訃報 劉華清氏死去 享年94歳

会員番号4655 佐藤裕一 投稿日:2011/01/18 21:09

 会員番号4655の佐藤裕一です。

 2011年1月14日(金)に亡くなった劉華清(りゅう かせい、リュウ・フアチン)氏は1916年10月生まれ(誕生日不明)なので、1904年生まれである故・鄧小平の一回り年下ぐらいですから、退役・退任していたとしても中国の最長老の1人だったのでしょう。略歴等はウィキペディアやインターネットニューズ等をご覧下さい。

 先生の中国本シリーズに劉氏の名前が出ていたか確かではありませんが、あの「第一列島線」及び「第二列島線」は、鄧小平の指示で劉氏が提唱した戦略概念なのだそうです。人民解放軍の海洋地政学的な想定上の大戦略ですから、今に至るまでこの冷戦期の構想が軌道修正をしながらも海軍編成の基本を規定しているのでしょう。

 偏狭な観念的保守派の長老軍人達が強硬に唱える台湾併合最優先の掛け声のような、近視眼的な視点でないことは私のような軍事学音痴にも分かります。遠大・遠謀に太平洋を捉えていて、当然その先にはアメリカ合衆国がありますから、海洋・航空覇権争いです。

 アメリカ人から見れば日本列島は共産主義勢力という津波を押しとどめるべき「反共の防波堤」であり、中国人から見れば突破し制覇すべき「第一列島線」と「第二列島線」であり、日本人から見れば……「不沈空母」でしょうかね?

 制海権という比較的古くからの軍事用語がありますが、そこまで進出・制覇することを前提として軍事演習もして実力(実戦可能な軍事力)を蓄え、準備に邁進していることでしょう。もちろん、制海権は制空権とセットでなければ不完全です(というか両者一体でなければならない)。

 それで先生の中国本を読むと分かるのは、意外にも制空権と、深海に潜むはずの原子力潜水艦が繋がっていて、核ミサイルと搭載していて発射出来るので、熾烈な宇宙競争の軍事戦略用途のスパイ人工衛星(弾道ミサイルを目標到達地点に正確に打ち込む)と並んで重要だということです。

 制宙権などという新しい言葉も出ています。が、それでも結局は宇宙といったところで争点は空とこの地上のことです。物質が宇宙に行けたところで、人体は現時点の人類が持つ技術では越えられません(耐えられません)から。

 私は、潜水艦などというとヴォルフガング・ペーターゼン監督(存命)の傑作映画『U・ボート』のような、前時代の遺物っぽい印象しか浮かんでこないのですが、最新鋭のものはまだまだお払い箱にはなっていない模様ですね。

 この潜水艦が事故を起こすと、実に悲惨なことになります。ロシア(旧ソ連)で多発したように潜水艦が沈むと乗組員は全員死にますし、急浮上する際に海面付近の物体とクラッシュすると、それが2010年の韓国哨戒艦「天安」の沈没事件(北朝鮮の仕業ということで責任を押し付けたとのこと)であり、2001年のえひめ丸衝突事件です。

 思えば9・11事件前のあの頃から既に米海軍の堕落が始まっていたのですね。えひめ丸はハワイ沖で起きてしまったので、他国のせいにしようがなかったのです。他国海軍の潜水艦だったことにしたら、同時にアメリカの領海深くまで潜入されていることになってしまい、安全保障上の問題に発展します。

 しかしながら核ミサイル搭載の潜水艦が有効であるとはいえ、冷戦期からのお互いの核抑止力が成立しているという恐怖の均衡による平和戦略・政策の延長線上にあるものですから、つまり常に戦争を仮想・仮定している現状で固定されてしまっているので(実際に互いに核を打ち合ったら一巻の終わりなので)、先に核で手を出してきたら当然反撃することは決まっているけれども、だから冷戦中の米ソが結局一度も直接的な全面核戦争をしなかったように、米中も双方先に核の手は出さない。レールガンとかでスパイ衛星の打ち落とし合いだけはする。

