リバータリアニズム掲示板
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Loginはこちら【9】リバータリアニズムの考え方は転換する時期なのか
「経済政策の射程と限界(神保・宮台マル激トーク・オン・デマンドVol.10)」
神保 哲生 (著), 宮台 真司 (著), 高橋 洋一 (著), 野口 悠紀雄 (著), 北野 一 (著), 浜 矩子 (著), 小幡 績 (著), 萱野 稔人 (著)
(2013年6月10日初版第一刷発行)
という本を読みました。
重たい掲示板[1309]株式と国債の暴落が始まって、「アベノミクス、あるいは、アホノミクスのおわり」となりました。バカ騒ぎの半年間でした。
投稿者:副島隆彦 投稿日:2013-06-06
で、先生が褒め称えていた経済学者たちが出ていたからです。
(アマゾンによる内容紹介は以下の通り)
日本社会には、アベノミクスでは越えられない根深い問題がある。
「復活」と「破綻」――アベノミクス論争はなぜ両極に分かれるのか?
代表的な論客をゲストに、神保哲生(ビデオジャーナリスト)、
宮台真司(社会学者)、萱野稔人(哲学者)が討論を重ねる。
賛否両論がゼロからわかると同時に、経済論争からこぼれ落ちた
「社会」「価値」といった視点を提示する1冊。
◆金融緩和批判にゼロから答えよう 高橋洋一
◆インフレ目標は隠れ蓑。真の目的はバラ撒き 野口悠紀雄
◆本当の問題は株式市場の”金利”暴騰だ 北野一
◆アベノミクスは古臭い”浦島太郎の経済学” 浜矩子
◆救世主願望としてのアベノミクス 小幡績
◆経済が回って社会が回らないという事態 神保×宮台
(内容紹介終了)
このアベノミクス批判者の中では、浜矩子氏の考え方に魅かれました。
経済成長という考え方自体が古いという主張に同意できるからです。
そこで、「経済成長って、本当に必要なの?」
ジョン・デ・グラーフ(著), デイヴィッド・K・バトカー(著)
(2013年5月10日初版印刷)
という本も読みました。
(アマゾンによる内容紹介は以下の通り)
枝廣淳子氏(環境ジャーナリスト、幸せ経済社会研究所所長)絶賛!
「なぜ幸せな国は幸せで、不幸な社会は不幸なのか?――その構造がわかる。政治家・経営者・次世代、すべての人にとっての必読書!」
平川克美氏(株式会社リナックスカフェ代表取締役)推奨!
「アメリカが自らの病に気付きはじめているとき、日本はその病にすすんで罹ろうとしている。本書には超大国の病理の全てが書かれている」
「経済成長=幸せ」ですか?
これからの時代、いままでのように経済成長を追い求めるだけで、私たちは本当に幸せになれるのだろうか? 貧富の差の拡大、長時間労働、物質的には豊かでも精神的には満たされない暮らし、金融危機、環境破壊など、経済成長だけでは解決できない難問が、社会には山積している。
いまこそ、GDPを上げるのみの成長至上主義には別れを告げ、「人間の顔をした資本主義」を目指すべきではないだろうか? 国民総幸福量(GNH)の導入、持続可能な発展の模索、ワーク・ライフ・バランスの見直し、生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)の確保など、新しい社会を求める胎動は、あちこちで始まっている。
経済の本来の目的は、「最大幸福を、最大多数に、できるだけ長期にわたってもたらすこと」。そこから導かれる真に豊かで持続可能な社会を創るための実践的処方箋は、ポスト3・11時代を考える上でも示唆に富む。ドキュメンタリー監督と経済学者が贈る21世紀型経済論。
(内容紹介終了)
この「経済成長って、本当に必要なの?」という本の中には、アイン・ランドについて言及がありました。
(引用開始)P196~199
「最大多数に最大幸福をもたらす」ためには、全体としてかなり大規模な公的支給と社会保険が必要になる。つまり、富を富裕層から貧しい層に動かす方法が必要だ。だがこういう富の再配分という考え方は、人々に深く根づいた信念に対する挑戦となる。保守主義者が賞賛する「自己責任」という価値観は、アメリカ人に共鳴するものがあるからだ。そのため、社会的セーフティネットを拡大して経済的安定を高めようとする動きは、この原理的イデオロギーの壁に妨げられている。
こういう価値観は、その知的ルーツをアイン・ランドの書物の中に見ることができる。ランドは辛酸をなめたロシアの作家で、アメリカに移住した。彼女は、ベストセラーとなった小説『肩をすくめるアトラス』の主人公、起業家ジョン・ゴールトに象徴されるような、創造性に富み、生産的で、野心のあるほんの一握りの人たちだけが、実際に世の中の素晴らしいことを可能にできると主張した。一方でほとんどの人たち、とりわけ賃金労働者たちは、ジョン・ゴールトのような自力でのし上がった人間たちが仕事を創出してくれるおかげで、職を得て生き延びられるのだという。ジョン・ゴールトのような人間は賞賛されるべきであって、税を課せられるべきではないというのが彼女の見解だ。雇用を創出する人たちが税金の負担に反発して仕事をすることを止めてしまったら、大衆は飢えるだろうという。
