「84」 「サブプライム危機から世界恐慌へ」(19) 2008年3月の記事をまとめて載せます。 2008.9.10

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副島隆彦です。 続けて、2008年3月分の記事のまとめを載せます。 基本的で、重要な情報文の怒涛の公開です。 副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)

● 「偽造の「丸紅保証書」で投資、米証券が240億円回収不能」

日経新聞 2008年3月29日

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080329AT
1G2805828032008.html

 東京都内の医療コンサルティング会社の関係者らが偽造された大手商社丸紅の保証書を使って投資を募り、米大手証券が出資した約240億円が回収不能となっていることが28日、関係者の話で分かった。丸紅は偽造にかかわったとして男性契約社員2人を今月上旬に解雇し、警視庁に有印私文書偽造容疑で被害届を提出した。同庁は資金の流れなど事実関係の確認を進めている。

 約240億円が回収不能になったのは、米大手証券リーマン・ブラザーズの日本にある関連会社。リーマンは近く詐欺容疑などで取引にかかわった数人を刑事告訴する方針。リーマン同様に投資した別の米大手証券は出資金を回収したが、数十億円規模の回収不能金が発生した投資家もほかに複数いるとみられる。


●「ウォール街金融各社、計3万4,000人削減-ネットバブル崩壊後で最悪 」

2008年3月24日 ブルームバーグ

http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003017&sid=as9nE2e6G_ZU&refer=jp_japan

  住宅ローン関連の損失や評価損に打撃を受けたウォール街の金融各社は、 過去9カ月に計3万4,000人余りの従業員を削減した。2001年のインターネットバブル崩壊以降で最多の削減となっている。 シティグループ、リーマン・ブラザーズ、モルガン・スタンレーなどがこれまでに人員削減を発表。米証券業金融市場協会(SIFMA)によると、ネットバブル崩壊時には同じ期間で3万9,800人が削減され、続く2年間で削減数は9万人に上った。

  昨年のサブプライム(信用力が低い個人向け)住宅ローン危機と、それに続く信用収縮は、世界の大手金融機関に少なくとも2,000億ドル(約20兆円)の評価損および損失を負わせた。 全米5位の証券会社だったベアー・スターンズは、顧客や貸し手に見捨てられて緊急買収に応じざるを得なくなり、米金融市場のパニックの象徴になった。アナリストの間では、金融機関の損失は今後も拡大するとみられている。

 経営幹部クラスの人材紹介会社バタリア・ウィンストン・インターナショナル(BWI)のパートナー、ジョー・ベネット氏は「今回の危機は2001年よりずっと悪く、期間もどれほど続くかわからない」と指摘。人員削減数は「数年で10万人を上回る可能性がある」と述べた。 尚 ゴールドマン・サックスは1月25日に成績の悪い従業員を削減する制度を反映した人員削減だと説明している。

●「米欧市場でヘッジファンドの現金化加速、信用収縮は新段階に」

2008年3月 21日 ロイター

 前日米株式市場の上昇を好感して21日の東京株式市場は上昇したが、NY市場の動向に詳しい市場参加者によると、米株の上昇は一部のヘッジファンドなどがポジションを閉鎖するためにやむなく買い戻しを余儀なくされている部分も多い。

 原油や貴金属の下落とあいまって、ヘッジファンドなどリスクマネーを取り扱っている参加者のポジション閉鎖とキャッシュ化(現金化)の流れが加速しており、世界的な信用収縮は新たなステージに突入した可能性が高い。


●「NY市場 リーマンに信用危機の噂、同社は事実無根と否定」
2008年3月28日(金)

 午前のNY株式市場で、リーマン・ブラザーズ株価が大幅に下落している。 ベアー・スターンズに流動性危機が起こって以来、業界内では同じくらい の位置でもある同社にも信用危機の噂が耐えない。きょう株式オプション市場で同社のプット(売る権利)に大量の商いが成立したことで、市場では再び信用危機の噂が増幅している。クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場でも、同社のスプレッドが拡大(クレジットリスク増大)している。

  これについてリーマン・ブラザーズ側は「信用危機の噂は事実無根、短期のショート筋が流布しているのではと疑っている」と否定している。


● 2008年3月28日(金)

欧州でバブルと言えばスペイン

Roof threatens to fall in on Spanish property
ttp://www.ft.com/cms/s/0/8ee25908-fb9e-11dc-8c3e-000077b07658.html

Spain's residential property market is heading for a hard landing, as tightening credit
conditions exacerbate problems of oversupply and years of rampant price inflation.

 不動産市場はハードランディングの様相。 ECBの緊急融資もスペインの機関がかなり利用した。

According to the INE, sales of previously owned homes and apartments suffered the
biggest decrease in January, down more than 35 per cent year-on-year to about 32,400
units. New home sales in January slipped almost 15 per cent from the year-ago period,
to some 29,400, compared with closer to 10 per cent towards the end of last year.

販売数は中古で35%の減少、新築で15%の減少 (YTY)

The economy, and in particular its dependence on a construction sector that is rapidly
decelerating, became the central theme of the election and poses the biggest challenge
to the government of Jos? Luis Rodr?guez Zapatero, prime minister.

建設業、住宅産業 はスペインでも厳しい。


● 「デモ隊が米ベアーS本社に侵入-JPモルガンCEOに面会求め騒ぐ」

Protesters Enter Bear Stearns Lobby, Demand Meeting With Dimon

2008年3月26日 ブルームバーグ

 米証券大手ベアー・スターンズの米銀JPモルガン・チェースへの身売りで米政府に抗議するデモ隊が26日、ニューヨークのベアー・スターンズ本社のロビーに侵入するという騒ぎがあった。

 人権団体ネイバーフッド・アシスタンス・コーポレーション・オブ・アメリカ(NACA)のデモ参加者約200人がビル後方の出入り口から侵入。JPモルガンのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)との面会を要求して騒いだ。参加者はその後、約30分で同ビルから引き揚げたという。

 NACAのブルース・マークスCEOは同日インタビューに応じ、ベアー・スターンズの身売りについて「これは納税者による救済だ」と指摘。「住宅ローン危機の原因を作り出した人に解決させるべきだ」と強調した。JPモルガンの広報担当、ジョゼフ・エバンジェリスティ氏はデモとNACAの主張に関するコメントを控えた。


●「3月26日「サブプライム損失120兆円の可能性も、G・サックス試算」

2008年3月26日 読売新聞 ニューヨーク、山本正実

 米大手証券ゴールドマン・サックスは、サブプライムローン問題を背景とした金融市場の混乱で、世界の金融機関や投資ファンドなどの損失が1兆2000億ドル(約120兆円)に達する可能性があるとの報告をまとめた。

