「165」ユーチューバーの世界(私が見た限りでの) ② 稲作が分かった 後半

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副島隆彦です。
ユーチューバーの世界(私が見た限りでの) ② 稲作が分かった 後半です。

日本中どこに行っても、きれいな水田があったり、平原に豊富にお米ができている風景を、僕らは電車やバスからいつも見ている。テレビでも日常的に放映されています。だから私たちは、「誰でもお米をつくることができるんじゃないか」って思ってしまうんですね。特に都会の人間は。米作りをちょっとバカにしてるところがあるわけですよ。それなのにお米を買って食べるわけですけどね。本当は、お米作りっていうのは、どこでも誰でもできるというほど簡単じゃないんですけど。まあ米農家の人は、親の代から近所との助け合いでやってますから、お米の等級品質の面でもまあまあのお米が作れちゃうんですよ。


水田の風景

肥料は、元肥(もとひ、もとごえ)と追い肥(おいひ、おいごえ)っていうのがあって、2回入れるんです。これもね、私はようやくわかった。肥料の三要素って言うんですけど、窒素(N)とリン酸(P)とカリウム(K)です。この3つが農協で売られているわけね。この肥料をたくさん、10俵とか20俵とかを袋で買ってきてどんどん田んぼに入れるみたいです。そうしないとお米は穫(と)れません。 肥料、化学肥料を入れないと。

前回①にも書いたけど、その化学肥料を無しでやるのが「自然農法」です。その自然農法に若い人たちが参加すうるようになった。彼らは一生懸命おいしい野菜や米を作って、宅急便で何百世帯にも送るわけですね。それが、生活クラブ生協とか大地の会とかです。自然の栄養だけでやる無農薬野菜。それと有機肥料を使って、なるべく殺虫剤も使わないという人たちがいるのは、もう皆さんも知っている通りです。

 

■食糧管理法が1995年に廃止された
実は食管法【しょっかんほう 食糧管理法 戦時下の食料不足を背景に、米などの主要食料の生産・流通・価格を国が管理し、国民への安定供給を図る目的で1952年に制定された】という法律が、1995年、30年前に一応廃止されて、食料の国家統制が外れたんです。それで、自由販売とかね随意契約というんですが、そういうことができるようになった。食料管理法が厳しくあった頃は、トラックで農家から、勝手に農作物を運びだしたら違反でね、おそらく30年ちょっと前なら捕まったんだと思います。それで、それまで「闇米(やみごめ)」と言われたんだけど、その闇米という言葉が消えてしまったんですね。

今は何とかスーパーみたいなのが田舎まで行って、大きなトラック10台分ぐらいの野菜を直接、農家から買い付ける。それを売り場(スーパーマーケット)に持っていくんです。今は平気でやっています。これを随意契約といいます。これと農協との戦いが、今激しく起きているんです。

 

■2025年、お米が足りなくて価格が急騰した
これが「令和の米騒動」と言われた去年の出来事です。国が備蓄米を放出して米の値段を下げた。でも結果的に、米の値段は倍になったんです。もうこれは真実なんです。今は米(玄米)一俵、66キロで3万7千円。前は2万円だった。1俵の米を作ってもね、たった2万円じゃとてもじゃないけど経費も出ない、機械代も出ないと言って嘆いてました。福島の〇〇君もね。(お正月につきたてのおいしいお餅をありがとう)。ところが一気にね、倍の4万円近くなりました。

私がじーっとスーパーマーケットで見ていたら、今ね、5キロのお米がスーパーで3950円とかで売られています。5キロ4000円だから、1キロ800円です。コシヒカリの高級米になると1キロ1200円~1500円になっていますね。私が普段食べているおいしいお米なんて、1500円ぐらいだと思います。カルガモを田んぼに離して完全有機で米を作っています、というところからもらった米が、10年前に1キロ2000円だったから、すごい米ですね。そのお米は日にちが経ってくると、腐りはしないけど茶色になっちゃって、私はびっくりした。つまり機械干しじゃなくて天日干しをやってたから、だから虫がついたんですね。それが高級米だということでもあるんだけど。あとで知ったけど、カルガモ農法といっても、カルガモは犬とかイタチにやられちゃうからダメなんだってね。

まあだから、60キロのお米を4万円で出荷できるようになって、農家は喜んでいるわけです。今は年間700万トンかな。米が生産されています。一時は600万トンまで落ちたって話を聞いたことがある。30年前40年前は、1200万トンぐらいの米を作っていた。それが全国で半分になっちゃった。

 