ジョンは一九七〇年代に『肩をすくめるアトラス』を読んだが、ひどく冷たく心ない小説だという印象だった。登場人物には命が通っておらず、知的にも空疎だと思った。しかし多くの人はそう感じなかったようだ。ジョンがジョージア工科大学で講演した時に、一人の保守派の学生から意義を唱えられたのだが、その学生の短い言葉に、ランドの価値観が凝縮されているように思った。学生はこう言った。「つまり先生の意見は、生産的な人から金を取り上げて、非生産的な人間にやるということですか」言いかえれば学生は、ジョン・ゴールトから金を取り上げて、どこかのなまけ者にくれてやるのかと言いたいわけだ。
(中略)
頭でっかちのランド流の考えでは、市場で人が稼ぐ金だけが本当に「価値のある」もので、それは彼ら自身の努力のみで生みだされたものだとする。だからそういう人たちに税金をかけることは彼らの財産を奪うことだというわけだ。彼らの努力だけが世界をよくしていると思っている。ランド派は、政府の規制緩和ではなく、社会保障政策が、この度の経済危機を招いた原因だという。何もかも市場のなすがままに任せておいたらよかったのだと彼らは主張する。
この主張の問題点はまず、人は誰ひとり完全に自立して生きていけないということだ。ウォーレン・バフェットも、自分がもしバングラデシュに生まれていたら、億万長者にはなっていなかっただろうと言っている。それに、市場に逆らわないでさえいれば、何事もうまくいくなどという主張は、完全に理論上のものであり、その正誤を実証することができない。一九六〇年代から七〇年代にかけて急進派の連中が、ソビエトに対する批判を退けて、「ソビエトは本物の社会主義じゃない。本物の社会主義なら、あんな問題は起きないのだ」と言っていたのと同じだ。当時の保守派の評論家がそれに反論して「われわれが真に判断できるのは、現実の社会主義だけであり、その現実の社会主義は失敗だった」と言ったのは的を射ている。
今やランド流の考え方を転換するときだ。わが国はすでに三〇年間も実際に、減税、規制緩和、政策の民営化を行ってきた。しかし明らかに、他の国に比べ、公平さ、安全性、満足度が減り、借金やストレスが増え、より不健康になり、レーガンが大統領に就任した当時に比べ、幸福度も低下した。
この三〇年間、国民は何とか月並みな暮らしを求めてやってきたが、生活の不安は増すばかりだ。政府が金融界の規制緩和を続けた結果、ついに二〇〇八年の秋、「自己責任」という価値観は破綻した。そして何百万人もの生活の基盤が失われたのである。
(引用終了)
それから同書に、グリーンスパンが、アイン・ランドの信奉者であるとの記載があります。スパンは、デリバティブ規正計画を発表したブルックスリー・ボーン(優秀な法律家で商品先物取引委員会委員長であった)に、この計画を破棄するよう要求しました。
その結果ボーンの計画は却下され、1998年ボーンは辞任しました。ボーンは2008年の大暴落の予言者だったというエピソードも書かれています。
(同書P308~310)
私は、副島先生の「リバータリアニズム入門」を持っていて、部分的に読みましたが、まだしっかり読んでおらず、アイン・ランドの本もまだ読んでいません。ですからバータリアニズムに関して詳しくないですし、今のところ批判するつもりはありません。
しかし、上記引用を読むと、『肩をすくめるアトラス』は、リバータリアニズムの負の側面を象徴する内容なのだろうと思いますし、少なくとも、そうとらえるアメリカ人がいるのだとわかりました。
重たい掲示板[1394]強欲な0.01%が引き起こす米議会の対立 (目くらましとしてリバータリアンを悪者に仕立てるメディア) 投稿者:六城 雅敦 投稿日:2013-10-05
にもリバータリアニズムに対するアメリカ人の考え方が垣間見えますね。
同書「経済成長って、本当に必要なの?」では、ノルウェーを含め特に北欧諸国は、高福祉で税金は高くても社会保障が充実し、労働時間は少なく、手取り賃金は少なくない。よって幸福度が高い国とされています。その割に、経済的競争力は、長時間労働で働きすぎのアメリカに比べて低くはないし、もちろん貧富の差も少ないということです。
ところが、ちょうど同書を読み終えたころ、9月11日の日経新聞を見ると、
「ノルウェー、政権交代 成長維持へ減税・民営化」という下記の記事がありました。
(日経新聞WEB刊から転載開始)
ノルウェー、経済成長持続へ減税・民営化 政権交代 2013/9/10 23:32