 このうち、米国分の損失は、約4割に相当する約4600億ドルにのぼるという。米メディアが25日、一斉に報じた。国際通貨基金(IMF)は、世界全体の損失が約8000億ドルになるとの試算を発表している。今回の推計はこれを大きく上回っており、サブプライム関連の損失拡大がさらに続くとの見方が広がりそうだ。

 ゴールドマンは報告で、「評価損を出すなどした金融機関が、自己資本比率を維持するため融資を控え、信用収縮が一段と進む」とも指摘している。


●「S&P、FGICと子会社を再度格下げの可能性-資本調達を疑問視 」
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003009&sid=aXen8InAVL9g&refer=jp_home

2008年3月21日 ブルームバーグ

  米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は21日、 金融保証会社(モノライン)のファイナンシャル・ギャランティー・インシュアランスと 親会社FGICの格付けを再度引き下げる可能性があることを明らかにした。資本調達の能力などを疑問視している

 

●「米株式、70年代以来の弱気相場の恐れ-投資家は買いシグナルに無反応」
Buy Signals Abound in U.S. Stocks Shadowed by 1970s Bear Market

2008年3月17日 ブルームバーグ

 投資家が約20年ぶりの強い買いシグナルを無視するなか、米株式相場はこの40年で最も広範囲にわたる弱気相場となる瀬戸際にある。

 構成する10業種すべてが下落し、S&P500種株価指数は昨年10月9日の過去最高値から18%、2000年初め以来で12%それぞれ値下がりしている。今回の下落は、米株式相場にとって過去80年で最悪の時期だった1970年代と 1930年代の下げに似ている。同指数が20%下げた過去6回のうち、唯一、1987 年の株価暴落(ブラックマンデー)だけが非常に幅広い売りを浴びた。

 ファースト・イーグル・グローバル・ファンドのジャンマリー・エベイアール氏は、「これは第2次世界大戦後で最大の金融危機だという意見に賛成だ」とし、「米経済は1-6月(上期)に減速し、その後に好転するとの立場をとる投資家は、恐らく夢を見ているのだろう」と述べた。213億ドル規模の同ファンドは現金と金が約25%を占め、米株式の保有割合を上回っている。

 過去10 年間の年間平均リターン(投資収益率)は15.2%で、これに対しS&P500種株価指数の年率の上昇率は0.1%に満たない。 株価下落で、S&P500種株価指数の構成企業の予想PER(株価収益率)は約18年ぶりの低水準となっており、米10年物国債に対するバリュエーション(株価評価)は少なくとも過去20年で最低。大恐慌以来で最悪の住宅不況や住宅ローンに関連した

 2000億ドル(約19兆4500億円)の銀行の損失計上に加え、先週にはニューヨーク連銀と米銀大手JPモルガン・チェースが米証券大手ベアー・スターンズの緊急支援を実施するなか、投資家は従来の買いのシグナルに従った行動はしていない。
弱気相場まで2.3ポイント

 S&P500種株価指数は、弱気相場の目安とされるピークからの20%下落まで約2.3ポイントに迫った。シティグループやカントリーワイド・ファイナンシャルなどの金融関連会社の下げが最もきつい。金融株は昨年10月以来、 34%値下がりしており、下落率は10業種で最大。 先週は0.4%安と3週連続の下落となった。MSCIアジア太平洋指数は2週連続の下落で、2.6%安。ダウ欧州株価指数は1.2%下げた。

 14日の米市場で株安はさらに加速した。住宅ローン債券の引き受けで米2位のベアー・スターンズの資金繰りが「大幅に悪化した」との発表を受け、ニューヨーク連銀と米銀3位のJPモルガン・チェースによる緊急支援が行われたことに反応した。ベアー・スターンズは同日、時価総額の約半分を失った。

  クレディ・スイス・アセット・マネジメントのボブ・パーカー副会長(ロンドン在勤)は「株価が底入れする前に、一段安の展開があるだろう」との見方を示した。

●「SQを覆うソシエテの影」

日経ヴェリタス 岩切清司 2008年3月11日

 2008年3月11日 の東京株式市場で、日経平均株価は3日ぶりに反発。しかし、売り方の買い戻しとの見方が大勢で戻りは鈍い。円高・原材料高という外部環境の悪化に加え、14日の株価指数先物・オプションの特別清算指数(SQ)算出を控えていることも手控え要因。

 ソシエテ・ジェネラル証券が日経平均先物3月物の買い建玉を3万枚超も保有しており、その動向に市場は身構えざるを得ないためだ。デリバティブ市場の主導で日経平均が1万2000円を割り込む場面が出るとの指摘もある。

 「今回のSQで不気味な影を落としているのがソシエテのポジション」(岡三証券の森本敏喜トレーディング・マネジャー)。10日時点では3万6000枚超(想定元本で4500億円、 1枚約1300万円)で、2番手の買い建玉と比べて3倍超と突出ぶりである。

●「スイス・フラン:対ドルで上昇、初の等価突破-リスク回避の高まりで」

2008年3月14日 ブルームバーグ

 14日の欧州外国為替市場では、スイス・フランがドルに対して上昇し、初めて1ドル=1スイス・フランの等価を超えた。米ベアー・スターンズが緊急資金受け入れを余儀なくされたことを受け、米国がリセッション(景気後退)入りするとの懸念が高まり、スイス・フランで調達した資金で購入した高利回資産を売りスイス・フランを買い戻す動きが強まった。

 スイス・フランは今年、主要16通貨すべてに対して上昇している。株式相場が下落するなか、米サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン危機を背景に、キャリートレードを巻き戻す動きが広がっている。スイス経済が世界的な信用収縮からの最悪の影響を免れていることから、米連邦準備制度理事会(FRB)よりもスイス国立銀行(SNB)は利下げに消極的との見方もスイス・フランの支援材料となっている。

 スイス・フランは一時、1ドル=0.9988フランまで上昇した。チューリヒ時間午後3時3分(日本時間午後11時3分)現在は同0.9996フランで取引されている。13日は1ドル=1.0093フランだった。


●「NY株、一時300ドル安・金融不安が再燃、円は99円56銭 」

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080314AT2
M1403L14032008.html

