東電福島原発事故現場:やはり吉田昌郎所長個人の剛腕で仕切られていた
ブログ「新ベンチャー革命」より。
筆者は技術経営コンサルタントの山本尚利(やまもと・なおとし)氏。
1970年 東京大学工学部船舶工学科卒業。石川島播磨重工業(株)にて造船設計,新造船開発,プラント設計,新技術開発などを担当する。1980年 SRIインターナショナル(スタンフォード研究所)東アジア本部に入り,以降コンサルタントとして企業戦略,事業戦略,技術戦略などのコンサルティングを行なう。2000年 SRIから独立し(有)ISP企画代表取締役となる。
詳細なプロフィール
http://www.techno-con.co.jp/author/yamamoton.html
(転載貼り付け始め)
新ベンチャー革命2011年5月28日 No.375
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/24746772.html
タイトル:東電福島原発事故現場:やはり吉田昌郎所長個人の剛腕で仕切られていた
1.東電福島原発事故、政局に利用される
国会は今、菅総理おろしの旋風が吹き荒れています。3.11大地震の後、全交流電源喪失を起こした東電福島第一原発にて、地震の翌日、3月12日午後3時30分に、1号機建屋で水素爆発が起きました。この爆発が水素爆発であるとわかった官邸は、その日の夕方、1号機原子炉への海水注入を検討していました。その結果、午後7時55分に、海水注入指示が官邸より東電に伝達されました。
一方、東電は独自判断で午後7時過ぎに現場の判断で海水注入を開始していましたが、官邸から、首相の指示がでてから海水注入するよう指示されたので、午後7時25分に、いったん海水注入を止めるよう、東電本店から現場所長に指示がだされました。そして、午後7時55分に官邸より、海水注入指示が出たのを受けて、8時20分に現場は海水注入を再開したと東電本店は政府に報告しました。
しかしながら、この経過が正しければ、2011年3月12日、午後7時25分から8時20分の55分間、1号機の冷却が中断されたことになります。
本件、菅総理を亡き者にしたい政府関係者が読売新聞(米国戦争屋のロボット・悪徳ペンタゴンの牙城)に、上記顛末を、菅総理が55分もの長い間、1号機への海水注入を中断させたという内容でリークしたため、本件が政局寸前の大騒動に発展したのです。
なお、上記、米国戦争屋およびそのロボット・悪徳ペンタゴン日本人の定義は、本ブログのNo.225の注記をご覧ください。
菅総理おろしに走る谷垣自民党総裁は、早速、鬼の首でも獲ったように勇んで国会にて菅総理に、なぜ、55分間も海水注入を中断させたのかと追及、片や菅総理は、そのような指示はだしていないと否定し、国会は大騒ぎとなりました。
ところが、東電は5月26日、以下の仰天発表をします、すなわち、東電本店は3月12日午後7時25分、福島第一原発所長に、菅総理より海水注入指示がでるまで海水注入を中断するよう要請したにもかかわらず、実際は、所長独自の判断で、海水注水は続行されていたとマスコミに発表しました。
これで、谷垣総裁の菅総理おろしはとんだ勇み足に終わり、谷垣総裁のメンツは丸潰れとなりました。
2.東電福島第一原発所長が、政府、東電本店からの指示を無視したのは許されるか
上記の顛末をみる限り、東電福島第一原発の吉田所長は、政府の指示、あるいは東電本店の指示を無視し、独自の判断で、現場対応しているという構図が浮かび上がります。
日本の命運にかかわる原発重大事故対応において、現場所長が、日本政府や東電本店の指示を無視して、独自の判断で事故対応しているという事実が許されるかどうかという問題は、現在、日本国家の一大事です。なぜなら、もし、現場所長の独自の判断が裏目にでると、最悪、事故機は大爆発を起こして、大量の放射能をまき散らす危険があるからです。
事故への最終責任を負うのは、現場所長ではなく、東電本店であり、日本政府であるのは明らかです。
一般常識では、この吉田所長は即刻、更迭されてもおかしくないわけです。そして、東電本店は命令無視の吉田所長への更迭を匂わせました。さもなければ、組織の統制がとれなくなるのは明らかだからです。
