「100」 ロシアの金融・経済は、昨年の8月8日のグルジア侵攻から急激に変化した。ロシアが米国債と米証券を一斉に売り払ったので、リーマンブラザーズが9.15に破綻したのだ。それへの報復でモスクワの証券市場は80%暴落させられて今に至る。2009.1.2

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副島隆彦です。 今日は、2009年1月2日です。

昨年の8月からのロシアの金融・経済の記事を、まとめて載せておきます。「9.15リーマン(破綻)ショック」は、ロシアが引き金を引いたのだ、ということを指摘する専門家はいない。私、副島隆彦だけだろう。このことを今から、少しずつ説明してゆく。  副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)

●「ロシアがウクライナへのガス供給停止」

2009年1月1日 産経新聞

 【モスクワ=佐藤貴生】 ロシアがウクライナに売却する今年の天然ガスの価格をめぐる交渉は1日午前零時(日本時間同6時)で期限切れとなり、ロシアの政府系ガス企業ガスプロムは契約が切れる同日朝、午前10時にウクライナ向けのガス供給を停止したと述べた。

 ウクライナ経由のパイプラインでロシアからガスを買っている欧州各国にとってもひとごとではなく、強い関心をもって推移を見守っている。両国の価格交渉は年が変わる直前の12月31日まで行われた。

 ロシアはウクライナ側のガス滞納料金は罰金を含めて約21億ドルに上り、全額返済しなければ1日からガスを止めると警告していた。金融危機にあえぐウクライナは12月30日、罰金を除く滞納分に相当する約15億ドルを返済したと主張したが、罰金の6億ドルの返済次期を含めて総括的な合意には達しなかった。

 ロシアのプーチン首相は31日夜、メドべージェフ大統領との会談で、価格を1000立方メートル当たり250ドルに設定する方針を示し、ウクライナ側に妥協するよう求めた。昨年の売却価格は約180ドルで、ロシアは先月、2倍以上の418ドルまで引き上げると述べて圧力をかけていた。

 ロシア国営テレビによると、1日午前の段階ではウクライナ経由で欧州に向かって延びるパイプラインの輸送は継続しているもようだ。


●「ロシア国債の保証コストが急上昇-ルーブル変動幅拡大と利上げ受け 」

2008年11月12日 ブルームバーグ

 12日のクレジット・デフォルトスワップ(CDS)市場で、ロシア国債の保証コストが急上昇した。ロシア中央銀行がルーブル相場の許容変動幅を拡大したことや、資金流出阻止を目指し政策金利を引き上げたことがリスク意識を高めた。

 CMAデータビジョンによれば、ロシア国債のCDSスプレッドは7.87 ポイントと、前日の6.14ポイントを大幅に上回っている。30年物ロシア国債の利回りは10.77%と、9.1%から上昇した(ブルームバーグ調べ)。

 ロシア中銀は11日、ドルとユーロで構成される通貨バスケットに対するルーブルの許容変動幅を拡大した。ルネッサンス・キャピタルのアナリストらは、この措置は「何の役にも立たず」、ロシアの外貨準備を約70億ドル(約 6760億円)を減少させただけだと指摘した。

 アレクセイ・モイセエフ氏率いるルネッサンスのアナリストらは12日付のリポートで、「現在の圧力は主に中銀が自ら招いたものだ。外国為替市場での中銀の不手際な行動が投機筋によるルーブルへの新たな攻撃を促した」と指摘した。

 ルーブル相場は11日、中銀が通貨防衛の手を緩めることを示唆したことを受け1%安と、ここ2カ月で最大の下げとなった。モスクワ時間午後2時 46分現在、ルーブルは通貨バスケットに対し前日比0.02%安の30.7079ルーブルで取引されている。

●「露、ルーブル防衛の代償 外貨準備高1446億ドル分流出」

2008年11月22日 産経新聞

 ロシアでは「レイニー・デイ・マネー」(緊急時の蓄え)が急激に流出、同国が10年間享受してきた経済的安定が失われる可能性が出てきた。

 中国と日本に次いで世界第3位のロシアの外貨準備高は、ピーク時の8月8日の24%に相当する1446億ドル(約13兆6460億円)分が流出、11月14日には4535億ドルに減少している。ロシア中央銀行が同国通貨ルーブルの価値を支えているためだ。