2008年3月14日 ニューヨーク、日経新聞

 14日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、下げ幅は一時300ドルを超えた。正午(日本時間15日午前1時)現在、前日比175ドル03セント安の1万1970ドル71セントで推移している。ベアー・スターンズへの緊急融資の発表を受けて金融不安が再燃した。

 外国為替市場では株価急落を受けてドルが売られ、一時1ドル=99円56銭と1995年10月以来の円高・ドル安水準となった。正午現在、前日比50銭円高・ドル安の100円10―20銭で推移している。対ユーロでも一時1ユーロ=1.5690ドルとユーロ導入以来の最安値を更新した。

 金先物相場は4日続伸。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心である4月物は一時1トロイオンス1009ドルちょうどを付け過去最高値を更新した。正午現在、前日比6.6ドル高の1000.4ドル。 (01:28)

● (副島隆彦注記。 以下のブルーンバーグのコラムニストは、日本あやつり班の仲間だ。アメリカが、自民党と財務省官僚たちに指図して、ごり押ししようとしている武藤敏郎を日銀総裁にしようとしている。そうならないで別の人物に差し替える、という案が、今の日本の国会の勢いでは通りそうなので、グローバリストどもは焦っている。日本は、ここでも「ぐちゃぐちゃ戦法」 を取っている。

 この手が属国としては最高である。 偉い。日本の指導者たちは、暗黙の団結をしている。この戦法が、どんどん金融で崩れつつあるアメリカ帝国には一番、効き目がある自民党の実力政治家たちでも、一部の、本当に馬鹿なアメリカへの忠勤ハチ公をやろうとする、愚劣なごろつき政治家たちを除いては密かに武藤敏郎案に反対している。小泉・竹中平蔵クラスのアメリカの忠犬そのものになると、事態の深刻さをよく知っているので、かえって何も言わないようだ。

 以下のW・ペセック という男 が、「日銀を政争の具にするべきではない」というのは、アメリカの焦りだ。日本側の、日銀総裁をなかなか決めようとしない、という この「ぶらかし戦術(戦法)」に、苛立っているのだ。副島隆彦注記終わり)

「 混乱する世界が日本の「愚」に目を向ける-W・ペセック 」

BOJ Is Hamstrung as Stupidity Reigns in Tokyo: William Pesek

2008年3月14日 ブルームバーグ

 世界市場が大きく揺れ動いている現在、世界は日米欧の当局者の動向に注目している。しかし来週、世界は日銀総裁空席という事態を目の当たりにする可能性がある。

19日に任期が切れる福井俊彦日銀総裁の後任人事で、民主党など野党は武藤敏郎副総裁の総裁昇格に反対している。確かに、心を躍らされるという点では武藤副総裁は最高の候補者ではないかもしれないが、総裁となっても全く問題のない人物だ。

 問題なのは、日本のイメージにさらに泥を塗りかねない浅薄な政争なのだ。これまで世界のメディアが日本を取り上げる際、「野党リーダー」という言葉が使われることは少なかった。事実上、一党支配が続いていたからだ。

 しかし、民主党が昨年、参議院第一党となり、今や日本はこれまで経験したことのない機能する二大政党制に足を踏み入れている。だがこれまでのところ、二大政党制は政治的まひ状態を招き、不運な犠牲者となったのが日銀だった。

《 点数稼ぎ 》  民主党は、日銀の独立性という観点から元財務事務次官の武藤氏の総裁就任に反対すると主張しているが、おかしな話だ。日本の政治家は実際には、日銀が独立性を発揮して利上げを進めることなど望んでいない。そんなことは政治家の生命を著しく困難なものにする。

 これはあくまでも政治的な点数稼ぎなのだ。ただ、日銀を点数稼ぎに利用するのは間違っている。福井総裁の任期を若干延長することも考えられるが、浅薄な政治ではこのような措置は難しいだろう。これは日本の危機だ。

 愚かしいことが多過ぎる。自民党にしても、野党が武藤氏に反対することを知っていながら代わりの候補を用意しなかったのはおかしい。野党のリーダーも、武藤氏に代わる総裁候補者を胸の中で決めておかなかったのはおかしい。

《福田政権の問題 》 日本の景気回復は揺るぎ始めており、政府は経済問題に集中する必要がある。しかし、政府はインド洋での海上自衛隊の給油支援や調査捕鯨、中国からの輸入食品の問題などに力を入れてきた。 政府がまず集中すべきなのは、リセッション(景気後退)の回避と、より多くの国民が経済成長の恩恵を享受できるようにすることだ。

《活気ある国内市場へ 》 そのためには、家計の貯蓄縮小と支出拡大を促す必要がある。もちろん米国の消費者のように借り入れによって消費を増やすのではなく、あくまでも活気のある国内市場の創出が求められる。トヨタ自動車は今週、2008年春闘の労使交渉で、1000円の賃上げを回答した。松下電器産業も同額の回答をしている。この金額は私からみればおかしいと思える。内閣府が発表した2月の消費者態度指数が5年ぶりの低水準となったのもむべなるかなと考えざるを得ない。

 日本にとってより大きな問題は、硬直した、変化を嫌うビジネスモデルだ。小泉純一郎元首相は任期中、改革を目指した。しかし小泉氏の首相退任後、改革の勢いは失われ、株の持ち合いや買収防衛策は小泉政権時代よりも増えている。

 民主党が改革を進めることも期待されたが、小沢一郎代表が率いる同党は政治的駆け引きを優先させているように思える。政治家は常にそういうものだ。だからといって、日銀を政争の具にするべきではない。現在の世界の状況はあまりにも不安定であり、日銀総裁が空席で乗り切れるような時期ではない。まさに愚の骨頂だ。(ウィリアム・ペセック)

(ウィリアム・ペセック氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

●(副島隆彦注記。 米財務省が、泣き言を言って、「米国債を売らないでくれ。お願い」と言い出している。)

http://jp.reuters.com/article/forexNews/idJPnTK81256562
0080314?rpc=195

[ロンドン 2008年3月 14日 ロイター] キミット米財務副長官は14日、海外投資家は今後も米国債保有を続ける必要があるとして、ドル安に関する懸念を否定した。

 副長官はCNNテレビで「われわれは、外国政府を含め、米国のあらゆる種類の証券を買っている投資家の意思決定に注目している。 政府を含め、海外投資家は分散投資の一環として今後も米国の証券を保有する必要があるだろう」と述べた。

 現在の世界的な金融危機への対応については、各国政府が責任を共有している、との認識を示した。 副長官はまた、政府系ファンドの動向を注視する必要があるとのこれまでの見解を繰り返し、「これまでのところ、政府系ファンドは世界経済にとって非常に前向きの力となっている。ただ規模と数が拡大しており、警戒が必要だ」と述べた。


