「「小沢アレルギー」が進行し「小沢恐怖症」という病魔に侵されてきた菅政権」

投稿日:2010/06/20 07:22

「日々坦々」から貼り付けます。

(転載貼り付け開始)

2010/06/19(土) 13:58
「「小沢アレルギー」が進行し「小沢恐怖症」という病魔に侵されてきた菅政権」

2年ほど前にイギリスのある雑誌の企画で、「キーボードはトイレの便器より不潔である」という研究結果が発表され、日本でも話題になった。

「33枚のキーボードのうち4つは健康被害を及ぼす可能性があり、その中の1つはふき掃除した便座の5倍不潔なレベルのバクテリアが確認された」という記事である。(元記事:ロイター)

参照:キーボードやマウスはトイレの便座よりも不潔?

潔癖症も一種の病気で「不潔恐怖症」とも言われているようだ。

自分で普段使っているキーボードには無頓着だが、人が使っていたもの、とくにマウスは気になる。
かくいう私もどちらかと言えば潔癖症の部類に入ると思う。食べ物屋に入ると、まず、おしぼりなどで自分の前のテーブルを拭いておかなければ気が済まない。おしぼりがなければ、わざわざコップの水を少しこぼして紙のナプキンなどを使う。電車の吊革はなるべく持たないように身体でバランスをとるようにしている(笑)。

上記記事の影響で、たまに人が使った後のキーボードを使う時などは、失礼にならないように気を使いながらサラっと拭いてから使用する。綺麗好きではあるが、かといって几帳面で整理整頓されているかと言われれば、本や服などは散らかっていて、相方にヤナ顔されている。自分の場合は臭いに関連するものには敏感なように思う。

なぜこんなことを書いているかというと、民主党の「小沢アレルギー」は、「小沢恐怖症」に昇華され、病気の域に達してきたように思うからだ。

最近の菅総理の動きがどうも腑に落ちなかった。
・消費税増税でしかも10%
・前政権を完全に否定するかのようなマニフェスト
・参議院の目標議席が過半数にはとどかない50議席
・目標が達成しても衆参で与野党逆転になりかねないのになぜか余裕。

どう考えても不思議だった。

以前とりあげた佐藤優氏の論説でも指摘されていたが、霞ヶ関、特に高級官僚には小沢さんに対するアレルギーが強くあり、鳩山政権も検察、外務省、防衛省、財務省の官僚たちに失脚させられたと言える。
(参照:本ブログ6/6エントリー「新体制の下、民主党内で官僚支配政治がすすんでいく危険」

ただ、単に官僚に動かされているだけではない、他の意図が見え隠れしていた。

今の菅政権が打ち出す政策や行動のすべてが、この「アンチ小沢」のフィルターを通して出てきている、という観点でみると、その全てが符号し、関連づけられていることがわかる。

小沢さんはまず「生活第一」を掲げ、ムダを無くし官僚支配からの脱却を謳い、官僚主権国家ともいうべき日本を、国民主権に切り替え、まともな国にするために政権交代を実現させ、後一歩というところまできていた。
120年間支配続けられてきた「官尊民卑国家」は、ちょっとやそっとでは瓦解しない。

わが世の春を謳歌してきた官僚機構は、鳩山政権に対して、ここで抵抗しなければ潰されるという死ぬか生きるかクーデターを試みた。

元外務官僚であった佐藤優氏が次のように表現している。

≪官僚は、国家公務員試験や司法試験のような難解な試験に合格したエリートが国家を支配すべきと考えている。彼らは、露骨に威張り散らさずに表面は温厚な顔をしていても、内心では、国民を無知蒙昧な有象無象と見下している≫

≪官僚は、現在、2つの戦線を開いている。第1戦線は、検察庁による小沢一郎潰しだ。第2戦線が外務官僚と防衛官僚による普天間問題の強行着陸だ。5月に入って外務官僚は、「アメリカの圧力」を巧みに演出しつつ、自民党政権時代に官僚が定めた辺野古案が最良であることを鳩山総理が認めないならば、政権を潰すという勝負を賭けた。この状況を官僚は「国家の主導権を官僚に取り戻した象徴的事案」と受けとめている。≫(参照)

