「74」 サブプライム危機から世界恐慌へ(11) 「1月21日22日の欧米大崩れ」の直前までの記事を載せます。2008.2.14
副島隆彦です。今日は、2008年2月14日です。
「いよいよ大恐慌突入」の記事の、私が集めているものを続けて、載せ続けます。1月12日ぐらいから20日までに起こったことです。これらもあとあと「時代の証言」となるでしょう。
以下に載せる記事の一本目の、「米住宅金融副社長が心中20008年1月19日)」を、私は、「世界大恐慌に突入の合図だ」と思いました。
このあと2月21日から、新たに雲行きがおかしくなって、世界同時株安となった。 「シティが日本時間15日(2008年1月15日)夜に発表した2007年第4四半期(10-12月)決算によると、証券化商品の評価損181億ドルを含めてサブプライム関連の損失が総額222億ドル発生」という記事が出ていた。シティグループ(シティバンク)の損失金は、2007年の年間で300億ドル(3・1兆円)を越した。
以下に載せるのは、1月21日、22日の株式の世界同時暴落の直前までの記事である。 副島隆彦記
(転載貼り付け始め)
● 「米住宅金融副社長が心中」
ニューヨーク 2008年1月20日 共同
サブプライム住宅ローン問題で倒産に追い込まれた米メリーランド州の住宅金融会社の副社長(59)が妻を殺した後に自殺した。 AP通信が19日、報じた。捜査当局は夫婦関係の問題が動機で倒産による心中を否定している。
副社長の会社は住宅を抵当に住宅ローンを組む金融会社で06年には貸付額約55億ドル(約5900億円)の業績だったがサブプライム問題で破たんした。
http://newsflash.nifty.com/news/ta/ta__kyodo_
2008012001000162.htm
●「日本でファンド融資拡大、金融機関・08年、日経調べ 」
日経新聞 2008年1月20日
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=
AT2C1900L%2019012008&g=E3&d=20080120
国内外の金融機関が日本で買収ファンド向けの融資を拡大させる。
日本経済新聞が実施した調査によると、2008年の計画を示した大手銀行や外国証券など 14社は合計で2兆円超の買収融資を用意、 07年実績の3倍強に増やす。欧米では信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題の影響で金融機関が融資を手控えており、
大型のM&A(合併・買収)は事実上ストップ。影響が軽微な日本市場で攻勢をかける。
調査は銀行、証券、保険、ノンバンクなど45社を対象に昨年12月から1月上旬にかけて実施。36社から回答を得た。 2008年の買収融資の計画を具体的に答えたみずほコーポレート銀行をはじめとする国内大手銀やゴールドマン・サックス、 モルガン・スタンレーなど14社の数字を合わせると2兆1600億円となった。1000億―2000億円の範囲での回答が多く、 一部の外国証券は4000億―5000億円を見込む。
● 日経新聞 2008年01月20日
欧米やアジア市場でここへ来て株価の下落が加速し、下げの大きさが際立っていた日経平均株価に並んできた。米景気が本格的に減速し始めたとの見方から世界的に 経済の先行き懸念が高まったことが背景にある。
1月 第2週時点(11日まで)の日経平均の年初来下落率は7.8%で、3―4%前後の各国指数に比べて下げが大きかった。しかし第3週時点(18日まで)ではほぼ横並び。日経平均は9.4%と依然下げ幅が大きいが、香港が9.4%、フランスやドイツも9.3%など、
下げ幅が並んできている。米英も9%近い下げになった。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080120AT2D
1900819012008.html
● 東京新聞 2008年1月19日
【ニューヨーク=池尾伸一】信用力の低い人向け住宅ローン(サブプライムローン)問題で 揺れる米国でクレジットカードローンなど一般の消費者向けのローンの延滞や焦げ付きが 急増している。国民の貯蓄率がマイナスの米国では一般の人々はローンを借り入れて、消費を拡大してきた。