■お米を食べない文化が生まれた
それは女の人が米を食べなくなったからです。おそらく30年ぐらい前から、もう米を食べないと。20年前に糖質制限という言葉が生まれて。その前は糖質じゃなくて炭水化物と言っていました。そういう「お米を食べない」という女たちが、本当に500万人ぐらい出てきているんだと思う。きっと今も食べないでしょう。痩せるため、美容のためにね。

澱粉質(でんぷんしつ)と言うべきなんだろうけど、糖質を取らない、控えるという人たちが今もたくさんいます。だから今回の米騒動の時も、女たちの一部は知らん顔したんです。自分が米を食べないから。でも、「やっぱり米はおいしいわ」で、米に戻った女たちもいます。だから700万トンなんだということですね。

 

■YouTuveで、きれいごと抜きで学べる
こうやって私が、いろんなことをまとめてね、数字を上げながらわかりやすく話したから、これはもうちょっと、皆さんが自分の頭で整理しないとダメなんですよ。口でペラペラ喋られたのを聞いてるだけでは、頭に入らないんだ。だから、これらのYouTuberの作品を見て、自分が小さい頃から疑問に思っていたことが、私は明瞭に明確に、証拠付きでわかったんです。大変勉強になった。それが嬉しかった。

NHKの新日本紀行とか、あるいは農家の様子を映している番組は昔からあるんだけど。そんなものは、ちょっとね、正確に描かれていませんでした。「この業界のこの職業では、このようなことが実際に行われている」というのを描きませんでしたね。表面だけの「きれいごと」だけ、放映していた。だからYouTubeのすごさというは、各産業界の各業種の、漁業でも林業でも何でもね、実際に体を動かして「ものづくり」をしたり作業をしたりする人たちが、直接、映像を撮り始めたことです。そしてそれぞれの業種業界のチャンピオン、人気者になっているんです。10万人20万人の業界のね。

それがものすごく大事なことです。そのYouTuve動画の編集能力もなきゃいけませんから。普通の人はああいう動画作品を頻繁にアップロードする能力はありません。まあ、YouTubeぐらいの動画なら、自分スマホでだってそのままアップロードはできるんです。自分の顔を映してしゃべっているのをね。だからってみんながそれを楽しめるかって言うと、できないですね。ほとんどみんな落ちこぼれていって、結局、人気のある作品にならないんです。だから「ためになる、役に立つ」ということがなければ。そして「人々を驚かして感動を与えて賛同を呼ぶ」、という人たちでなければ、YouTuberにはなれません。特にこのシイナ夫婦の旦那さんを見ていたら、軽自動車の壊れたエンジンまで分解して組み立て直すぐらいの力がありますから。

 

■里山、森、林
はっきり分かったのが、里山という言葉があるんだけどね。これは、家の裏側にある雑木林でのことです。山林というほどじゃないんです。それから「古民家暮らし」を始めた人たちの場所は、たいていが、山と平地の、田んぼと畑の中間ぐらいのところなんです。こういうところの多くが、耕作放棄地になっている。もうね、田んぼや畑づくりをやめちゃってから、10年20年経ってる土地なんですよ。50年が経っていて、土地が山林に戻っている土地もある。これは別の番組を見てわかったことなんだけど、「森と林がどう違うか」。驚くべき真実を知って、私はびっくりした。

はっきり言いますよ。林っていうのはね、人間が、木を生(は)やしたんだって。だから「はやし(生やし→林)」なんだって。森はね、これも天然林というのと自然林は違うんですって。天然林もまた二つに分かれるんだけど。元々の原始林というか、古い時代からの天然林は、例えば秋田県の白神(しらかみ)とか屋久島とかね、ああいうところしかないんですよ。それから自然林であっても、すでに人間の手が入って、植林がされているというところ。それがね、戦争中に日本全土に空襲があって。特に都会の近くはたくさん焼かれて丸裸になった。

あと、焚き木をたくさん取りましたから、江戸時代まで、日本の山は丸裸(まるはだか)だったんです。「東海道五十三次(とうかいどうごじゅうさんつぎ)」にも、崖みたいな丸裸の山がたくさん描かれています。


東海道五十三次

江戸時代なんか、特に農家の人は芝刈りに行きました。ただ焚き木のための芝刈りに行ったんじゃないんです。芝を取ってきてそれを畑に敷いた。畑の養分にしたんです。芝刈りはただ焚き木だけのためじゃない。これも大事な真実でね。

 

