「小沢一郎氏の「政治とカネ」問題研究第5回」

投稿日:2010/09/08 06:55

「植草一秀の『知られざる真実』」から貼り付けます。

(転載貼り付け開始)

2010年9月 7日 (火)
「小沢一郎氏の「政治とカネ」問題研究第5回」

「小沢一郎氏の「政治とカネ」問題研究第4回」からつづく

 6月2日、鳩山由紀夫前首相が総理辞任の意向を表明した。この機に乗じて民主党内対米隷属派=悪徳ペンタゴン派勢力が政権乗っ取りに動いた。6月8日に発足した菅直人政権は悪徳ペンタゴンが主権者国民から政治権力を奪取した反革命政権である。
 
 この反革命政権の最大の特徴は激しいまでの小沢一郎氏の影響力排除にある。悪徳ペンタゴンが警戒するのは、日本に独立色の強い中立政権が樹立されることである。1960年の安保闘争と類似した構造が存在する。
 
 日本に二大政党制が確立されるとしても、悪徳ペンタゴンの中心に位置する米国が容認する二大政党は、対米隷属の二大政党である。対米隷属から離れる政権の樹立はいかなる工作活動を展開しても阻止しなければならないと米国は判断している。
 
 日本が自主独立政権を樹立するとすれば、その主役になりうる人物は小沢一郎氏をおいてほかにない。悪徳ペンタゴンは小沢一郎氏排除を最重要課題に位置付けてきた。
 
 この目的のために、小沢一郎氏攻撃のためのマスゴミ談合組織「三宝会」が結成され、小沢一郎氏が民主党代表に就任した2006年4月以来、一貫して激しい小沢一郎氏攻撃が展開され続けてきた。
 
 「小沢一郎氏の政治とカネ問題」はこの文脈上で人為的に創作されたものであると理解すべきだ。本シリーズのこれまでの記述で十分に理解されるように、小沢一郎氏の資金管理団体に不正の事実はまったく確認されていない。小沢一郎氏は領収証の全面公開など、むしろ政治資金透明化の最先端を進んできたのが実態である。
 
 小沢一郎氏の政治資金管理団体が不動産を購入したことを問題にする見解が散見され、NHKも「ニュース9」の大越健介氏がこの点を質問したが、政治資金管理団体による不動産購入は合法的な行為であった。
 
 ある政治家が1億円の不動産を購入し、年間1000万円の家賃で自分の資金管理団体に賃貸したら何が起こるのか。10年でこの政治家は資金管理団体の払う賃貸料で不動産を自分のものにすることができる。小沢氏の場合、資金管理団体が不動産を取得し、それを政治目的に利用したのであって、浄財をもっとも有効に活用する賢明な行動が選択されたのだと言える。小沢氏の判断が非難される理由はまったく存在しない。
 
 むしろ、上記のような、賃貸料として資金管理団体が不動産費用を支払う場合のなかに、不正な私財蓄積疑惑が多数潜んでいると思われる。

 さて、菅直人政権であるが、この政権の、総理官邸および内閣府、外務、防衛、法務、財務各省の政務三役の構成を調べると、以下の通りになる。
 
官房長官   仙谷由人  反・前
官房副長官  古川元久  反・前
官房副長官  福山哲郎  反・前
総理補佐官  阿久津幸彦 反・菅
総理補佐官  小川勝也  中・鳩
総理補佐官  逢坂誠二  反・菅
内閣府副大臣 大島敦   親・鳩
内閣府副大臣 平岡秀夫  反・菅
内閣府副大臣 大塚耕平  反・前
内閣府政務官 泉健太   反・前 
内閣府政務官 田村謙治  反・菅・野
内閣府政務官 津村啓介  反・菅
外務大臣   岡田克也  反
外務副大臣  武正公一  反・野
外務副大臣  藤村修   反・野・鳩
防衛大臣   北澤俊美  中
防衛副大臣  榛葉賀津也 反・菅・野
防衛政務官  楠田大蔵  中・野
防衛政務官  長島昭久  反・前・野・菅
沖縄担当相  前原誠司  反・前
法務大臣   千葉景子  
法務副大臣  加藤公一  反・菅
法務政務官  中村哲治  親
財務大臣   野田佳彦  反・野
財務副大臣  池田元久  反・菅
財務副大臣  峰崎直樹
財務政務官  大串博志  中・前
財務政務官  古本伸一郎 親・民・野
 
 反・親・中は小沢一郎氏に対するスタンスで、反小沢、親小沢、中間派を意味する。分類は「週刊ポスト」2010年9月10日号に掲載された分類に従っている。
 菅・前・野・鳩・民はそれぞれ、菅直人、前原誠司、野田佳彦、鳩山由紀夫、民社の各グループに所属していることを意味する。
 
 これを見ると、官邸・内閣府・外務・防衛・法務・財務の各省、セクションが完全に反小沢で固められていることが分かる。表記では「中」となっているが、北澤俊美氏は菅氏支持を表明しており、また、大串博志氏は反小沢氏急先鋒の前原氏のグループに、楠田大蔵氏は反小沢氏の野田グループに所属している。
 
 この陣容の一体どこが挙党体制なのか。この陣容が意味するところは、
①沖縄普天間問題で米国案をゴリ押しすること
②小沢氏問題で小沢氏に不利な法務行政を押し通すこと
③財政再建原理主義に基づく財政運営を強行すること
のスタンスを菅直人政権が明瞭に採用していることである。
 
 小沢一郎氏の「政治とカネ」問題においては、法務当局およびその下部組織であると見られる検察審査会事務局が中立、公正な運営を行うのかどうかが決定的に重要である。また、検察審査会の審査補助員になる弁護士起用についての決定が日本弁護士連合会に委ねられることになると、日弁連会長が重要な役割を果たすことになる。
 
 日弁連会長に就任した宇都宮健児氏と内閣官房長官仙谷由人氏のつながりが指摘されており、検察審査会の運営が公正に行われるのかどうかに対する強い懸念が存在している。
 
 「地獄への階段」様によると、日弁連会長の宇都宮健児氏が仙谷由人氏に政治献金をしているとの事実が存在するという。宇都宮氏は仙谷氏だけではなく、枝野幸男氏、小宮山洋子氏などの民主党内反小沢一郎氏急先鋒の議員にも政治献金を行っているとのことである。こうした傾向が審査補助員選任に影響することは極めて重大な問題である。また、「政治とカネ」を取り上げる仙谷由人氏の政治資金受け入れは年間1億1300万円にも達しており、仙谷氏の資金収支にも十分な調査が必要である。
 
 菅直人氏は「適材適所での人事が挙党一致だ」と強弁するが、上記リストを見て、これを挙党一致体制と見なす人は一人もいない。小沢一郎氏の「政治とカネ」問題についても、不正で中立性を欠く行政運営が示される危険が極めて高いことに留意が求められている。

(転載貼り付け終了)