「「財務省が仕掛ける大増税キャンペーン」(EJ第2851号)」

投稿日:2010/07/09 06:48

「エレクトロニック ジャーナル」から貼り付けます。

(転載貼り付け開始)

2010年07月08日
「「財務省が仕掛ける大増税キャンペーン」(EJ第2851号)」

 ここまでEJでは「官僚組織」という言葉を使ってきましたが
官僚のトップはどこかを明らかにする必要があります。一般的に
は、官僚のトップは財務省といわれています。なぜかというと、
財務省は特別会計をコントロールしており、カネを握っているか
らです。しかし、副島隆彦氏は次のように述べています。
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 日本の官僚のトップは財務省(旧大蔵省)だと私も倣って思い
 込んできましたが、どうやら法務省・検察庁だったようです。
 そのことが明るみに出ました。このことがスゴイことでした。
 他の官庁であれば政権の大臣たちが人事を握り、省予算を握れ
 ば政治家が勝つことができます。それが「官僚主導から政治主
 導へ」という小沢革命の根幹です。ところが、検察庁だけは、
 お金と人事では動かせない仕組みになっていました。
           ──副島高彦×佐藤優著/日本文芸社刊
  『小沢革命政権で日本を救え/国家の主人は官僚ではない』
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 これには異論があります。やはり、カネを握っている財務省が
トップであると思います。むしろ、民主党──鳩山─小沢政権が
「政治主導」を本気で進めようとしてきたので、財務と検察が組
んでいるのではないかと思います。官僚組織を守るのは、彼らの
共通の目標であるからです。
 財務省がいかに狡知にたけているかについて、その一端をご説
明することにします。財務省は菅政権ができ、野田財務相がいる
今こそ「大増税」のチャンスであると思っているようです。
 民主党の政府税制調査会は、6月22日に税制改革をまとめた
中間報告書を発表しています。そこにはこうあります。
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 国民が安心して暮らせる社会を実現するためには、格差の拡大
 とその固定化を食い止めることが重要な課題であり、社会保障
 制度と併せて、税制の再分配機能の回復を図ることが重要な課
 題である。このため、所得や資産に対する課税において、累進
 構造を回復させる改革を行って、税制の再分配機能を取り戻す
 必要がある。             ──政府税制調査会
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 重要なのは、後半の「所得や資産に対する課税において、累進
構造を回復させる改革を行って税制の再分配機能を取り戻す」の
部分です。簡単にいうと、消費税増税で低所得者の負担が重くな
るのだから、格差を是正するために、高所得者には「所得税の最
高税率」を引き上げて税金をもっと取ろうというわけです。
 政府税制調査会のトップは、副総理時代の菅氏が、現在は野田
財務相が会長を引き継いでいます。しかし、事務局は財務省主税
局であり、専門委員会のメンバーには、菅首相のブレーンの学者
も入っていますが、その主張は財務省の考え方そのものです。
 その政府税制調査会の議論では、相対的貧困率が取り上げられ
たのです。日本の相対的貧困率はこの10年で増え続け、次のよ
うに世界4位になっているのです。
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       メキシコ ・・・・・ 18.4%
       トルコ  ・・・・・ 17.5%
       米国   ・・・・・ 17.1%
       日本   ・・・・・ 14.9%
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 OECD加盟国平均は10.6 %であるので、日本は相当高い
貧困率といえます。西欧諸国は大半が10%以下なのです。これ
について、財務省や御用学者たちは、次のような信じられない意
見を述べているのです。
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 我が国の相対的貧困率の数値が国際的に見て高いのは、中位所
 得者の税負担が軽いことを示唆している。要するに、貧困率の
 高さは税金が低いせいである。
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 これは実におかしな理屈です。相対的貧困率は社会の格差是正
をあらわすものですが、貧乏人からも金持ちからも税金をとって
その格差を是正しようというのですから無茶苦茶です。
 はっきりしていることは、増税をすれば消費が落ち込み、景気
が悪化するということです。どのような理屈をつけてもそうなる
ことは自明のことです。
 民主党政権が誕生する前後から何かにつけて「財源」が問題の
焦点になっています。確かに財源を議論することは必要ですが、
これをいうことによって、問題の解決のための自らの手足を縛っ
ているように思います。
 菅首相は早々と国債を増やさないと明言しています。しかし、
 景気を上げるには増税ではなく、減税をすればいいのです。現
在世界の潮流は増税ではなく、減税なのです。これについて、埼
玉大学経済学部の相澤幸悦教授は次のように指摘します。
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 政府は国債を増やさないといっているから、所得税減税をすれ
 ば歳入が減っていやでも行政の無駄を削らなければならなくな
 る。無駄削減と消費が拡大する効果を合わせると、おおよそ乗
 数効果は「2」と考えられる。つまり、1兆円減税すれば2兆
 円の経済効果を生むということ。世界の潮流が減税となってい
 る中、菅さんが正反対の増税を打ち出したことがいかに間違っ
 ているかここでもわかります。      ──相澤幸悦教授
―――――――――――――――――――――――――――――
 菅首相の発言を聞いていると、「財政再建」と「増税」をセッ
トにして話しているところがあります。経済が回復すれば増税は
しなくても済むわけであり、そのためには「減税」もひとつの方
法であり、経済活性化の有効な方策なのですが、財源論が先行す
ると、その話を持ち出しにくくなるのです。
              ──[ジャーナリズム論/55]

≪画像および関連情報≫
 ●「相対的貧困率」とは何か
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  OECDによる定義は等価可処分所得(世帯の可処分所得を
  世帯員数の平方根で割った値)が、全国民の等価可処分所得
  の中央値の半分に満たない国民の割合の事。絶対的貧困率と
  違い数学的な指標なので主観が入りにくいとされる。絶対的
  貧困率と異なり国によって「貧困」のレベルが大きく異って
  しまうという可能性を持つ。この為、先進国にすむ人間が相
  対的貧困率の意味で「貧困」であっても、途上国に住む人間
  よりも高い生活水準をしているという場合と先進国において
  は物価も途上国より高く購買力平価を用いた計算をすると途
  上国よりも生活水準が低い場合が存在する。
                    ──ウィキペディア

(転載貼り付け終了)