TOEICテストの本質

府川雅明 投稿日:2017/10/16 13:53

 就職や会社での昇進に有利とされる語学資格として、TOEICという英語テストがわが国に存在し、ほぼ毎月全国で実施されて、毎回約10万人が受験している。その概要についてはご承知の方も多いと思うので、ここではあえて説明を省略するが、このテストで多くの受験生が二つの大きな誤解に気づいていない。
1、TOEICテストのスコアを上げれば上げるほどネイティブ・スピーカーの
世界に近づくことができる。
2、TOEICはしょせんテストであって、スコアを上げても英語力を向上させることはできない。
 なぜ、このような誤解が生じるのかと言えば、TOEICテストの本質が理解されていないからだ。
 TOEICテストの本質とは、日本人や韓国人のように確固とした母国語を持ち、日常の中でその母国語を使って十分に生活できる人たちが、第二外国語として英語を、主に”ビジネスの現場”で使うための基本知識や運用能力を測定する
ためのものである。ゆえに当時の通産省の肝入りでわが国で始まった。

 これは傍から見れば当たり前すぎることだが、テストの受験生はTOEICテストのスコアの向上を求めて点数の亡者となって、大学受験や英検の合格と同じような意識で学習している。その結果として潤う者もいるけれども、TOEIC
のスコアが良いから”英語”ができると勘違いしたり、反対に悪いからできないと落ち込んだりする受験生が後を絶たない。

 なぜ、こうした事態に陥っているのかについては、今から二十年前に出された
副島隆彦 著「続・英文法の謎を解く」(ちくま新書)の第十章を読まれることをお勧めする。