【オスロ=上杉素直】9日の議会選挙で8年ぶりの政権交代を果たしたノルウェーの中道右派陣営は、減税や民営化を軸とする次期政権の政策協議を本格化する。先進国の中では好調な経済の成長持続を目指す。石油収入を原資にした世界最大の政府系基金の分割論議にも着手する。最大与党になる保守党のエルナ・ソルベルグ党首(52)が同国で17年ぶり2人目の女性首相に就く方向だ。
ソルベルグ氏は9日、「12年間変わらないか、新しい理念と新しい解決策を持った新しい政府か、という選択だった」と力を込めた。2013年も2%台の堅実な成長を維持すると予想されるノルウェー。現政権は8年間の経済運営の実績を訴えたが、国民には飽きもあり、変化を訴えた野党4党が圧勝した。
保守党や連立相手候補の進歩党が選挙戦で訴えてきたのは、緩やかな自由化路線だ。高福祉の北欧では一般的に重い富裕層の税負担見直しは典型。病院運営に民間企業の参入を促す規制緩和も打ち出した。社会民主主義の全面転換とまではいかないが、部分修正で民間活力を重視する。
残高7600億ドル(約76兆円)を誇る世界最大の政府系基金をめぐる議論も流れは同じ。中道右派陣営には、現在は総額の4%と決められている国家予算への繰り入れを柔軟にしたいという主張がある。基金を分割して競争原理を持ち込んだり、投資対象を広げたりする構想も出ている。
保守党幹部は専門家の意見を聞いた上で今後、基金の形態や投資方針を変更するかどうか最終決断する構え。ノルウェーの金融界は「当面は大幅な変更は無さそうだ」(大手銀行ストラテジスト)とみている。ただ、ノルウェーの政府系基金は計算上、世界のすべての上場企業株の1%以上を保有するという巨大な存在だけに、新政権の議論が金融市場に影響を与える可能性がある。
10月予定の新政権発足に向けて、与党第1党のソルベルグ氏が首相、第2党進歩党のシーブ・イェンセン党首(44)が財務相にそれぞれ就き、女性指導者が枢要2ポストを占める案が有力だと伝わる。ソルベルグ氏が2000年代の自治相時代の手法から「鉄のエルナ」と呼ばれるなど両氏ともに豪腕で鳴らしている。女性コンビの経済運営のかじ取りが注目される。
(転載終了)
この記事で、またしてもアメリカ型自由主義、競争社会の導入かと思いました。
特に「残高7600億ドル(約76兆円)を誇る世界最大の政府系基金をめぐる議論」があり、「基金を分割して競争原理を持ち込んだり、投資対象を広げたりする構想も出ている」という部分にはぞっとします。
日本の郵政民営化のように、アメリカがこの巨大な(国民から集めた)資金をねらっているに違いないでしょう。
重たい掲示板[1384]消費税の値上げは、オリンピックとの抱き合わせ増税だ。すべてアメリカの計画通り。 投稿者:副島隆彦 投稿日:2013-10-01
に、「帝国の逆襲」戦略の、世界中での動きがあるという旨が書かれていますが、
ノルウェーの動きもその一環ではないかと思いました。
【8】ボストンに関連して
ボストンとリバータリアニズムはそれほど関係ないように思われるかもしれませんが、以下に連想ゲームのような思いつきで関連を書きます。
ハインラインの「月は無慈悲な夜の女王」を読むと、アメリカの独立戦争をモチーフにしていることがわかります。
独立戦争のきっかけとして、ボストン茶会事件が思い浮かびます。
ボストン茶会事件は、フリーメーソンが仕掛けたとどこかで読んだ記憶があります。
ここに何か秘密がありそうだと思って、ボストン茶会事件の本があるか調べたところ、
インターネットの検索では見つかりませんでした。
似たようなタイトルで、(思ったより多くありませんが)アメリカ独立戦争とか南北戦争とかの本ならいくつかありました。
しかしボストン茶会事件について掘り下げた本はみつけられませんでした。
英語ではおそらく研究本は多いと想像していますが、
日本人は、このアメリカ建国の秘密のところは、意図的に知らされていないのではないかと思いました。
そう思っていたところ、ぼやき1374で副島先生も以下のようなことを書いているので、その意を強くしました。
「フランクリンは名前だけは知られているが、何をした人かは日本人には知られていない。ということは、アメリカのことなんか何にも知らないに等しい。
アメリカ国民も、フランクリンやジェファーソンがどれぐらい偉大だったかということはあんまり教わっていない。それは、ワシントンやフランクリンやジェファーソンたちが偉大な思想をつくっていたからである。それを知られたくないのだろう。」
ベンジャミン・フランクリンはアメリカ建国の父の一人です。
ちなみに「フランクリン自伝」(岩波文庫)は学生時代に(私は今48歳ですが)読んだことがあります。
立身出世、成功ハウツウ本の元祖のような本であった印象があります。
タイムイズマネー:時は金なり、などの格言を載せたカレンダーを売っていたこともあり、資本主義の精神を体現した人でもあります。
マックスウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」をちらっと立ち読みしたら、フランクリンは近代人の代表みたいに書かれていた記憶があります。
自伝では、彼はボストン出身で、若いころは友人とロックの哲学本などを読んで議論をしたり、新聞を出版をしたりと勤勉で勉強家であったことが書かれていたはずです。
ヨーロッパを訪問する場面もあった記憶がありますが、今思えばそれはフリーメーソンとの関わりを示していたのでしょう。
フランクリンもフリーメーソンであるといろんなところで書かれています。
フランクリンもボストン茶会事件もフリーメーソンで、
フランス革命もフリーメーソンです(ぼやき1374参照)。
アメリカ独立戦争は、イギリスとアメリカの戦いですが、フランスがアメリカを支援しました。そのときフランスの戦費の負債がイギリスの負債を上回るほど膨大で、それがフランス革命の原因だと、最近ある本を立ち読みして知りました。(立ち読みや記憶ばかりが多くてすいません)
やはり、アメリカ独立革命もフランス革命もフリーメーソンを通してつながっているのでしょう。
ロンポールも関わるティーパーティー運動はどうなのでしょう。
そこにもフリーメーソンが関わっているのか。
そもそもリバータリアニズムとは何か。
最近たまたま知ったのですが、
藤森かよこ先生のHPの「アキラのランド節」に、
アメリカ帝国の人民操作法としてのTV番組(その4) [03/28/2009]があり、そこに以下のように書かれていました。
(引用開始)
Atlas Shruggedといえば、「アイン・ランドはフィリップ・ロスチャイルドの愛人で、『肩をすくめるアトラス』は、ユダヤ系国際金融資本家と軍産複合体がもくろむ世界支配の未来図を予言暗示したものである」という言説があります。日本では、太田龍氏が、この言説の伝播に務めておられる言論人の代表です。
(引用終了)
なんだか私がこの掲示板([11]ハインラインについて)で、ハインラインが軍産複合体のプロパガンダ要員ではないかと書いたことと似ています。
ハインラインもリバタリアンSFを書いています。
リバータリアニズムは軍産複合体に利用されている思想なのか。
そういえばリバータリアニズムは、レーガノミクス時代の新自由主義が台頭してきた時代に注目されはじめたのではなかったか。
レーガノミクスは一方で軍備増強時代であった。
しかし、リバータリアニズムはどのように利用されていると考えられるか。
単純に、集団や社会より、個々個人を重視する思想だとすれば、大衆のチームワークを崩し、アノミー状態にして、例えば労働組合のような資本家に都合の悪い団結を取り崩し、大衆操作をしやすくするという効果があるかもしれない。
そして、貧富の差が激しくても資本家自身が自由に利益を追求する権利も正当化する。
リバータリアニズムは、個人が自由に自己の幸福の実現を追求したいという願望を正当化する魅力的な思想であるが(私はその全体像、内容をよく把握しているとはいえはないが)、利用されている可能性もある。
そして、最近ボストン爆破テロ事件があった。
ボストンはアメリカの建国とともに没落の象徴となろうとしているのか。
とりあえず本日は以上で連想ゲームを終了します。
【7】ハインラインについて(訂正、追加)
下に[11]ハインラインについて投稿日:2013-03-01を投稿しましたが、
訂正と追加があります。
(訂正)
ハイラインの作品のひとつを「異性の客」と誤入力しましたが、正しくは「異星の客」でした。失礼しました。
(追加)
ハインラインの「月は無慈悲な夜の女王」(早川文庫)P521に以下の記述があります。
「・・・わしらの戦略は、かれらに最初の一撃を加えさせるように敵対しなければいけないってことだよ。ゲーム理論のうちの古典的な真珠湾行動さ、世界政策における大きな利益さ。・・・」
この記述は、まさに太平洋戦争をしかけた日本の真珠湾攻撃は、本当はしかけられたように見せかけたアメリカ側が意図的にしかけたものだということを、示しているといえるでしょう。アメリカ人にとって常識なんでしょうね。
このほか、この作品には、リバタリアン的な部分があると思われる箇所がありますが、具体的にどの部分がどうなのかを指摘するには時間がかかるので、その作業はまたの機会にします。
【6】ハインラインについて
SF作家のハインラインは重要だと思います。
副島先生もぼやき1116で以下のように述べていたことを最近改めて気が付きました。
(引用開始)
それで、あと一つ大事なのは、このロバート・ハインラインという小説家がいるんです。ものすごく重要なんです。ハインラインは、「スターシップ・トゥルーパーズ」という映画があるんです。ものすごくいい映画だと思う。
