「[海兵隊再検証]米議会ですら不要論も」
「沖縄タイムス」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010年8月17日 09時19分
「[海兵隊再検証]米議会ですら不要論も」
ロバート・ゲーツ米国防長官は海兵隊の将来的な役割を根本から再検証するよう指示した。米政府が国防費の大幅削減を打ち出している中だけに、海兵隊には大きな試練となりそうだ。
日本に駐留する米軍兵力のおよそ半分を占める海兵隊。沖縄では兵力で約6割、基地占有率で約7割という最大部隊だ。財政難との兼ね合いとはいえ、その部隊の必要性があらためて問われることになり、検証論議がどのような形でまとまるのか注目だ。
ゲーツ長官は12日、サンフランシスコで講演し、「海兵隊は大きくなりすぎた」と述べ、「テロとの戦い」が始まって以降、総員17万5000人から20万2000人に膨らんだ兵力を削減する考えを明らかにした。
海兵隊はイラクやアフガニスタンでの地上戦闘に動員され、「第2の陸軍」と呼ばれる現状がある。ゲーツ長官は「本来の任務である海浜での上陸作戦から遠く離れすぎた」と指摘した。
講演の中でゲーツ長官は海兵隊の特性をめぐる根源的な問題も提起した。高性能ミサイルで陸から100キロ沖まで狙えるハイテク戦の中で、艦船で砂浜に上がり、攻めていく海兵隊の役割そのものが問い直される、と語った。
普天間飛行場を使うのも海兵隊だ。移設問題で日本政府は「抑止論」「地理的優位性」を理由に沖縄県内での移設が不可欠だと主張するが、肝心の米国内で不要論が浮上するようでは、「学べば学ぶほど」(鳩山由紀夫前首相)という説明は合理性を失う。
海兵隊には不要論がつきまとう。太平洋戦後、核時代の到来で上陸戦部隊は無用とたたかれたが、議会の根強い海兵隊ファンに救われた。
当時も国防予算の引き締め論議の中で出た不要論だった。今回もゲーツ長官は国防予算を向こう5年間で総額1000億ドル(約9兆円)以上を削減する方針を打ち出している。アフガン、イラク戦争での国防費の増大を支えきれなくなったからだ。
こうした流れで出てきた海兵隊検証だが、米国内では議会の後ろ盾で組織解体や予算の大幅削減といった致命的なダメージには至らないだろう、という見方もある。
他方、議会から海兵隊の沖縄撤退論も上がっている。民主党重鎮で下院金融委員長のバーニー・フランク氏は「中国を野放しにはしたくないが、空軍も海軍もいる」「過去の遺産で21世紀には無意味だ」と公然と海兵隊不要論を展開している。
また軍部に影響力がある共和党の大物ケイ・ハッチソン上院議員も海外駐留の米軍を本国へ戻すべきだと主張。海兵隊のグアム移転には環境、高コストなどを理由に反対で、「基地はアメリカに建設すべきだ」との考えだ。
こうした論議や再検証がすぐに沖縄問題に変化をもたらすことにはならないかもしれない。しかし米側で撤退論すら出るように、沖縄の「基地宿命論」を論破するキーワードが拾えるはずだ。
このタイミングでの不要論は沖縄には追い風になる。
(転載貼り付け終了)