 だからこのままでは実際の太平洋上の制海権、制空権がアメリカ軍に握られたままなので、核ミサイルという使用しないことに価値がある消極的な武力よりも、もっと積極的な即戦力として前面に海洋・航空進出するのに適している海軍と空軍の実戦(実践)向け通常戦力のあり方を整える必要があります。

 おそらくそれが劉氏発案の戦略として、冷戦後世界にまで有効であり続けるため採用されるのでしょう。通常戦力といっても現代では核戦力などの大量破壊兵器と切り離して考えるのは無意味ですが、核だけ公然と持っているというのでは北朝鮮と同じことであって、覇権国家となるのに核兵器保有は必要条件ではありますが十分条件ではありません。

 そうすると戦闘機を搭載する艦隊を組むというだけではなく、離発着させる航空母艦(戦略空母・原子力空母等)を配備するという要請が起こります。旧ソ連製空母を改装したりとか、イギリスの競売に出された空母を落札するとかの話がありますけれども、やはり国産で最新鋭のものを造船したいし、ちゃんとしたものを造れるのであれば、軍事機密上の観点からもそれが何より一番なのは明白です。劉氏は空母保有を一貫して提唱しており「中国空母の父」と呼ばれたのだそうです。

 下の方にURLを貼り付けますが、日中友好協会会長である加藤紘一氏との会談で武大偉(ぶ だいい)朝鮮半島問題特別代表(元駐日大使)が「なぜ中国だけが(批判を)言われるのか」「日本も8から9の空母を派遣した。当時は米国も日本も多くの空母を持っていた。中国は今も空母を持っていない。一つつくってもおかしいことではない。通常の武器だ。ほかの国も持っている」「ステルスの問題も同じだ」「米国が持っても正常なことだと皆さんは言う。日本が仮にそのようなものを購入しても、おかしいとは言わないだろう」などと国際社会の懸念や批判に反発したそうです。詳しくはネット記事をどうぞ。

 ここで私見を言わせて頂きます。武氏の発言は正論です。私は懸念(単にこれからの日本が心配ということ)はしますが、批判も反発も反対も一切しません。

 まずアメリカに中国の軍備増強を批判する資格はありませんし、空母を持つなという資格な全くありません。自分が持っているのに持とうとする国に何故持つなと言えるのですか?

 さらに日本にも中国に空母を持つなという資格はありません。旧日本軍の空母は全て無くなっているから批判の有資格者なのでは、ですと? 他の国(アメリカ)が既に持っているものを、その持っている国に捨てろと一言も言わないで、持とうとする国だけ(中国)に持つなと何故言えるのですか? 

 誰かこの形式的な論理に反論して私を納得させられるかたがいたら、是非ともお話をうかがいたい。世の中は実力の世界で動くからという、つまり先生の帝国・覇権国―属国理論という冷酷なる世界の真実以外には、感情論理やら幻想の共有という、どうせ観念的なことしか残らないでしょう。

 だから、対外的な理由からは、日本も空母を製造し保有し配備していいのです。それを既に空母を保有している国や保有しようとしている国から批判されるいわれは全く無い。保有していないし、保有する気も最初からない国で、しかも現保有国全てに対して捨てろ・非保有国全てに対して持つなと表明する国だけが批判する資格がある。もちろん止める権利はありません。形式的に対等な主権国家間の話であれば、それ以上は国家意思への内政干渉ですから。あのロンドン海軍軍縮会議などは米英こそ「ふざけるな」です。軍縮したいというのなら平等の数量しなければおかしい。

 ここの旧掲示板の過去ログ12にありましたが、[448]でも私は一昨年この資格論について「アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランス、インド、パキスタン、イスラエルには他国に核兵器を持つなと言う資格が無い。」を投稿しています。

