「前原誠司国土交通相が、小沢一郎前幹事長と菅首相が代表選に突入した裏でニンマリ、漁夫の利を得んとする」
「板垣英憲『マスコミに出ない政治経済の裏話』」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010年09月01日 21時28分00秒
「前原誠司国土交通相が、小沢一郎前幹事長と菅首相が代表選に突入した裏でニンマリ、漁夫の利を得んとする」
◆菅直人首相はこの間、様々な策を弄して「無投票再選」による続投を目指してきた。早々に敗北を認め、「何でも言うことを聞くので助けてほしい」と泣きついてきたのが混乱の発端である。しかし、菅首相が望む無投票による首相続投の命乞いは、ことごとく木っ端微塵に粉砕された。小沢一郎前幹事長を「静かにしていて欲しい」と事実上「蟄居謹慎」状態に置いておいて、「脱小沢」政治を行おうとしておきながら、続投の命乞いを求めるだけでも見苦しいものを、仙谷官房長官にそうした姑息な裏切りを見透かされて、交渉を反故にしてきたのである。
民主党内で40%の大勢力を率いる小沢前幹事長を「最高顧問」という名誉職として「神棚」に祭り上げ、棚上げして「封じ込め状態」にしたうえで、「トロイカ+1」による挙党態勢をいくら叫んでも、それは所詮、論理矛盾、無理な話である。そもそも左肺のみの片肺飛行で航空機を飛行させようとしても、安全航行は難しいからである。はっきり言って、菅機長では、この日の丸飛行機は墜落の危険が極めて高い。いく古狸に見えようとも、百戦錬磨、海千山千の実力者を文字通り「抜き」にする。つまりは小沢前幹事長及び小沢派を疎外して政権を維持しようという考え方が、いかにも幼稚であった。
◆菅首相の計算違いは、本人のあまりにも欲どうしく、ご都合主義が禍した結果であった。感極まって菅首相が示していた「トロイカ体制に戻りたい」との意向を鳩山前首相と小沢前幹事長、それに輿石東参院議員会長が受け入れ、小沢前幹事長に幹事長を委ね、挙党態勢を築く強力な人事案を提示していたのに、これを拒み、続投のみを図ろうとしたことで、皮肉にも菅首相がもっとも嫌っていた代表選に突入せざるを得なかったのである。
◆代表選突入は、これまた皮肉なことに、菅首相を支持している前原誠司国土交通相、蓮舫行政刷新担当相らが、「トロイカ+1」による「話し合い」を「密室談合」と嫌い、オープンな代表選による代表選出を強く求めざるを得ない流れになったことから、菅首相は、意に反して選挙突入の決断に追い込まれたのである。
代表選実施により、「漁夫の利」を得たのは、意外にも前原国交相だっただろう。あくまで「小沢外し」の路線を貫かせ、「密室談合」を嫌い、オープンな代表選を強く求めたことが、結果的には、菅首相が代表選出馬を決意させたのは、まさに我田引水的な発言であったと見える。早い話が、このまま菅首相に続投されては、前原国交相自身が総理大臣に就任できる時期が、遠のくからである。
つまり、仮に小沢前首相が要求する幹事長と法務大臣のポストを了承して菅首相を続投させた場合、まかり間違えれば小沢前幹事長の手腕で「ねじれ」を克服して長く政権を維持するやもしれない。その後に小沢前幹事長が総理に就任して、前原国交相がそのまた次を狙うというのは、かなり不確定となってくる。しかも近頃では小沢前幹事長から将来の総理の座を約束されたという渡辺喜美も気にかかるところだ。ここは、菅首相をとっとと降ろして小沢前幹事長に早々に首相になってもらったほうが、自分の出番が早まるというもの。そんな強かな計算が「小沢外し」の発言として代表選を促す結果に導いたのではないかと見える。
選挙上手である横綱級の小沢前幹事長に比べて、菅首相は、ふんどし担ぎにも等しい。月とスッポンである。という現実をよく見極めているのが、まさに前原国交相なのである。
