「沖縄知事選挙と官房機密費。鈴木宗男氏と佐藤優氏の会話に注目!!続きである」

投稿日:2010/08/09 06:08

「渡瀬夏彦の「沖縄 チムワサワサ 日記」」から貼り付けます。

(転載貼り付け開始)

2010年08月08日
「沖縄知事選挙と官房機密費。鈴木宗男氏と佐藤優氏の会話に注目!!続きである」

以下、琉球新報2010年8月7日付紙面(総合面3面)より、コラムの全文を引用する。

鈴木宗男氏と佐藤優氏の重要な会話の内容を、なんとなく読み流してはいけないと思う。

ぜひ、じっくりかみ締めていただきたい。

佐藤優のウチナー評論<133>
【沖縄と官房機密費(下)】証言は時代のけじめ

 8月4日、衆議院本会議で鈴木宗男外務委員長(新党大地代表)に対する永年在職二十五年の表彰が行われた。この席のスピーチで鈴木氏は、「同僚議員の皆さん、時代のけじめをつけることは、国策捜査によって行うのではなく、国民によって選ばれたわれわれ国会議員が、政治主導によって行うべきではないでしょうか」と呼びかけた。7月21日のテレビ番組で鈴木氏が、1998年の沖縄知事選挙において、自民党が推す稲嶺恵一氏(元知事)の陣営に内閣官房機密費(報償費)から3億円が渡されたと証言したのも、「時代のけじめ」をつけるためなのだと筆者は見ている。それでは、この問題に関する筆者と鈴木氏の踏み込んだやりとりについて記す。

 佐藤「内閣官房機密費は年額12億円でしょう。3億円は額が大きすぎませんか」

 鈴木「小渕(恵三首相)さんは『外務省枠があるから、足りなければそれを使え』と言っていた。当時、外務省から裏で20億円の外交機密費(報償費)が官邸に上納されていたからね。3億円なら出せる」

 外交機密費は、首相の外交活動のために用いるという口実で外務省から首相官邸に秘密裏に上納されていたはずだ。沖縄は外国ではない。沖縄での民意を、機密費を用いて、当時の自民党政権に都合のよい方に誘導するなどということは、民主主義の原則からしてあってはならないことだ。さらに鈴木氏と筆者のやりとりについて記す。

 佐藤「稲嶺さんは、TBSのテレビ番組で、『お金にはまったくタッチしていないし、そのようなことはまったく知らない』とコメントしています。真相はどうなんですか」

 鈴木「佐藤さん、稲嶺さんがそんなことを言っていると天国にいる小渕さんが知ったら悲しむよ。もちろん稲嶺さんは候補者だから、直接カネには触っていないはずだ。ただし、(首相)官邸から物心両面の支援を受けたことを稲嶺さんは知っている」

 佐藤「物心の物とは、カネのことですか」

 鈴木「そうだ。だから、知事に当選した後、稲嶺さんは、首相官邸にやってきて、小渕総理にお礼を言ったんだ。あのとき、よかれと思って、沖縄に機密費を流した。しかし、機密費は選挙のために使うカネではない。権力の中枢にいて、私は感覚が麻痺していた。反省している」

 筆者は鈴木氏の反省の弁を額面通りに受け止めている。そして今、鈴木氏はリスクを負って真実を証言し、「時代のけじめ」をつけようとしているのだ。(この項終わり)
                        (作家・元外務省主任分析官)

どんな感想を持たれるだろうか。

くしくも、ここ数日の沖縄のメディアは、11月の沖縄知事選挙は、現職の仲井真弘多氏(70)と宜野湾市長の伊波洋一氏(58)の一騎打ちとなる可能性が高まったことを伝えている。

稲嶺恵一前知事の流れを汲む現職の仲井真弘多氏は、当然自民党政権中枢から熱烈な支援を受けつつ、2006年の知事選で当選している。そして、この人は未だに、普天間基地の「県内移設容認の余地」を、匂わせつづけている。つまりはじつは、「沖縄の総意」を体現しているとはとても言いがたい「少数派」政治家なのである。

これに対して、伊波洋一氏は7日、社民党、共産党、沖縄社会大衆党、3党の出馬要請を受けて、こう明確に述べている。

「今回の知事選は脱基地を目指す県政をつくるのか、それとも戦後65年も押し付けられた米軍基地の負担と重圧を継続する県政にするのかだ」(琉球新報2010年8月8日 3面「透視鏡」より)

本来、伊波氏の主張に支持を表明して当然の民主党沖縄県連の態度は(一貫して県内移設には断固反対といい続けているはずなのに)、煮え切らない。

なにせ「最低でも県外」の約束を反故にして平然としているのが、現民主党本部なのだ。

この「ねじれ」は、深刻である。むしろ現民主党政権・官邸は、仲井真氏を応援したくてうずうずしているのではなかろうか。

当ブログ読者の皆さんには言わずもがなでしょうが、結論から言えばわたしたちは、きたる知事選挙において、仲井真氏を勝たせるわけにはいかないのである。

政府の出方次第でどうとでも転びそうな、あぶなっかしい人物に、次の知事の座も任せるわけにはいかない。その点、伊波氏の態度はじつに明確であり、信頼できる。

だからこそ、伊波氏には、基地問題のその先に「魅力ある沖縄像」を描きあげるぐらいの気概を求めたい。経済、福祉、教育、あらゆる点で県民に安心感と希望を与えるプランを、積極的に提示してほしい。あるいはプラン作りに際して、県民の知恵を結集するための仕組みを構築してほしい。

さて、菅直人首相よ、仙谷由人官房長官よ、官房機密費の使い方を間違えることだけは、もはや許されないのだから、そこのところ、よろしく頼みますよ。

(転載貼り付け終了)