それだけに、焦げ付き問題の深刻化は消費の冷え込みに直結する懸念が高い。日本や中国など輸出を通して米国の消費者への依存度が高い各国経済にも 打撃を与えそうだ。
シティグループ、J・Pモルガン・チェースなど米大手五金融機関が明らかにした10-12月期 決算によると、これら金融機関は消費者向けのローンの焦げ付きや延滞の急増に伴う引当金の積み増しなどで、合計125億ドル(約1兆3000億円)の損失を計上した。クレジットカード会社のアメリカン・エキスプレスも焦げ付き急増から4億4000万ドルの損失を計上した。
これまで米国の消費者は価格が上がり続ける住宅を担保にして、金融機関からのローンの借り入れを拡大。クレジットカードによるモノやサービスの購入も増やしてきた。しかし、住宅価格の下落により、資金繰りに行き詰まり、ローンを返済できなくなるケースが増えている。
アメリカン・エキスプレスによると、フロリダ州やカリフォルニア州など住宅価格の下げ幅が大きい地域ほど、消費者向けのローンの焦げ付き発生率も高い。
また、サブプライムローン関連商品に投資した各金融機関は巨額損失の痛手を被っており、一般の消費者からのローンの申し込みに応じられなくなっている。これも消費者の資金繰りが行き詰まる大きな要因。焦げ付き拡大から銀行などがさらに消費者へのローンを絞れば事態はさらに悪化することになる。
百貨店のメーシーズの12月の売り上げが前年同月比7・9%減となるなど消費の減速は鮮明になっており、消費者向けローンの焦げ付き問題は米経済の大きな足かせとなりそうだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/
CK2008011902080609.html
● 「サブプライム問題は第2段階へ 」
2008年1月19日(土)
シティグループ181億ドル、メリルリンチ約160億ドル──と米大手銀行の巨額評価損計上が相次いだが、 サブプライム問題は米金融機関の損失というステージから次の段階に移行しようとしている。
17日の米国株価下落の大きな要因となったのがモノライン(米金融保証会社)への不安の強まりだった。 ムーディーズ・インベスターズ・サービスが同社の格付けを引き下げ方向で見直すとしたことで、
MBIAは31.2%の大幅安、アンバック・フィナンシャル・グループは51.9%の急落となった。
債務担保証券(CDO)などモノラインが有する資産が劣化していることが背景だ。 三菱UFJ証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は「モノラインの保証が付くと債券がワンノッチ上がるが、 モノラインが経営危機を迎えれば、その保証自体に影響が出る。
米モノライン大手7社で2.4兆ドル分の債券に対する保証を行っているといわれており波及の度合いは大きい」と述べ、クレジットクランチの危機が迫っていると警鐘を鳴らす。
● 注目は、やはり米国だ。中でも「モノライン(金融保証)大手のアムバック、MBIAの救済策が当面の焦点」とカブドットコム証券の山田勉マーケットアナリストは言う。
サブプライムローン(信用力が低い個人向け住宅融資)問題を契機にした証券化商品市場の混乱が続く中、モノラインに対する市場の見方は厳しさを増している。 株価は下落を続け、格付け会社はアムバック、MBIAの格付けを引き下げる方向で動いている。
「モノラインが破綻すれば、あらゆる証券化商品が巻き込まれる。カードローンや国債などの
債権にまで影響が及ぶ可能性がある」と山田氏は警鐘を鳴らす。
http://www.toyokeizai.net/online/toushi/shiki/?kiji_no
=428
【東京株式動向】日経平均は1万3500円で底値固めるか?結局は”米国頼み”
● 米格付け大手フィッチ・レーティングスは18日、「モノライン」と呼ばれる金融保証会社大手、アムバック・フィナンシャル・グループの格付けを引き下げたと発表した。アムバックが同日、予定していた資本増強策を撤回したため。
アムバックの保証を利用して高格付けを得ていた約5000の債券や証券化商品が連動して格下げされる見通しで、信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に端を発した米金融市場の混乱に拍車がかかる可能性がある。