■この60年間のエネルギー革命
木炭(もくたん)というか炭(すみ)なんかは高級品でしたから。煙が出ない炭というのは、都会のお金持ちしか使えなかったんですよ。明治、大正、昭和の時代でもね、普通の人は丸太を燃やしていました。僕の小さい頃まだお風呂は焚き木で、五右衛門風呂みたいなのを焚いてましたからね。それがやがて、練炭(れんたん)火鉢とかいってね。石炭の粉を固めたやつです。上からボコッと入れて1日あったかいみたいな。


練炭火鉢

それから石油コンロというのが発達して、それで煮炊きをやるようになった。田舎に行くと、今でも石油コンロを使っているでしょう。やがてガスが生まれてね、ガスの調理器具セットが各家庭のキッチンに入るようになったんですね。それから電子レンジが現れた。


石油コンロ

この60年間でこのようなエネルギー革命というのが日本で起きていた。60年前、私が10歳前後の時というのは原始時代よりちょっとこっち側で、江戸時代とほとんど変わらないような状況だったのね。

戦争時の空襲で山は丸裸になって、しかし戦後に植林運動をやったもんだから、今度は木が生えすぎちゃった。今、戦後80年だけど、困ったことになっているんです。これは山林編でそのうち話しますが、80年経つと、立派な杉やヒノキの60年ぐらい経ったのがもう文字通り、山ほど育っていて、それらを間伐(かんばつ)しなきゃいけないんです。間伐っていうのは、5本のうち2本ぐらいを切り倒して、木と木の間に隙間(すきま)をつくる。そこから太陽光が入って、地面に草木が生えるようにすることね、これをしないといけないんですよ。


間伐

 

■「間伐ができない」という山林問題
だけど人間の方に、間伐する力がなくなってね。間伐して麓(ふもと)まで道を作って、ショベルカーで下ろしてトラックで運んで、製材所というか森林組合にまで持っていく。そうすると、そのお金(費用)の方が高くつくもんだから間伐できなくなった。今、その山林問題が深刻に出ているんです。「林野庁」っていうのがありまして、今は農林水産省の外局になっています。昔は農林省山林局だった。そこは製材所みたいなのも持っていたんだけど。

★リンク林野庁
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40年ぐらい前から、ラワン材というフィリピンとかボルネオとか、インドネシアの材木が入ってきた。かつコンクリートの家が増えたので、木材が以前ほど要らなくなったんです。だから日本の山が荒れ果てたって、もう30年前に騒がれていましたね。その後はベイツガ(米栂)というのが流行った。アメリカやカナダの大きな木を製材した柱がたくさん輸入された。


ワラン材(Lauan)

【東南アジア原産のフタバガキ科の広葉樹の総称。軽軟で加工しやすく安価なため、建築の下地材、家具、合板などに広く使われる。耐久性や耐水性は低い傾向がある】


米栂
【北米原産の針葉樹で、淡い色調で木目が明瞭、軽量で加工性が非常に高いのが特徴。水回りには不向き】

今は、輸入木材のほとんどがロシア製だと思う。ロシア産のタイガの森、シベリアで取られた材木が日本に入ってきている。それらロシア産の木材は、ウクライナ戦争が始まって倍の値段になったんです。中国人がそういう材木を日本に輸出したりもしているんだけど、それについては後日、「山林編」のところで話します。

里山というか山暮らしの話に戻ります。10年、耕作地を放棄すると、篠竹(しのたけ)という小さな竹がたくさん生えるんです。すごいです、これも。20年経つと、それが直径10センチぐらいの木になるんです。耕作放棄地のそれらを、シイナ夫婦の旦那さんはね、単管(たんかん)っていうんだけど鉄のパイプを3つ組んで、真ん中に滑車を入れた装置を組み立てて、人力(じんりき)で抜根(ばっこん)するんです。要するに引き上げて、根っこから抜くんです。この抜根は大変な作業なんだけど、やらないとダメなんです。そうやって耕作放棄地(200㎡くらい)をもう1回田んぼに戻す、っていうのをやっていました。草刈りだけじゃダメなんですよ。彼が耕していたのはおそらく、縦20メートル横10メートルぐらいだから、200平方メートルです。


篠竹


単管パイプでの伐根作業

 

■稲作の流れ
200平方メートルぐらいの小さな田んぼを復活させて、そこに苗代(なわしろ)を作って田んぼにして水を引いて、というのをその田んぼでやって全部見せてくれた。稲刈りまでして。稲刈りは、シイナさんの動画では、40年前の機械(コンバイン)を使っていました。そういう機械類がたくさん、田舎の農家の物置に放置されているのね。里山だから、大きなトラクターなんかは入らないですから、耕運機なんかも自分でうまく修理して。コンバインでクルクルと刈り取った稲が、束でポンポンって横に出てくるんです


