「日本が初の海外軍事基地を新設」

投稿日:2010/06/26 14:14

 四月二十三日、フランスのAFP通信は、「日本が初の海外軍事基地を新設」と題する記事を配信しました。しかし日本のマスコミはほとんど報道しなかったのです。
 それは、0九年三月からアフリカ・ソマリア沖の海賊対策で派遣されている海上自衛隊は、ソマリアに隣接するジブチにあるアメリカ基地に同居していたのですが、今回拠点となる基地をジブチに建設するとの報道です。自衛隊はついに海外に軍事基地を持つ事になりました。「四千万ドル(約三十七億円)をかけた基地は年明けにも完工」するのです。
 AFPの取材に答えた海上幕僚監部所属(当時)の北川敬三二等海佐は、「国外で唯一、アフリカでは初の日本の基地となる見通し」だと語り、これを受け、ロシアやシンガポールなどの海外メディアは「日本初の海外軍事基地」に関する報道をしています。
 後述するが井沢氏の調査によると、五月十一日、この重大な事実について鋭い問題意識を持つフリーランスの岩上安身記者は、記者クラブ員以外にも開放している記者会見で、岡田外務大臣に対して「これは基地ではないか」と質問していました。
 すると大臣は「今、海賊対策で船だけではなくて、飛行機も出している訳です。その飛行機を整備するとか、そういうことが必要になります。そういうスペースを確保したということです。それを基地と言うかどうかは別にしてということです」「各国それぞれ飛行機を持っていますから、そういったスペースを確保しているということです。(中略)船を出している、それを上から海賊船を見るために出している飛行機ですので、お考えのような基地というものではありません」(「外務大臣会見記録」)と答えました。
 井沢氏は、この答えを聞いた大手マスコミに所属する外務省記者クラブの面々も「ああスペースなんだ、基地じゃないや、じゃニュースにしなくてもいいな」と「判断」したと推論した。実際には本当にこんな推論が成り立つものかあやしいものです。私は残念ながらこの時点ではフォローしていない。ユーチューブにもこの動画は出ていないのです。
 このように、大臣は「基地」ではなく「スペース」だとの強弁でこの場を乗り切ったのです。まさに官僚体質が強い岡田氏の面目躍如のとんでもない詭弁ではないでしょうか。この会見に同席していた大手マスコミに所属する外務省記者クラブの記者たちも、この答弁に問題意識もなく納得したか、関心があってもデスクに握りつぶされたかは全く定かでなく、現実に一切報道されていないのです。さすがにインターネット上では鋭い感覚を持つ何人かの人たちがこの問題を論じています。ぜひ皆さんにも読む事をお勧めします。
こうした状況の中で、井沢元彦氏 は『週刊ポスト』の七月二日号に、「拝啓 岡田外務大臣 なぜあなたは『海外初の(建設費37億円)の自衛隊基地(BASE=ベース)を「活動拠点(SPACE=スペース)と言い換えるのですか」との記事を発表しました。
 もちろん自衛隊は軍隊であれとする彼の指摘は基地を持つ事を隠すなとの右翼的なものです。しかしこの事実に対して報道管制がしかれているかのような現状の中では、彼の反論は反面教師としての意義を持っています。社民党や共産党は、事ここに至るまで、一体何をしているのでしょうか。彼らはまるで音無の構えでこの事実を知らないかのようです。
 通勤電車内の『週刊ポスト』のど派手な中刷り広告は、労働者民衆の目を当然にも引き付ける事でしょう。労働現場で反戦平和勢力を自負する私たちがぜひとも取り上げたい話題です。自衛隊は抑止力を持った専守防衛体制を堅持する事に特化すべきなのです。
 この軍事基地を造る事はアメリカから押しつけられたものでしょうか。それとも自衛隊海外派兵の一環なのでしょうか。日本国家は一体何を企んでいるのでしょうか。