「98」 サブプライム危機から世界恐慌へ(33) 2008年9月の記事の残りを載せます。これでこの時期のものは全部だろう。2008.12.4

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副島隆彦です。今日は、2008年12月4日です。

続けて、まだ載せていなかった、積み残しの、2008年9月の分の記事を載せます。これで、すべてだろう。時間は、すべての人間にとって急速に過ぎ去ってゆくものであるから、知識人である自分が、こうして集めて残しておかないと、誰も、あとを振り返ることをしない。

 たいていの人間は、犬猫と同じで、目先の自分の餌(えさ)のことしか、考えていない。静かに、過ぎ去っていった、つい数か月前のことを振り返るということもしない。だから、歴史が見えない。自分にとっての近未来も見えないのだ。それで、右往左往して、「先が読めない」と騒ぐ。過ぎ去ったばかりの数か月前の過去を振り返る、ということをしなければいけないのです。このことが分からないようだと、とても、知識人=読書人階級の人間にはなれない。 副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)

●「三菱UFJ、モルガン・スタンレーに21%出資で最終合意 総額9500億円」

2008年9月30日 ロイター

 三菱UFJフィナンシャル・グループは29日夜、米大手金融機関モルガン・スタンレーに21%出資することで最終合意したと発表した。取得総額は90億ドル(約9500億円)。約30億ドル分の普通株と約60億ドル分の優先株を取得する。

 金融市場の混乱が続くなか、三菱UFJは3週間程度の予定だった財務調査を5日で終え、早期合意した。海外金融機関を対象にしたM&A(合併・買収)では過去最大。具体的な提携分野などの業務戦略については2009年6月末をメドに検討する。

●「投資家ファーバー氏:7000億ドル規模の米金融安定化策は不十分 」
Faber Says U.S. Government’s $700 Bln Rescue Plan Is Not Enough

2008年9月25日 ブルームバーグ

 著名投資家のマーク・ファーバー氏は25日、米政府が提案した7000億ドル規模の金融安定化策について、金融業界を回復させるには不十分だとの考えを示した。同氏はまた、香港で開催されたCLSAインベスターズ・フォーラムで、米政府は住宅所有者の資産を買い取るべきだと述べた。

 米国の住宅不況に端を発した信用危機により、世界の金融機関は計5200億ドル超の評価損・貸倒損失を抱えており、世界経済はリセッション(景気後退)入りの脅威に直面している。

●「投資家バフェット氏、「この金融危機は、経済のパール・ハーバー」「ポールソン長官の安定化策は不可欠」

2008年9月24日

 資産投資家ウォーレン・バフェット氏は、市場の混乱を「経済のパール・ハーバー」であり、 ポールソン財務長官の7000億ドルの米国金融システムの安定化策について、「絶対に必要なもの」との見解を示した。

 またバフェット氏は「(先週のような状況が)もう1週間続いたら、市場は耐えられなかっただろう」、「ポールソン長官はこのような対策を望まなかったと思うが、これに代わる策はない」との見方を、氏が率いるバークシャー・ハザウェイ社がゴールドマン・サックス社に50億ドル出資を発表した翌日、CNBCに語った。

‘Buffett Calls Crisis an `Economic Pearl Harbor,’ Backs Paulson ’By Linda Shen and Andrew Frye

 investor Warren Buffett, calling the market turmoil “an economic Pearl Harbor,” said Treasury Secretary Henry Paulson’s $700 billion proposal to prop up the U.S. financial system is “absolutely necessary.”

“The market could not have taken another week” like last week, Buffett told CNBC today, a day after saying his Berkshire Hathaway Inc. will buy a $5 billion stake in Goldman Sachs Group Inc. “I think it was the last thing Hank Paulson wanted to do, but there’s no Plan B for this.”

 Paulson and Federal Reserve Chairman Ben S. Bernanke are pushing Congress to quickly approve the plan to remove illiquid assets from the banking system. Lawmakers have balked at rubber- stamping the proposal, with Democrats demanding it include support for homeowners and limits on executive pay and Republicans questioning the plan’s reach and size.

“I am betting on the Congress doing the right thing for the American public and passing this bill,” Buffett said. The economy is “everybody’s problem,” he said, likening it to “a bathtub — you can’t have cold water in the front and hot water in the back.”

Berkshire is buying the stake in Goldman, Paulson’s former firm, after three of the investment bank’s biggest competitors went bankrupt or were forced into emergency sales. He has already agreed to spend at least $25 billion this year to acquire companies, finance buyouts and purchase securities for Omaha, Nebraska-based Berkshire.

“I certainly have a vote of confidence in Goldman and vote of confidence in Congress,” said Buffett, who is investing in the firm after it lost 40 percent of its market value in the past year.

Buffett, who last year complained that he couldn’t find companies big enough to buy, said he’s not a fan of cash.
“It’s nice to have a lot of money, but you know, you don’t want to keep it around forever,” Buffett said. “I prefer buying things. Otherwise, it’s a little like saving sex for your old age.”