コンバイン【刈り取り・脱穀・選別の3つの作業を一台で同時に行う農業機械】

それから横柱(よこばしら)を通して、天日に干して、それから脱穀するんですね。その様子も全部動画で見られます。だから非常に勉強になった。それを今度は玄米にして、最後に精米にするわけです。昔はね、地方に行くと必ず精米場っていう工場みたいなのがあったんだけど、今は、小さな機械というか、電話ボックスより大きめの感じで、スーパーの脇とかにあります。そこの裏側に、精米したときに出る米ぬかが置いてあるんです。「(米ぬかが)欲しい人は持って行ってください」っていう貼り紙があったりする。都会でもあります。精米機の使用は一回あたり500円くらい払うんでしょうね。

 

■米ぬか肥料を作りたい
実は私は、米ぬかを使って、今年の冬から雑草堆肥を作ろうって決めているんです。私がつくった「熱海ギリシアの美術庭園」がある山にね、50本ぐらいみかんの機を植えようと思っています。その肥料づくりのために「米ぬか」がどれぐらい大事か。それはもう今日は話しませんが。

 

■土くれプリンセス さおりの暮らし
ユーチューブの話に戻ります。今はね、1回目で話したんだけど、北海道の帯広の十勝平野で3ヘクタールの畑をかわいい女の子が一人でやっている番組を見ています。さおりという女性がスカートをはいて、一人で大きな機械を動かして。それらはほとんど全自動になっています。長方形の畑のここにじゃがいもを植えますとか、ビート(テンサイ)を植えます、カボチャを植えます、とかやって。収穫して選別・仕分け、出荷のところまで自分でやってますね。

★リンク YouTube
恐るべき耕作能力で、みんながびっくりしてるんだけど。実は「鍛冶屋さん」って呼ばれている旦那さんが横にいてね、この人が高い技術力を持っているんだと思います。いろんな耕作機を自力で作ったりもするのね。夫婦二人でやっているんでしょう。手伝いの人も頼んだりして。北海道は10月に収穫が終わるから、11月から3月いっぱいまで農家はお休みなんだそうです。だからその間は、半分自作みたいなトレーラーハウスを引っ張って全国旅行している。この人の番組も人気があります。「北海道ではうちは普通の広さです」と言っていたから、おじいちゃんの代から農家をやっていたんでしょう。両親が農家をやめたから自分が継いだみたい。だから小さい頃から農業を知っているんですね。どの時期に何を植えるとかね。だからできるんですよ。北海道だから、1経営体あたり約30ヘクタールですね。

北海道の農業経営がどれくらいひどいかっていう話も、もう30年前から言われててね。「もう食べていけないから農業を捨てた」、という悲惨な話がずっとあった。「酪農なんかやってても、もうだめだ」と。だからね、米作りを含めて農業がどんなに大変かって話ばっかり聞きながら、僕らは30年40年、生きてきたから。

 

■農協潰(つぶ)し
今度の平成の米騒動で分かったことは、小泉進次郎が農水族なんですよ。農水大臣もやりましたからね。彼は、どんな相手とも喧嘩しないという優れた特徴を持っているから、喧嘩をしないで総理大臣までになろうと思っていたようなんだけどね。そうすると小泉を育てた農水族の親分が、何を言ったか。ひとことで言うと「農協潰しをやれ」と。だけど小泉という人は、農協と喧嘩して闘うような人じゃないからね、いったい何が起きたのかがみんな分からないんですよ。

一人で50ヘクタールとか、本気で農業をやってる優れた農家は、「農協は悪者だ」って、農協の悪口を言います。農協から機械ばっかり買わされてきてね。今もそれは複雑な構造でしゃべられていて、「やっぱり農業が悪いんだ」という言い方を平気でする人がたくさんいますが、ここはもうちょっと調査しなきゃいけない。

 

■まとめ
だけどね、農業よりも今こそもう、都会で大企業のエリートサラリーマンなんかしてる奴らが一番の落ちこぼれですね。テレビ・新聞・出版と言って、私は出版業にいるから死ぬほどよくわかるけど。もうこんなところで偉そうにしていた連中は全滅です。ただの貧乏な年金暮らしです、彼らは。編集長をした人たちでもね。 もうどうしようもない。何にもできないんです。だから私自身が追い詰められて。本なんか200冊以上も書いてたくさん売れて、これで生きてこれたんだけど。

