トランスポーター3 アンリミテッド

ジョー(下條) 投稿日:2011/04/22 19:03

人気のシリーズ映画に「トランスポーター」というのがあります。その名の通り、どんな荷物も運ぶ運転手の話で、頼まれれば必ず届ける、途中で荷物を奪おうとする悪者に襲われるが、最後はその悪者を倒して任務を完了する、というありがちなアクション映画です。

このシリーズの第3作は「トランスポーター3 アンリミテッド」という題で、ある国の環境大臣の娘を無事に「運ぶ」というストーリーでした。この大臣は放射性廃棄物の輸入許可権限を持つので、「娘の命と引き替えに許可証にサインしろ」と脅かされるわけです。主人公が、この娘を救って、放射性廃棄物は上陸しませんでした、めでたしめでたし、という結末です

実は、この「ある国の環境大臣」のある国とはウクライナのことです。私はなぜウクライナか、当時はさっぱりわからなかったのですが、今回の福島原発事故でわかりました。チェルノブイリ原発事故があったのは、当時はロシアでしたが、現在のウクライナなのですね。

ここから、原発事故と放射性廃棄物ビジネスが微妙に結びついているのがわかります。

原発事故のあった福島はどうでしょうか?前書いたように、チェルノブイリに比べれば、放射性物質の放出は多くはありません。今の程度の土壌汚染なら、日本は雨が多いから、これらを洗い流してくれそうです。また、汚染した土壌の上の部分を削り、ひまわり(セシウムを吸収しやすいらしい)を植え、その後で、放射性物質のない作物をつくることも可能でしょう。年月がかかっても元に戻る。放射性廃棄物ビジネスなど関係ありません。

しかし、原発20km圏内が、永久に立ち入り禁止になったらどうでしょう?

立ち入り禁止になって、地元民が移住すれば、地元の人はいなくなります。地元の人がいなければ、反対者もいなくなる。また、福島には海があり、港があります。だから、海から直接運べるし、運べば何が運搬されたかわからない。さらに、「原発事故で漏れた放射能に比べれば、微少ですから!!」といわれれば、その放射性物質を受け入れるのも無理はないでしょう。

「原発とは、うんこを流さないトイレのようだ」とか、なんとかかんとか言った人がいるそうですが、本当にそうです。使用済みウラン燃料は放射性廃棄物となりますが、持って行くところはどこにもありません。仕方がないから、各原発の貯蔵庫に置いてあります。新たにでてきた使用済みウラン燃料をただ積んでいくだけです。青森の六ヶ所村に廃棄施設を拡張しようとしていますが、うまくいかないようです。

これは世界中で起きていることです。どの国もそれなりに廃棄するのに苦労しています。

もし、福島で、放射性廃棄物の最終処理をしてくれたら、それは日本以外では朗報でしょう。ビッグビジネスです。でも持ち込まれる福島の人と日本人は、たまったものじゃない。勘弁してほしい。やめてほしい。とんでもないことです。

私の杞憂かもしれません。でも、「福島原発の近隣にはもう住めない」という流れが気になります。というよりも、首相自らそう言っている。そして、もしそうなら、それを止めようとしてがんばっているのは、現在の日本では副島先生しかいないことになります。

下條竜夫拝