出てくるのは白人ばかりで、米軍みたいなやつがどこかの星で巨大になった昆虫類と戦う映画なんだけどね。勇敢な軍人たちというのが出てきてね。このロバート・ハインラインというのはリバタリアンなのかなんだかわからない、おもしろい作家でね。
あの中に出てくる軍人たちの様子が、今の海兵隊が凶暴化して実行に移す人間たちと非常にダブるんです。だからロー・アルチチュード・コンフリクト(low-altitude conflict)というのかな。だから低い緊張関係の争いということをやろうとしていくわけです。
(引用終了)
最近までハインラインはどんな人かよく知らなかったのですが、学生のとき読みたかった彼の小説「夏への扉」を(40歳後半の)昨年に今更ながら読んでみました。
SF小説としてなかなか面白かったのですが、それよりその内容が、ジョブズとゲイツの争いを思わせ、そのドラマを先取りしたような内容だったことが驚きでした。
主人公は、軍の特許のない機密技術や、その他の技術を組み合わせて、文化女中器(ハイヤード・ガール)という、自動掃除機のようなヒット商品を発明し、儲けたのですが、信用していたパートナーに裏切られて、その特許を含め乗っ取られ、会社を追い出されます。失意のあと、タイムマシンなどを利用して仕返しし、発明品を取り戻し、よりよい商品を世に出します。
文化女中器は、さまざまな借物の技術を組み合わせたもので自慢のできる発明ではなかったとされており、まさにiPhoneやipadが、独自の技術というより、日本製部品などの組み合わせで作り上げた産物であるのと同じです。ジョブズは、ビル・ゲイツにOSのアイデアを盗まれたり、自分の会社から追い出された後、カムバックしたりしています。
現代の主要な先進技術商品である半導体、パソコン、インターネット、GPS、スマホなどは、基本的には軍が開発した技術をもとにしています。もともと軍関連の研究機関がカルフォルニアのシリコンバレーにあって、そこに集まった民間のベンチャー企業などから、ハイテク商品が世界に拡がるという構図が、この小説から読み取れる気がしました。
似たような考えを持った人はいるようで、ネットをみると、岡田斗司夫氏が、「ドラッカーよりもハインラインを読め」といった有料動画を配信しているようです。
ジョブズなどの企業家たちは、ハインラインを読んで育ったので、彼の小説を読むとアメリカの今後のビジネス動向がわかるということを述べているようです。
余談ですが、岡田氏やウィキペディアによると、ハインラインの「宇宙の戦士(スターシップ・トゥルーパーズ)」や「月は無慈悲な夜の女王」という作品は、日本の人気アニメ機動戦士ガンダムにも影響を与えています。
「月は無慈悲な夜の女王」というハインラインの作品は、アメリカの人気SFのランキングでも上位でリバタリアンSFとしても評価が高いようです。
それで、この「月は無慈悲な夜の女王」も最近読んでみました。
2070年代頃の未来を描いているのですが、デ・ラ・パス教授という革命家の老紳士がいて、(もしかしてチェ・ゲ・バラを参考にしたのか?)、合理的無政府主義を主張します。地球政府の隷属から月世界の住民を(7月4日に)独立させようとするのです。
教授と組んで革命運動に加わる主人公マニーは、ゴンピュータ技師(今でいうハッカーか)で、政府の(スーパー)コンピュータをマイクという人格を持つに至るコンピュータに育てます。
月世界の住民たちは、多夫多妻制のような地球とは異なる独自の家族制度をもっていたり、
裁判は、専門の裁判官ではなく、当事者の住民同士が選んだ素人の住民を裁判官に選んで行ったりします。
コンピュータの力を得て、マスコミ情報を操作して世論を形成したり、地球政府を惑わしながら、主人公たちは計画的に仕掛けた革命を実行していくという、興味深い未来社会を描いています。
地球では、中国やインドがアメリカに対抗できる政治力をもっています。
ウィキペディアによると、ハインラインは、海軍出身で、同じ海軍出身のアイザック・アシモフと出会っています。
アーサー・C・クラークと3人でSF界のビッグスリーと言われているそうです。
もちろんSF作家として有能な人なのでしょうが、おそらく軍産複合体のプロパガンダ要員(軍の計画を大衆化し地ならしして、行いやすくする役割をもった人)であったのではないかと想像しています。軍、CIA、NASAの情報に詳しかったのでしょう。
(最近ではアフリカ各国などで起こるような)革命も、軍やCIAが仕掛けるのでしょうから、革命のしくみにも詳しい人だったのでしょう。
それにしても現代の「革命」は、支配層に対抗する運動というより、皮肉にもアメリカが他国支配のために利用する手段のように思えます。
クラークもキューブリックと組んで「2001年宇宙の旅」という作品を生んでいるので、怪しい人です。キューブリックが月面着陸映像を捏造したといわれていますからね。
