経験からすると、多くの国民が権力に不満を感じるようになっても、権力のありようによっては、なかなかこれを取り除くことが出来ない。かつて、自民党政権の背後にあった権力の構造も、いざ取り除こうとすると、なかなかに手間の掛かる代物だった。
民主党政権が発足して1月半が経過したが、同党幹事長である小沢一郎氏の周辺の権力構造もまた、これを取り除いたり修正したりすることが困難なものになるのではないか。こう思うに至った、象徴的な出来事は、日本郵政の首脳人事だった。
西川善文社長の退任に大きな違和感はないが、元大蔵次官の斎藤次郎氏の社長就任には大きなインパクトがあった。
この人事の当事者である亀井郵政改革担当相によると、適材適所の人事を行う上で元官僚だからといって排除の条件にはならないとのことだが、この人事は、「天下り根絶」を訴え、日銀総裁人事などで「元官僚」を主な理由に複数の候補者に反対してきた民主党の主張とは明らかに矛盾する。報道によると、鳩山首相は亀井大臣からこの人事案を聞いて驚いたらしいが、これを承認した。また、かつての野党時代なら批判が噴出したのではないかと思われるが、民主党内から批判の声は殆ど出ていない。連立相手である国民新党と亀井大臣への配慮もあろうが、これは異様だ。
推測するに、かつて細川政権時に共に国民福祉税構想を推進しようとした仲である斎藤次郎氏に対する小沢一郎氏の信認が厚いことを、どの関係者も意識したからではないか。だとすれば、その先には小沢氏の絶大な権力が見える。
この人事が承認される運びになった場合、その人事のメッセージ効果は極めて大きい。端的に言って、民主党、最終的には小沢氏に協力する官僚は、将来、何らかのポストに登用される可能性があるということだ。この可能性を見せられて、民主党になびく官僚は少なくないだろう。
加えて、民主党は、これまでのところ日本郵政を完全に官営に戻すと言っているわけではない。また、その株式を一切売却しないと言い切っているわけでもない。
日本郵政は建前上民間会社であるから経営幹部には高給を払うことも出来る。同時に政府が大半の株式を保有するので、経営者は株主に気を遣う必要もないし、買収される心配もしなくていい。経営者のポストだけではないが、こうした特殊会社のポストを配分できる権力は、特に官界に対しては強力な影響力になり得る。もちろん、これが先例として承認されるなら、他の組織に対する天下り(的)人事にも影響力を行使できるから、官僚を相当程度コントロールできるようになるだろう。
この強引な先例作りは、亀井大臣による、民主党、ひいては小沢氏の権力に対する大きな貢献となる可能性がある。
行政刷新会議のお粗末から見えたもの
来年度予算に関連して「事業仕分け」を行おうとした仙石担当大臣の行政刷新会議は、仕分けの担当者の人選に関して、小沢幹事長に手順の不手際を詫びて、当初案を撤回・修正する運びとなった。
ビジネスの世界で考えるとしても、この根回し不足はお粗末だが、この件に関して、仙石担当大臣と平野官房長官が小沢氏に謝ったことが報じられており、一応は一人前の大人であり、選挙を経た議員でもある当事者の議員達も「事業仕分け」の担当をおとなしく降りた。
このイベントは、単に行政刷新会議のお粗末というだけでなく、今次の政権の政府に対する党の優位、個々の議員に対する党の管理の優位を形にして世間に見せたところに大きな意味がある。そして、党の管理の中心に居るのが小沢一郎氏だ。
今や、閣僚も議員も、小沢氏の胸中を推測して、少なくとも彼が反対しないような行動を取らなければならない。小沢氏の監視と力を意識して、小沢氏が指示しなくても小沢氏の指示を受けたかのように動くのだから、これは権力として一つの完成形をなしつつある。(後略)
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
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