 メドべージェフ大統領は、原油価格の下落と投資家の逃避を防ぐため、2000億ドルの減税などの政策を発表したが、金融危機の衝撃から逃れるのは困難とみられている。外貨準備高減少で、中央銀行はルーブル買い支えから、ルーブルの価値引き下げの容認に方針転換するとみられている。

 90年代、エリツィン政権下のロシアは、旧ソ連崩壊後の7年間の浪費の影響で外貨準備高が123億ドルにまで落ち込んでいた。ロシアはアジア通貨危機の影響に対して、通貨防衛を続けてきたが、IMF(国際通貨基金)の緊急融資を利用しても、国債400億ドル分のデフォルト(債務不履行)を防ぐことができなかった。その結果、98~99年にかけてのロシアは15カ月連続の景気後退に陥った。

 ロシアでは現在、最大の輸出品である石油やガスの値段下落の影響を受け、資本の逃避が加速、同国の代表的証券指数のMICEX証券指数は8月1日以来64%減、ルーブルはドルに対して17%下落している。8月、グルジアに軍事侵攻した事件も金融危機をさらに悪化させると懸念され、ウラル原油の価格は67%下落した。

 クドリン財務相はこの状況に対し、「原油価格の下落は予算の執行に対して影響を及ぼさない。予算が赤字になった場合でも不足分は石油ファンドの資金、1346億ドルで埋め合わせることができる」と語った。

 ロシアの財政黒字は11月までに、GDP(国内総生産)の7.8%に相当する1000億ドルに達している。ドボルコビッチ大統領経済担当補佐官は、10月、外貨準備高が「1000億ドル以上あれば、現在のロシアにとって有益である」と語った。

 世界銀行は18日付のリポートの中で、「ロシアの財政政策と実質的資金の蓄えは、ロシアが深刻な状況に陥るのを防いでいる」と記した。世界銀行の発表では、99年以来、平均7%だった経済成長は2009年に3%にまで減速する見込みだ。中央銀行は07年は純資本流入額が823億ドルだったが、08年は純資本流出額が200億ドルに上ると試算している。

 モスクワの投資会社、トロイカ・ダイアログのアントン・ストゥルシェネフスキー氏は「このまま経済状況に変化がなければ、中央銀行は、引き続き準備高を喪失し続けるだろう」と語る。(Maria Levitov)


●「11日のロシア株式市場、大幅下落」

2008年11月12日 IBタイズム

 2008年11月11日のロシア株式市場は通貨切り下げ懸念で大幅下落した。MICEX市場は、通貨切り下げ懸念から、寄付きより下落、現地時間11:05(日本時間17:05)より1時間全銘柄取引停止となった。再開後も下落に歯止めがかからず下げ幅を拡大、引け際の現地時間18:40(日本時間0:40)テクニカル指数で前日比10%以上の下落率となり、

 営業日終日までの全銘柄停止の措置となった。MICEX指数終値では前日比12.64%安の647.80、RTS指数は前日比10.67%安の725.89となった。

 原油先物価格の再度60ドル/バレル割れ、国内経済の成長鈍化等で新興市場に対して投資家は強い懸念を抱いており、その懸念は通貨バスケット制の通貨ルーブルにも矛先が向かった。外貨準備高規模6位の韓国に続いて、3位のロシアにおいても10月31日までの12週間で外貨準備高は19%減少、4,846億ドルまで落ち込んだ。

 ロシアはこれまで外貨準備高を切り崩して支えてきた。しかし、この日1%の切り下げを行った。この切り下げとは、ルーブルの通貨バスケット(ユーロ45%と ドル55%で構成)に対する変動幅を上下1%拡大したことを意味する。