「月は無慈悲な夜の女王」のあとがきなどによると、
彼の作品の「宇宙の戦士」は右翼的、「異性の客」はヒッピーのバイブルとも言われリベラル、「月は無慈悲な夜の女王」はリバタリアンSFの代表のように評価されているようです。
彼自身がどのような思想の持ち主かは、私がみた資料からはよくわかりません。彼の伝記が訳されることを待望します(英語が読めないので)。
(このリバータリアニズム掲示板[6]ロバート・A・ハインラインの伝記について参照)
私は行けませんが、3月3日に、藤森かよこ先生が講演されますね。
アイン・ランドもこれから読んでみたいと思っています。
私はミルの「自由論、ミル自伝」(岩波文庫)、ロックの「政府二論」の一方、ベンサムの「道徳と立法の諸原理序説」(中央公論社の世界の名著で完全訳ではない)は読んだことがあります。
個人的には、功利主義という法律的にも道徳的にも徹底した理論を生み、近代経済学にも影響を与えたベンサムの思想が好きです。
「道徳と立法の諸原理序説」に素朴な快楽の計算方法も書かれていていますが、これらの理論は、現代の(特にアメリカの)法律学、経済学、社会学、心理学などにも大きな影響を与えていると思います。
現代の英米哲学は、イギリスの功利主義の伝統をもとに、分析哲学、論理哲学、プラグマティズムなどを発展させ、それがコンピュータの原理の発展にもつながっているようです。
思想が空論に終わらず、科学技術、法律・政治経済政策の実践に結びついているのは、英米哲学のすごいところです。
英米哲学が生活に結びついているアメリカ社会とリバータリアニズム(ベンサマイト)の相性もよいのだろうと思います。
ちなみに、リバータリアニズムのベンサマイトについて、副島先生の著作には説明があるのですが、それ以外に他の本などで説明を見かけたことがありません。残念です(英語ではあるのかもしれませんが)。
【5】情報通信革命時代のリバータリアン
大城義和です。
情報通信革命時代のリバータリアンについて書きます。
リバータリアニズム、あるいは、リバータリアンに、情報通信革命を組み込むパーソナル・コンピューター・メディアを、電子頭脳化する、仮想ハイテク武装モダン・サイエンス的生き方、人生。世界政治金融経済圏という、巨大な有機的構造体建築物にたいする、個のインフォメーション・テクノロジーにより、サブジェクトとオブジェクトの中間点に、オーガニックにネットワークしてゆく、パーソナル・コンピューター・メディア人間。個の人間は、パーソナル・コンピューターやスマートフォンにより、ダイナミックでスタティックな世界像を、ユビキタスに情報通信し、人間の頭脳は、どこでも、どんな時でも、クライアント・サーバー/データベース/サーバーになり、そのままハードウェア/ソフトウェア/ネットワークし、仮想の実身=パーソナル・メディアにモデルチェンジしてゆく。最新のリバータリアンは、情報通信革命を駆使し、世界政治金融経済圏を、リアルタイムMIX/REMIXし、リバータリアニズムを体現する、それは、新しい人類の時代である。今、パーソナルな人類は、インターネット革命により、リバータリアンになり、情報通信革命する。
大城義和拝
【4】川内村に獏原人を捜せ!
■バスツアーとその後
会員の六城雅敦です。2012年4月28日~5月1日で行われた学問道場主催「福島難民村見学バスツアー」参加後に愛車(12段変速の自転車)で川内村を見学して回りました。
すでに福島県阿武隈地方は車で走り回ったので土地勘というか広大さは認識しております。
学問道場福島復興事務所が置かれる田村市都路も数年前の合併前は都路村でした。その北と南に位置する飯舘村と川内村もやたら広い。どちらも私が住む東京23区と広さ的には変わらないようで、縦横に自動車で走るだけでも1時間近く山道を走ることになります。
バスツアーでわかったことは、津波で破壊された海岸線の瓦礫は大部分が撤去され整地された土地にほぼなっていたことです。不謹慎ながら元々の街並みを知らないので視界の良い更地には清涼感さえ覚えたました。すでに四ツ倉では新築住宅が建てられており逆に清潔ささえ感じました。
ちょうど1995年1月の阪神大震災で神戸市長田地区が倒壊と火災で大部分が更地となりました。それでも6年後には見違えるほどきれいな街並みに変貌していました。古くて込入った区画整理もされていない汚い街がパンフレットにでてくるような街になったのです。
たぶん5年後10年後には津波の面影もほとんどわからなくなるでしょう。
それと各所に設置されている放射能線量計の表示ですが、どこもコンマいくつ(毎時マイクロシーベルト、毎時マイクログレイ)という自然放射線量とたいして変わらない値であったことです。あの飯舘村役場まえでも0.2μSv/h、福島第一原発10km圏境の検問前でも0.4μSv/hでした。
