元ネタはウルトラマン

相田英男 投稿日:2016/09/26 00:16

相田です。
中西さん、どうもです。

さて以下は、炎上必至でしょうが、小林よしのりのシン・ゴジラ評への私の反論です。
http://yoshinori-kobayashi.com/11382/

小林よしのりの「ゴジラは神の化身であり、生物として扱うなどもっての他だ」という批判については、自分にもわからないでもない。しかし、物心ついた時に観に行った「対ガイガン」の中で、ゴジラとアンギラスが吹き出しを使って会話するという衝撃的(笑劇的)な場面を見せられた、我々アラフィフ世代には、ゴジラが神格化した存在であるなどの認識は、ハナから頭の中にはないのだ。

ゴジラに怖さがあったのは、ザ・ピーナッツが歌を披露した「モスラ対ゴジラ」までで、それ以降は間の抜けた情け無い顔付きとなり、しょうもない怪獣達とプロレスを繰り広げるだけだったではないか。平成シリーズになって以降も、沢口靖子、釈由美子、阿部寛、といった錚々たる役者達が主演するも、次々と討死にする情け無い内容だったろう。(金子修介監督のやつは見ていないが、「平成ガメラ」と同じレベルならば、これだけはまともな怪獣映画なのだろう)

そんな中で登場した「シン・ゴジラ」は、映画としてもう十分すぎるレベルの内容ではないか。これに文句をつけるならば、今迄のは一体何だ、ということになる。シン・ゴジラを海外上映しても受けないだろう、とはいうが、それならば「メカゴジラの逆襲」をグローバル展開したら(してたら)、大ヒットしたりするのかね?

オタクが集まって盛り上がってるだけに見えるかもしれない。確かに映画の中には、サービスのためのオタクネタは多々入れてあるものの(ゴジラが「イデオン」の技を使うみたいに)、一番の核心は、「属国日本がアメリカからの独立するための処方箋」について、分かり易く解説している処にあるのは、明らかではないのか?

「反米」では無くて「属国らの脱却」が本当のテーマではないのか。

「こうやれば日本がアメリカから独立できますよ」、なんて映画を外国に持ってっても、別に誰も見たくないよね。 ノンポリの日本人は絶対に見るべきであっても。

さて、ネットを見て知ったのだが、ゴジラに熱核兵器を使うという今回の展開は、この映画のオリジナルでは無くて、「帰ってきたウルトラマン」の序盤のハイライトだった、グドンとツインテールの話に由来するそうである。私はリアルタイムに近い時にあれをテレビで観ており、ストーリーを空で辿ることが出来る。

2大怪獣の挟み討ちによりウルトラマンが敗北したため、東京は壊滅的な被害を受けてしまう。怪獣を殲滅する最後の手段として、小型水爆と同じ威力を持つスパイナーと呼ばれる強力爆薬の使用が決定されるが、東京が廃墟と化すことも必然となる。MAT(怪獣攻撃隊)はスパイナー使用前に、怪獣の弱点への至近距離からの攻撃を主張し、火器を携帯したMAT隊員達がJEEPに乗って怪獣へ接近して攻撃を試みる、という話だった。

振り返るとこれは、シン・ゴジラの終盤の展開とそっくりではないか?! 核攻撃を指示するのが、日本政府上層部か、アメリカ(国連軍)かどうかの違いでしかない。

ウルトラマンのこの回のシナリオを書いたのは、上原正三さんという沖縄出身の脚本家だった。大平戦争で故郷を焼かれた上原氏は、その怒りと怨みをぶつけるために、ウルトラマンの中で怪獣達に東京を何度も蹂躙させた、という話を読んだことがある。

40年の時間を経ることで、戦争で故郷を焼かれた怒りが、属国からの独立を目指す決意として、受け継がれていったということだろうか?シン・ゴジラはオタクの内向きの盛り上がりだけの映画ではないよ。

相田英男 拝