崖っぷちで嫌になり尽くして、この3ヶ月間、私は落ち込んでいた。その間にYouTubeでたくさんのいろんな業種の動画を見てね。それでびっくりしました。

ただ、はっきり分かったのは、農業法人というのに対して農家が反対しているということです。今でも、農家の耕作は簡単には他の人に交代できません。これも大事な言葉ですが「新規就農者」。 農地法が改正されて、新規に農業をやりたいという人を、どんどん認めるようになった。彼らが「新規就農者」なんです。

新規就農を希望して農協に行くとね、「まず農作物を作り始めてください」と言われる。それから家と土地を借りる。いくらでも借りられますからね。3反ぐらい借りて野菜を作るんです。それを2年くらいやると、周りが認めるんですよ。新規就農を認めるのね。

3年目くらいから、「うちの畑もやってくれ」と言われたりする。だから「来年からうちは三丁部やります」という夫婦の話も出てきている。周りからどんどん「うちの畑もやってくれ」と言われる時代に入っているのね。恐ろしい勢いで。これ、広がりますよ。

この人たちは50ヘクタールぐらいまで、夫婦でやりますよ。人をちょっと雇ったりして、農業法人になっている家もあって。「美容師だった娘が辞めて農業をやっています」とか。ほとんどは家族でやっているんだろうけどね。農業法人にして、30丁部の田んぼで米を作ってるという農家もある。でもまあ、そこは農業法人にしたお父さんがしっかりしてるから、やっていけるんでしょう。

農協はまだ、この農業法人と闘っているんです。自分たちの利権ですからね。ところがもう現実にはやっていけない、後継ぎがいないから。都会に出てた息子たちに、「もう田舎には誰も住まないから農地なんか残さないでくれ」と言われてるんだって。75歳を超えて足越が悪くなったじいさんたちがねしょんぼり話していた。だから、「あんた、うちの田んぼもやってくれ」と。あとはそれこそ、一反あたり30万ぐらいという相場の値段で田んぼを売る。一丁部で300万円ですよ。

1ヘクタール、大変な土地ですよ。農業はこういう時代になった。だから、いくら農業が猛反対しても、農業法人化はどうしても起きるんです。

あとね、土日だけで米を作ってる 兼業農家がほとんどで、専業農家は30万人ぐらいしかいないんです。全国で、ですよ。兼業で土日だけ農作物をつくっている人が200万人。そこへYouTuberみたいな新しい種類の人間たちが出てきて。地縁もないのに。

私は10年前にこう書きました。市役所の支援金を300万円もらって、知らない土地に行って「家があるからそこに住んで農業を始める」と言ってもね、周りが知らん顔するんです。「変な奴が来た」と言って、見知らぬ他人を嫌うんです。ところがおじいちゃんの代からの地縁があるところはね、「〇〇さんとこの孫のあいつが帰ってきた。じゃあ助けてやろうか」となる。だから、やるならば地縁があるところで農業をやりなさい。そのように私は書きました。

だけどね、今はもう、それすらもなくなった。真面目そうないい奴だったら、信頼関係さえ築けたら農業はできるんです。あと林業でも立派な杉やヒノキの林が山ほどあって、ただ(無料)でいいからあげるよ、と。そこに入り込んでいって林業をやるという人たちがいたら、年収1000万円になるんですよ。需要と供給ですから。

もっと野菜とかがどんどん高価なったら、野菜作りの農家を始める人がたくさん出てくるでしょう。この現象が実際に、ロシアで起きているんです。あのウクライナ戦争が起きてロシアは金融経済封鎖されたから、中産階級の都会のロシア人たちが農業や工業に参入して、肉体労働を始めたそうです。

これと同じことがアメリカで起きればいいんだ、と。それが、“ Be a farmer ” という英語なんです。“ You should be a farmer ”  、「お前は百姓になれ。トラクターを動かして、もう一回農業をやれ」と。

「アメリカ人たちも、もういいかげん威張って気取っているんじゃない」「都会一番汚らしい職業である金融業とか銀行業ばかりをいっぱいやってないで、そんなのもの全部捨てて、もう一回農業から始めろ」という時代に、アメリカは今からなっていきます。これは経済法則なんです。それだけの需要もあるしね。日本もそうなるでしょう。

だから今、里山に、立派な立派な家が古民家としてたくさん空いてるんです。ただ、真っ平(たいら)なキレイな農村地帯じゃないんです。山なんです。山地だから豪邸が残っているんですよ。

今から新しい種類の人間たちがそこに入っていく。裏山や耕作放棄地で農業をやる。という時代に突入したんだ、ということです。

 

終わり

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