●「特集:ドル100円割れ1871年以降の円の歴史」

2008年 3月 13日 東京  ロイター

 ドルが対円で1995年11月以来12年4カ月ぶりに100円を割り込んだ。以下は1871年以降の円の対ドル相場で節目となった主な出来事。

1871年—明治維新で新貨幣条例が施行され、円が日本の通貨となる。金本位制を導入。

1949年—第二次大戦後、ブレトン・ウッズ体制の下で1ドル=360円に設定される。

1959年—上下0.5%の変動幅が設定される。

1963年—変動幅が0.75%に拡大される。

1971年—米国が金本位制を廃止し、固定相場制のブレトン・ウッズ体制が崩壊。世界の通貨が交換比率の再調整を余儀なくされる。

1971年12月—スミソニアン協定により、ドル/円が308円に改定される。変動幅は301.07─314.93円に拡大。

1973年—日本の通貨当局がドル/円の変動相場制への移行を決定。円は263円まで上昇。

1978年—円が対ドルで200円を初めて上回り、177円まで上昇。

1980─1985年—日本の巨額の貿易黒字にもかかわらず円の上昇が止まり反転。米国の金利上昇で日本の投資家によるドル資産への投資が増加。

1985年—7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)の前身となるG5(米、英、西独、仏、日)がドル高是正に向けたプラザ合意に調印。円は合意前の240円付近から10月には211円、11月には200円と、短期間に20%上昇。

1986年—ドルがさらに下落。1月には約190円、4月には167円、8月には153円となる。

1987年—2月にG7のうち6カ国が通貨安定と幅広いドル安阻止を目的にしたルーブル合意に調印。ドルの下落は止まらず、153円付近から4月には137円、年末には120.80円に。

1988年1月4日—ドルが東京市場で戦後最安値の120.45円に下落。以降5年以上この水準が最安値となる。日銀は大蔵省(当時)の委託でドル買い/円売り介入を実施。

1993年4月17日—ドルが東京市場で100.40円に下落し、戦後最安値を更新。

1994年6月21日—ドルがニューヨーク市場で100円の大台を割り込み、戦後最安値の99.85円を付ける。終値は100.30円。

1995年4月19日—日米貿易摩擦が大規模なドル売りを誘発し、ドルは戦後最安値の79.75円を付ける。1995年末には103.40円付近に回復。

1998年6月17日—ドルが144円超に急伸したため、米通貨当局が日銀の円買い介入に協調。介入額は8億3300万ドル。その後、円キャリー取引が一因となり、8月にはドルが148円付近に上昇。

1998年—米ヘッジファンド、ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)の破たんをきっかけとした世界の金融市場の動揺を受けてキャリー取引が急速に巻き戻される。10月の1週間でドルは136円付近から111.50円付近まで急落。

1999年—介入の繰り返しにもかかわらず円高が進行。11月には102円に達する。

2001年—9月11日の対米同時多発攻撃事件を受け、日銀が円売り/ドル買い介入を実施。

2003年—日本経済がバブル崩壊後の低迷とデフレから抜け出せない中、輸出企業を保護する目的もあり、財務省が対ドルでの円上昇に歯止めをかけるため大規模な介入を開始。財務省は1年間で20兆4000億円(2000億ドル)を介入に使い、そのほぼすべてがドル買い/円売りに充てられる。

2004年—財務省の第1・四半期の介入額は14兆8000億円(1450億ドル)。1月9日単独で1兆6700億円をドル買いに支出。財務省はこの後、3月に介入を停止し、以降全く実施していない。

2005年—円は1月に101.67円まで上昇。その後、円キャリー取引と日本の投資家が外貨資産に資金をシフトさせたことを背景に下落基調となり、12月には121.40円を付ける。

2007年6月—ドルが4年半ぶり高値の124.14円を付ける。

2007年7月—円が幅広く下落し、実質実効為替レート(REER)ベースで22年ぶり安値を付ける。2005年1月以降、円はREERベースで25%下落。

2007年8月—米サブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手への住宅ローン)危機に端を発した金融市場の急変で円キャリー取引の巻き戻しが一気に進展。ドルは120円付近から111.60円に下落。高利回り通貨の豪ドルとニュージーランドドルは10%近く急落。 (出所:ロイター、日銀、イングランド銀行)

 

●「米政府、格付け会社の監督強化=金融不安再発防止策を発表へ-WSJ紙」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080313-00000088-jij-int

2008年3月12日 ワシントン、 時事通信

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は12日、米政府が住宅ローン業者や格付け会社の監督強化などを柱とする金融・信用不安の再発防止策をまとめ、ブッシュ大統領に勧告すると報じた。ポールソン財務長官が13日の講演で発表する。

 財務長官は同紙のインタビューに対し、再発防止策には、連邦および州での監視強化や全米統一の免許基準導入を通じた住宅ローン業者の規制強化が盛り込まれると説明した。 さらに格付け会社と監督当局には、通常の債券と複雑な仕組み債との区別を徹底するよう求める。また証券化商品を格付けする際には利益相反の有無の公表を格付け会社に義務付けるほか、 証券化商品を組成する金融機関に対しては、複数の会社に格付けを依頼するよう要請する。


● 「カーライル・キャピタルが債権者と合意できず、残り資産差し押さえへ」

 ニューヨーク、香港 2008年3月12日 ロイター

 米プライベートエクイティのカーライル・グループ[CYL.UL]傘下のカーライル・キャピタル は12日 債権者との協議が合意に至らず、残りの資産が差し押さえとなる見通しを明らかにした。

 世界のクレジット市場の新たな懸念要素が明らかになったかたちで、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では指標となるiTraxx指数(日本を除く)のスプレッドが ワイド化した。カーライル・キャピタルのデフォルト総額は約166億ドルで、12日時点でポートフォリオ上の唯一の資産は米政府機関発行のトリプルA格の住宅ローン担保証券(RMBS)。

 同社は過去7営業日の間、追加担保の差し入れ要求額が 4億ドルを上回ったことを明らかにしていた。追加担保の要求に応じることができず、債権者が担保の差し押さえに動くという。

 これを受けアナリストは、米住宅市場の低迷に端を発した世界的なクレジット危機への懸念が深刻化する、とみている。 香港のBNPパリバのクレジットアナリスト、ブレット・ウィリアムス氏は 「センチメントは総じてネガティブ。レバレッジの高いファンドが追加担保差し入れに応じられなかったというニュースは、損失拡大で余儀なくされる売りや担保不足、追加担保差し入れに応じられない状況が増えるといった悪循環への懸念を増大させる」と述べた。

