「間一髪で回避された極東戦争」

投稿日:2010/06/27 05:25

「新ベンチャー革命」から貼り付けます。

(転載貼り付け開始)

2010年6月26日 No.146
「間一髪で回避された極東戦争」

1.韓国哨戒艦艇・天安沈没事件犯人は北朝鮮ではないという決定的証言

2010年6月25日の朝日新聞(ソウル支局:牧野愛博)に地味だが極めて重要な記事が掲載されました。韓国国家情報院(前身はKCIA)の元世勲(ウォン・セフン)院長によれば、5月初め、北朝鮮キム・ジョンイル総書記が中国を突如、訪問した目的は、『3月26日に勃発した韓国哨戒艦艇・天安沈没事件に、北朝鮮は関与していない。北朝鮮はこのような事件を起こす意思も能力もない。ところが、米韓が北朝鮮に濡れ衣を着せようとしている。その際、中国が“盾”となって北朝鮮を守って欲しい。』と、胡錦濤主席に嘆願するためだったとのこと。ああー、やっぱりそうか・・・・。

 筆者は、極東安全保障の見地から天安事件を非常に重視して、本ブログでも、これまでいくつか投稿してきました(注1~注9)。筆者は当初から、北朝鮮犯人説に極めて懐疑的だったので、上記KCIAトップの証言は筆者の見方を裏付ける重要情報です。

 なお、この証言は、イ・ミョンバク韓国政権の“天安は北の魚雷に撃沈された”という公式発表と大きく矛盾する内容です。

2.KCIAトップの証言はキム・ジョンイルの緊急訪中目的を明かしている

 さて、韓国政府調査団が天安沈没事件犯人を北朝鮮(魚雷攻撃)と名指ししたのは5月20日ですが、キム・ジョンイルはこの“濡れ衣”シナリオを5月初めには知っていたのです。そこで、病身の臆病キムは暗殺リスク(現実に、過去、キム訪中時、列車爆破の暗殺未遂事件が起きている)を押して、まさに命がけで中国を訪問し、事前根回したということです。暗殺恐怖症の臆病キム将軍様が命を賭けるのですから、北にとって余程の緊急事態であったと、筆者は容易に想像できました。上記KCIAトップ証言にて、臆病キム総書記の突発的訪中目的は十分、納得できました。その甲斐あって、5月20日、韓国政府による北犯人説のぶち上げに対し、中国がロシアとともに極めて、冷静に対処し、極東戦争に発展しませんでした。普通ならば、韓国政府からこれほど侮辱されたら、北はソウルに向けてミサイルを放ってもおかしくなかったはずです。中国が事前に、キム・ジョンイルに釘を刺しておいたことが奏功しています。

ところで2002年から2004年にかけて、小泉ヒーロー化のための北朝鮮拉致被害者帰国劇の演出(筆者の持論は米国戦争屋の仕掛け説)の分析(注10)を通じて、キム総書記という人物は、日本の下手な指導者よりよほど、したたかで冷静な人間ではないかと思っていましたが、案の定、そのとおりでした。

 彼が狂気の独裁者であれば、とっくに第二次朝鮮戦争が起きていたでしょう。それを未然に防いだ彼はまだ、北の軍事権力を十分、掌握しているということです。

3.韓国は北のミサイル報復攻撃がないと知って、北に濡れ衣を着せた

 韓国政府は5月初旬のキム訪中目的を知った上で、5月20日に、北犯人説をぶち上げたわけで、韓国政府は事前に、北からの報復がないとわかっていたということになります。そうでなければ、5月21日には、ソウルにミサイルが落ちて、それこそ火の海にされたはずです。考えただけでも空恐ろしいきわどい局面だったのです。

 イ・ミョンバク・ハンナラ党は、6月2日統一地方選挙を控えて、天安事件に便乗し、北の脅威(北風)を利用するハラ積もりだったのでしょうが、能天気日本国民と違って、韓国民はハンナラ北風に乗らなかったのです。韓国民は常時、北の脅威に晒されているので、日本国民より、南北情勢を読む力が備わっているのでしょう。イ・ミョンバク政権ハンナラ党は惨敗、韓国民は、政府の北犯人説を疑っていることが見事、証明されました。とってつけたような子供だましの北魚雷証拠品の数々、こんなもの、子供でもだまされません。これにだまされるのは、お人好し日本国民くらいのものです(笑)。

4.米国オバマ政権は韓国政府の北犯人説を認めていない!

 いずれにしても、上記KCIAトップの証言にて、天安事件のウラ事情がかなり明らかになりました。それに追い打ちをかけるように、6月22日、オバマ政権は、北朝鮮に対するテロ支援国家再指定を見送ることが明らかになりました。エエー! 天安事件で50人近い韓国軍人が亡くなったのに?