また、そうした官僚の抵抗にいとも簡単に屈した感のある鳩山さんだが、小沢さんは決して官僚に対しては膝を折ることはない、それは検察官僚と生きるか死ぬかの戦いを展開しているからであり、官僚やり方を十分理解している、とした上で、佐藤氏は菅民主党に対して次のように警鐘を鳴らしている。

≪「普天間を突破口に、官僚による静かなクーデターが始まった。このままだと民主党連立政権が政治生命を喪失し、主導権を官僚に握られる危険がある」「新しい体制化での民主党は、自民党政権以上の官僚支配政治になる可能性を秘めている」≫

既にその兆候が十分出てきている今、参院選までもが「小沢アレルギー」フィルターを通して見ていることがわかってきた。

そのことを書く前に、鳩山さんの辞任直後から不信の臭いを感じ始め、菅政権がスタートし、徐々にその姿を現していく過程で、その臭いは完全に不信感に変わっていった。その過程を過去記事をとおしてみてみる。
(既に読まれていただいている方は飛ばしてください)

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菅総理が誕生してからのエントリーで考えてきたことをまとめてみた。

鳩山辞任の発表直後にエントリーしたタイトルは、≪鳩山総理辞任。小沢氏との決別。反小沢の勝利か!(06/02)≫で、これは小沢氏との決別であり、反小沢グループの言い分を丸呑みしたことになる、と書いた。

≪小沢さんが突きつけた三行半と鳩山総理の最後っ屁(06/03)≫では、小沢さんは特に役職につくことはなく、今後は水面下で既に参院選後をにらみ、新たな枠組みなども模索しつつ、新政権の内容によっては今度は民主党自体に三行半を突きつけることもあるかもしれない。

≪「脱小沢」というのは、信義より”稚拙な国民”による支持率を優先する、にある(6/11)≫では、”稚拙な国民”による一時的気分的な支持を判断基準として、社民党の連立離脱に続き亀井さんの辞任で、小沢さんが大事にしてきた信義を、菅政権は自分たちの都合で、いとも簡単に破ってしまったことを指摘。これで、参院選後におこるべく、今まで眠っていた地の底の”マグマ”が動きだしたのではないか、と小沢さんを支持し民主党の中でガマンしてきた旧自由党支持者たちの決起を暗示していることを感じた。

次に小沢さんが目指してきた二大政党制に焦点を当て、どんなことを語ってきたのか過去の語録を分析。
≪小沢一郎の最後の仕上げの大仕事(6/14)≫ 二大政党制を考えた場合に自民党を中心とする保守政党であり、自民党を主体とすることが危ぶまれてきた。今後、民主党に対する軸の柱となる、自民党にかわる保守政党の結集が必要となる。ここに、最後の仕上げとして、小沢さんの大きな仕事が残されているのではないだろうか。68歳の小沢の居場所はないと言い切った高野氏にたいするアンチテーゼ。

≪民由合併時で菅さんが見せた「大義なき小手先政治」が姿を現した(6/17)≫では、菅さんの本質的な政治姿勢と今後の対立軸を分析。
今回の参院選でも現執行部と小沢さんとの対立軸が徐々にはっきりしてきて、参院選後は明確になってくると思う。
現時点で見えている対立軸は「増税推進派」VS「生活重視派」というもので、これが今後益々大きくなってくるのではないか、と予想した。

直近の≪増税・財政再建路線は「脱小沢」を貫くための仕掛?(6/18)≫で、小沢さんに対する対立軸を明確にするために「増税・財政再建優先」路線を打ち出した感がある、とした。

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菅政権はあくまでも「アンチ小沢」で全てを整えようとしていること。消費税増税も財政再建も自民党や新党の一部などと歩調を合わせ得るもので、その共通項目は「非小沢」である、という結論に達した。

参院選にしても、これがあてはまる。

以前、「非小沢」のためならば、自民党とも手を組むだろうし、検察とマスコミとタッグを組むことも決して無いとは言い切れない、と書いたが、まさにその様相を呈してきた、ともいえる。