 現在、おそらく北朝鮮は何らかの核兵器を既に保有しているのでしょう。もし本当は持っていなかったとしても、既に国家として公然と表明していますから、製造しようとしている意思のある時点で他の非核保有国に持つなと言う資格はありませんので、資格論の上では核保有国と同じなのです。

 なので現在では、

 ● アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランス、インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮には他国に核兵器を持つなと言う資格が無い。

 の計10ヶ国ということになります。ちなみに、現在のイラクには日本の核保有製造・保有を批判する資格があります。何故なら大量破壊兵器など全然作っていなかったし、実際に持っていなかったからです(笑)。

 上記10ヶ国以外の、非・核保有国でさらに核兵器を保有する意思が全く無い国であり、なおかつ全ての核保有国に対して廃棄を要求し、さらには全ての非・核保有国に持つなと言っている国だけが、日本の核保有を批判する資格があります。止める権利はありません。地球上に主権国家の上にある組織は形式上、何も無いのですから(国連の強制力など幻。全て参加の各主権国家依存)。国際条約や国家間条約などは主権国家の都合で簡単に破棄されることは歴史の教訓ですね。

 そして以下のことも言えます。

 ● 日本国が国家意思として核兵器の製造・保有をする、または公然と保有する意思を表明するのであれば、その時点で非・核保有国に核兵器を持つなと言う資格を完全に喪失するし、他の核保有国に核兵器を廃棄せよと言う資格も一切無くなる。

 これも理の当然ですね。むごたらしい大量虐殺と後遺症に苦しむ被爆者を出した、世界唯一の被爆国としての例外的・特権的主張立場の説得力も、同時に消えて無くなります(ただし、日本がアメリカに対して2回核攻撃するという、虚しい理論形式上の正当なる復讐の権利だけが残る)。

 はっきり言って、核保有五大国(同時に国連安全保障理事国。この制度もおかしい。何故に対等な主権国家の間で作る互助組織にこんな入れ替わり不能の不公平なものがあるんだ)の理屈がおかしいのです。特にアメリカとイスラエルの主張がおかしいと感じなければ嘘ですよ。

 イラクには大量破壊兵器など無かったことで、独裁者排除・民主化・自由化、少数民族救出解放などを除くアメリカのイラク戦争開戦の主張根拠、正当性が失われたといわれます。IAEAの査察官に私は納得する部分もあるでしょうが、それ以上に強く違和感を覚えます。

 私は率直にこう感じています。

 もしイラクに本当に大量破壊兵器が有って、それが見付かったとしても、アメリカ軍侵攻の主張に最初から正当性など無い。

 何故なら、アメリカは大量破壊兵器を保有しているからです。自分は持っているのに他人に持つなと言い、持っていると疑わしき人物がいれば攻撃して有無を確かめる。チンピラヤクザのいんねん以外のなにものでもありません。

 アメリカの戦争将軍や統合参謀本部より更に上にいるという、恐ろしい戦略学者達が用意周到に巧妙な手段を使ってフセインをまんまと罠に陥れた際の、イラクにクウェート侵略を「させた」ことに端に発した湾岸戦争の「諸国連合軍」出動による大義名分(形式が整っている)とは、根本的に違うのです。

 それでもイラク戦争が、フセイン排除・民主化・自由化だけを旗印にしていれば、とんだ内政干渉ではあるけれども大量破壊兵器云々と比較すれば、アメリカの正当性はまだありましたがね。何故ならアメリカ合衆国は独裁国家ではなく、民主国家・自由国家ですから。

 ビンラディンを匿ったアルカイダ掃討のアフガン戦争(対テロ戦争)は9・11事件の復讐論理だから、また別だ。しかしあれも嘘八百の騙しからスタートしている。アメリカはいつもこうだ。ビンラディンとアルカイダは今何をしている? 中国・北朝鮮との極東情勢や、イラン(シーア派)とイスラエルの戦争にも関係してこないから、すっかりお払い箱じゃないか。

