「ASEAN地域フォーラム(ARF)閉幕 米国の掌中で踊る日韓」

投稿日:2010/07/25 07:12

「プロメテウスの政治経済コラム」から貼り付けます。

(転載貼り付け開始)

2010-07-24 22:44:35
「ASEAN地域フォーラム(ARF)閉幕 米国の掌中で踊る日韓」

政治経済ベトナムで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議は、23日のASEAN地域フォーラム(ARF)を終え一連の会議を閉幕した。日米韓3カ国は韓国哨戒艦撃沈事件を受け、北朝鮮に対し強硬姿勢を取るよう各国に呼びかけたものの、賛同は得られなかった。「武力による威嚇や武力の行使を慎み、常に加入国間で友好的な交渉を通じて、その紛争を解決する」と定める東南アジア友好協力条約(TAC)を基礎にしているASEAN諸国が朝鮮半島の緊張を煽るような日米韓の企みに乗らなかったのは当然であった。朝鮮半島には、6・25戦争(朝鮮戦争1950)と6・15南北共同宣言(2000)という二つの潮流が対立している。米国は、6・15の潮流を望まない。南北が自主的に平和共存を通じて平和統一する共同宣言が実現されたら、駐韓の米軍は不要となる。東アジアに平和が構築されたら、在日米軍も不要となる。韓国や日本を「防衛」してやっているということで貸しをつくり、両国から貢がせることが米国の世界戦略になくてはならない条件となっているからだ。米国からすれば、朝鮮半島は常に緊張していないと困るのだ。

私は、7・9国連安保理議長声明で、哨戒艦撃沈事件に一応の区切りをつけ、6カ国協議再開へ局面転換が図られるのではないかと考えていたが、李明博(イ・ミョンバク)政権は、しつこく「北朝鮮の攻撃」を批判し続け、韓国に、ドンドン貸しを作りたいと思っている米国政府もいまのところ一生懸命李政権に同調して北朝鮮を挑発して続けている。韓国を訪問中のゲーツ米国防長官と21日朝にソウル入りしたクリントン国務長官は、そろって板門店を訪問し、韓国と北朝鮮との軍事境界線近くの非武装地帯(DMZ)を視察。韓国「防衛」の決意を演出して見せた。さらに、北朝鮮の挑発的行動を抑止するため、米韓合同演習の第1弾として、日本海で25日から28日まで、海・空軍による大規模な演習を実施する、という。これには、横須賀の米空母「ジョージ・ワシントン」も参加する。
拉致問題の解決よりも、対米従属のもと北朝鮮の金正日体制の打倒だけを希う日本政府も当然のように韓米の尻馬に乗っている。面白いといったら語弊があるが、日本の海上自衛官4人も、25日から28日までに行われる米韓合同軍事演習にオブザーバーとして参加することが報じられると、韓国で反発の声が上がっている、という。「朝鮮半島とわが民族にもっとも残忍だった帝国主義の日本を、わが海域に入れるのは明らかな売国行為だ」というわけだ。米国の掌中で踊る日韓は、ASEAN諸国から見れば(そして、馬鹿でなければ北朝鮮も内心では)、おかしくて仕方がないだろう。

7・9国連安保理議長声明で、哨戒艦撃沈事件に一応の区切りをつけたのではないかと考えたのは次の理由である。議長声明は、非難・制裁を否定し、対話・交渉の再開による平和的解決を勧告したからである。南北の主張を併記して、「攻撃者」ではなく、「攻撃行為」を批判する形をとった。そして私には、英語のニュアンスが良く分からないが、北朝鮮の関与を認定した沈没問題にたいする合同調査の結論に懸念を表明するという件は、“In view of ・・・”から始まっており、これは「仮定」のニュアンスが強い表現だという。それに対し、「事件とは関係ないとする北朝鮮を含む他の関係者の主張に留意する」という件は、“takes note of・・・”となっており、「認定」のニュアンスが強いという(韓国問題研究所代表・康宗憲さんに教えてもらった)。
つまり、今回の事件は、胡散臭いと睨んでいるのだ。ロシアは、合同調査の結果に疑いをもち、独自の調査をしているが、結果を公表しない(米国、韓国には伝えていると思うが、外交カードに使う積もりなのだろう)。
これを受けて、10日付の朝鮮日報は社説で「北朝鮮の責任を問い、謝罪と再発防止を約束させるためにも南北対話を始めなければならない」と、李明博政権の対北朝鮮強硬策の限界を指摘した。李明博政権になって、言論機関に統制が利いているので、姿勢の変化を思わせた。韓国外交通商部も、対北謝罪要求に言及しなくなった。
しかし、ARFで韓国、米国がしつこく北朝鮮を挑発し、日本も尻馬に乗った。

25日からの韓米合同軍事演習に対し、北朝鮮政府は、「必要な時期に核抑止力に基づいた報復の聖戦を開始する」とこれまた”公式の反応”をしている。南北が自主的に平和共存を通じて平和統一するというベトナム方式でもドイツ方式でもない壮大な展望をないがしろにし、朝鮮半島が常に緊張していることを望むアメリカとの軍事同盟の罠に填まり、米国の掌中で踊っている限り、朝鮮半島の非核化も、拉致問題も永久に解決しない。

(転載貼り付け終了)