 個別では、プーチン首相が10日、石油大手5社ロスネフチ(ROSN)、ルクオイル(LKOH)、スルグトネフチェガス(SNGS)、ガスプロム・ネフチ(SIBN)、TNK-BP(弊社非取扱い)、トランスネフチ(TRNFP)の首脳と会談を行い、ロシアの石油産業に関する会合を行った。首相は席上、「世界金融危機や世界的に安定感を欠く原料市場、石油価格の下落により、現在の状況で石油部門の成長・発展を確保するような措置をとらなければならない」との見解を示し、石油輸出関税算出期間や現状にあった税制の適正化、石油取引の拡大などについて改正をしていく意欲を示した。

 また、石油業界の中小企業への支援策や、世界の石油価格形成への影響力強化を促す措置を立案する必要性を表明していたが、この日、これらの石油・ガス銘柄は前日比9%~16%程度の下落となった。

 12日のMICEX市場は終日取引停止の予定であるが、世界各国の株価は14日から開催される日米欧に新興国を加えた20ヶ国(G20)緊急首脳会合(金融サミット)前に悪材料や懸念を表面化させ、有効な金融危機の対処を期待したいという催促相場の色彩が強くなってきたと思えるが、現実は今後世界各国の保護主義的政策に走るか否かを見極める重要な時期が来ている。

●「ロシアエナジー:中国に敗北するロシア

2008年11月26日 サーチナ

 報道によると、プーチン首相は激怒しているようだ。ロシア原油を供給する価格をめぐる中国との交渉は、中国に完全に有利な方向に進展した。中国は、その要求を通すのに成功したようで、もはやロシア側には中国の勝利を阻止する手立てはないようだ。

【困った時の友達は】 ロシアの国営石油会社、ロスネフチは大きな問題に直面している。同社には130億ドルの対外債務があり、しかも年末までに、緊急の運転資金として20億ドルが必要である。さらに世界的な金融危機によって、同社は債務のリストラを進めることもできず、ロシア政府も同社の苦境を救済するための十分な資金を提供できない状態にある。ロシア政府には、同社以外にも、救済しなければならないお抱えの企業や銀行があるのである。

 一方、中国側には、同社が喉から手が出るほど必要としている資金援助を提供する準備がある。中国は、最近モスクワで開催されたロシア・中国の交渉で、ロスネフチに対して150億ドルを提供し、そして、東シベリア・太平洋(ESPO)石油パイプラインの太平洋岸までのルートを完成させるために、トランスネフチに対して、別に100億ドル提供する可能性も示した。もちろん中国側は、この友好的な支援に対して、十分な見返りを期待している。

 ロシアの交渉チームの複数の当局者によると、中国側は、将来のESPOパイプラインと、中国国境までのその支線を通じて、年間1500万トンのロシア原油を供給する保証を求めている。この契約の期間は、2011~2015年である。しかし、中国は、この原油の価格算定フォーミュラについては、ロシア側が受け入れられないような金額を求めている。ロスネフチは、これで中国に輸出した場合、原油をバルト海や黒海のターミナルから輸出する場合に比べて、1トン当たり40ドルの損失を出すと主張している。

【同じ罠】中国は、2004年に経験した勝利の再現を達成しようとしている。中国は、同年には、ロスネフチに対して、解体されたユーコスの資産を買収するための資金として60億ドルの緊急融資を提供して、その見返りに、2005~2010年の期間に、480万トン以上の供給の保証を取り付けた。この時の価格は、バレル当たりブレント原油マイナス3ドルという、信じられないほどの格安だった。

 ロスネフチは、2007年8月に、中国との同契約を破棄するための許可を、ロシア政府に求めた。ロスネフチは、契約を破棄して違約金を支払う方が、原油を赤字で国境を越えて中国に提供するよりは、商業的にはより良い選択となる、と主張した。

 そこでロシア政府は、中国政府に対して、原油の価格をロシアに有利となるように見直すことを要求したものの、中国側は、ディスカウント幅をバレル3ドルから、2.33ドルに縮小することに同意しただけだった。これは、ロシアにとっては屈辱の敗北であり、今回の協定での価格算定フォーミュラもロシア側にとって新たな屈辱の敗北となるはずである。

