「82」 サブプライム危機から世界恐慌へ」 (17) アメリカ人(ユダヤ人ではない)投機家ジム・ロジャーズのインタヴュー記事をまとめて載せます。 2008.9.10

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副島隆彦です。 今日は、2008年9月10日です。

 昨年の11月から今年の1月にかけて、何故か分からないが、世界中の金融・経済メディアに、投機家のジム・ロジャーズの発言が、相次いで、集中的に取り上げられた。 「自分は、もう、アメリカ国内のドル建て資産をすべて売り払って(処分して)、シンガポールに移住する。これからは、中国だ。中国の時代だ。それと、金融資産を、どんどん実物資産に置き換える」ということを、一貫して主張していた。

 私は、大方の線で、ジム・ロジャーズと同じような主張を、日本国でしてきた言論人なので、親近感を感じてきた。しかし、ジム・ロジャーズは、かつてジョージ・ソロスと組んで、国際為替投機や、1997年からのアジア通貨危機を仕組み、その前に、上海、香港の土地投機を激しくやった男なので、簡単には、信用しない。きっと大きな裏があるだろう。そのうちに露見するだろう。のちのちのために、ここに纏(まと)めて載せておく。
 副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)

(副島隆彦注記。私は、以下の記事の通り、ジム・ロジャーズがNYで買って、丁度30年暮らした家を、何と買った時の、150倍の値段で、テキサスの石油と、銀投資で有名なハント兄弟 の一族の女性に売った記事に、おおいに驚いた。ここには、歴史時間の経過と呼ぶべき、重要な金額の表示(指標、インデックス)が見られる。この記事は後々、参照するために重要である。副島隆彦注記終わり)

●「ジム・ロジャーズ氏:NYの自宅売却-約18億円、購入価格の150倍 」

Jim Rogers Sells New York Townhouse for $16 Million

2007年12月19日 ブルームバーグ

 投資家ジム・ロジャーズ氏(65)は、ニューヨークの自宅を1600万ドル(約18億1200万円)で売却した。価格は1977 年に購入したときの150倍だった。
  1年間売りに出ていたロジャーズ氏の6階建てのタウンハウスは、12月17 日に売れた。成約価格は売り出し価格より100万ドル高かった。仲介業者によると、ニューヨークのアッパーウエストサイドの1戸建てタウンハウスとしては最高額だった。
現在はシンガポールに住むロジャーズ氏は、このタウンハウスを1977年に 10万7000ドルで購入した。仲介業者のウェブサイトによると、ハドソン川を見下ろす同氏のタウンハウスは「ニューヨーク市で最も選りすぐりの物件の1つ」。
  ロジャーズ氏は10月31日のインタビューで、米住宅市場低迷の回復は「まだまだ先」との考えを示し、「4、5カ月で過剰在庫がはけることはない。数年かかるだろう」と話していた。

●「商品相場の中期的高騰続く 投資家のジム・ロジャーズ氏」

産経新聞 2008年1月27日

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/080127/biz
0801271704001-n1.htm

 商品市況の長期的な強気相場を予測した元コロンビア大学教授のジム・ロジャーズ氏は産経新聞のインタビューに応じ、「10年以内に原油相場は1バレル=150から200ドルに突入する」と述べ、商品の中期的高騰は続くとの見通しを示した。一問一答は次の通り。

 ――サブプライム問題が商品相場に与える影響は

「米国が不況に入り、需要が低迷すれば銅などの原材料や原油も影響を受けるかもしれないが、一時的なものにとどまる。原油は40年以上、巨大油田が見つかっていない。中長期的に見ればまだ上がる」

 ――新興国の株式市場をどうみる

「今回の混乱で、中国以外の新興国株をすべて売った。2~3年で価格が下がれば買い戻すかもしれないが。中国は間違いなく大国になるし、インドやロシアより有望だ」

 ――アジアでの日本の優位性は中国にとってかわられるのか

 「欧州の英国とドイツの関係をあてはめると答えはおのずから出てくる。英国は当初、ドイツの巨大化を恐れたが、結局両国とも存在感を増した。日本と中国は共存共栄を考えるべきだ」