どう見ても、選挙上手の小沢前幹事長が勝ち、菅首相は負ける。前原国交相は、そう予測しているはずである。ここで、菅首相が政権の座から引きずり降されれば、自分に総理大臣の座がめぐってくる時間がぐ~と早まる。表向き、菅首相支持を表明しながら、その裏では、小沢前幹事長が代表選に勝利することを願っている。前原国交相自身、口の堅い同志に「小沢一郎」に投票を指示することは、十分あり得るのである。正確な意味の「漁夫の利」(互いに争っている間に第三者が利益を横取りすること)とは、違うものの、やや似たような状況になっている。はたまた関が原合戦に準えば、石田三成軍の小早川秀秋か。位置的に菅首相=石田三成軍に属しながら、小沢前幹事長=徳川家康の中間に立っているのが、前原国交相である。小沢前幹事長からも、小泉純一郎元首相からも寵愛される「現代の小早川秀秋」のポジションにいる。だからこそ、前原国交相が玉虫色に見えるのかも知れない。
◆さて、 菅直人首相と小沢前幹事長は1日午後、東京都内のホテルで共同記者会見を行い、14日の投開票に向けた論争が始まった。小沢前幹事長は、参院選で首相が掲げた消費税率引き上げに対して「予算の優先順位をつける、行政の無駄を徹底的に省くことにまず全力を挙げるのが国民との約束だ」と批判した。菅首相は「政権は本格稼働の時期に入った。一に雇用、二に雇用、三に雇用だ。経済成長にもつながる」と雇用創出に努める方針を表明したものの、雇用創出の具体策は不明。小沢前幹事長は、米軍普天間基地移設問題について、事前に発表した政見で沖縄県や米政府と「あらためて話し合う」とし、その具体的な処方箋についても、具体的な内容は今は明かさせないとしながらも、自信のほどをしっりと見せていた。
あらためて小沢前幹事長は、力強く自信あふれた実に能弁だった。対する菅首相は、外交防衛政策の片鱗もなく、国の宰相の貫禄が微塵もなかった。政策も抽象的で弱弱しく、小沢前幹事長に終始圧倒され気味であった。それは、この日、両陣営から発表された政見に如実に表れていた。
【菅直人首相が仕掛けた「小沢一郎前幹事長封じ込め作戦」が大失敗】
①菅直人副総理・財務相は6月3日夜、民主党本部で記者会見を開き、「昨年秋に国民が託した日本再生のたいまつを鳩山前首相から引き継ぎ、実現させる」と述べ、4日の民主党代表選への立候補を正式表明した。小沢前幹事長については、「ある意味、国民の不信を招いた。しばらく静かにしていただいた方が、本人にも、民主党にも、日本の政治のためにも良いと思う」と語った。小沢氏には面会を要請していた。だが、まだ返事はなかった。
②鳩山由紀夫前首相のグループの研修会が19日、鳩山前首相の別荘がある長野県 軽井沢町で行われた。9月の代表選に向けた“党内政局”が過熱するなか、小沢一郎前幹事長や小沢グループも含む150人以上の国会議員が大集結。
③鳩山前首相が8月23日、仲介に動き出している。鳩山前首相は菅首相から託された小沢前幹事長に向けてのメッセージを電話で伝えた。メッセージは「元の鞘(トロイカ体制)に収まりたい。左翼政権と言われるのが、耐えられなくてなっている。仙谷由人官房長官が好き勝手やっているのが、内心面白くない。しかし、自分を担いでくれているので、言えない。とにかく小沢さんに心より謝罪申し上げ、補佐していただきたい」という内容だったようである。いくつかの折衷案として「菅首相・小沢代表」案を提示して、「時期を見て小沢さんと交代したい」伝えた。自民党政権時代に派閥激突を回避するために考案・模索されたいわゆる「総・総分離論」(総理大臣と総裁を別々の政治家が分けて担当する方法)の民主党版である。小沢前幹事長が望めば、幹事長でもよいという。小沢前幹事長は「困ったな」と言っていた。
④鳩山前首相が提示したのは24日夜、ホテルニューオータニ6階ダイニングバーの個室で小沢前幹事長と約3時間会談し、「菅首相続投、強力内閣・役員人事案」として作成した。