 この状況は、プーチン首相自身と、同首相が目をかけてきたプロジェクトであるESPOパイプラインにとって、深刻な危機である。トランスネフチは、同パイプラインの第1段階の完成のためには、当面少なくとも8億ドルの資金が必要であり、同パイプラインを太平洋岸まで延長するためには、さらに数十億ドルが必要である。

 しかも、第1段階のパイプラインは、中国側が、そのパイプラインの終点のスコボロディノから、年間1500万トンを引き取らない限りは、商業的に採算が取れないのである。スコボロディノから太平洋までの区間は、鉄道で輸送することになるが、既存の鉄道の輸送能力では、3000万トンを処理することはできない。同鉄道の輸送処理能力は、最大で1500万トンに限られているのである。

 同プロジェクトへの中国の参加が必要なのは、このためである。そして中国側は、モスクワの苦難から利益を得ようとしており、ロスネフチの原油に対してお買い得の価格を要求しているのである。ロシアの決定の期限は11月25日であり、プーチン側のチームは、中国の要求を受け入れざるを得ないと見られる。(執筆者:ルスエナジー ミハイル・クルーティヒン 情報提供:オーバルネクスト)

●「ルーブル30%切り下げも 原油急落、資本逃避で露苦境

2008年11月11日 産経新聞

 世界3位の外貨準備高を誇るロシアも、原油価格急落と資本逃避に抗しきれないのか-。ロシア中央銀行によるルーブル切り下げ観測が強まっている。投資銀行としてはロシアで最も古い歴史を持つ、トロイカ・ディアログは、最大30%という衝撃的な切り下げ幅の可能性も指摘する。

≪「投資は得策でない」≫
 1998年に見舞われた財政危機の際、ロシアは世界的な株式・債券相場の暴落と、400億ドル(約3兆9676億円)相当の国債がデフォルト(債務不履行)に陥った結果、最大で71%の下落となったルーブルに対し、なすすべがなかった。

 現在、ロシアは、原油相場が7月のピークから61%下げたのに加え、国内経済の成長鈍化、新興市場に対して投資家に強い懸念が生じたこともあり、外貨準備を切り崩して、しのいでいるといえる。10月31日までの12週間で外貨準備は19%減少、4846億ドルまで落ち込んだ。

 外貨準備切り崩しの目的は、ルーブルの変動幅の抑制による、輸出競争力の弱体化防止だ。しかし、ルーブルは8月1日時点から、対米ドルベースで13%下落しており、切り崩しの効果は疑問という指摘もある。モスクワに拠点を置く投資銀行、トラスト・インベストメントによれば、ロシア中銀が10月中に行ったドル売り介入は、過去最大規模の400億ドルに上った。

 仏大手運用会社、アクサ・インベストメントで3420億ドル相当の債券資産を管理するアナ・エルメジ氏(パリ在勤)は「ロシア市場からの資本引き揚げと、ルーブル安が続く現状を考えると、ロシア市場に投資を続けるのは得策ではない」と指摘。「原油価格が現在の水準での推移に落ち着いてしまえば、ロシアは相当困難な状況に陥る」との見通しを示した。

 アクサ・インベストメントでは、8月の時点ですでにロシア国債は「ホールディングス」に格下げていた。10月7日、メドベージェフ大統領の経済顧問を務めるアルカディー・ドボルコビチ氏は「2009年におけるロシアの国際収支が赤字に転落すれば、ロシア中銀はルーブルの外為取引に対する規制を徐々に強める」と述べた。この発言を分析した証券大手ゴールドマン・サックスは「ロシアが従来の為替政策から異なった方向へかじを切る兆し」とみている。

≪BRICsで共同歩調≫
 クドリン副首相兼財務相は8日、滞在中のサンパウロ(ブラジル)でのインタビューに対し、ロシアやブラジル、インド、中国のBRICs諸国について、「相互間の貿易および資本移動を促進させるために共同歩調をとる計画がある」と述べた。さらに「世界第2位の産油国であるロシアは、OPEC(石油輸出国機構)の減産措置に影響を受けることなく、独自の産油政策を続けていく」とした。