この報道から、米国オバマ政権は、事実上、韓国政府の北犯人説を認めていないことを意味します。

 それではいったい犯人は誰? 天安事件はまさに、振り出しに戻りつつあります。韓国政府の北犯人説を無条件に支持した日本政府(当時、鳩山政権)の責任はどうなるの? 確かに、2003年、イラクに核兵器ありとするねつ造情報を唯一の根拠に、国連の反対を無視してイラク先制攻撃を強行したブッシュ政権を、即、支持した小泉政権と似た状況です。辞任直前の鳩山政権は、国民の離反に絶望、ヤケクソとなって、かつての小泉従米政権と同レベルまで堕落してしまったのです。

さて、6月9日、NHKで放映されたように(注11)、英国民はブレア首相(ブッシュのポチ・小泉首相と同じく、ブッシュのプードルと呼ばれた首相)のイラク戦争支持責任に対し、厳しい追及を行っています。日本国民とはえらい違いです、蛇足ですが・・・。

5.天安事件:米国戦争屋関与説、再浮上するか

 韓国のKCIAと言えば、米国戦争屋謀略部隊CIAとの関係は深いのですが、KCIAトップが、天安事件勃発当初の、韓国軍部の見解どおり、北関与説の可能性が低いことを改めて認めているわけです。この事実から、いずれ、韓国政府は、北犯人説(魚雷攻撃)を取り下げ、ボロが出たときの逃げとして、予め用意されている座礁説(S.C.Shin説、ご丁寧にもクリントン国務長官にレターを出して、ボロが出たときのアリバイづくり的工作が行われている)に切り替える可能性があり、筆者はすでに、それも読んでいました(注8)。米国政府もその方向に傾いています。

 それでは、天安の座礁説は正しいでしょうか。東大船舶工学科出身の筆者には、天安という鋼船が健全な船殻(せんこく)構造を有している限り、座礁のみで真っ二つ裂ける現象をまったく想像できません。

剛性のある船体を真っ二つに引き裂くには、青竹を手で切断するときのように、何度も上下にクネクネ、折り曲げる必要があります。ところが座礁は1回ポッキリの一方向の衝撃的静荷重の作用のみですから、船底が破壊されても、船殻中央断面の完全剪断破壊には至りません(注5)。ちなみに真っ二つに割れた遭難船が海岸浅瀬に座礁した画像を観ることがありますが、台風時などに起こる大波を受けて真っ二つになって遭難して、海岸浅瀬に座礁したものとみなせます。天安遭難時、黄海が荒天大しけだったとは聞いていません。

 今回の天安事件に関して、幸いにも、韓国テレビKBSの事故直後の取材映像が厳然として存在するわけです。この映像を韓国政府が没収していることから、韓国政府が絶対に公表できない秘密があるのは間違いありません。そして、その映像には、米軍の救助活動が映っており、天安沈没現場とは別の第三ブイポイントに、天安ではない別の物体が沈没している証拠映像が存在していますが、それが何であるか、一切、発表されていません。すでに韓国中に放映された映像を没収しておいて、その点について何の説明もなしに韓国政府の一方的な北犯人説を信用しろと言っても、どだい無理な話です。

 韓国政府にとって、中露を納得させるに十分な北犯人説の立証はほとんど不可能です。そこで、手のひらを返して、座礁説に切り替えれば、また別の矛盾や疑問が噴出するでしょう。いずれにしても、第三ブイ沈没物体(今は極秘に引き揚げられ、撤去されているかもしれない)の正体が何である(または何であったのか)を公表せざるを得なくなるような気がします。

注1:本ブログNo.123『韓国哨戒艇「天安」撃沈:米原潜との誤射相撃ち?』2010年5月8日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/13698185.html

注2:本ブログNo.125『素人だまし日本のマスコミ:韓国哨戒艦艇撃沈が北朝鮮の仕業?』2010年5月15日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/13961537.html

注3:本ブログNo.128『韓国哨戒艦艇撃沈事件:信じられない!今頃、北朝鮮犯人説とは』2010年5月20日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/14196900.html

注4:本ブログNo.129『韓国“天安”事件でわかった日韓両国民の“北朝鮮観”の危うさ』2010年5月21日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/14218455.html

注5:本ブログNo.129『韓国哨戒艦艇の完全剪断破壊:米原潜コロンビアの関与確認できず』2010年5月23日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/14301981.html

注6:本ブログNo.132『風雲急を告げる朝鮮半島:米国戦争屋の極東シナリオを読み解く』2010年5月27日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/14463828.html

注7:本ブログNo.133『極東戦争危機に震え上がる鳩山首相』2010年5月29日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/14536231.html

注8:本ブログNo.135『韓国哨戒艦艇「天安」事件:第二のトンキン湾作戦の失敗だった?』2010年6月1日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/14656817.html

注9:本ブログNo.142『日本にとって不幸中の幸い:極東戦争勃発ねつ造作戦失敗』2010年6月15日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/15229447.html

注10:ベンチャー革命No.263『北朝鮮拉致被害者帰国劇:郵政民営化可決の仕掛けだった?』2008年6月28日
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/mvr263.htm

注11:2010年6月9日、NHKクローズアップ現代、『イラク戦争を問う:英国・検証の波紋』

ベンチャー革命投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm

テックベンチャー投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-PaloAlto/8285/column-top.html

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