もう何も憂慮する点がないことが難民バスツアーの最終的な結論であり、よそ者の私としては水も空気も良い恵まれた土地を放棄して逃げているのだろうと考え込んでしまいます。
バスツアーでは田村市で有機農法を実践されている「ひふみ農園」を見学させてもらいました。福島第一原発から40km近く離れている場所です。水が豊富なのでもともとから農耕に適した土地のようです。有機農法といっても肥料として堆肥や籾殻を丁寧に鋤込むだけのようですが、農園主の渡辺氏は「土の光りかた」が隣とは全く違うのだそうです。
フクシマで高級米づくりを実践されている農園を見学したことで新たな可能性を見た気がします。それは有機農法だけではなく、自主流通米(農協を通さないお米)の強さです。
補助金もらえるから今年は耕作をやめる農家が多いそうですが、裏切られることがわかっているのに目先の金で楽なことへ転ぶ百姓根性では結局足腰が弱まるだけでしょう。農家の生活はたぶん大変なのでしょうが奮起しないことには何も変わらないのです。
■田村市から川内村を走る
そんな傍観的な感想を述べましたが、自分の関心は川内村に移っています。田村市以上に川内村はコンビニどころか食料品店も見あたらないド田舎です。見渡す限り田んぼと山以外何もない。ホーホケキョとあちこちから鳴き声が聞こえています。山間の国道といっても急勾配が続き自動車がないと生活には不便な場所です。
川内村の観光資源といえばイワナの渓流釣りと詩人・草野心平の天山文庫です。(草野心平の生家は国道399から少し脇のいわき市小川町に保存されて公開されています。)
とはいうものの道を走ればそこそこ大きな集落があり、人々は垣根があり瓦屋根の立派な家でした。通り過ぎれば普通の日本の農村風景です。信州や信越の農村と何もかわらない。
違う点があるとすれば、あちこちの農家では除染作業という看板を掲げて、数人から5、6人の作業着姿の方々が側溝の土や玄関周りをユンボや人力で土のうに詰めています。立派な庭では植木も剪定していました。おそらく近所の土木会社が請負っているのでしょう。その作業をされている方々も農家のおじいさんおばあさんばかりです。
そんな作業自体は無駄なのでしょうが、お金が動くことは悪いことではないので仕方がないと見つめていました。
そこで一句
「ウグイスや 除染という名の どぶさらい」
■川内村に獏原人はいるのか
「裸のフクシマ(講談社 たくきよしみつ著)」という事故直後のドキュメンタリーを読んで自給自足をするコミュニティーがあることを知りました。自給自足を目指すには福島の過疎地域はぴったりです。川内村は広大な面積ですが、その集落は中心地にまとまっており郵便局や日用雑貨はあるので、そこに住めばそれほど不便は感じないと思います。
それでもあえて水道も電気もない場所で暮らすコミュニティーとはどのようなものなのか、そもそも本当にそのような集落があるのかが疑問でした。
そのような人たちがいれば、それこそ筋金入りのリバータリアンでしょう。
でも川内村の国道を走っている限り、どうもそのような感じはいたしません。川内村役場には清流に多くすむ蛙に引っ掛けたスローガン「かえる かわうち」という大きな垂れ幕がかかり、帰宅を促しています。ということはまだ自ら難民という選択をしている村民も多くいるのでしょう。
正直がっかりしました。「裸のフクシマ」の書評で川内村の村民達はリバータリアンの手本だと思ったのは自分の考え違いだったのかとペダルを踏みながら自問していました。
広々とした片道一車線が続きます。八王子ナンバーのパトカーがたまに通るぐらいで自転車野郎にとっては理想的な道路です。 こんな牧歌的な良い場所を独り占めして申し訳ないなあ、などと思いながらペダルを踏んでいると、向こうからマウンテンバイクで走ってくる奴がいます。またしばらくすると派手な姿のロードバイクがすごい勢いで下っていきました。その後も何人かの自転車野郎とすれ違いました。休憩しているときおばさんから聞いたら、いまでも競輪選手達が平から走ってきて練習しているそうです。車がほとんど通らず道は整備されて広いし、山間部の勾配さえなければサイクリングにはうってつけに思えます。国道399を走り続け、手古岡トンネルを越えると脇道の入り口に「獏原人村入口4km」という簡単な看板が見えました。車で通っていれば見過ごしてしまうところです。
舗装されていないわき道を入ってみました。軽自動車、それも4輪駆動じゃないと入りたくない道です。
水も電気もない土地を開墾していまだに家族で暮らす「獏原人(ばくげんじん)」さんたちは本当にいるのだろうか?轍があるから可能性はありますが、単に富岡方面への抜け道だったら可能性はありません。荒れた砂利道に足をとられながら進みます。
道中にはそれらしき古びた表示が残されています。 場違いなトーテムポールが立っています。 30分ほどして辿り着いたところ、はたしてここが獏原人村なのか!?
