「小沢一郎氏の「政治とカネ」問題研究第3回」

投稿日:2010/09/06 07:40

「植草一秀の『知られざる真実』」から貼り付けます。

(転載貼り付け開始)

2010年9月 5日 (日)
「小沢一郎氏の「政治とカネ」問題研究第3回」

小沢一郎氏に対する検察の不起訴決定に対して審査申し立てがあり、2月4日と23日、東京第一検察審査会と第五審査会がそれぞれ審査の申立てを受理し、東京第五検察審査会が04年および05年の収支報告書分、東京第一検察審査会が07年の収支報告書にかかる問題の審査を行った。
 
 4月27日、第五検察審査会は、04年および05年分について審査員11名の全員一致で「起訴相当」とした(「四二七事変」)が、これに対して東京地検特捜部は、5月21日、再度不起訴の決定を下した。
 
 第五検察審査会は検察が不起訴決定を示したため、二回目の審査に入っている。しかし、審査員11人のうち6人が4月末、5人が7月末に任期を終え、また、審査補助員に選任されていた米澤敏雄弁護士が審査補助員を辞任したため、審査員および審査補助員全員が交代して二度目の議決は10月にずれ込む可能性が高いと見られている。
 
 二度目の議決で審査員11人中8人以上が起訴すべきとの見解を示すと、検察審査会決議は「起訴相当」となり、強制起訴が実施されることになる。
 
 他方、東京第一検察審査会が7月15日に「不起訴不当」を議決したことを受けて地検特捜部は小沢氏に再聴取を求めている。再聴取は9月にも行われる可能性が高いと見られているが、地検特捜部は改めて不起訴を決定するものと見られており、この場合には07年収支報告書の問題での起訴の可能性は消失する。
 
 東京第五検察審査会が「起訴相当」とした、その内容は以下の通りである。
 
【容疑内容】
小沢氏は陸山会の代表者。真実は陸山会が、2004年10月に代金約3億4千万円を支払い、東京都世田谷区の土地を取得したのに、
 
(1)会計責任者の元公設秘書大久保隆規、元私設秘書の衆院議員石川知裕の2被告と共謀の上、2005年3月ごろ、2004年分の収支報告書に、土地代金の支払いや土地を記載しないまま、総務大臣に提出した。
 
(2)大久保、元私設秘書池田光智の2被告と共謀の上、2006年3月ごろ、2005年分の収支報告書に、土地代金分を含む約4億1500万円を事務所費として支出し、土地を17年1月7日に取得したと虚偽記入し、提出した-ものである。

【審査会の判断】
石川、池田両被告の、収支報告書を提出する前に、小沢氏に報告・相談したとする供述がある。小沢氏は、いずれの年の収支報告書についても、提出前に確認せず、担当者が真実ありのままを記載したと信じて了承していたと供述しているが、きわめて不合理・不自然で信用できない。
 
小沢氏が否認していても、以下の状況証拠が認められる。
 
(1)小沢氏からの4億円を原資として土地を購入した事実を隠ぺいするため、銀行への融資申込書などに小沢氏自らが署名、押印し、陸山会の定期預金を担保に金利(年額約450万円)を支払ってまで銀行融資を受けるなど、執拗な偽装工作をした。
 
(2)土地代金を全額支払っているのに、売り主との間で、2005年度分の固定資産税などを陸山会で負担するとの合意書を取り交わしてまで本登記を翌年にずらした。
 
(3)工作は、小沢氏が多額の資金を持っていると周囲に疑われ、マスコミに騒がれないための手段と推測される。
 
(4)絶対権力者である小沢氏に無断で、大久保被告らが資金の流れの隠ぺい工作をする必要も理由もない。
 
 以上が東京第五検察審査会の議決内容であるが、先述した事実経過を踏まえると、そもそも事実認定が間違っている。検察審査会は、2004年10月の土地売買を2005年1月の土地売買に偽装したとの判断を大前提に置いている。
 
 しかし、不動産登記が2005年1月にずれた理由が、農地法第5条の規定により、2004年10月時点で直ちに不動産の移転登記ができず、移転登記が可能になった2005年1月に移転登記が行われたということになると、検察審査会の主張は根底から崩れることになる。
 
 検察審査会は銀行融資を受けて不動産を購入したことがおかしいと指摘するが、手元資金を確保するために銀行融資を受けて不動産を取得することは、世の中では一般的に行われていることである。何ら不自然な点はない。
 
 こうして見てくると、検察審査会の決議は、結論ありきの論議によってもたらされたものであるとの疑いが濃厚である。
 
 専門的な法律知識のない一般市民が11人集まって、このような議決を行うこと自体があまりにも不自然である。小沢一郎氏は検察審査会のあり方がこれでいいのかという議論が生じる可能性があると指摘したが、その通りである。
 
 すでに記述したように、東京第五検察審査会の議決は説得力を完全に失ってしまっているが、より重要な問題は、なぜこのような不自然な検察審査会決議が生まれたかである。
 
 また、マスゴミは「検察審査会による強制起訴の可能性」だけを強調し、問題となっている事案の詳細を一切報道しない。逆に、収支報告書に記載されていた不動産購入原資が収支報告書に記載されていないとの虚偽の情報を流布して、小沢氏に対する悪いイメージの植え付けに尽力してきたのだ。
 
 マスゴミ報道、不自然な検察審査会決議の背景は一体のものであると考えられる。これらの巨大な闇に光を当てなければならない。

(転載貼り付け終了)