● 「ロジャーズ氏の08年金見通し:当面は下落、後に反発しさらに高値へ」

Gold Will Probably Fall, Then End Year Higher, Jim Rogers Says

2008年1月18日 ブルームバーグ

 米投資家のジム・ロジャーズ氏は18日、今年の金相場について、しばらくの間下落するが、その後再び上昇し、現在の水準よりもさらに高値で一年を終えるだろうとの見方を示した。
ロジャーズ氏はブルームバーグのテレビ取材に応じ、金は「これまで非常に強気相場で推移していることから」下落に向かうと述べ、「相場が下落すれば私はさらに金に買いを入れるだろう」と続けた。

 金現物は今月14日にオンス当たり914.30ドルと、最高値を記録。少なくとも第2次世界大戦以降では最長期間の上昇相場を記録している。原油高がインフレを加速させたほか、信用市場の混乱で投資家が質への逃避を求めたのが背景だ。金相場は2007年に31%上昇し、年間ベースでは7年連続での上昇を記録した。


●「ジム・ロジャース氏:ドルとポンド売り、人民元とスイス・フラン買い」

 Rogers Says Global Currencies are `Under Stress,' Sells Dollar

2008年1月7日 ブルームバーグ

 投資家のジム・ロジャーズ氏は7日、世界の通貨が「圧迫される」なか、ドルとポンドに売りを出したと明らかにした。 同氏はシンガポールからのテレビインタビューで、「世界経済にはインフレが生じており、米国と英国政府はこれまでインフレに関してうそをついてきた」と指摘。「紙幣を増発すればその分状況は悪化する」と述べた。同氏はまた、中国人民元とスイス・フランに買いを入れたことも明らかにした。

●「ジム・ロジャーズ氏:米リセッションは「世界を駆けめぐる」-CNBC」
Jim Rogers Says U.S. Recession Will `Ripple Around the World'

2007年12月14日 ブルームバーグ

 投資家ジム・ロジャーズ氏は14日、米経済専門局CNBCとのインタビューで、米経済は既にリセッション(景気後退)入りしているとの見方を示すとともに、米国のリセッションは全世界に影響をもたらすだろうとの見解を示した。

 同氏は「米国のリセッションは世界を駆けめぐり、中国の一部にも及ぶだろう。ただ、中国経済の多くの部分は米国のリセッションについて知らないままに終わるだろう」と語った。同氏はニューヨークの自宅を売却し家族とともに中国に移住しようとしている。

 同氏はまた、ドルを空売りしているとして、「ドルは英ポンドと同じ道をたどり、世界の準備通貨の地位を失うだろう」と述べた。


●2007年11月24日

 投資家ジム・ロジャーズ氏は23日、ABNアムロ・マーケッツ主催のアムステルダムでの 会合で、自分自身の資産をすべて米ドル以外に移し、中国の人民元を買う計画を示した。 米金融当局がドルの価値を押し下げる政策を取っているからだと説明した。

 ロジャーズ氏は「向こう数カ月で自分の全資産を米ドル以外の通貨に移したい」と語り、 「米国の状況について、それくらい悲観的だということだ」と説明した。 同氏は中国の人民元は向こう10年で4倍になるとの予想を示した。また、プラチナや 金、銀、パラジウムなどの保有を続けるつもりだと語った。

  米ドルは今年、主要16通貨のなかでメキシコ・ペソ以外のすべてに対して 下落して いる。米国の成長減速や9月の利下げで、ドル建て資産の人気が低下した。 ロジャーズ氏は、ドルの「質を下げるのが、米国の中央銀行と政府の公式の政策だ」 と述べた。同氏は「米ドルは世界の準備通貨だが、これは変わりつつある」とした 上で、「かつて世界の準備通貨だった英ポンドは、その地位を失う間に80%下落した」と指摘した。

 ロジャーズ氏は人民元について、「今買うのに最良の通貨」だろうとして、「向こう10年前後で人民元が大きく下落する状況が思い浮かばない。3倍にも 4倍にもなるだろう」と指摘。高成長の中国は「21世紀の最も重要な国になるだろう」との見方を示した。

 同氏はまた、スイス・フランと円を買っているとして、「この2通貨はキャリー トレードのため下落している」が、円とスイス・フランを調達通貨としたキャリー トレードには「いつの日か巻き戻しが起こり」、これらの通貨は「一直線に上昇するだろう」と予想。「私は円を買っている」と述べた。

 ロジャーズ氏は株と債券の上昇相場は「終わった」との見方を示した。一方、商品については強気を維持し、「今後5、10、15年に富が築けるのは商品だろう。現在の上昇相場は2014-22年ごろまで続くだろう」と語った。また、「貴金属よりも農産物が高リターンだと思う」と述べた。

