小沢一郎 「本件で特に許せないのは、主権者である国民から何も負託されていない検察・法務官僚が土足で議会制民主主義を踏みにじり、それを破壊し、公然と国民の主権を冒涜・侵害したことであります。」

黒瀬祐子 投稿日:2011/10/07 16:39

検察が2度にわたって不起訴としながら、おかしな検察審査会により刑事被告人として法廷に立つことになった小沢一郎民主党元代表。

資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記載)の公判が、10月6日に東京地裁(大善文男裁判長)で始まりました。

以下、関連記事を転載します。

(転載はじめ)
小沢元代表、無罪主張 初公判「強制起訴は誤り」
(asahi.comニュース2011年10月6日15時分)
http://www.asahi.com/national/update/1006/TKY201110060123.html

自らの資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で強制起訴された民主党元代表・小沢一郎被告(69)の初公判が6日午前、東京地裁(大善文男裁判長)で始まった。小沢氏は「虚偽記載には当たらない。ましてや私が共謀したことは断じてない」と述べ、全面無罪を主張した。

 市民で構成する検察審査会が、検察の不起訴処分を覆して起訴した初の裁判。判決の行方は小沢氏の政界での影響力を左右する。判決は来年4月の予定だ。

 小沢氏は自ら書面を読み上げ、起訴内容について「検察の不当な捜査で得られた供述調書を唯一の根拠にした検察審査会の誤った判断に基づくものにすぎない。この裁判は直ちに打ち切るべきだ」と訴えた。
(転載おわり)

小沢一郎氏の罪状認否・意見陳述全文が載っているlivedoorのニュースを中田安彦(アルルの男・ヒロシ)さんのtwitterで知りました。
以下に転載します。

小沢一郎氏の堂々たる力強い発言です。ぜひ読んでみてください。

(転載はじめ)

「君はどう考えてるの!」小沢氏、記者の質問に声を荒げる
2011年10月06日17時33分
http://news.livedoor.com/article/detail/5917544/?p=1

●初公判を終えて記者会見

6日、自らの資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で強制起訴された小沢一郎・元民主党代表(69)が、都内で記者会見を開いている。

会見の冒頭、小沢元代表は弁護士に「お座りになって」と促されたが、「(記者が)一杯いるな」「今日はサービスしたほうがいい」と余裕の表情を見せ、立ったままでの会見を行っている。小沢元代表は、自身は潔白であるとした法廷での主張を改めて述べるとし、用意された原稿を読み上げた。

小沢元代表は検察の捜査について「国家権力を乱用」「議会制民主主義を踏みにじった」「日本憲政史上の一大汚点」などと厳しく批判、「今ならまだ間に合う。裁判官のみなさまは公正な判断を」と訴えた。

記者からの質問を受けて、「君はどう考えてるの!」「三権分立をどう考えるの?」と声を荒げて"逆質問"。言葉に窮したマスコミの記者に対して、立法権、司法権についてちゃんと勉強して」と諭す場面も見られた。

●小沢会見の模様

それでは私から、最初に申し上げさせていただきます。私が主張したい内容は、本日の法廷で裁判長の許可を頂いて、意見を申し述べましたので、そのことにほとんど触れられていますので、ここで改めて私の意見の陳述を改めて申し上げさせていただきます。

*****

裁判長のお許しを頂き、ただいまの指定弁護士による起訴状に対し私の意見を申し上げます。今、指定弁護士が話されたような事実はありません。裁判長のお許しをいただき、ただいまの指定弁護士の主張に対し、私の主張を申し上げます。

指定弁護士の主張は、検察の不当・違法な捜査で得られた供述調書を唯一の根拠にした検察審査会の誤った判断に基づくに過ぎず、この裁判は直ちに打ち切るべきです。百歩譲って裁判を続けるにしても私が罪に問われる理由はまったくありません。

なぜなら、本件では間違った記載をした事実はなく、政治資金規正法の言う虚偽記載には当たりませんし、ましてや私が虚偽記載について共謀したことは断じてないからです。また本件の捜査段階における検察の対応は、主権者である国民から何の負託も受けていない一捜査機関が、特定の意図により国家権力を乱用し、議会制民主主義を踏みにじったという意味において、日本憲政史上の一大汚点として後世に残るものであります。

以下にその理由を申し上げます。

そもそも政治資金規正法は、収支報告書に間違いがあったり、不適切な記載があった場合、みずから発見したものであれ、マスコミ、他党など第三者から指摘されたものであれ、その政治団体の会計責任者が総務省あるいは都道府県選管に自主申告して収支報告書を修正することが大原則であります。

贈収賄、脱税、横領など実質的犯罪を伴わないものについて、検察や警察が報告の間違いや不適切な記載を理由に捜査すると、議会制民主主義を担保する自由な政治活動を阻害する可能性が出てまいります。ひいては国民の主権を侵害するおそれがあるからであります。だからこそ規正法が制定以来、今日まで何百件、何千件と数え切れないほどの報告間違いや不適切な記載があっても実質的犯罪を伴わないものは検察の言う単純な虚偽記載も含めて例外なく、全て収支報告書を修正することで処理されてまいりました。

私の政治資金団体「陸山会」の事件が立件されたあとも、本日ただ今もそのような処理で済まされております!それにも関わらず唯一私と私の資金管理団体、政治団体、政党支部だけが一昨年3月以来1年余りにわたり、実質的犯罪を犯したという証拠は何もないにも関わらず東京地検特捜部によって強制捜査を受けたのであります。

もちろん、私は収賄、脱税、背任、横領等、実質的犯罪は全く行っていません。なぜ私のケースだけが単純な虚偽記載の疑いで何の説明もなく、突然現行法の精神と原則を無視して強制捜査を受けなければならないのか。

