新刊 「吉本隆明が語った 超資本主義の現在

1094 投稿日:2021/05/05 16:12

出版社 : 文化科学高等研究院出版局 (2021/4/20)
発売日 : 2021/4/20
言語 : 日本語
新書 : 192ページ
ISBN-10 : 4910131116
ISBN-13 : 978-4910131115

吉本隆明が語る情況には、本質課題が埋もれている! 吉本の未収録インタビューを取り上げ、それぞれに監修者が「学ぶコメント」を論述。労働形態、家族などにおける「超資本主義」への変貌を考えるための理論地平を示唆する。【「TRC MARC」の商品解説】

吉本隆明が語る情況には、本質課題が埋もれている!
未収録インタビュー拾遺。
家族が壊れていく、対幻想が変貌し、ワークや親子関係、男女関係、老人の位置も変容していく。変わらぬ政治の愚行、経済地盤・事象 の変化、歴史観の歪みや変節、のなかに政治・経済・社会の本質を照らし出すものがある。
日本の特殊性のなかに普遍を探り、未解の課題を浮き立たせる、情況論からの本質示唆。「今だから」こそ見えてくるものがある。

超資本主義へと変貌していく「現在」において、解体していくもの、失われていくもの、そして新たに可能性と限界性を合わせもって出現していくものがある。労働形態、親子関係、家族、民族、社会 主義、ナショナリズム、経済、政治、歴史、セクシュアリテなどにおける「超資本主義」への変貌が示される。
 書籍内容
超資本主義への変容が内在する問題構成を理論生産へと開く
「学ぶコメント」:思想発言を理論化するガイドつき

(1)超資本主義の現在における労働関係・親子関係の変容
   フリーター、パラサイト・シングル、家族
   *コメント「国家と社会」*

(2)日本の特殊性の中に普遍を探る
   日本の歴史ブームとナショナリズム
   *コメント「国家と歴史と場所」*

(3)世界金融の現場に訊く 経済の本性
   *コメント「経済の本性・本質へ」*

(4)分散し矮小化していく政治と社会
   *コメント「思想態度、精神と情況変化」*

(5)家族・老人・男女・同性愛をめぐって
   *コメント「生存と男女」*

本文抜粋 109頁
つまり カネの流れをある程度よりもケチくさくすると 一切の反体制的な政治活動とか労働運動
そういうのが全部 無に帰してしまうというか すべて成り立たないんですよ 資本家は自分のカネ儲けと 資本家同士の結びつきはやるけど 労働組合は何もしないかといったら それはウソで ちゃんとやってるんですね 両方で抜かりなくやっているんです
それをある程度以下にきざむのは ちょっとおかしいんです たとえば六〇年ごろでも 全学連の主流派の幹部連中が 右翼の田中清玄から三〇〇万円ぐらい借りたというんですね そしたら 借りた男と田中清玄がレストランで会食して飲んでいるところを 共産党に写真を撮られちゃって 世間に向けて悪宣伝されたんです
たとえば柄谷行人なんかは 雑誌の座談会で あいつら幹部どもは右翼のカネをもらったりしてよくないとかいっているわけです そんなことをいうインテリが大勢いるんです
だけど 僕はそうはいわないんです 僕の原則は 右翼だろうが左翼だろうが 寄付されたカネはみんなもらっちゃえてことです その代わり 応分の宣伝はする だから 僕にいわせれば問題にならないんです 柄谷は実際の活動を何も知らないくせに おかしいとかいうんですが 僕なんかは冗談じゃないよって思いますね
中略
同時に 知識人がけしからんと思うのは 「おまえ 何もやったことがないんだよ」ってことなんです
つまり ひとつの政治的な運動に類することが起こったときに 何人が動いて どれくらいカネがかかるかってことが 一度も体験したことないからわかってないんですよ
たとえカネをもらったところで カネをくれた人のイデオロギーに沿って運動するなんてことはないですよ カネを出すほうは黙って出す もらったほうが「ありがとう」ってお礼をいって それでいいじゃないかというだけのことです