●「ジム・ロジャーズ氏:米国は史上最悪の「信用バブル」-調整は6年」
Jim Rogers Says U.S. Enduring Worst `Credit

2007年11月5日 ブルームバーグ

 投資家ジム・ロジャーズ氏は5日、インタビューに応じ、米国の信用市場は史上最悪のバブルの状態にあるとし、過剰をそぎ落とすには最大6年かかる可能性があるとの見方を示した。

 同氏は「米国の歴史のなかで、頭金なしに住宅が買えたことなどいまだかつてなかった」と指摘。「米国は過去最悪のバブルを体験中で、調整には長い時間がかかるだろう。バブルは5、6カ月で治癒(ちゆ)するものではない。5、6年かかるだろう」と語った。

 ロジャーズ氏はまた、米ドルと投資銀行株には悲観的だとして、「ドルは非常に深刻な状態にある」と述べた。同氏は「世界には買うものがいくらもある。慎重にして、ウォール街の投資銀行の株のようにバブルになっているものを買わないようにすればいいだけだ」と語り、「投資銀行はまだまだ、大掃除の余地がある。ウォール街に友人は多いが、彼らは資産に起こっていることを理解する必要がある」と解説した。

●「 ロジャーズ氏:バーナンキ議長は「正気の沙汰ではない」-利下げ批判 」

Jim Rogers Says Bernanke Is `A Nut' for Cutting Rates

2007年11月2日 ブルームバーグ

 投資家ジム・ロジャーズ氏は米利下げがインフレ加速を引き起こし経済を損なっているとして、バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長の政策は「正気の沙汰ではない」と批判した。

 ロジャーズ氏はニューヨークでインタビューに応じ、「バーナンキ氏はお札を印刷したくて仕方がない」と述べ、「正気の沙汰ではない。ドルの価値は崩壊しつつある。商品価格は天井知らずの高騰だ。つまりインフレも天井知らずに上昇するということだ。連中のせいでとんでもない事態になるだろう」と続けた。

 ロジャーズ氏(65)はビーランド・インタレスツの会長。同氏はまた、米銀大手のシティグループと住宅金融最大手のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)の株式を空売りしていることも明らかにした。  FOMCは10月31日、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25 ポイント引き下げて4.5%に設定。これで6週間で合計0.75ポイントの利下げが実施されたことになる。

 S&P500種金融株価指数は今年に入り15%急落。サブプライム(信用力の低い借り手向け)住宅ローン市場の急激な悪化で借り入れコストが上昇、証券の評価損計上を余儀なくされる銀行が相次いだ。

 シティグループ、ファニーメイ  シティグループが先月発表した第3四半期決算は57%の減益だった。2日のニューヨーク株式市場でシティの株価は2003年4月以来の安値に急落。現地時間午前10時44分現在、前日比1.02ドル(2.7%)安の37.49ドルで推移している。

 ファニーメイの株価は前日比2.32ドル(4.3%)下げて52.18ドル。年初来では12%下げ、2006年9月以来の安値で推移している。 シティの広報担当者マイケル・ハンレッタ氏、およびファニーの広報担当者ジェイソン・ロボ氏のコメントは得られていない。

 ロジャーズ氏はジョージ・ソロス氏と共同で1970年代にクオンタム・ヘッジ・ファンドを創立。90年代には世界を旅して思いついたアイデアを著書「冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見」、「大投資家ジム・ロジャーズが語る商品の時代」などの執筆に活かしたという。同氏はまた、世界的な商品の上昇相場が1999年に始まると予想したことでも知られる。


●「ロジャーズ氏、米金融株の売り持ち高を拡大-過剰報酬で70%下落も 」

Jim Rogers Bets Against U.S. Investment Banks, Housing Stocks

2007年10月31日 ブルームバーグ

 投資家のジム・ロジャーズ氏は31日、ロンドンでインタビューに応じ、証券や投資銀行など米金融株の売り持ち高を増やしていることを明らかにした。金融業界の「過剰に高い」報酬と投資損が理由。同氏は資産家ジョージ・ソロスとヘッジファンドのクオンタムを創設したことで知られる。