 カーライル・キャピタルによると、親会社のカーライルは債権者との交渉に積極的に参加した。借り換えが成功する場合は多額の追加資本を投入する用意があるという。債権者との交渉は12日遅くに難航。一部の債権者による評価で住宅ローン担保証券の価値が低下し、13日に約9750万ドルの追加担保差し入れの必要が生じる見込みだという。


●「米金融保証会社、「実際の損失」は時価評価下回る可能性=ムーディーズ」

2008年 3月 11日 ニューヨーク、ロイター

 ムーディーズ・インベスターズ・サービスは11日、債券の元利支払いを保証する米国の金融保証会社について、実際の損失は、保有資産の時価会計で計上した損失を大幅に下回る可能性があるとの見解を示した。

 モーゲージ関連の債券保証で数十億ドルの支払いを迫られるとの懸念から、大手金融保証会社の株価は急落している。過去半年間でMBIA が81%、アムバック・フィナンシャル・グループは79.4%それぞれ下げている。

 しかし、ムーディーズのアナリスト、テッド・コリンズ氏はコンファレンスコールでの質疑で、金融保証会社が抱えることになる損失については、時価会計ではなく「実際の経済的な損失」を算定して格付けを行うアプローチをとっていると述べた。同氏によると、この損失予測額は「計上されている時価評価による損失」を下回るとしている。

 会計監査会社などは金融機関に対し、保有資産を時価評価して把握しやすくするよう圧力をかけているが、一部の金融機関では、短期的に振れやすい価格は実際の損失を過大評価させるとして不満が出ている。金融保証会社が抱えている損失が見通しよりも少ないことが判明すれば、投資家にとってはある程度プラス材料になる。 アムバックはクレジット・デリバティブで数十億ドルの評価損計上に追い込まれたが、これらの償却は必ずしも実際の損失に反映される必要はないという。


●「米フレディマック、利益率向上で今年の収益改善へ=CFO」

2008年 3月 12日 ニューヨーク ロイター

 米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)の幹部は12日、利益率の向上で今年の収益が改善するとした上で、深刻な不動産市場の問題には対応できる十分な資本があると指摘した。

 住宅価格の下落とローン破たんの増加を受け、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)関連資産などの評価損計上で、フレディマックは同業の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)とともに昨年下期に業績が悪化した。フレディマックは07年通期に31億ドルの損失を計上した。

 ピツェル最高財務責任者(CFO)は、利益率の向上で収益が前年から改善するとの見通しを示した。また、米国一般会計原則(GAAP)による投融資の時価評価で「2007年は痛手を負ったが、08年はそれほどひどいものにはならない」と述べた。GAAPでは、公開企業はバランスシート上の資産を時価評価しなければならない。

 モルガン・スタンレーのアナリストは、フレディマックの第1・四半期の1株損益について「従来予想の1.44ドル損失から0.63ドル損失に修正した。しかし、黒字に転換するのは第2・四半期ではなく、第3・四半期になる」との見通しを示した。


●「公的資金が必要になる可能性=IMF筆頭副専務理事」

2008年3月12日 ワシントン、 ロイター

  国際通貨基金(IMF)のリプスキー筆頭副専務理事は12日、世界的なクレジット問題は深刻化するおそれがあり、各国中央銀行は経済への影響を緩和するために、幅広い対策を検討しておく必要があるとの認識を示した。

 同副専務理事は講演で「(クレジットの)問題がさらに深刻化するリスクが高まっていることについて、現時点では疑いの余地は少ない。世界の金融システムと経済を強固にするには、断固とした行動が必要になる」と語った。

 また、金融政策だけでは不十分な可能性があるとの見方を示し「金融システムを守るために、公的資金の活用も含めすべての選択肢を用意しておかなければならない」と述べた。

 「個別の銀行に公的資金を注入することを提唱するつもりはないが、市場を通じた解決方法が尽きた場合には、公的部門が介入することが適切であることを認識している」と語った。

 リプスキー副専務理事は、米欧中銀の新たな流動性対策は「有益だ」として評価した。ただ、金融政策は現在の問題に対処する上で、比較的効果が弱い可能性があると述べ、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ後も長期金利は依然として高止まりしていると指摘した。

 FRBは「適切に」行動したとする一方で、欧州中央銀行(ECB)は「成長への下振れリスクが高まりインフレリスクが低下すれば、柔軟な」対応が可能になるとの見方を示した。


● 「米原油在庫が大幅増加、ガソリン在庫は15年ぶり高水準=EIA週間在庫統計」

2008年 3月 12日 ニューヨーク ロイター

 米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)が12日発表した週間石油在庫統計(3月7日までの週)によると、輸入増や稼働率低下を背景に、原油在庫が大幅に増加した。ガソリン在庫も15年ぶり高水準となった。

 原油在庫は620万バレル増の3億1160万バレルとなり、2007年11月23日終了の週以来の高水準となった。ロイターがまとめたアナリスト予想は170万バレル増だった。

 輸入は日量111万バレル増の同1055万バレルだった。製油所稼働率は0.9%ポイント低下し85.0%。アナリスト予想は0.2%ポイント上昇だった。ガソリン在庫は170万バレル増の2億3600万バレルとなり、アナリスト予想(30万バレル増)を大幅に上回り、1993年3月以来の高水準となった。

 ヒーティングオイルやディーゼルを含む留出油在庫は120万バレル減少し1億1640万バレル。アナリスト予想は190万バレル減だった。


●「米ワシントン・ミューチュアル、英ヘッジファンドが出資打診=WSJ」

2008年 3月13日10ロイター

 [ニューヨーク 12日 ロイター] 12日付の米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙(電子版)は、英ヘッジファンドのトスカファンド・アセット・マネジメントが、米大手貯蓄金融機関ワシントン・ミューチュアルに対し出資の可能性を打診したと報じた。

 関係筋の話として報じた。トスカファンドは今週、ワシントン・ミューチュアルの取締役会に接触、自己資金を投じることを打診した。ワシントン・ミューチュアルには、ゴールドマン・サックスか投資家ウォーレン・バフェット氏が資本注入するとの観測も出ている。


●「ドル12年ぶり100円割れ、サブプライム問題を背景に全面安」

2008年3月13日 東京、 ロイター

 13日夕方の外為市場で、ドル/円が一時99.77円まで下落。12年4カ月ぶりに100円を割り込んだ。ドルは対ユーロでも1999年のユーロ導入来安値を一時更新した。