フィッチは実際に保証業務を手掛けるアムバック・アシュアランス・コープなど3社を従来のトリプルAからダブルAに、親会社のアムバック本体をダブルAからシングルAに引き下げた。同時にこれら4社の格付けについて将来的な格下げの可能性も示した。
金融保証会社は証券化商品などの発行主体から保証料を受け取り、債務不履行(デフォルト)が生じた場合に予定通り元利払いをする。
●「アムバック保険部門財務格付け、「AAA」から2段階下げ-フィッチ」
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003017
&refer=jp_news_index&sid=atD2unAhZ1Sc
2008年1月20日 ブルーンバーグ
アムバックが「AAA」の格付けなしでは社債を最高位で保証できなくなる、あるいは 保証事業の停止を余儀なくされる、もしくは身売りを迫られる可能性がある
「AAA」の格付けを取得する金融保証会社7社は総額2兆4000億ドルの債券を保証している。ブルームバーグのデータによると、金融保証会社が最高格付けを失った場合、債務者や投資家に
最大2000億ドルの損失をもたらす可能性がある。
金融保証業界は全体で1000億ドルのサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン証券関連債務担保証券(CDO)を保証。 プライム以外の自動車ローンを220億ドル、地方債1兆2000億ドルも保証している。米MBIA、ベアーSなど:最悪期はまだ終わらず-CDS取引が示唆。
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003001
&sid=a9YXdoBr.xkE&refer=jp_commentary
● 「米アンバック・アシュアランスをAAAからAAに格下げ=フィッチ」
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJT
810761320080118
1850億ドル相当のCDOを格下げする可能性=ムーディーズ
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN
-29834620080118
金融保証会社(モノライン)の格付け下落により、保証先債権の格付けも低下銀行などが保有する債権全般に膨大な評価損が生まれる可能性が出てきました。(モノライン全社の保証総額2.4兆ドル 2600兆円程度)仮に 5%でも130兆円の資産が失われることになる。
● 「資本市場の新しい大問題 」
2008年1月19日
アメリカの金融保証業界は民間および公的部門が発行する2兆4000億ドルにもおよぶ債権を裏書しているが、普段は目立たない業務を行っている。
しかし、今この業界は大きく揺らいでおり、俄然注目を集めだした。もしそのうちの1社でも2社でも破綻するようなことになれば、 その保証に寄りかかっている銀行その他の金融機関にとってはとてつもない打撃となるであろう。そして信用危機はさらに悪化し、ただでさえ景気の急減速に手を焼いている政策当局にとって、さらなる頭痛の種になることだろう。
金融がドミノ倒しになる危機が重くのしかかっている。格付け機関のムーディーズは、金融保証の大手であるMBIAとアンバックのAAAの格付けを近い将来引き下げる意向を示した。1月18日(金)には、アンバックは格付け維持のための10億ドルの資本増強計画を断念したと発表し、さらなる格下げのおそれさえ出てきた。別の格付け機関であるフィッチはこれを受けてアンバックの格下げを行った。
MBIA はつい最近、投資会社ウォーバーグ・ピンカスの出資を受けて、それまでの10億ドルに加え新たな10億ドルの増資を何とか実現したが、それでも今のAAAの格付けを守るためにはさらなる資金が必要となるであろう。別の債権保証会社であるACAはさらにひどい苦境にある。
12月に シングルAの格付けを「ジャンク」レベルに引き下げられたのである。ACAは取引先に対し、問題解決のための時間の猶予を求めたが、金曜日の時点でも再建計画を提出するに至っていない。ACAが法人登記されているメリーランド州の保険監査当局はすでに行政責任を一部認めている。
