「「『期ずれ』は必然で違反ではない」(EJ第2859号)」

投稿日:2010/07/21 06:26

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(転載貼り付け開始)

2010年07月21日
「「『期ずれ』は必然で違反ではない」(EJ第2859号)」

 陸山会の小沢一郎名義の4億円の定期預金は何に使われたので
しょうか。これについてはすでにEJでは書いていますが、整理
をしておきたいと思います。
 世田谷の土地購入のときは、陸山会には資金がなかったので、
小沢氏から4億円を現金で借り、それで土地代金を支払い、同時
に銀行には定期預金を担保にして4億円の融資の手続きをしたの
です。小沢氏に返済するためです。
 小沢氏から4億円の現金を借り、それを小沢氏名義の同額の定
期預金を利用して返済するのはおかしいではないかという人もい
るでしょう。それでは、小沢氏から8億円借りたのと同じではな
いかと。実際に、検察は小沢氏から借りた4億円と銀行借り入れ
の4億円の計8億円を収支報告書に記載していなかったとして、
収支報告書虚偽記載で石川知裕議員を起訴しているのです。
 これは想像するしかありませんが、恐らく陸山会の小沢氏名義
の定期預金は、同会の政治活動において、不意の資金繰りに使っ
てもよいという了解を小沢氏から受けているのではないかと思わ
れるのです。小沢氏の政治活動ですから、別に不思議なことでも
何でもないと思います。
 検察のいう8億円の虚偽記載のうち、小沢氏から借りた4億円
は収支報告書にちゃんと記載があるので、問題はないのです。そ
れでは、定期預金を担保に銀行から借りた4億円の記載はなぜな
いのでしょうか。
 結論からいうと、これは記載しなくてもよいのです。なぜなら
小沢名義の定期預金を担保にして銀行から借り入れた4億円は、
政治資金収支報告書の「収入」には該当しないので、記載する必
要がないからです。
 これもEJ第2766号で述べていますが、繰り返して説明を
します。政治資金規正法第4条の政治団体の「収入」の定義は、
次のようになっています。
―――――――――――――――――――――――――――――
  「収入」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の収受で、
  第八条の三各号に掲げる方法による運用(銀行預金など)の
  ために供与し、又は交付した金銭等の当該運用に係る当該金
  銭等に相当する金銭等の収受以外のものをいう
               ――政治資金規正法第4条より
―――――――――――――――――――――――――――――
 法律用語はわかりにくいですが、要するに政治団体が手元資金
を銀行預金で運用し、それを担保に相当額を借り入れても、その
借入金は政治資金規正法上の「収入」には該当しないのです。
 そうであると、残りの4億円も問題がないことになります。そ
れでは、石川議員はどうして逮捕・起訴されたのでしょうか。
 想像ですが、政治資金規正法の「収入」の定義については、石
川議員は、知らなかったと思います。そのため、そこを検察から
指摘されると「記載していない」ことを認めてしまったものと思
われます。だから、虚偽記載とされたのです。
 しかし、記載する必要がないものを記載しないことを訴因とし
て逮捕・起訴されてはたまったものではありません。検察はそれ
ほど乱暴な捜査をやったことになります。もっとも裁判になれば
石川氏の弁護陣はそこを衝くでしょうから、虚偽記載は錯誤にな
り、無罪になると思われます。しかし、それは先の話です。無罪
の判決が出る頃はほとんどの国民は忘れています。検察としては
小沢氏を貶めることが目的なので、それでいいのです。「小沢に
退場してもらう」ことに目的があるとしたら、ひどい話です。
 そうすると、小沢氏から借り入れた4億円は記載があり、銀行
借り入れの4億円は記載が不要なら、石川議員は何をもって起訴
されたのでしょうか。
 なお、陸山会が保有している小沢一郎名義の4億円の定期預金
──この定期預金の使い方については別の考え方もあります。そ
れは、5月4日付のEJ休日特集号第2号に詳細に書いたので、
関心があればそちらを参照していただきたいと思います。これも
石川知裕議員の無罪を立証しているのです。
―――――――――――――――――――――――――――――
≪EJ休日特集号第2号/2010年5月4日≫
http://electronic-journal.seesaa.net/article/151320192.html
―――――――――――――――――――――――――――――
 さて、特捜部としては、何をもって石川議員を有罪にしようと
して起訴したのでしょうか。
 そうして出てくるのが、土地を購入した時期にその記載がなく
登記をした時期がずれているという、いわゆる「期ずれ」だけと
いうことになります。
 世田谷の土地を購入して代金を支払ったのは、2004年10
月29日のことです。ところが、その土地の登記が行われたのは
2005年1月7日なのです。購入と登記に2ヶ月のずれがあり
しかも年度をまたいでいる──したがって、政治資金収支報告書
の虚偽記載であるというわけです。
 しかし、それには理由があるのです。これについては既に5月
28日付のEJ第2822号で次のことを指摘しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
 それは、2004年10月時点の世田谷区の土地の地目は農地
であることです。そうであるなら、小沢氏の名義は「所有権移転
請求権」に過ぎず、小沢氏に所有権は移転していないのです。そ
して2005年1月に農地転換が完了し、地目が宅地になった時
点ではじめて小沢氏名義の本登記が完了されているのです。
 したがって、陸山会における事務所費計上は、農地では法的に
困難であるので、農地時点での10月の事務所費記載は記載され
ていなくて当然なのです。そうなると、「期ずれ」ですらないと
いうことになります。一体どこに犯罪性があるのでしょうか。
             ──5月28日付EJ第2822号
―――――――――――――――――――――――――――――
              ──[ジャーナリズム論/63]

≪画像および関連情報≫
 ●うろたえるメディア/1/10のサンデープロジェクト
  ―――――――――――――――――――――――――――
  財部:僕はやっぱり星さんと岸井さんにお尋ねしたいんです
  が、いま郷原さんの04年の収支報告書に4億円の借入れ記
  載がちゃんとあるというのはちょっと衝撃的で、新聞はない
  と報じていますよね。それはあまりにも事実と乖離し過ぎま
  せんかね?
  岸井:
  そうですね。そこは確認しなければいけないけれども、少な
  くとも04年も05年もあるんです。同じ4億なんですね。
  財部:
  でも新聞は04年が問題だと言ってるじゃないですか。
  岸井:
  だからその辺の捜査の仕方がなんか変だな、という所はね。
  それと今や本当に実力者ですから、小沢さんは。政治をあれ
  しているわけですから。私もずっと取材していて感じるんだ
  けど、田中角栄さん、金丸さん、竹下さん、つまり政治は力
  と思っていて、それは数だという所に必ずお金が絡んできて
  しまうわけでね。それでみんな失脚したでしょ。
  田原:
  私は率直に言いたい。どうも毎日新聞を始め、日経新聞、読
  売新聞。検察の肩を持ち過ぎているんじゃない?
  岸井:
  いやそんなことはないです。けっこうメディアというのは検
  察とは緊張関係ですから、いつも。
    http://ameblo.jp/hirokane604/entry-10431618730.html

(転載貼り付け終了)