渋谷陽一は小山田問題について自らの考えを語るべきだ

相田英男 投稿日:2021/07/24 17:14

 相田です。

 サブカル関連の文はあまり書くまい、とは思う。だが、小山田圭吾の一件で、ロッキング・オン側が、以下の一文を載せるだけで、沈黙しているのが、私にはどうしても気になる。

(引用始め)

ロッキング・オン・ジャパン94年1月号小山田圭吾インタビュー記事に関して

 小山田圭吾氏が東京オリンピック・パラリンピックのクリエイティブチームの一員に選出されたことを受け、94年1月号のロッキング・オン・ジャパンに掲載されたインタビューで、氏が話された中学時代のいじめエピソードが、各方面で引用、議論されています。

 その時のインタビュアーは私であり、編集長も担当しておりました。そこでのインタビュアーとしての姿勢、それを掲載した編集長としての判断、その全ては、いじめという問題に対しての、倫理観や真摯さに欠ける間違った行為であると思います。

 27年前の記事ですが、それはいつまでも読まれ続けるものであり、掲載責任者としての責任は、これからも問われ続け、それを引き受け続けなければならないものと考えています。傷つけてしまった被害者の方、およびご家族の皆様、記事を目にされて不快な思いをされた方々に、深くお詫び申し上げます。

 犯した過ちを今一度深く反省し、二度とこうした間違った判断を繰り返すことなく、健全なメディア活動を目指し努力して参ります。

 ロッキング・オン・ジャパン編集長 山崎洋一郎
2021/7/18

(引用終わり)

 問題の記事の内容については、「インタビュー当時の時代では、許される雰囲気もあった」という主張と、「当時から看過できない酷い内容だった」という反論が出されて、ネットで紛糾している。前者の意見の方が、かなり分が悪い様子であるが。

 私が思うに、インタビューアーの山崎氏は、本心では反省などしていないのではないか。「反省してお詫びします」と書いても、口先(筆先)だけではないのか、と疑われても仕方ない状況に思える。

 ロッキング・オンのリーダーの渋谷陽一の考えは、どうなのだろうか?該当雑誌が出版されたという事実は、インタビューの内容を渋谷自身が了承していた事を示している。今の時点でも渋谷陽一は、インタビューの内容を「あれでよかった」と、思っているのだろうか?

 福島原発事故の後で渋谷は、原発事故の責任を体制側に激しく追求する記事を、自らの雑誌に盛んに掲載していた。立場が追求される側に変わった今回、渋谷は、上の山崎の一文を自らのサイトに載せただけで、ダンマリを決め込むのであろうか?

 私自身は、「あの当時は、小山田のインタビューを載せても許される雰囲気があった」と、正直に認めても良いと、思っている。洋楽を長い間聴いていると、演奏者達は皆、非道徳者と性格破綻者ばかりである。昨日のオリンピック開会式で曲が使われたジョン・レノンも、麻薬中毒者で、不倫者で、かつ息子(ジュリアン)への精神虐待者である事実は有名だ。ポール・マッカートニーとその取り巻き連中も、何度も麻薬で逮捕されたり、死んだりもしている。それなら、ビートルズの曲は永久に封印するべきなのか、となると、流石に誰もが考え込むだろう。

(あのイマジンという曲も、天国は無い、神もいない、国境もない、という無神論[エイシズム〕の、マルクス、レーニン、スターリン様万歳、の内容だと、かねがね私は思っているが、堂々と合唱曲で使われていた。あと、あの故黛敏郎氏の正当な後継者といえる、反中国、嫌韓国の、偏屈右翼思想の爺様が作曲した、ドラゴン・クエストの曲が、選手入場時に使われたりして、よく中国共産党から怒られなかったな、と、感心したりもした。結局は、みんなテキトーで、どうでもいいと思っていることが、私は非常によくわかった。単に因縁をふっかけた者の勝ちである)

 それで、であるが、渋谷陽一は自らの責任で、小山田の記事を掲載するに至った経緯を、当時の社会情勢も含めて調査して、自らの考えを交えて、詳しく報告するべきではなかろうか。あれは、山崎が勝手にやった事で、俺には関係ない、とは、流石に言えまい。

 これまで、体制側や原子力村の不誠実な対応について、散々非難して来たならば、自らが招いた混乱についても、誠実に対応するのが、正しい大人の対応ではないのか。当事者達の正直な考えを、きちんと記録として後世に残すべきである。そうでなければ、渋谷達の、これまでの体制側への激しい非難についても、説得力が全く失われてしまう事を、重々覚悟する必要があるだろう。

相田英男 拝