金融保証業界というのは要するに、自分たちの高い格付けを信用度の低い債権に「貸す」ことによって投資家から見た価値を上げているわけである。 そこで自らの格付けが少しでも下がるようなことがあれば、新たな案件を引き受けることはできなくなり、すでに保証している証券の価値も減損する。
今やすっかり毀損してしまった悪名高いCDOを含む、何10億ドル分もの資産担保証券を保証してしまっているこの業界の格付けが引き下げられるのは、もはや既定路線である。
アンバックは水曜日、CEOの解任ならびに35億ドルの評価損の計上を発表したが、そのうち11億ドルはCDOがらみである。 金融保証業界が手を染めたこれら魅惑の金融商品は、脆弱な自己資本の何倍もの額になる。そして業界が現実に支払いを 行わなければならなくなる可能性は景気減速により高まっている。今週、この業界の株価が急落したのも無理からぬことである。
業界はもはや高格付けに値しないと市場に見限られ、負の連鎖を生みつつある。アンバックは株価の下落によって外部からの資本増強の道がほとんど絶たれてしまった。 金融保証業界の危機が他に飛び火する兆候もすでに見られる。木曜日にはメリルリンチが、ACAその他による債権保証を得ていた
31億ドルの債権を損失計上している。他の銀行もACAの保証能力に対する疑念から損失計上を行っている。 銀行が金融保証会社と付き合う上で直面する「パートナーリスク」の全貌は今になってようやく見え始めたところである。
JPモルガン・チェースの親玉、ジェーミー・ダイモンは、金融保証業界の危機が債権市場にもたらすものは「テラヤバス」だと言っている。 もしもアンバックやMBIAのような大手金融保証会社が"take a tumble"する(倒れる、急落する)ようなことがあっても、 それは控えめな方の意味("take a tumble"=自分の置かれた状況を急に悟る)として受け取られることであろう。
● 「米景気対策:市場に失望感…次の景気対策は」
毎日新聞 2008年1月19日
【ワシントン斉藤信宏】 ブッシュ米大統領は18日、総額1400億~1500億ドル(約15兆~16兆円)にも及ぶ大規模な緊急経済対策を発表したが、ダウ工業株30種平均は一時、前日終値比136.73ドル下落し1万2000ドル割れ寸前まで値を下げるなど、 政府の期待に反して市場には失望感が広がった。
政府が計画している「戻し税方式」の減税は、一時的には景気浮揚効果があるが、「長続きするかどうかは未知数」(市場関係者)との指摘もあり、景気後退への不安がなお市場を覆い続けている。
低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付き問題解決のための抜本策とも言えず、むしろ昨年12月に出された借り手救済策に近い「時間稼ぎ」との見方さえ出ている。
市場関係者の間では「ここまで景気後退の可能性が高まると、後退を回避するためには少なくとも2500億ドル(約25兆)規模の財政出動が必要になる」 (メリルリンチのデービッド・ローゼンバーグ氏)といった観測も浮上するなど、 市場では早くも対策の増額を求める声が出ている。
米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長も、講演や議会証言の中で「経済の先行き見通しは一段と悪化している」 と繰り返し危機感を表明し、大幅な追加利下げを示唆している。にもかかわらず、既に口先介入だけで株式市場の勢いは戻らなくなっている。
昨年夏の金融危機以来、「遅すぎ、少なすぎ」と市場から酷評されてきた米政府とFRBが、今月末の一般教書演説と連邦公開市場委員会(FOMC)でどのような策を打ち出すのか。 早くも市場の関心は、次に出てくる景気対策に向かっている。
● 「債券保証業社 格付け下向きが恐ろしい理由」
マネートゥデー | 記事 2008-01-19
http://news.naver.com/main/read.nhn?mode=LS2D&
mid=sec&sid1=101&sid2=258&oid
=008&aid=0000877558
[マネートゥデーキム・ギョンファン記者] 銀行は去年発生した信用梗塞事態でリボ金利が聳えるなど短期 資金調逹に大変だった。