 それから。イランは主権国家として核保有する正当な権利がある。日本も同じ。北朝鮮も韓国も台湾もフィリピン、ヴェトナム、インドネシア、東ティモール、パプアニューギニア、キューバ。どこだって同じ。

 現代に残る不平等条約、NPT(核拡散防止条約)なんてふざけるな。何が「拡散防止」だ米ロ英仏中よ。削減目標だの努力義務だのいい加減にしろ。自国の核を即時全廃してから他国に「非核」を言え。遠い将来には非核国家、非核世界を求めますなんていう望みは、いくらでも無責任に先延ばし出来るじゃないか。この「是核」国家ども。NPTなど世界的に一斉に脱退して投げ捨てるべきだ。

 真にあるべき国際条約は、非・核保有国にして核保有する国家意思がない国(核実験も一切しない)だけが参加する「完全非核国際条約」でしょう。 北朝鮮(脱退)、インド・イスラエル・パキスタン(未署名)の主張が論理的に「正しい」のです。ただし自分達も「他国に持つな」と言い始めることを除いてはね。

 日本の核武装論者も、北朝鮮に持たせるな、断固阻止せよと声高に叫んでいるのに、自分達日本国は持つべきだなどという、妙な思考に陥っている人達がいる。これこそ思考のねじれ現象だ。アメリカに洗脳された「常識」によって、あまりに馴れすぎたせいなんだね。日本はこれからも一切核保有してはならないと主張する立場の人だけが北朝鮮に持つな・廃棄せよと言う資格がある。止める権利はない。互いに主権国家だから、他国の話なので。日本国民は、これくらいの理論武装(論理武装)はするべきだ。中国と渡り合っていきたいのならば、核武装なんかの前に理論武装せよ。

 さて、あくまで、ここまでは対外的な話です。体内的な憲法の話などは別です。私が主張しているのは、自国が空母を持つ・持たない、あるいは核保有する・しないというのは、基本的にその自国国民の議論に基づく国家意思で決めるべきことだということです。憲法改正も日本国民が決めることなのです。

 属国日本の「是核・核保有賛成派」のかたにも「非核・核保有反対派」のかたにも申し上げたいのは、自説の決定打を海外に求めるのは止めるべきだということです。アメリカの政府高官が「日本にも北朝鮮が暴走するのを抑制するために、1個か2個の核ミサイルを売ってあげよう(ただし飛距離は短いし、国産製造は許さないよん)」と言ったとか、どこぞの平和団体代表の誰それが「日本は素晴らしい平和国家デース。核兵器を持つべきではアリマセ~ン」と言ったとかいうのは、考えの参考に入れたところでそれまでの話。

 日本国のことは日本人が考えて自分達で決める。その際に大日本帝国のように、世界の趨勢を国民に見せないような愚かなことをしなければいいのです。世界を知った上で、しかし自分達で決めるべき事柄なのです。

 私自身の現時点での考えは、核武装については副島隆彦先生と故・片岡鉄哉先生の中間ぐらいでしょうか。今現在核兵器を持つ必要はないが、いつでも作って持てるように準備しておき、韓国や台湾などの周辺諸国が持つことを決定したのならその後で日本も即座に作る。以前に中田安彦さんが書いていらっしゃったと記憶していますが、日本人は「軍拡競争を招いた」云々の批判に弱いですから、まぁこれが一番妥当な線でしょう。

 ところで余談ですが、ウィキペディアの「日本の核武装推進論者」というカテゴリーがあるのですけれども、投稿時点でこれに「副島隆彦」の名前が記載されているのです。下にURLを貼り付けますが、ご存知の通り先生は左に急旋回したので、核武装推進論者ではなく逆の反対論者になっています。編成者は名前を外す作業をすべきですね。なのでこの点では、私と先生の考えは同じではありません。

 地震列島に原子力発電所を何十基も設置するより余程上手く管理出来るでしょう。ただしこの狭い国で核実験は許されない。実験しなくても散々他国でデータとれてるのが流出し放題でしょうから、いくらでもやれるんじゃないでしょうかね。