これでは到底、公正で厳正な法の執行とは言えません!したがってこの事例においては、少なくとも「実質的犯罪はない」と判明した時点で捜査を終結すべきだったと思います。それなのに、一昨年春の西松事件による強制捜査、昨年初めの陸山会事件による強制捜査など、延々と捜査を続けたのは、明らかに常軌を逸していると思います。

この捜査はまさに検察という国家権力機関が政治家・小沢一郎個人を標的に行ったものとしか考えようがありません。私を政治的・社会的に抹殺するのが目的だったと推認できますが、明確な犯罪事実、その根拠が何もないにもかかわらず、特定の政治家を対象に強制捜査を行ったことは、明白な国家権力の乱用であり、民主主義国家、法治国家では到底許されない暴力行為であります!

日本特派員協会の会長でもありましたオランダ人ジャーナリスト、カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は、近著「誰が小沢一郎を殺すのか?」で「小沢一郎に対する強力かつ長期的なキャラクター・アサシネーション『人物破壊』は、政治的に類を見ない」と言っています。「人物破壊」とは、その人物の評価を徹底的に破壊することで、表舞台から永久に抹殺する社会的暗殺、アサシネーションであり、生命を奪う殺人以上に残虐な暴力だと思います。

それ以上に、本件で特に許せないのは、主権者である国民から何も負託されていない検察・法務官僚が土足で議会制民主主義を踏みにじり、それを破壊し、公然と国民の主権を冒涜・侵害したことであります。

一昨年の総選挙の直前に、何の根拠もないのに検察当局は捜査・逮捕権という国家権力を乱用して、野党第一党の代表である私を狙って強制捜査を開始したのであります。

衆議院総選挙は、国民がみずから主権を行使して、直接、政権を選択することのできる唯一の機会にほかなりません。

とりわけ、2年前の総選挙は、各種世論調査でも戦後半世紀ぶりの本格的な政権交代が十分に予想された特別なものでありました。そのようなときに、総選挙の行方を左右しかねない恣意的な権力の行使が許されるとするならば、日本はもはや民主主義国家とは言えません。議会制民主主義とは、主権者である国民に選ばれた代表者たる政治家が自由な意思により、その良心と見識に基づいて、国民の負託に応え、国民に奉仕する政治であります。国家権力の介入を恐れて、常に官憲の鼻息を伺わなければならない政治は、もはや民主主義ではありません!

日本は戦前、行政官僚、軍部官僚、検察・警察官僚が結託し、財界・マスコミを巻き込んで、国家権力を乱用し、政党政治を破壊しました。その結果は、無謀な戦争への突入と悲惨な敗戦という悲劇でありました。昭和史の教訓を忘れて今のような権力の乱用を許すならば、日本は必ず同様の過ちを繰り返すに違いありません。

東日本大震災からの復興はいまだに本格化できず、福島第一原子力発電所の事故は安全な収束への目途すら立たず、加えて欧米の金融・財政危機による世界恐慌の恐れが目前に迫ってきている時に、これ以上政治の混迷が深まれば、国民の不安と不満が遠からず爆発して偏狭なナショナリズムやテロリズムが台頭し、社会の混乱は一層深まり、日本の将来は暗たんたるものになってしまいます。

そうした悲劇を回避するためには、まず国家権力の乱用をやめ、政党政治への国民の信頼を取り戻し、真の民主主義、議会制民主主義を確立する以外にはありません。「まだ間に合う!」私はそう思います。裁判長はじめ裁判官の皆様の見識あるご判断をお願い申し上げ、私の陳述を終えます。有難うございました。

*****

以上が、私が法廷において申し上げたことであります。私の真意は今申し上げたことに尽きていると思いますので、皆さんのご意見を求めたいと思います。以上です。

●初公判を終えて記者会見

―秘書三人の方の一審での有罪判決が出ましたが、刑事責任とは別に道義的責任を問う声もあります。今後の政治活動で何らかの対応、議員辞職などの対応を取るつもりはありますか?

私も私の秘書も、有罪と認定されるようなことは何もしておりません。先ほどの判決についても、何の証拠もない。裁判官が自分の推測や推断で判決を下す。私は司法の自殺に等しいと思っております。私達が何か違法なことをしたのであれば、あんたが今言ったようなことをするでしょうが、そんなことをしてないのでする必要はありません。

―国会での証人喚問を野党は求めていますが、国会で説明責任を果たす考えはありますか?

君はどう考えてるの!裁判が進んでいるときに、そういうことをすべきの?

―司法手続きは重要ですが……

あ、そうなの。三権分離をどう考えてるの?

― ……。(言葉に窮する記者)

ちゃんとよく勉強して、筋道をたった質問をしてください。裁判所は、証拠に基づいて判断をする場でしょう。そこがいろいろな力や干渉で左右されるようなことがあってはいけないから司法は司法で独立しているんでしょう。よく勉強してから質問してください。

―4億円の原資は?

私のお金です。強制捜査をして何でも知っている検察にお聞きください。

―小沢さんがこうまで司法やマスコミに狙われるはなぜでしょう。官僚の人事や、テレビ局と新聞社のクロスオーナーシップに踏み込むからではないか?

私は官僚の人事に口を出したことはありません。ただ、マスコミの集中排除は法的に規定されておりますし、私はどういう分野でも程度の差はあれ、自由な競争が必要だと思っております。身近なことを言えば、会見もどなたにもオープンにしております。

―それが記者クラブに嫌われた理由ですか?

それは分かりません。

(転載終わり)