●「ドイツは米金融支援計画に参加しない-シュタインブリュック財務相」

2008年9月22日 ブルームバーグ

 ドイツのシュタインブリュック財務相は 22日、米政府が示した金融市場の安定化に向けた計画に参加しない方針を明らかにした。メルケル首相はこれより先に、市場の透明性向上を目指した同国案が支援計画の必要性を弱めていた可能性があるとの見方を示していた。

 シュタインブリュック財務相はベルリンで記者団に対し、米国の警告は「安定回復にとともに、金融市場へのすべての信頼を取り戻すために極めて重要だ」との認識を示したものの、「国内状況は米国とは比較対象にならず、ドイツは同様の計画を採用しない」と言明した。同相は「ドイツの金融システムは安定している。主要7カ国(G7)のほかの6カ国は米国と同様のプログラムを採用しない」と付け加えた。

 メルケル首相は雇用主を対象にしたベルリンでの講演で、透明性の向上促進に向けた金融市場規制に対する国際的な枠組みについて再度呼び掛け、英米がもっと早く耳を傾けなかったことに対する不満を表明した。

●(副島隆彦注記。以下の文が、リーマン・ブラザーズが破産(破産法の申請をした)15日の、ウォール街の正直な考えだ。ここで、アジア諸国に、ババ Joker をつかませるのだ、そして、「ほかの誰がばばを引いてくれるだろうか。ほかに誰がシステムを支えるというのか」と、実に率直に書いている。これはあとあとの証言として意味がある。 副島隆彦注記)

「【コラム】米投資銀行の正体にアジア投資家が気付いた日-M・ルイス」

2008年9月15日 ブルームバーグ

 ウォール街は大騒ぎをしているが、大方の米国民にとって9月15日は、大事件のあった日として記憶される日ではない。 リーマン・ブラザーズ・ホールディングスが破たんしても、普通の米国人の反応は「リーマンって誰?」、または「聞いたことあるけど、何の会社?」というものだろう。

 しかしながら、リーマンが破たんした日は重大な日だ。債券トレーダーが職を失うからでもリーマンのディック・ファルド最高経営責任者(CEO)の手腕を持ち上げる経済面の記事が間違っていたからでもなく、世界で最大の流動資金を抱えるアジアの投資家の目から見た米国の金融機関が、高リスクの不良資産に転落した日だからだ。

 多分、スーダンほどでなはいだろうが、チリよりは悪い。週末に取りまとめて提出された破産裁判所への資料によれば、リーマンの無担保債務の大口債権者 30社には、アジアの金融機関がずらりと名を連ねていた。あおぞら銀行、中央三井信託、三井住友フィナンシャルグループ、みずほコーポレート銀行、信金中央金庫、中国の中国銀行などなど。

 ほかの誰がばばを引いてくれるだろうか。ほかに誰がシステムを支えるというのか。米政府がベアー・スターンズを救済(誰が何と言おうとあれは「救済」だった)して以来、金融市場での政府の行動は謎としか思えなかったというのに。 なぜ?

 政府が今回リーマンの破たんを座視したことで、当然の問いが浮上した。なぜベアー・スターンズはつぶさなかったのか?リーマンの場合は、対応する時間が市場にあったというのはナンセンスだ。市場は政府がベアー・スターンズを救済したのを見て、リーマンにも同じことをするだろうと考えていたのだから。

 1つには、ベアー・スターンズ危機の当時、金融システムをコントロールしている当局者らはウォール街の大手金融機関がつぶれたときに何が起こるか想像が付かなかったということがある。彼らはその後に研究し、自分たちが抱いた最悪のシナリオへの懸念には根拠がなかったとの結論に達したわけだ。

 しかし、リーマンの債権者リストを見ると、別の答えが見えてくる。ベアー・スターンズ危機時にし米財務省と米連邦準備制度理事会(FRB)が恐れたのは市場の不安定ばかりではなかった。彼らは、米国がもはや自分では生み出さない資本を同国市場に提供してくれる人々の機嫌を損ねることを恐れたのだ。

 25 年間にわたり、アジアの金融機関は米国の投資銀行に対して信じられないほど太っ腹だった。彼らは今、米投資銀について、そして米国について、何を思っていることだろう。(マイケル・ルイス)

(マイケル・ルイス氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は、同氏自身の見解です)

●「新議長、異例の反米開幕演説=IMFは「世界支配の道具」-国連総会」

2008年9月16日、ニューヨーク、時事

 来年9月半ばまでの1年間を会期とする第63回国連総会が16日開幕し、「反米左派の闘士」として鳴らしたニカラグアのデスコト新議長が国際通貨基金(IMF)と世界銀行を米欧による「支配の道具」と名指しする異例の反米開幕演説をぶった。

 デスコト議長は、「国連の民主化」をテーマに各国高官を招いて討論会合を開くと表明。安保理に関しては、「戦争への依存心」を捨て切れない「複数の理事国」によって平和が破られていると語り、特に拒否権を持つ常任理事国を非難した。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝

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