しかし、2008年に入り銀行は一般水準の金利のみを賦課してお互いに貸し出しを増やし始めた。 これによって短期金融市場の圧力は減っているという嬉しい消息が聞こえた。それでも安心する状況では絶対にない。 信用梗塞フポックプングで脆弱になった金融基盤が一歩遅れて問題に浮び上がっているからだ。 最近金融状況の中一番注目しなければならない点は信用梗塞フポックプング影響で信用等級下向き危機に処したアムバックとMBIAなど債券保証業社たちだ。
国際信用坪沙であるフィッチは18日(現地時間)アムバックの信用等級を"AAA"から"AA"に下向き調整した。 債券保証業社の信用等級が下向き調整されたことは今度が初めてだ。債券保証業社が最高信用等級を受けることができない場合これらが保証した債券の価値は急落するようになってなおさら信用梗塞で萎縮している債券市場にもっと衝撃を与えるようになる。
また他の債券保証業社であるMBIAも信用等級下向き圧力を受けている。債券保証業社たちの信用等級ズルハヒャング調整はまた他の危機を懐任する序開きだ。まず短期的にこれらが保証した債券を保有している銀行と債券投資者たちはもっと大きい信用損失を被るようになる。そして長期的に債券関連業務が麻痺してこういうわけでアメリカとヨーロッパ経済圏の資金調逹費用はもっと増えるようになる。
● 「DJ-米政府の景気刺激策、手遅れの可能性も 」
2008年1月18日 ダウ・ジョーンズ
ブッシュ大統領は17日に、卓越した経済政策担当者である バーナンキFRB議長の承認を得るとすぐに救済計画の公表に踏み切った こうした財政刺激策が「時宜を得て」おり、「早急かつ断固として」 実施される限りにおいては承認するとバーナンキ議長は語っていた。
一方、ブッシュ大統領は18日、この救済計画を「直接的」かつ「迅速な」ものとし、「できる限り速やかに」成立させたい意向を表明した。 バーナンキ議長が17日に指摘したように、こうした計画において 迅速さを求めることは疑うまでもなく重要だ。
連邦議会が時間を浪費するようだと、税還付の小切手は、2008年を通して続くとみられている弱い経済成長のてこ入れに間に合うようにはどうも届かない可能性がある。それはまた、景気循環が好転してから 消費者の郵便受けに小切手が届く可能性をも示唆している。 そうなればまた、全く別の問題が浮上することになる。
しかし、バーナンキ議長とブッシュ大統領が揃って 迅速さを強く求めていることは、両氏が最近の歴史を振り返り、経済混乱への対応が遅すぎると見なされないことを確かめていることをも示している。 2001年に同様の景気低迷が起きた際、当時FRB議長を務めていたグリーンスパン前議長は、 議会による救済計画への着手を進める前に、より多くの経済指標を確認したいと語った。
しかし、前議長は数日後に主張をがらりと変え、 議員らに対し大規模な景気刺激策が早急に必要であるとの見方を示した。 この景気刺激策は最終的には成立したものの、実際はその年にリセッション入りしたという点では失敗に終わった。
米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は17日、ブッシュ大統領の景気刺激策を支持する発言を行ったが、 このことはまったく意外ではない。 要するに、経済成長を維持するためFRBが持っている、 利下げと短期資金市場への流動性供給という主な道具はうまく機能していないのである。
数回にわたる流動性供給の入札を含め、これまでFRBが実行した政策は、「信用の質や評価に対する根本的な懸念を払しょくできず、 また、金融機関のバランスシートに対する圧力も緩和できなかった。このため、金融政策だけでは経済全体に影響を及ぼす金融市場の緊張を解消できない」とバーナンキ議長は認めている。
「財政政策、金融政策のどちらであれ、経済が現在支援を必要としているのは確かだ」とエコノミック・サイクル・リサーチ・インスティテュートのマネジング・ディレクター、ラクシュマン・アチュサン氏は指摘している。「景気後退(リセッション)につながる自律的な景気減速が始まっており、これを食い止めるため(例えばこの景気刺激策のような)何らかの方策が実行されなければ、 リセッションに陥ることになる。負のスパイラルはまだ大きな勢いを得ていないため、(今回のような)政策を迅速に実施することで回避することは可能だ」という。