 また、主要6通貨に対するドルの値動きを示すドル指数も過去最低を記録。市場筋によると、サブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手向け住宅融資)問題を背景に、海外大手金融機関の経営悪化や米景気減速に対する懸念が高まり、ドル安が進んでいる。(基太村真司記者)


●「NY原油、初の110ドル台 ドル安で資金流入が加速」

2008年3月13日 共同通信

 12日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物相場は、主要通貨に対するドル安が進んだことで投機資金の流入が加速し、指標となる米国産標準油種(WTI)4月渡しが1バレル=110・20ドルまで上昇、初めて1バレル=110ドルを突破し、6営業日連続で最高値を更新した。

 これまでの最高値は、11日に記録した109・72ドル。12日の終値は前日比1・17ドル高の109・92ドルで、終値ベースでも最高値を更新した。原油先物相場は1月2日に初めて100ドルに達してから、わずか2カ月余りで1割上昇した。原油高の加速で、米景気の後退懸念とインフレへの警戒感が一段と強まりそうだ。

 12日の取引では、原油在庫の増加を示す米統計が発表されたことを受け、107ドル台に下落する場面もあったが、ドル安傾向が続いたことからヘッジファンドなどの買いが入り、再び上昇に勢いがついた。米サブプライム住宅ローン問題の影響拡大を背景に、株式市場から商品市場に資金を移す動きも続いている。市場関係者は「需給関係を材料にするよりも、投機的な動きが勝っている」(米アナリスト)と話している。(共同)


● 「新生が本店ビル売却 りそななど他の金融機関でも相次ぐ」

2008年3月13日  産経新聞

 新生銀行は13日、子会社の「ドルフィン・ジャパン・インベストメント」(東京)が保有する東京都千代田区の同行本店ビルの信託受益権を売却すると発表した。ドルフィン社の売却益は660億円に上る。

 一方で、新生銀は米国の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題に伴う市場の混乱による損失も拡大。今回の本店ビル売却と合わせ、平成20年3月期連結決算の業績予想を修正した。経常利益は従来の600億円から200億円に大幅に下方修正するが、逆に最終利益は500億円から650億円に上方修正した。

 新生銀は売却後も賃料を支払って現在のビルに残り、3年以内に東京都内の別の場所に本店を移す予定。りそなホールディングスも、東京・大手町にある東京本社ビルを売却する方向で最終調整している。売却先は複数の不動産会社から絞り込む方向で、売却額は1500億円超で調整している。売却益は、個人向け(リテール)取引の強化などにあてるとみられる。東京本社の機能は売却後に移転する計画だ。

 米金融大手のシティグループの日本法人、シティバンク銀行も、本店がある東京・天王洲の商業ビルを売却した。金融機関の間では、コスト削減や事業再編の観点から不動産を処分する動きが広がっている。


● 「新生銀が本店売却で当期益上方修正、金融庁の収益目標抵触を回避」

2008年3月13日  東京、 ロイター

 新生銀行<8303.T>は13日、連結子会社が保有する本店不動産の信託受益権を売却すると発表した。これに伴い、2008年3月期の単体当期純利益見通しを従来予想の430億円から500億円に引き上げた。

 公的資金注入行に対して課せられている金融庁の収益目標をクリアする見通しとなり、行政処分発動による経営陣辞任を免れる見通しとなった。

 連結子会社のドルフィン・ジャパン・インベストメント(東京都千代田区)が保有する同行本店不動産の信託受益権を、モルガン・スタンレーが運用している不動産ファンドが出資する特定目的会社に売却する。帳簿価額520億円に対し売却価額は1180億円と約660億円の売却益が発生する。

 金融庁が公的資金注入行に課している収益の「3割ルール」では、銀行が作った経営健全化計画の収益目標を3割を超えて下回った場合、行政処分が発動されることになっている。新生銀の場合は、420億円がボーダーラインになっており、従来予想の430億円の利益予想ではぎりぎりの水準だった。国内証券の銀行アナリストの1人は「3割ルール回避のための益出しだろう」とコメントした。

 一方で、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題の影響で経常利益見通しは下方修正し、08年3月期連結経常利益見通しは600億円から200億円に引き下げた。追加的な米国住宅ローン市場関連費用や最近の海外クレジット市場の混乱による影響などを見込んだ結果だという。(ロイター日本語ニュース 布施 太郎)


● 「新生銀本店を1180億円で売却、健全化計画の達成狙う」

2008年3月13日  読売新聞

 新生銀行は13日、子会社が保有している東京都千代田区の本店を米証券大手モルガン・スタンレー系の特別目的会社に売却すると発表した。

 売却額は土地と建物を合わせて1180億円。これにより、新生銀行は2008年3月期連結決算で560億円の売却益を特別利益として計上し、税引き後利益を従来予想より150億円多い650億円に上方修正した。

 新生銀行は07年3月期決算で税引き後利益が初めて赤字に転落し、国からの公的資金注入に伴う経営の健全化計画を見直した。今回の本店売却は計画で定めた利益水準を達成するのが目的と見られる。新生銀行は今後3年以内に新しい本店に移転する予定だ。

●「先進国でインフレ目標の下限がゼロ%の国ない=伊藤日銀副総裁候補」

ttp://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-
30759320080311

東京 2008年3月11日 ロイター

 日銀の副総裁候補となっている伊藤隆敏・東京大学大学院教授は11日午前の衆院での所信聴取で、 中央銀行の最大の責務は物価安定だと述べた上で、インフレ率は低いがマイナスではないということが物価安定だとの認識を示した。

 その上で、諸外国にはインフレ目標を採用するところが多いが、先進国の中でインフレ目標の下限がゼロ%の国はない、と指摘した。 伊藤副総裁候補は、日銀のあるべき姿と果たすべき役割について「金融政策の最大の責務は物価安定との認識が各国研究者や当局の間で共有されている」とし、「この場合の物価安定はインフレ率は低いがマイナスではない、一定の範囲内に収まっているという意味だ」と定義した。

 さらに「中銀が物価安定を図っているというマーケット関係者の信任・期待を得られていることも重要。つまり、物価安定というのは実行と期待の両方が重要だ」と述べた。

 日銀の独立性に関しては「十分に透明で説得的な説明を行う責務があるととともに、結果に対する説明責任を問われる」と指摘。日銀の総裁・副総裁は内外に金融政策の目的、経済状況、現状と見通しなどを説明することが求められているとした。そうした課題について日銀はこれまでいろいろと改善努力をして前進したが、まだ完成の域には達していないとして、今後の改善のための議論に副総裁として参加していきたいと述べた。