 ロジャーズ氏は「ウォール街では29歳の若者が1年に1000万―2000万ドルも稼いでおり、それを当たり前だと考えている。過剰報酬が横行している」と指摘。弱気相場に入れば金融株は最大70%下落する可能性もあるとの見解を示した。

 同氏は過去1年にわたり売り持ちにしている米金融株のポジションをここ6週間でさらに拡大させたと述べた。ETF(上場投資信託)や個別銘柄を通じて売り持ち高を膨らませたとしたが、具体的な銘柄への言及は避けた。

 米金融機関で最も利益を上げているゴールドマン・サックス・グループは9月20日、1-9月に従業員に支払う報酬(給与・諸手当・賞与)の準備金として169億ドルを積み立てたことを明らかにした。昨年度通期を上回る過去最高額となっている。その1カ月後、メリルリンチはサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン関連の証券投資などで四半期の評価損としては過去最高となる84億ドルを計上した。

 ロジャーズ氏は「投資銀行は巨額の悪質な証券を抱えており、財務状況がどれだけ悪いかは誰にも分からない」と指摘した。
 同氏は自己資金を使ってこれらの投資を実施したとし、運用資産の規模については言及を拒否した。

住宅市場    米住宅市場の低迷については、「回復にはまだ長い時間がかかる。4、5カ月では過剰な住宅在庫は解消できない。数年はかかるだろう」と語った。 全米不動産業者協会(NAR)が24日に発表した9月の中古住宅販売件数(季節調整済み、年換算)は前月比8%減の504万戸と、同統計の算出開始(1999年)以来で最低だった。

 ロジャーズ氏は米住宅株を3年前から売り持ちにしていることを明らかにした。ただ、ニューヨークで保有している6階建て住宅を提示価格の1500万ドルを上回る値段で売却しようとしていることも明らかにした。その上で、「米住宅市場は堅調な地域もあれば、そうでない地域もある」と述べた。

●  日本政府は、日本が大量に保有している米国債を売却することは、実際上、不可能である。

 米国債を売れないように、日本の機関投資家(大銀行、生保、大証券)は、それぞれ一札入れさせられているらしい。間に、日本の財務省のアメリカの手先代表(日本の大蔵官僚の中の大場とも満ら、旧国金局=「通貨マフィア」のロックフェラー財閥の子分たち)たちが、入っている。

 もし保有する米国債を売却すれば、米国債は市場で暴落する。その売却代金を、たとえば、10兆円(1千億ドル)でも円転して日本国内に持ち帰れば、その円転(ドル売り)の時点で、超円高になる。

 日本政府が保有する米国債は、FRBの管理下に置かれている。米財務省とは、一応、別個の管理下にあることになっている。
勝手に売ることはできない。まるで「火星の土地」を買ったようなものである。

 当事者達は「いや米国債は利子を生む」と引下がらない。しかしその利息でまた米国債を買っているのだから、火星の土地がさらに増えるだけである。 これが使えるようになるのは、おそらく円レートが40円以上にもなって日本の産業が 完全に崩壊した後であろう。


●「NY株、一時最高値 150ドル高まで上昇」

2007年10月6日 共同通信

 10月5日 のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、米サブプライム住宅ローン問題の拡大による米景気の失速懸念が後退したとの見方から続伸し、3日ぶりに1万4000ドルの大台を回復した。一時、前日比150.23ドル高の1万4124.54ドルに達し、一日につけた取引時間中の最高値を更新した。

 終値は前日比91.70ドル高の1万4066.01ドル。ハイテク株主体のナスダック総合指数は46.75ポイント高の2780.32。朝方発表の9月の米雇用統計が市場予想を上回り、サブプライム問題の拡大による実体経済への影響は限定的と受け止められたため、買い安心感が広がった。ただ取引終了にかけては、週末で利益確定の売り注文も出て、上げ幅を縮小した。(共同)


● ジム・ロジャーズ独占インタビュー 「米国に代わる国は、中国以外に無い」

2008年01月31日 週刊ダイヤモンド編集部

 ジョージ・ソロスの右腕として10年間で4200%という驚異的なリターンを実現したことで知られるあの伝説の投資家、ジム・ロジャーズが、長年住み慣れたニューヨークを後にし、シンガポールに活動の拠点を移した。理由は明快だ。米国よりアジアに確かな未来を感じたからだという。稀代の相場師は、週刊ダイヤモンドとのインタビューで、サブプライム・ローン問題に揺れる米国経済の行方にひときわ厳しい評価を下した。

 週刊ダイヤモンド(以下D.W):米国を離れ、シンガポールに移住した理由は何ですか?

