「「検審の2回目の議決は9月以降になる」(EJ第2849号)」

投稿日:2010/07/06 06:58

2010年07月06日
「「検審の2回目の議決は9月以降になる」(EJ第2849号)」
 菅首相が消費税増税を巡ってブレまくっています。しかし、な
ぜかメディアはあまり痛烈に批判していないのです。鳩山─小沢
政権のときとは大違いです。これは官とメディアが一体であるこ
との証拠です。官僚組織にとって怖いのは小沢一郎氏であって、
小沢氏のいない民主党などは怖くないのです。菅政権は、官僚に
とって安全な政権であるとみなされているのです。
 作家の佐藤優氏は、保釈になった翌日の2月4日に石川知裕議
員に会い、取り調べの状況を詳しく聞いています。あるとき検事
は石川氏に小沢氏の関与を認めるように勧める説得において、次
のような逆説論法を使ったとして次のように書いています。
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 「小沢一郎を助けることを考えろ。仮にここで不起訴になって
 も今後検審(検察審査会)で2回「起訴相当」の方針が出る。
 そうなれば、国民の力によって小沢さんはボロボロにされる。
 今、君が本当の勇気を出して踏み越えることで小沢さんを助け
 てあげられるのだ」。こんな奇妙な理屈で攻められたと石川議
 員は言っていました。そして、この検察審査会に関する検事の
 予言は成就するでしょう。しかし、それくらいのことで小沢幹
 事長は潰れないと思います。検察官の勘違いも甚だしい。検察
 官連中は本も読まず、国際スタンダードでの教養に欠ける。だ
 から、自分がやっていることが政治行為だということをわかっ
 ていない。これは、明らかに三権分立の原則を踏み越えていま
 す。国民の意思によって動く政治に対して、介入している行為
 なのです。     ──副島高彦×佐藤優著/日本文芸社刊
  『小沢革命政権で日本を救え/国家の主人は官僚ではない』
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 これを読むと、2つのことがわかります。1つは、検察審査会
が検察とつながっていること。2つは、「国民の力によって小沢
さんはボロボロにされる」という表現です。これはメディアによ
る集中砲火を浴び、小沢氏はボロボロになるという意味であり、
明らかに官僚組織とメディアはつながっています。
 しかし、ここにきて官僚組織側に異変が生じているのです。当
初小沢氏は、検察審査会の2回目の議決を待っていたのです。そ
れは7月末までに出ることが確実だからです。
 なぜ、確実なのかというと、7月末で5人の審査員──起訴相
当を出した審査員──が交代するからです。実は、東京第5検察
審査会では、第2回目の審理はまったく行われていないのです。
 なぜでしょうか。検察の補助弁護士が決まっていないのです。
補助弁護士は、一般有権者から選ばれた審査員に事実関係や法律
解釈を説明する弁護士です。補助弁護士は1回目はつけてもつけ
なくてもよいのですが、2回目は必ずつけなくてはいけないので
す。各検察審査会が地元弁護士会を通じて選任する仕組みですが
1回目に弁護士がついた場合は、その弁護士がそのまま2回目を
担当することになっているのです。
 小沢氏の場合、「起訴相当」を出した1回目は米澤敏雄弁護士
が補助弁護士を務めたのですが、米澤氏は1回目が終わると、補
助弁護士を降りてしまったのです。
 なぜ降りたのでしょうか。その理由の詳細は5月25日のEJ
第2819号を読んでいただきたいのです。
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http://electronic-journal.seesaa.net/article/150967007.html
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 1回目の議決のとき、米澤弁護士は「あの独裁者の小沢氏が」
というような感情的な表現の議決文──新聞は報道せず──を書
いたことで、検察上層部の不快感を買い、それが原因で米澤弁護
士は降りたのです。
 この時期に補助弁護士が決まっておらず、審理が一度も行われ
ていないとすると、7月末の議決は不可能です。2回目の議決が
出るのは早くても9月以降になることは確実なのです。つまり、
民主党の代表選以前には出ないということです。
 そうなった場合、検察審査会の議決内容は一変する可能性があ
ります。どうしてでしょうか。
 検察審査会は、11人の審査員によって審理されますが、1回
目の議決で「起訴相当」を出した審査員のうち6人が、4月末で
交代しています。それでもまだ5人は残っています。ところが、
この残りの5人は7月末に交代してしまうのです。そうすると、
「起訴相当」を出した審査員は7月末には一人もいなくなってし
まうことになります。それに補助弁護士も確実に変わるのです。
当然、議決結果に影響が出ることは必至です。
 もともと検察による小沢不起訴の訴因は、5000万円とかの
ウラ金の収受などではなく、世田谷の不動産購入の登記に関する
「期ずれ処理」に小沢氏が関与したかしないかというつまらない
疑惑に過ぎないのです。この「期ずれ」も土地が農地であったこ
とから適法であることも既にEJで明らかにしています。これを
白紙から検討すれば、「起訴相当」が出る可能性はきわめて低く
結論は検察決定通り「不起訴相当」になる可能性が高いのです。
 小沢前幹事長が活動を始めたのは、このことと無関係とは思え
ないのです。検察審査会の2回目の議決が9月以降になると、民
主党の9月の代表選に小沢氏が何かを仕掛けてくる可能性は十分
あります。小沢氏の考えている目標の達成が現状遠のいているか
らです。しかし、小沢氏の年齢を考えると、そんなに多くの時間
は残されていないのです。したがって、乾坤一擲の勝負に出る可
能性は高いと思います。
 検察の高級官僚は、今でも小沢氏に恐怖感を持っています。小
沢氏が民主党に残り、一定の権力を維持し続ければ、「検事総長
の政治任命」という手を打ってくると考えているからです。また
検察から捜査機能が奪われ、特捜部が解体される恐れも十分にあ
るのです。そしてこのことと補助弁護士が決まらないことは無関
係ではないのです。     ──[ジャーナリズム論/53]
              

≪画像および関連情報≫
 ●副島隆彦氏のマスコミ(マスゴミ)批判
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  副島:メディア(マスゴミ)は小沢憎しのヒドイ報道を続け
  ました。私の言い方では、NHKを含めた6杜のテレビ局ネ
  ットワークと5社の大新聞、計11社が襲いかかりました。
  あの4ヵ月間にわたって、検察からのリーク情報を、どこの
  新聞もほとんど同じ文面で書いていました。恐るべき談合で
  す。TBSに至っては、「石川知裕が、4億円の賄賂を受け
  取ったシーン」というのまで映して、控造番組を放送しまし
  た。彼らはそこまで賎しい国民煽動、偏向報道を行なった。
  それでも小沢の不起訴は崩れなかったのです。
           ──副島高彦×佐藤優著/日本文芸社刊
  『小沢革命政権で日本を救え/国家の主人は官僚ではない』

(貼り付け終了)