 日本の金融政策の枠組みについては、透明性・説明責任・市場の期待に対応するために「諸外国ではインフレターゲットを導入するところが多くなった」と指摘。さらに「先進国の中でその下限がゼロ%の国はない」とも述べた。インフレ目標を導入しない場合の透明性については各国とも模索を続けているとした。ただインフレ目標はインフレを引き起こすことを目的としているのではなく、インフレ率を低位だがマイナスではない 範囲に安定的に抑える政策だと付け加えた。

 世界経済の現状については、不況のリスクの高まりという第1のショックと資源価格の高騰などの第2のショックに 見舞われているとの認識を示した。その上で「一番恐れられているのは成長率の鈍化と一般物価上昇の組み合わせであるスタグフレーションだ」と指摘、「金融政策の対応が非常に難しい」と語った。「日銀の副総裁としてこの困難な問題に真剣に向き合い、総裁・副総裁・審議委員と協力しながら最適な金融政策を検討していくつもりだ」と決意を述べた。

 伊藤副総裁候補はこれまでの経験から各国の政策当局にネットワークを築いていることを披露し、「もし副総裁に就任できればこのネットワークが貢献できると思う」と述べた。


●「ムーディーズとS&P、「AAA」サブプライム関連証券格下げに遅れ? 」

2008年 3月11日 ブルームバーグ

「 格付けを据え置いている事実はこっけいだ カイル・バス氏 」
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003009&refer=jp_top_world_news&sid=arheznShSUJM

 米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)とムーディーズ・インベスターズ・サービスは、サブプライム住宅ローン関連証券ほぼ1万件の格付け引き下げ後、 市場に最も意味のある証券の格下げは実施していない。これらは金融機関や保険会社の主要な投資先であるトリプルA格付けの証券だ。

 ブルームバーグのデータによれば、サブプライム関連証券動向を示すABX指数を構成する同格付けの証券80本中、 S&Pが2月に厳格化する以前の基準を満たしているのは1本もない。
ドイツ銀行が2006年5月に発行した証券の格付けは、裏付けとなる住宅ローンの43%が焦げ付いているにもかかわらず、S&Pとムーディーズから最高格付けを付与されている。

 基準に厳密に従えば、少なくとも1200億ドル(約12兆2460億円)相当の証券がトリプルA格付けを失い、 金融機関の巨額評価損計上につながった住宅ローン危機の痛みはさらに広がることになる。クレディ・スイス・グループによれば、住宅差し押さえが過去最悪を記録後、 トリプルAの証券は額面1ドル当たり 61セントにまで値下がりした。

 「AA」へ格下げとなれば、さらに26セントまで下がる可能性があるという。テキサス州ダラスのヘッジファンド、ヘイマン・キャピタル・パートナーズのカイル・バス最高経営責任者は、ムーディーズとS&Pが「格付けを据え置いている事実はこっけいだ」と指摘。


● 日経新聞 2008年3月11日

 11日、午前8時30分ごろ、米連邦準備理事会(FRB)が政府機関債や格付けの高い住宅ローン担保証券(MBS)などを 担保に最大2000億ドル相当の米国債を貸し出す制度を導入すると伝わった。

 金融機関の資金繰りやMBS市場の流動性が改善するとの見方から、ドルを買う動きが広がっている。 同制度の導入が伝わる前は、円は102円10銭前後で推移していた。

 FRBは同時に、欧州中央銀行(ECB)やスイス国立銀行との間で締結している通貨スワップ協定の拡充を発表した。 ドル資金の供給額を増やすほか、期間も9月30日まで延長する。


●「カーライル株が急落」

共同通信 2008.3.11

Shares in Carlyle Capital plunge

The Associated Press March 11, 2008 AMSTERDAM, Netherlands

 Shares in troubled mortgage-bond fund Carlyle Capital Corp. Ltd. are plunging after regulators lifted a halt to trading in Amsterdam.

 Shares were suspended Thursday after tumbling more than 50 percent on news that the London-based fund was hit with default notices from creditors and that it was unable to meet margin calls.

 Shares of the stock are down 21 percent to $3.95 (2.57 euros) Tuesday.The fund, managed by a unit of Washington D.C.-based Carlyle Group, is in talks with remaining lenders to prevent them from foreclosing on $16 billion in securities.

●「人民元が小幅続伸――元切り上げ後の高値、夕刻は7.1028―30元」

日経新聞 2008年3月12日

 11日の中国外国為替市場で人民元相場は対米ドルで小幅に続伸。中国人民銀行(中央銀行)傘下の中国外貨交易中心(外為取引センター)が運営するホームページ「中国貨幣網」によると、現地時間17時30分(日本時間18時30分)時点の銀行間取引のレートは、前日の同時点に比べ0.0002元の元高・米ドル安の1米ドル=7.1028―30元だった。

 一時は7.1000元近辺に上昇し、2005年7月の元切り上げ後の最高値を更新した。一方、同時点の外為取引センター経由の取引は7.1020―41元だった。


●「NY円売り優勢、103円ちょうど近辺に下落」

日経新聞 2008年3月12日

 11日朝方のニューヨーク外国為替市場では円売り・ドル買いが優勢になっている。午前8時45分現在、前日比1円25銭円安・ドル高の1ドル=102円95―103円05銭前後で推移している。午前8時30分ごろ、米連邦準備理事会(FRB)が政府機関債や格付けの高い住宅ローン担保証券(MBS)などを担保に最大2000億ドル相当の米国債を貸し出す制度を導入すると伝わった。

 金融機関の資金繰りやMBS市場の流動性が改善するとの見方から、ドルを買う動きが広がっている。同制度の導入が伝わる前は、円は102円10銭前後で推移していた。

 FRBは同時に、欧州中央銀行(ECB)やスイス国立銀行との間で締結している通貨スワップ協定の拡充を発表した。ドル資金の供給額を増やすほか、期間も9月30日まで延長する。


●「通貨の対ドルペッグ制撤廃を検討、GCCの統一行動を望む=カタール首相」

http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-30747620080310

ドバイ 2008年3月10日 ロイター

 カタールは自国通貨の対ドルペッグ制撤廃を検討しているが、湾岸諸国が一致して行動することを望んでいる。 ハマド首相が安全保障会議で語った話として、10日付のガルフ・タイムズ紙が伝えた。それによると、ハマド首相は、対ドルペッグ制の放棄は用意ではないが検討していると表明。「湾岸協力会議(GCC)諸国が統一した行動を取るよう望む」と述べた。