ジム・ロジャーズ  端的に言えば、中国語圏の都市に移住したかったからです。ひとつはパーソナルな理由によるものです。私には中国語が話せる4歳の娘がいますが、その語学力をさらに伸ばしてあげられるような環境に移りたかった。その点、英語や中国語などを公用語とするシンガポールは移住先として申し分ありませんでした。

 ただ、それだけではありません。私自身、“未来の波”に乗りたかったからです。現在の中国語圏に居を構えることは、1907年のニューヨーク、1807年のロンドンで暮らすことに等しいと思っています。

D.W:しかし、なぜ北京や上海ではなくシンガポールなのですか?

J.R:むろん北京や上海などの中国本土の大都市に加えて、香港も考えました。しかし、公害がひどく、どうしても踏み切れなかった。その一方で、シンガポールには優れた医療や世界最高レベルの教育制度があり、これから先何年も住みたい場所だと思ったのです。

D.W:米国に住んでいては、あなたのいう未来の波に乗れないと考えたのですか

J.R:こう答えましょう。私が後にした米国経済は今、ひどい状態にあります。サブプライム・ローン問題で広がった膿を出し切るまで、あと5~6年はかかるはずです。振り返れば、近年の信用バブルは、米国史上最悪のものだったといわざるを得ません。

 私はかなり前から警告を出し続けていました。私自身、3年前には住宅建設関連株やファニー・メイ(米連邦住宅抵当公庫)債券を手放しています。また2007年早々に、シティバンクを含めた投資銀行関連株も売り払った。

 だがほとんどの人は、私の警告に耳を貸さなかったのです。 その上、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げで、状況がさらに悪化している。インフレが蔓延しているというのに、いいですか、繰り返しますが、インフレが目の前にはっきりと姿を現していたにもかかわらず、利下げを繰り返した。これによって、米国はドルがどんなに弱体化してもかまわないというシグナルを世界中に送ってしまったわけです。

 通貨の価値を下げることで国際競争力を取り戻そうとした国は歴史上いくつもありますが、この方法は短期的には有効であっても、中期、長期的にはまったくうまくいった例がありません。

D.W:しかし、FRBの金融緩和がなければ、米国経済はすでに本格的な景気後退局面に突入していたのでは?

J.R:私はこう見ています。アラン・グリーンスパン、ベン・バーナンキとFRB議長が2代続いて米国経済の基盤を損ねたのだ、と。金融緩和とは景気後退に一時しのぎの絆創膏を貼ったようなものです。やや乱暴な言い方ですが、景気後退をさっさと起こさせればいいのです。経済にとって景気後退は決して悪いことではありません。

 景気後退には過剰な部分を取り去って、経済システム全体を正常化させる機能があるからです。 もちろん、景気後退によって損害を被る人びとも出てくるでしょうが、後になって国全体が悪質なインフレに苛まれるよりはましです。しかし、FRBは痛みを避ける道を選んでしまった。この政策の失敗によって、米ドルが“傷物”通貨になってしまったことを、私は嘆かずにいられません。

D.W:ドル相場はさらに下げると見ていますか?

J.R:短期のことを聞いているのですか? であるならば、目先の相場はまた別の視点から語る必要があります。ドルは確かに軟調ですが、よほどのことがないかぎり、急降下をひたすら続ける通貨などはありません。通貨に対する悲観が一辺倒な場合、次に急激な上昇が起こることはじつは多いのです。ただ、私自身は、やはり中国の元に注目していますが。

D.W:しかし、その中国については、バブル崩壊の懸念が高まっています。

J.R:私は、一般の懐疑心が強ければ強いほど、元を買いますね。中国経済がこれからトラブルに見舞われるのは本当のことだと思います。ただ、19世紀の米国は15の不況と南北戦争と4代の大統領を経て経済大国に成長したことを思い出してください。

 しかも中国は、歴史上何度も興隆を経験した唯一の国家です。今、米国に代わる国家があるとすれば、やはり中国以外にはありません。インドやベトナム、アンゴラなど、他の新興国も期待できますが、今やMBA(経営学修士)の連中が世界中を踏破して新興経済圏は喰い尽くされた感があります。だから私は、中国関連を除いて新興経済関連株はすべて売ってしまったところです。(聞き手:在米ジャーナリスト 瀧口範子)

●(フォーチュン誌のジム・ロジャーズへのインタヴュー記事)

'It's going to be much worse'  Famed investor Jim Rogers sees hard times ahead for the United States – and a big opportunity looming in China.   By Brian O'Keefe, senior editor

Jim Rogers says the Fed, and Fed Chairman Ben Bernanke, are out of control.