⑤民主党の小沢前幹事長は25日午前、自ら主宰する「小沢一郎政治塾」で講演。小沢前幹事長は「この政治塾は下世話な政局話をする場ではない」と語り、円高や政治理念などについての見解を披露。9月の代表選に向けた自らの対応には触れなかった。
民主党本部で代表選の立候補者説明会が25日午後1時から行われ、菅グループ、小沢グループ、旧民社党系の議員らが出席した。鳩山前首相に近い中山義活前首相補佐官がこの日午後、都内で小沢前幹事長の側近・山岡賢次副代表に会い、小沢前幹事長への出馬要請を避けるよう求めた。
また、菅直人首相は25日午後、民主党の鳩山前首相と首相官邸で会談。9月の党代表選をめぐり、鳩山前首相は、菅首相と小沢一郎前幹事長の仲介に乗り出す意向を示しており、党内対立回避に向けて調整。「脱小沢」の代表格である仙谷官房長官もすでに鳩山前首相と接触を済ませていて、菅首相は、最終的には鳩山政権時代まで党運営の中心となってきた「菅、小沢、鳩山、輿石」の「トロイカ+1」による4者会談で挙党一致を確認したいと考えていた。だが、鳩山前首相が、菅首相に「菅首相続投、強力内閣・役員人事案」を提示したところ、これに仙谷由人官房長官が強く難色を示して抵抗した。このため、99%実現すると思われた人事作業が土壇場でオジャンとなり、菅首相と小沢前幹事長が激突することになる。鳩山前首相この日夕、会談後「私は、脱小沢を快く思っていない」「明日また小沢さんと会談する」と話した。
⑥小沢前幹事長が26日午後、代表選挙出馬決意を発表する。その前に鳩山前首相が「小沢支持」を表明。鳩山前首相は、この日、ロシアに向かった。
⑦菅首相が、ロシア滞在の鳩山前首相に頻繁に電話。それは、ストーカーまがいの激しさだったという。
⑧菅首相は29日夕、ロシアから帰国した鳩山前首相と会談し、その後、再度会談を希望した。
⑨小沢前幹事長・鳩山前首相・輿石東参院議員会長が8月30日に会談した結果、小沢前幹事長・鳩山前首相・菅首相・輿石東参院議員会長のいわゆる「トロイカ 1」を31日に「トロイカ 1」をセットして覆水を盆に返らせようとした。
⑩菅首相は30日、鳩山前首相との会談で「トロイカ 1に賛同した」と語った。そもそも自分から「トロイカ体制に戻りたい」と泣きついたのが始まりだった。すなわち、「トロイカ体制復活」は、菅首相の発案だったにもかかわらず、「トロイカ体制に同意した」と言い、いかにも鳩山前首相・小沢前幹事長サイドからの提案の如く摩り替えていた。
⑪だが、小沢前幹事長側から提案された「幹事長ポストを小沢前幹事長に渡せ」に加え、さらに「法務大臣も小沢陣営に」(小沢前幹事長が東京地検特捜部と東京検察審査会の動きをいかに気にしてるかの表れ)という要求に対して、菅首相は、「嫌だ。幹事長は渡さない」と明確に突っぱねたという。 ⑫鳩山前首相は31日午後、、小沢前幹事長、輿石参院議員会長と会談して、菅首相の意向を伝えた。この結果、小沢前幹事長は、要求は拒否されたと受け止めて、「話し合いにならん」と折衝決裂を自覚したようである。「後は君に任せる」と鳩山前首相にいい残して会談の場を去った。その際、記者団から「菅さんとの会談はあるのか」との質問に、「ありません」と答えた。 ⑬小沢一郎前幹事長が8月31日午後5時45分、民主党本部で記者会見で、代表選出馬を正式表明し、続いて菅直人首相も改めて出馬表明した。これで、民主党代表選は9月1日告示を前に事実上、火ぶたが切られた。菅直人、鳩山由紀夫、小沢一郎、輿石東の「トロイカ 1」構想は、脆くも崩壊した。ここにおいて、菅直人首相が仕掛けた「小沢一郎前幹事長封じ込め作戦」は、大失敗に終わった。
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