 10年前にロシアが陥った経済的苦境は、共産主義体制による管理下からの脱却に伴う混乱が背景にあった。しかし、今回は、米国発の金融危機の影響で投資家に安全投資先を求める心理が働き、(ロシア市場などの)高利回り投資商品への投資資金がショートしていることが背景にある。(Emma O’Brien、Ye Xie)

●(副島隆彦注記。ロシアは、物々交換での生き延びてゆける国である。だから金融制度が一時的に崩壊しても、これまでの経験からそれほど国民経済は困らない。副島隆彦注記終わり)

「金融危機、ロシアの富豪支配終焉 国家統制強化へ」

産経新聞 2008年10月20日

【モスクワ=遠藤良介】 ロシアで、ソ連崩壊後に台頭したオリガルヒ(新興寡占資本家)と呼ばれる大富豪たちが金融危機の影響を受け、没落の瀬戸際に立たされている。政権は世界3位の外貨準備を元手に莫大(ばくだい)な市場支援策を打ち出しているが、どのオリガルヒを救済するかは政権の胸算用ひとつにかかっている。

 今回の危機を逆手に取り、政権が経済の主導権をオリガルヒから奪還、国家統制をより強めるとの見方が強まっている。

 ロシアは、米フォーブス誌の2007年世界長者番付で上位100位に19人が入るなど、世界に冠たる富豪大国だった。ところが、金融通信社、ブルームバーグの推計によると、ロシアの株式市場が下落を始めた今年5月以降、ロシアの大富豪ら上位25人は資産の62%にあたる2300億ドル(約23兆1500億円)以上を失い、多くが長者番付から転落する可能性が出ている。

 番付でロシア1位の「アルミ王」デリパスカ氏(40)は160億ドルの損失を出し、傘下企業の一時操業停止や資産切り売りに追い込まれた。3位で英サッカーチーム「チェルシー」のオーナーとしても知られるアブラモビッチ氏(41)は203億ドルを失ったという。ロシアの大企業はこれまで、ルーブル高も背景に低利の外国資金を調達してきたが、米金融危機に伴う市場混乱で途絶え、一転して膨大な債務と資金調達難に直面している。

 ロシア政府は約7割も株価が暴落した状況を受け、9月以降に国内総生産(GDP)の15%にあたる2000億ドル規模の市場支援策を発表した。ただ、これら資金の多くは国策銀行や政府系の3大銀行を通じて支出されることになっており、政権寄りの「産業企業家同盟」ですら、公開書簡で「政府に近い特定の企業の人工的強化」に対する危惧(きぐ)を表明した。

●「ロシアMICEX証券取引所が取引停止、株価下落で」

2008年10月16日 モスクワ、ロイター

 ロシアのMICEX証券取引所は16日、現地時間午前11時05分(0705GMT、日本時間午後4時05分)から1時間、株式取引を停止すると発表した。株価の下落がテクニカルな制限を越えたためという。取引停止時点でのMICEX指数は、前営業日比6.2%安の647.21ポイント。一時は626.13をつけ、3年ぶりの安値を更新していた。テクニカル指標は6.4%下落。同指標が5%以上下落すると、1時間の取引停止となる。


●「ロシアの富豪、バフェット氏の財産の4倍の資産失う-98年以来の危機 」

2008年10月10日 ブルームバーグ

 世界有数のアルミニウム会社を経営するオレグ・デリパスカ氏(40)や英サッカーチーム「チェルシー」のオーナー、ロマン・アブラモビッチ氏(41) といったロシアの資産家が、過去5カ月で失った富は2300億ドル(約22兆7600億円)超に達した。ロシアは1998年のデフォルト(債務不履行)以来、最大の金融危機に見舞われている。

 米経済誌フォーブスが選んだロシアの富豪25人の合計資産は5月19日から10月6日までに62%減少した。同減少率はこれらの富豪が保有する非公開資産のアナリスト試算や上場企業の株価下落を基に算出した。失われた富は米国の富豪で投資家のウォーレン・バフェット氏の資産の4倍に相当する。

