「「民主党大敗/今後どうなるのか」(EJ第2854号)」

投稿日:2010/07/13 06:29

「エレクトロニック ジャーナル」から貼り付けます。

(転載貼り付け開始)

2010年07月13日
「「民主党大敗/今後どうなるのか」(EJ第2854号)」

 予想通り民主党は参院選で大敗です。50台割れは確実と思い
ましたが、40台後半と考えていたのです。それがまさかの44
議席、菅政権が目標とする54議席に届かないこと10議席、し
かも自民党に改選第一党まで取られてしまったのです。
 なぜ、民主党は敗れたのでしょうか。
 大方の意見は「消費税増税」を打ち出したことが大敗の原因と
していますが、そうではないと思います。もし、そうなら自民党
も負けているはずです。
 11日のテレビ各社の選挙特番において、出演したキャスター
や政治評論家は、小沢前執行部の2人区擁立を失敗と断じ、相変
わらず、小沢氏の政治とカネも原因であると、なぜか現執行部で
はなく、小沢批判を展開していたのです。ある局では、党内の小
沢批判の急先鋒である渡部恒三議員まで出演させていたのです。
 読売新聞のアンチ小沢の姿勢はいつもの通りですが、今まで小
沢前幹事長に対して比較的中立的立場を取っていたテレビ朝日ま
でが、小沢系候補に「小沢マーク」をつけ、それが落選していく
様子を印象付ける演出をしていたのです。解説者も小沢批判色の
強い政治評論家田崎史郎氏と朝日新聞論説委員星浩氏がしきりと
負けの原因は、小沢氏の政治とカネの問題と選挙戦略の失敗であ
るとして、小沢批判を展開していたのです。
 これにより、テレビ朝日の『サンデープロジェクト』が廃止に
なった理由が読めてきました。『サンデープロジェクト』は司会
の田原総一郎氏にはいささか問題があるものの、同番組のレギュ
ラースタッフ陣は、どちらかというと、小沢氏の問題を感情的で
はなく、冷静に公平に扱っていたので高く評価していたのです。
そのため、上層部がやめさせたのでしょう。
 負けの原因に小鳩政権の政策運営の失敗がないとはいいません
が、それなら、鳩山政権のツー・トップのダブル辞任のあとの民
主党の支持率急回復は何だったのでしょうか。あの勢いを維持し
て選挙に臨めば、過半数獲得は容易であったと思います。選挙態
勢は万全であったからです。
 今回の参院選の敗因は、国民が菅直人という政治家の本性を見
抜いたからだと思います。菅首相は首相に就任するや執行部の人
事は反小沢で固め、何も仕事をしないで国会を閉じ、早々と選挙
に突入しました。ここまでは国民は容認していたと思うのです。
 そのあと党内合意のないままに「消費税10%増税」を打ち上
げたのです。それに加えて新執行部は、マニュフェストを大幅に
修正しているのです。
 枝野幹事長は、この決定には小沢幹事長も関与しているように
いっていますが、それは事実ではないのです。確かにマニュフェ
ストの修正の話は出ていたと思いますが、鳩山─小沢ダブル辞任
の時点ではまだ決まっていなかったのです。その証拠に消費税に
関する記述は新執行部が付け加えているのです。
 菅首相は「脱官僚」といいながら、平気で消費税増税を宣言し
税率まで踏み込んでいます。しかし、増税は財務官僚の意に沿う
ものであり、裏切り行為です。
 マニュフェストの変更については、マニュアルまで作り、候補
者に次のようにいうよう指示しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 マニュフェストは生き物であり、環境や状況の変化に応じて、
 柔軟に見直すことも重要である。
―――――――――――――――――――――――――――――
 しかし、これは「公約破り」であり、あまりにも有権者をバカ
にしています。さらに菅首相は、サミットで「中国をG8に招聘
せよ」という場違いの提案をして、G8首脳から顰蹙を買ってい
ます。これは外務省幹部と何の打ち合わせもせず、いきなり発言
したのです。
 さらに国民新党の連立合意──郵政法案を今国会で成立させる
──をわずか数日で反故にし、しかも国民新党が連立離脱か否か
で深夜まで協議を重ねているときに、首相は既に寝ていたことが
わかり、これまた大きく国民新党との信頼関係を損ねています。
 さらに、選挙に突入し、消費税発言が受けが悪いとわかると、
深い考えもなしにころころ発言を変更し、ほとんど何も考えずに
消費税増税を打ち出したことがわかってしまっています。
 さらにメディアが9党首討議会を開くことを提案したときには
8対1では不利だと主張して逃げまくり、テレビ局に時間振りや
逆質問を認めさせて出演するなど、男らしくないです。
 国民は、短い間ではあるものの、一連の菅首相の行動や発言を
見て、愛想をつかしたのです。10%の消費税増税でも、小鳩の
政治とカネでもないのです。首相の行動を見ていて、こんな男に
は日本をまかせられないと判断したからこそ、民主党に鉄槌をを
下したのです。
 もうひとつ菅政権には許せない裏切りがあります。仙谷官房長
官は、マニュフェストから電波料値上げにつながる「電波オーク
ション」を外してテレビ局に恩を売り、記者クラブの存続と優遇
を約束しています。また、官房機密費がメディアに渡っている疑
惑については、追求しないことを約束するなどの、メディア対策
を行っていたのです。
 だからこそ、大新聞はそろって「消費税増税」賛成の論陣を張
り、とくに増税派の急先鋒とされる読売新聞は、独自の世論調査
で菅政権を擁護しています。読売新聞の策動については、「関連
情報」の情報もお読みください。
 菅首相は、自らの退陣を否定し、枝野幹事長も留任させると明
言していますが、それはきわめて困難です。連立の相手は自民党
しかないのですが、首相には自民党のつてはないのです。そこで
いわれているのは、読売新聞の渡辺氏の仲介で与謝野氏を通じて
自民党との連立を仕掛けるはずです。しかし、これだけは阻止し
ないと、せっかくの政権交代が元の木阿弥になってしまいます。
 一体これからどうなるのでしょうか。民主党の去就が注目され
るところです。       ──[ジャーナリズム論/58]

≪画像および関連情報≫
 ●読売の露骨な「援護射撃」
  ―――――――――――――――――――――――――――
  参院選終盤の7月7日付の読売朝刊は、「参院選ネットモニ
  ター」調査で小沢氏の執行部批判を75%が「評価しない」
  と回答したことを報じ、「小沢氏の公約違反批判などは、民
  主党内の意思統一に対する有権者の不安を増幅させているの
  ではないか」という識者コメントを掲載した。民主党の枝野
  幹事長が参院選後のみんなの党との連携に言及して、与党内
  から厳しい批判を浴びたことについても民主党支持者の58
  %が「評価する」(同アンケート)とかばっている.
              ──『週刊ポスト』7/23より

(転載貼り付け終了)