The central bank's second interest rate cut in a week raises the risk of inflation and bails out the banks.
Legendary investor Jim Rogers made a bundle by anticipating a boom in commodities. Now he's focusing on the People's Republic.

NEW YORK  (Fortune)    — You might expect Jim Rogers to be gloating a little bit. After all, the famed investor has been predicting a recession in the U.S. economy for months and shorting the shares of now-tanking Wall Street investment banks for even longer.

 And with fears of a recession sparking both a worldwide market sell-off and emergency action from Federal Reserve chairman Ben Bernanke, Rogers again looks prescient – just as he has over the past few years as the China-driven commodities boom he predicted almost a decade ago began kicked into high gear.

  But when I reached him by phone in Singapore the other day there was little hint of celebration in his voice. Instead, he took a serious tone.

"I'm extremely worried," he says. "I have been for a while, but I just see things getting much worse this time around than I expected." To Rogers, a longtime Fed critic, Bernanke's decision to ride to the market's rescue with a 75-basis-point cut in the Fed's benchmark rate only a week before its scheduled meeting (at which time they cut it another 50 basis points) is the latest sign that the central bank isn't willing to provide the fiscal discipline that he thinks the economy desperately needs.

"Conceivably we could have just had recession, hard times, sliding dollar, inflation, etc., but I'm afraid it's going to be much worse," he says. "Bernanke is printing huge amounts of money. He's out of control and the Fed is out of control. We are probably going to have one of the worst recessions we've had since the Second World War. It's not a good scene."

Rogers looks at the Fed's willingness to add liquidity to an already inflationary environment and sees the history of the 1970s repeating itself. Does that mean stagflation?  "It is a real danger and, in fact, a probability."

Where the opportunities are

 The 1970s, of course, was when Rogers first made his reputation – and a lot of money – as George Soros's original partner in the Quantum Fund. And despite his gloomy outlook for the U.S., he still sees opportunities in today's world. In fact, he sees the recent correction as a potential gift for investors who know where to head in global markets: China.

Rogers has been fascinated with China ever since he rode his motorcycle across the country two decades ago, and he's been a full-fledged China bull for several years. In December he published his latest book, an investor-friendly tome titled "A Bull in China:

 How to Invest Profitably in the World's Greatest Market." And that same month he sold his beloved Manhattan townhouse for $15.75 million to a daughter of oil tycoon H. L. Hunt and moved his family full-time to Singapore – the better to be closer to the action in Beijing and Shanghai. (He bought the New York mansion 30 years ago for just over $100,000; not a bad return on his investment.)

But in a November interview I conducted with Rogers, he admitted that he was rooting for a serious correction in China to cool off an overheating market and bring back prices to a reasonable level. With the bourses in Shanghai and Hong Kong both some 20% off their recent highs as of late January, Rogers says he's starting to consider new investments.

"I'm delighted to see what's happening in Shanghai and Hong Kong," he says. "As I've said, if things hadn't cooled off, the Chinese market was in danger of turning into a bubble. I find this most encouraging.

 The government's been doing its best to try and cool things off. Mainly they've been trying to deal with real estate but it's having an effect on stocks, too. I would suspect the correction isn't quite over in China. But I'm gearing up.

 I didn't put in any orders for tomorrow but I'm starting to prepare my list of things to buy in China. Whether I buy this week or this month or this quarter, who knows. But I'm starting to think about buying new shares in China for the first time in a while. And I'm not thinking about buying in America."

 Ultimately, Rogers doesn't think that the troubles in the United States will be much of a drag on the prospects for the People's Republic. "Anybody who sells to Sears (SHLD, Fortune 500) or Wal-Mart (WMT, Fortune 500) is going to be affected, without question," he says. "Some parts of the Chinese economy are going to be untouched, however. They won't even know America's in recession. They won't care if America falls off the face of the earth."

“We are probably going to have one of the worst recessions we've had since the Second World War. It's not a good scene.” Jim Rogers

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝

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