官愚の国 / なぜ日本では、政治家が官僚に屈するのか

1094 投稿日:2011/05/07 16:31

高橋 洋一 著
単行本: 219ページ
出版社: 祥伝社 (2011/3/19)
言語 日本語
ISBN-10: 4396613903
ISBN-13: 978-4396613907
発売日: 2011/3/19
商品の寸法: 19 x 13 x 1.8 cm
“衆愚”よりも恐ろしい霞が関の手口
たとえ首相が辞めても「殉職」する役人はいない。
「政治主導」を潰し、国を動かす彼らの正体を
実体験から解き明かす!

日本の官僚は、ほとんど“無能の集団”だ
●悪癖「前例踏襲」の原点は公務員試験の仕組みにあった
●文系の秀才は数字を使ったロジックができない
●政治家に「罠」を仕掛ける「官僚の作文術」
●「高度成長を率いた通産省」の嘘
●天下り先を増やすための、恐るべきテクニック
●民主党「増税路線」を画策した元大物次官
●GHQも歯が立たなかった旧大蔵省のパワーとは

試験エリートが国家を動かす不幸
日本の政治には、いつも「衆愚」の批判がついて回ってきた。しかし、国民と政治家だけに責めを負わせるような、不完全な考え方には与(くみ)することができない。「無知な民衆による政治」には、「政」と「民」はあっても、「官」が抜けている。
しかも、「官」は代議制民主政治の行政府にあって、選挙の洗礼を受けていない。「お勉強秀才」用の試験に合格しただけだ。そのうえ、意味のない政策と再就職先の確保、および特定業者との癒着を続けてきた。その「官」が実質的に政治を動かしている。こと日本においては、「衆愚」ならぬ「官愚」なのではないか。
(本文より)

内容紹介
民主党が掲げた「政治主導」は、なぜ骨抜きにされたのか。「天下り天国」「省益あって国益なし」の批判に晒されながら、なぜ官僚組織は滅びないのか。明治期に確立した任用制度以来、110年の歳月に洗われ、今なお滅びぬ日本の官僚組織。その面妖な集団の正体を「霞が関すべてを敵に回した男」が、実体験に基づいて解剖。「影の国家権力」が牛耳る日本の姿が明らかになる。

目次
1章 日本の官僚は、実は"無能" ■ 「試験に通ったエリート」に弱い日本人 ■ 官僚の採用試験の仕組みはどうなっているのか ■ 事前にリークされる「問題の中身」 ■ 私が出題委員を務めたときは…… ■ 合格のために必要な受験テクニックとは ■ キャリア試験で植えつけられる官僚特有の資質 ■ 天才は、いらない ■ 今も残る「脱亜入欧」の遺伝子 ■ 「通産省批判論文」の反響 ■ 日本の成長産業は「官」に従わなかった ■ なぜ「日本株式会社論」は広まったのか ■ 産業政策は役人の失業対策 ■ 失われた大蔵省の許認可権 ■ すさまじかった金融機関の接待攻勢 ■ 民間業者が役所の仕事を肩代わり!? ■ 「袖の下」と「誘惑」 ■ 増税政権の陰に有名財務官僚がいた 2章 「官僚神話」という幻想 ■ 刷り込まれた「官僚信仰」 ■ 外国にあって日本にない仕組みとは ■ 政治任用ポストを増やさなければ官僚が暴走する ■ 『男子の本懐』が広めた偽りの官僚像 ■ 大蔵省の新人研修で叱られた ■ ようやく分かった金解禁の経済学的評価 ■ 通産官僚は「全知全能」なのか ■ 松本清張のミスター通産省分析 ■ 「天下り」をどう英訳するか ■ 東大卒でなければ人にあらず ■ 政治家の首が飛んでも、官僚の首は飛ばない ■ 公務員も失業保険に加入せよ ■ 3回殺されかけた私 ■ 110年も続く「官のかたち」 3章 「官庁の中の官庁」大蔵省の秘密 ■ 国家公務員の「人事部」はどこにありますか? ■ 官僚の給料と人員配置は、すべて財務省が握っている ■ 「われら富士山」 ■ 大蔵省はGHQの改革をも食い止めた ■ 財務省のもうひとつの力、国税庁 ■ 脱税だけは逃げられない ■ 税務署長時代、私のもとに飛んできた政治家 ■ 同じキャリアでも国税庁と大蔵省には「差」がある ■ 日本の国家予算は財務省が先に決める ■ 復活折衝の「握り」とは何か ■ 財務官僚が竹中総務大臣を恐れた理由 ■ 財源不足は「埋蔵金」で穴埋め ■ 「官僚言いなり」が増税を招く ■ IMFに「増税」をアナウンスさせたのも日本の財務官僚だ 4章 世にも恐ろしい官僚の作文術 ■ これが「官僚のレトリック」だ ■ 官僚作文に仕掛けられた「罠」の実例 ■ 数学的能力がないからレトリックを使う ■ なぜ「数値目標」を避けたがるのか ■ 財投改革で知った官僚の欠陥 ■ 日銀の大蔵省攻撃 ■ たったひとりのALMプロジェクト ■ ロシア語ができないのに「駐ロシア」 ■ 省を貫くファミリー意識 ■ 大蔵省大運動会は100年も続いた 5章 霞が関を統制する方法 ■ 首相も官僚を尊敬していた? ■ 言うことを聞かないのなら辞めてもらえ ■ 官僚を「使いこなす」ことは、実は困難だ ■ 首相官邸裏の秘書官グループ ■ 政治家に殉じる官僚はいるか ■ 中央銀行の「独立性」には二つの意味がある ■ 失敗しても責任を問われない不思議 ■ 円高ショックのときに日銀は何をしたか ■ 田中角栄は「官僚を使いこなした」のか ■ 「党人派」vs「官僚派」 ■ 「過去官僚」たちの正体 ■ 政治主導を実現する第一歩とは