 ロシアの株価指標、MICEX指数は5月にピークを付けてから61%下落。BNPパリバによると、世界的な信用収縮に加えて、グルジア紛争や商品相場下落を受け、外国人投資家は8月初め以降、ロシアから740億ドルの資金を引き揚げた。1998年のデフォルトや通貨ルーブル切り下げでは多くのロシア国民の貯蓄が影響を受けたが、今回の危機では資産家が富を失っている。

 テンプルトン・アセット・マネジメントで執行会長を務めるマーク・モビアス氏は、ロシアでは「1998年には新興実業家の手に巨額の富が移っていったが、現在の流れは逆だ」と語った。 フォーブスのリストでロシアの富豪トップのデリパスカ氏が失った富は 160億ドルを超え、アブラモビッチ氏は200億ドルを失った。不動産と現金を除く資産をベースに算出した。

●「ロシア主要2証券取引所が取引再開、ともに大幅安」

2008年9月30日 モスクワ、ロイター

 30日の取引開始直後に中断されていたロシアの主要証券取引所のMICEXとRTSが再開。しかし、ともに大幅に下落している。MICEXは、現地時間午後零時30分(0830GMT、日本時間午後5時30分)に再開。ルーブル建てのMICEX.MCX指数は、0839GMT時点で3.76%安の981.32だったが、その後下げ幅を拡大、1119GMT現在7.10%安の947.22で推移している。

 またRTSのドル建てRTS指数.IRTSは再開直後は0.74%安の1185.25。しかし、やはり一段安の展開で1120GMT現在、3.50%安の1152.370となっている。

●「ロシア株、急落続く グルジア紛争やリーマン破綻を嫌気 」

日経新聞 2008年09月18日
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/
20080917AT2M1704T17092008.html

【モスクワ=坂井光】 ロシアの株価が下げ止まらない。株価指数RTSは17日、前日比6.4%安い1058まで下落し、2005年11月以来の水準となった。グルジア紛争に加えて、米大手証券リーマン・ブラザーズの破綻などの影響で下げに拍車が掛かっている。今年5月の高値からすでに57%下落しており、1998年の経済危機以降の長期的な上昇局面は転機を迎えた。

 主要証券取引所のRTSとMICEXは17日、売り注文が殺到し、ともに株式の取引を午後から停止した。特に、ロシア最大手ズベルバンクや対外貿易銀行がMICEXでともに午前の取引で一時前日比約20%下落するなど金融株の下げが大きい。ロシアの金融機関は外銀から資金を調達する比率が高く、米国での金融不安の影響は 避けられないとの声が出ている。

 さらに、国内投資家には高値で株を担保に海外から資金を調達したものも多い。彼らは借入金返済のため株式を売却せざるを得なくなっており、株安が加速している。

●「ロシア株式市場 過去最大級の大幅下落」
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2008&d=0917&f=stockname_0917_104.shtml

サーチナ 2008年9月1日7

 2008年9月16日のロシア株式市場は、過去最大級の急落。米国AIGグループが資金繰り難に陥っており(ロシア市場時間内)、世界金融市場の破綻であるといった悲観的見方が大半をしめ、売りが売りを呼ぶパニック的状況と化した。

 また、原油価格の続落、ユーロ・ルーブル安、更にロンドンユーロ市場における銀行間の借入レート(LIBOR)が急騰し 2%程度の金利が6.4%台まで跳ね上がた。ロシアの銀行にとっても外貨借入れの金利負担が増えることとなる。

 ロシア株式市場が若いこともあってか、この日ロシアのアナリスト達でさえ、「ブラック」「ブラックTuesday」とばかりでコメントができない下げ幅であった。MICEX指数大引けは前日比17.45%安の881.17、RTS指数終値は前日比11.47%安の1131.12。(MICEX・RTS市場とも取引終了前の1時間、一時的に取引停止措置(サーキットブレイク)が 行われている。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝

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