ところが、これまでの経過を知るネット世論から大反発が起きました。大半は、吉田所長の判断を支持するものです。
3.日本政府・東電本店vs 吉田所長の力関係は、日本組織の縮図
ネット世論はなぜ、吉田所長の独自判断を支持するのでしょうか、それは、日本組織に共通する要素が、本件に観察できるからです、すなわち、日本組織は“本社は弱いが現場は強い”というのが通念となっているということです。
本件、本ブログにてすでに指摘しています(注1)。
筆者を含め、ネット愛好者も一般国民も、本事故勃発以来、ずっと日本政府、東電本店、事故現場の対応ぶりを観察してきましたが、その結論としては、東電の事故現場は、命懸けで踏ん張ってきたと認めています。現場の人は逃げられないのです。現場が遁走したら、事故現場は大変なことになっていたでしょう。一方、日本政府官僚も東電本店幹部も、現場に依存するのみで、右往左往するシーンばかり見えていました。国民からの信頼度は決して高くないでしょう。
このような状況は、日本組織に非常によく見られる現象です。
4.緊急時は現場所長に権限移譲(委譲)するのが常識
東電原発事故現場は、今、のっぴきならない緊急時なのです。このような場合、一瞬先に何が待っているか誰もわからないし、刻々変わる局面に、臨機応変に、柔軟に、かつ速やかに対応する必要があります。このようなときは現場をもっとも知る現場所長に権限移譲(委譲)するのが、緊急対応の常識です。
今回、事故処理を一手に引き受けて、踏ん張ってきた吉田所長は、肝っ玉の据わった親分肌の人柄のようで、緊急対応にはうってつけの人材に見えます。
この剛腕所長がいてこそ、現場の人々は耐えてこられたのかもしれません。
このような親分肌の剛腕所長からみると、日本政府官僚や東電本店の人間の指示は余計な雑音にしか聞こえないのでしょう。
こういうときは、吉田所長に権限移譲し、本店は所長から何か要望があったときのみ、てきぱき対応してあげるのがベストです。
事故現場から遠く離れた後方安全地帯に陣取り、最前線の現場を観ていない人間が、あれこれ現場に指図しても、それは混乱を招くのみなのです。
5.右往左往するエリートは悪徳ペンタゴン日本人と同類
今回の事故対応で、日本国民は“本社は弱いが現場は強い”という日本組織の実態を痛いほどみせつけられたと思います。そして、年配の国民は、戦前の日本軍隊を連想したことでしょう。
事故対応の日本政府官僚や東電本店エリートは、いわゆる学歴エリートであり、現場を知らない小心者です。
彼らは、いわば指示待ち人間であり、常に、おのれの出世を願って、自己保身と上司の顔色伺いに終始するのが常です。
こういう人間は、海千山千の米国戦争屋ジャパンハンドラーに簡単に手玉に取られ、やがて、始末の悪い悪徳ペンタゴン日本人に成り下がっていくわけです。
彼ら小心者は吉田所長タイプの剛腕が大の苦手であり、あらゆる手段を弄して、いずれ排除しようとするでしょう。
しかしながら、彼らはみずから、過酷な事故現場に入って、采配を振るう勇気はまったくないので、しばらくは吉田所長に依存するしかないでしょう。
また今、吉田所長を替えても、事態が好転するとは到底、思えません。彼に替われるほど事故現場に精通する人材が今の東電にいるとも思えません。
注1:本ブログNo.344『命がけで踏ん張る東電福島事故現場:世界にとって驚異であり、脅威でもある』2011年4月18日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/24017890.html
ベンチャー革命投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm
テックベンチャー投稿の過去ログ
http://www.elmstadt.com/news/techventure.html
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-PaloAlto/8285/column-top.html
(転載貼り付け終わり)