この辺のところを「反戦な家づくり」さんが≪じつは参議院選で勝ちたくない官菅内閣 ≫で、肯ける見立てをされている。

要約させていただくと、このままいくと民主党はボロ勝ちして、小沢さんが描いた通りのシナリオになる。それは小沢氏が擁立した新人が大量に当選するということになる。それを阻止するために、菅内閣は参院選であまり大勝ちすることはできない、というものだ。それで、50議席というそこそこの目標を掲げ、選挙後は自民党のリベラル派と手を組み、「ネオリベ連合」を組む、と実際、あの松田氏のツイートより推測している。

これを読んで、仙谷氏がW選挙をやりたがり、さかんに「信を問う」と首相でもないのに語っていることの真意がわかった。。衆院選挙をしたくてしょうがない、ということだ。

「ラ・ターシュに魅せられて」の気弱な地上げ屋さんによると、仙谷氏は次期代表選に出るための布石(金)を打っていて、総理を目指しているとのこと。

海千山千の亀井さんが、とうとう仕掛けてきた。
なんらかの情報が入ったか、もしかしたら菅政権と自民党の一部との合流に関する情報を入手して、その牽制か?
今後は、亀井さんにも注目しておく必要がある。

亀井代表「消費税アップなら連立離脱も」(読売新聞 2010年6月18日21時03分)
「国民は生活に苦しんでおり、税金をさらに取り上げるようなことを考えること自体、政治姿勢として間違っている。断じて賛成しない」と、連立政権離脱の可能性を示唆したようだ。

また時事通信の記事が、的を得ている(もっとも他の意図が丸出しなのだが・・・)

「非小沢VS親小沢の様相=首相の消費税発言が波紋」(時事通信 2010/06/18-21:32) 

≪菅直人首相が消費税率の10%への引き上げに言及したことが18日、政府・与党内に波紋を広げた。この時期に首相があえて税率に触れたのは、自民党が参院選公約の目玉に「当面10%」を掲げたことから、「争点外し」の狙いもある。しかし、民主党内では、選挙を控えた参院側や増税論議に慎重な小沢一郎前幹事長に近い議員らが反発、亀裂が走っている。「超党派で議論するに当たり、自民党の考えを参考にするのは当たり前だ」。民主党の枝野幸男幹事長は18日、こう発言。前原誠司国土交通相ら小沢氏に距離を置く閣僚からも首相支持の声が相次いだ。これに対し、小沢氏に近い山田正彦農林水産相や原口一博総務相らは「無駄をなくすことが大前提だ」などと歳出削減を優先すべきだと主張。「非小沢」対「親小沢」の構図が際立った。
首相は17日の参院選マニフェスト(政権公約)の発表会見で、2010年度中に消費税の改革案をまとめる考えを表明。税率は自民党案の10%を「一つの参考」とした。
 首相が日本の財政状況に危機感を強めたのは、財務相当時の今年2月、カナダで開かれた先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)への出席が契機とされる。会議ではギリシャの財政危機問題が取り上げられ、「首相は相当な危機感を抱き、消費税について熱心に考えだした」という。首相が将来の税率を「20%前後」と周辺に話したこともあったとされる。
 首相の「消費税10%」の発言は「『脱小沢』の総仕上げ」との見方も党内にはある。首相は、増税に積極姿勢を示すことを、事前に仙谷由人官房長官や玄葉光一郎政調会長ら限られた人物に伝えていた。党内の財政規律派は、次期衆院選は消費税増税を掲げて臨むことを想定している。
 仙谷氏は18日、「(増税を)実施するときは首相は国民に信を問うのではないか」と指摘。玄葉氏も消費税引き上げ時期について「12年秋が最速」と言及したことから、党内には早くも「衆院解散は11年だろう」との見方が出ている。しかし、衆院選で消費税を前面に掲げて戦う党内コンセンサスはまだできていない。「参院選で勝てば、首相は信を得たと言うかもしれないが、衆院議員はそうは思わない。党代表選で何もしないわけにいかなくなった」。小沢氏系の中堅議員は、秋の代表選で対抗馬擁立を模索する考えを示した。≫

オリジナル民主党の「小沢アレルギー」は、「小沢恐怖症」という病気の域に達した。

病魔に侵された菅政権は、今後、ますます「アンチ小沢」に突き進んでいく。

最後までお読みいただきありがとうございます

(転載貼り付け終了)