大きな養鶏舎ではたくさんの鶏が鳴いています。ワンボックスと軽四駆があるのでどうやら人はいるようです。奥にはドーム型の建物が見えますし、脇には立派で大きなログハウスがあります。山水がひきいられて池が2つ作られています。 立派な施設が並び、電気はなくても巨大な太陽電池パネルが置かれておりますし、畑は耕されて新緑に覆われています。
ドラマ「北の国から」の家を想像していたら、洋風のログハウスにドーム型屋根の集会所らしき建物、広場や池、農地が開けた場所に効率よく配置されています。 そんじょそこらの農家よりもはるかに立派な農家のようです。
門扉はないので(トーテムポールが玄関かも?)敷地に立入させてもらい「こんにちわーどなたかいませんかー?」と何度か呼びかけたのですがどなたもいらっしゃらない様子でした。鶏だけが返事してくれるので、とりあえず獏原人さんの村を確認して引き返しました。
国道399に戻って駐車中の軽トラックの方に様子を伺ったところ、平市街へ出かけているそうです。反原発のジャーナリストがよく取材に来ているのでアンタもその口かいと聞かれました。単に自給自足の生活を見学に来ただけと答えておきました。
親切で面倒見の良いご家族だから会えれば良かったのにねえとおっしゃっていました。話し口調では一家族が住んでいらっしゃるようです。
自給自足とはいっても、自動車があればガソリンは必要ですし、現金のために鶏卵を売られているのです。おそらく農作業の合間には除染作業などもされているのではないかと思いました。 外界から切り離された生活ではなく、鶏卵を売り、日雇い作業を行う田舎暮らしを実践されている普通の農家でした。
有機農法の「ひふみ農園」と川内村、獏原人村の見学はとても興味深いものでした。
【3】ジム・ロジャーズ「2012年はクラッシュしない。2013年が危ない。」
こんにちは、会員の青田です。
ジム・ロジャーズの経済予想について書いておきます。
情報はすべてJim Rogers Blogからです。
http://jimrogers-investments.blogspot.com/
下記に要約しておきます。
「2012年は世界中で40以上の選挙があるので、権力者たちは選挙に勝つために中央銀行を使ってお金をどんどん刷り散らかして株価を上げて景気が良い事を演出する。
だから、2012年は大丈夫。
でも、そのおかげで2013年・2014年は注意しろ。パニックが起きるだろう。」
【2】映画『肩をすくめるアトラス』(Atlas Shrugged)が4月15日に全米公開
こんにちは、会員の青田光(2218)です。
アイン・ランドの『肩をすくめるアトラス』(Atlas Shrugged)が映画化され、4月15日に全米公開されます。
http://www.imdb.com/title/tt0480239/
日本で公開されるかどうかは、分かりませんが気長に待つしかありません。
小説は1000ページを超えるので、会員のあなた様もまだお読みになられていないかもしれません。私も購入してから1年以上経過して、ようやく正月休みに気合を入れて読みました。大学時代に使っていたコリンズコウビドルの英英辞典以来の分厚さです。
現在、アメリカでもこの小説の売り上げが通常の2倍になっているそうです。
http://www.youtube.com/watch?v=tuhkQRhEpSM
正直、この本をバイブルにしているアメリカ人というかユダヤ人たちに日本人が勝てるはずがないと思いました。
アラン・グリーンスパンが計画的にアメリカ経済を破滅させたのは、登場人物のフランシスコ・ダンコニアに影響されたのかもしれませんね。
買ってもすぐに読まないと思いますが、まずは買って机の上に置いておいて下さい。それだけでも価値のあると思います。
青田光(2218)
【1】ロバート・A・ハインラインの伝記について
会員番号1021小澤博幸と申します。アメリカSF黄金時代のSF作家ロバート・A・ハインラインの伝記が発売されました。題名はRobert A. Heinlein In Dialougue With His Century VolumeⅠ 1907-1948 Learning Curve という長たらしいものです。作者は、ウィリアム H.パターソン ジュニア(Wiliam H. Patterson, Jr)です。出版社は、TORです。600ペイジを越える大著です。
英語を読むスピードが速くないので、まだぱらぱらめくっただけですが、表紙カバーの見返しの部分に、「1930年代の左翼で、アメリカのリバータリアンに影響を与えた。」(A left-wing politician in the 1930s,he became an inspiration to American libertarians.)とあります。
わたくしは、この35年ほど、ハインラインの『異星の客』(創元SF文庫)を繰り返し読んできました。はじめは日本語で、次に英文で、一年に一度は読んでいます。その主人公のひとり、ジュバル・ハーショーは、「その気になりさえすれば、地球連邦とポケット・ナイフ一丁でたたかう」まさにリバータリアンの典型のような人物です。
50年前に読んだハインラインの『宇宙船ガリレオ号』も物理科学者と三人の少年が、手作りロケットで月世界に行くお話しでした。これもわたくしには、リバータリアンの典型のように思われます。
ハインラインが、本当にリバータリアンに影響を与えたかどうかは、これから議論されるものなのでしょうが、1988年に亡くなったにもかかわらず、現在でもアメリカの書店では売られ続けており、しかもさらに数年前は、「ヴァージニア版」(Virginia Edition)という特別編集版が発売されているところを見ても、まだアメリカ人には影響を与え続けているのでしょう。
数年前アメリカの知り合い同士の会話を聞いた限りでは、『異星の客』(Strenger In A Strange Land)はアメリカ教養人の一般常識かな、と感じたことがありました。大学のテキストにも、使われているようです。(The Martian Named Smith Critical Perspectives on Robert A. Heinlein’s Stranger in a Strange Land by W.H.Patterson Jr & Andrew Thornton)
ハインラインは、NASAとかかわりが深かったようで、彼の死後追悼集Requiemが、NASAの学者Yoji Kondoの編集で出版されています。日本の作家矢野徹による弔辞には感動します。
しかし、ハインラインは、アポロ計画の欺瞞については、発言していないようです。ここがわたくしの大きな疑問点です。
参考、「バージニア版」について
http://www.virginiaedition.com/