また、この政策は基本的に「金融システムを正常化させるための道具を資金市場に投入する」ことを求めているとアチュサン氏は指摘し、「この計画が成功する可能性はあるが、そのためには、減税の支払い書類を今後数週間に送付開始しなければならない」と付け加えた。
これは政府にとって無理難題だろう。今回と似たような政策が実施された2001年当時でさえ書類発行には10週間を要しており、議会予算局(CBO)は今回もほぼ同程度の時間を要すると推定している。
●(副島隆彦注記。 サブプライム危機を、一服させた、昨年11月には、以下のような記事が出ていた。それを、2008年の1月初め(3日)から始まった、NYの大下落相場が、襲った。
そして、サブプライム危機の再燃が、言われて、シティの9-12月期の損失、2.5兆円(235億ドル)の発表が、1月14日にあって、それで、世界中が、連日暴落となった。インドもひどいようだ。ブラジルもひどい。今度は、中国(香港も)も下げている。
日経平均は、1月22日で、13000円を割って、12000円台に突入したようだ。NYも、12000ドルを割るだろう。 副島隆彦注記。2008年1月22日記)
● (今度の1月3日からの世界同時株崩れは、シティグループ発のサブプライム損失の発表を控えてのものだと思われていた。1月15日にシティが発表した。 「シティが日本時間15日夜に発表した2007年第4四半期(10-12月)決算によると、証券化商品の評価損181億ドルを含めてサブプライム関連の損失が総額222億ドル発生」というものだった。
しかし、真実はもっとちがって、1月21日に発覚して明るみに出た、フランスのソシエテ・ジェネラルの71億ドル(7600億円)の損失を出した不正取引事件だった。この金融不祥事は、18日には、まずインサイダー情報と前兆で内部ではすでに知れ渡っており、予(あらかじ)め知っていた市場関係者たちが、自分たちだけ、先に売って逃げたのだ。副島隆彦注記)
「シティ直撃世界同時株安…東証も一時472円安 ―“ウミ”出し切れず経済は悪化の一途 」
2008年1月16日
写真:この日も下げ止まらなかった東京株式市場。冬の寒さが身にしみる…=16日午前9時34分、東京・丸の内
低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローン問題の直撃を受け、222億ドル(約2兆3800億円)の巨額損失を計上した米金融最大手、シティグループ。市場には「今後も新たな損失が出てくる可能性がある」との不安感が強く、15日の欧米の株式市場は暴落し、16日の東京とアジア各国の市場も世界同時株安の“渦”に飲み込まれた。
サブプライム問題に加えて、株安、円高、政局混迷という「3つの不安」を抱える日本経済は一段と深刻の度合いを増しそうだ。シティが日本時間15日夜に発表した2007年第4四半期(10-12月)決算によると、証券化商品の評価損181億ドルを含めてサブプライム関連の損失が総額222億ドル発生。
最終損益は98億3300万ドル(約1兆500億円)の 巨額赤字に転落した。 7-9月期にも65億ドルのサブプライム関連損失を計上しており、07年下期の損失は計300億ドル近くに達した。
● 2008年1月12日 ・・・・・紙
損害保険ジャパンは11日、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)関連で340億円の損失が発生したと発表した。サブプライム関連では、あいおい損害保険が252億円の損失を計上しており、損保業界で影響が広がってきた。
2008年3月期の連結業績予想も下方修正。経常利益は昨年11月時点の1000億円から800億円に、純利益は同630億円から500億円にそれぞれ修正した。
損保ジャパンは、サブプライムローンを組み込んだ債券の1つである債務担保証券(CDO)に対し保険の形で元利払いを保証している。CDOの利払いが滞ると損保ジャパンが保険金を支払う仕組み。保証対象の債券の総額は2400億円。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
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