● 「産油国がドルを見限る日」

日本経済新聞 2008年3月7日 ニューヨーク、松浦肇

 米メディアは金融不安一色だが、「米国の本当のアキレスけんは中東にある」(エネルギー市場 に詳しい、EMIのドミニク・シリチェラ氏)。

 金とドルの交換を停止した1971年のニクソン・ショック。ドルの地位は凋落(ちょうらく)するとみら れたが、72-73年にサウジアラビアが原油輸出をドル決済すると決めると、石油輸出国機構(OPEC)加盟国が追随。ドルは金の代わりに石油という信用の裏付けを得た。

 だが、ドル安に歯止めがかからないのを受け、「今後1-2年以内にOPECではドル以外での決済を増やすべきだとの議論が本格化する」とシリチェラ氏はみる。  ドルが原油との独占的な兌換(だかん)通貨としての地位を失い、米国が通貨機軸国の座から降りる――最も恐れていたシナリオがウォール街でささやかれ始めた。

● 「サブプライム問題、SIV処理で日本の金融機関に影響も」

2008年 03月 7日東京、ロイター

 3月17日から始まる週には、米ゴールドマン・サックスなど米金融機関の決算発表が予定されており、サブプライム問題の影響を探ろうとする関係者の注目を集めている。各金融機関とも本体で保有する証券化商品の損失処理に加え、関連SIV(ストラクチャード・インベストメント・ビークル)の処理にかかろうとしており、ここでは日本の金融機関に影響が出る可能性も指摘されている。

 金融機関はサブプライム問題にからむ本体の損失処理に追われているほか、さらに関連SIVの処理にかかろうとしている。SIVを連結することで金融機関の処理負担がふくらむと予想されているが、難しいのは、金融機関本体はクレジットラインの提供などにとどまっており、出資の多くは別の金融機関などが行っている点だ。処理によって出資金融機関に損失が出る可能性が高いため、交渉が難航する可能性がある。

 また、日本の金融機関は相対的にサブプライム問題による損失が少ないとみられているが、草野グローバルフロンティア代表取締役、草野豊己氏は「SIVには出資を行っている可能性がある」とみており、SIV処理の過程で日本の金融機関にも損失が生じることもありうるという。

 さらに「金融機関に関連するVIE(変動持分会社)の問題がある」と指摘するのは日興コーディアル証券シニアストラテジストの河田剛氏。河田氏によれば、SIVもVIEのひとつだが、多くのVIEは連結されておらず、金融機関のバランスシートに織り込まれていない。VIEの多くは運用を地方債などで行っているというが、CDOなどを組み込んでいる運用しているケースもあり「財務が悪化すれば金融機関が損失を処理せざるを得ない可能性がある」(大手証券)という。

 その後には傘下や融資先のヘッジファンド処理が待っている。3兆ドルとみられるCDOのうち1兆4000億ドルをヘッジファンドが保有しているが、草野氏は「このうちの約半分はエクイティで価値はほぼゼロになっている」とみており、金融機関が処理に追われる状況は、まだ続きそうだ。


●「FRB議長に不信感=ニューヨーク」

松浦肇 日経新聞 2008年3月7日

 「米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長に対して、辞任を求めるらしい」 米ウォール街のご意見番、ヘンリー・カウフマン氏が今月、記者を呼んだ毎年恒例の晩さん会を開く。ニューヨーク連銀、旧ソロモン・ブラザーズ証券を経た米国の著名エコノミストが、その場でFRB批判を展開する予定なのだという。

 カウフマン氏はITバブルやアナリストの不正問題などに警鐘を鳴らしたことでも知られる。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に関しても、同氏は昨年初めから、「中央銀行が中心となって商業銀行の資金の流れだけでなく、保険会社、投資銀行、ヘッジファンドなどを一元的に監督し、金融政策の対象とする組織が必要」と主張してきた。

 だが、米金融当局は昨年夏まで楽観論を展開していた。利下げや国際協調のタイミングが遅れたことにカウフマン氏はおかんむりなのだという。FRBなど金融当局は、1998年に破綻したロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)危機を乗り切った自信から、金融機関が抱える信用リスク量をチェックすることでシステミック(世界連鎖的)な金融危機を防ぐ監督モデルを確立したが、証券化市場の拡大、格付けの適時・正確性など新しい問題に対応できなかった。

 6日の米株式相場は大幅安となり、S&P500種株価指数は年初来安値を更新。原油高によるインフレ懸念に加え、相変わらずサブプライムローン問題から派生した信用収縮に市場関係者は頭を悩ませている。市場で話題となったのが、シティグループのヴィクラム・パンディット最高経営責任者(CEO)が今週に入って全社員に送ったメールだ。

 「当社の財務内容は健全です」「資本は十分でバランスシートは強い」 シティに対しては週初にウォール街のアナリストが「第1四半期に巨額の追加損失を出す」とリポートを書いており、パンディットCEOのメールには社員の不安を打ち消す意思があったようだ。だが、一介のアナリストの意見に世界最大の金融機関トップが反論する様は異様である。

 米抵当銀行協会(MBA)が同日発表した昨年10~12月期の住宅ローンの延滞率は85年以来の高水準で、住宅の差し押さえ率は過去最大となった。加えて、住宅ローンを手掛ける投資会社ソーンバーグ・モーゲージとカーライル・キャピタルがデフォルト(債務不履行)の通知を受け取っていたことが明らかになった。投資会社が今後、証券化商品を投げ売りすれば、シティなどが保有する証券化商品が一層の値崩れを起こす。

 処方せんを提示しきれていない政治も心もとない。銀行・証券の壁を無くし、金融保証会社モノラインに地方債ビジネスからデリバティブ(金融派生商品)への業務拡大を許した90年代の規制緩和に一因があったことが明らかになってきているが、共和党での代表選出を決めたマケイン候補は「あくまでも自由主義を支持します」と宣言した。

 2候補者が伯仲する民主党もしかり。クリントン候補はここにきて形勢が不利になるやいなや、ファンドや石油業界への課税強化など大衆迎合的な政策を口にし始め、自由貿易に批判的なオバマ候補と似たような経済政策となった。

 サブプライムローン問題についても、思い切った財政出動や低所得者救済など両候補者の対応策には大差がない。大統領選による政治の空白という悪いタイミングに経済危機がやってきた。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝

 

 

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