 このように私は必ず核武装する「べきだ」論者ではありませんので、ご注意を。あくまでも日本国民が自分達で決定す「べきだ」論者です。憲法第9条改正にしても、私はアメリカに騙され操られるのが終わったら改正していいと思っています。

「普通の国」とは「正常な国」のことであり、自分達で国防が出来る国だということです。軍(自衛隊)が実際にあるのに無いと言い張る神学論争も、いい加減飽き飽きしました。近代国家という前提に立てば(無政府主義に立たないならば)、常備軍はあって当然です。徴兵制度を禁止して敷かなければいいのです。

 それを、アメリカの政府高官やらジャパン・ハンドラーズの面々が「そろそろ憲法を改正してもよし」などと許可を下すのがおかしいと言っているのです。それを手先達が許可状を貰ったから改正運動の強力なお墨付きだの後ろ盾を得ただの、ご宣託をありがたがっているのがJ右翼の滑稽さなのです。

 私の国防に対する結論の基本は、「是軍非戦」・「賛軍反戦」と「文民統制原則の確立」それに「徴兵の禁止」「侵略戦争をしない、他国間の戦争に巻き込まれない、米中戦争に駆り出されない」です。これらが守られるならば憲法第9条を改正していい。

 軍を持つことを是とし、侵略戦争を行うことを非とする。

 軍を持つことに賛成し、侵略戦争を行うことに反対する。

 当然ながら文民統制の原則を確立する。軍隊の勝手気ままな行動や反逆行為は許されない。

 そして徴兵制禁止を憲法と下位法に明記し、徴兵を敷くことを例外なく一切禁止する。つまり国軍は全て平時有事を問わず志願兵(広義の傭兵)が100パーセント。民兵組織などには関わらない。

 もちろん、侵略戦争をしないという誓いをあらためて憲法その他法制化する。他国間の戦争に巻き込まれないし、米中戦争やら米北(韓)戦争にも駆り出されない。アジア人同士戦わずの精神を互いに大切にすべきなのです。

 ただし相手がアジアだろうがどこだろうが、本当に侵略軍が攻撃してきたら迎撃するのは当然です。それは純然たる防衛戦争ですから。私は全ての戦争を否定する人間ではありません。防衛戦争は肯定します。本当に外交も何もなくて、無条件でただただ攻めてくるんだったら、戦うしかないのですから。

 繰り返します。「私は侵略戦争を否定し、防衛戦争を肯定します」

 もちろんその場合は仕方なしの消極的肯定です。戦争など起こってほしくはありません。

 だから侵略戦争には防衛戦争の側面があっただの、純然たる防衛戦争などありえないだの、新しい概念である対テロ戦争においては先手を打って攻撃しなければ手遅れだのと、同盟国の友軍を助けなければ世界に冠たる最重要な日米同盟が危機を迎えるウンタラカンタラだのと、騙され論理に引っ掛からなければいいだけの話なのです。侵略軍を撃退した後の相手国への報復・制裁行動を起こすべきかどうかについては考えがまとまっていません。

 それから日米安保の常時駐留も解消して、沖縄を昭和天皇と本土国民が差し出した生贄の犠牲に捧げ続ける体制を金輪際止める。

 核保有やその他大量破壊兵器保有については私の中でも決定事項ではありません。是非とも持ってほしいとは到底思えない。持ってもいいし持たなくてもいい。周辺諸国が持ったら仕方なく持つ。選択肢は限られていません。平和を守るための侵略戦争は嘘ですが、平和を守るための軍と平和を守るための兵器は「結果的に」本当にあります。冷戦期の平和は核兵器という恐怖が全人類にもたらした恐怖の平和です。

 で、それから空母と一国でまともに組める艦隊ぐらいは作る。あのミッドウェー海戦の苦々しい記憶があるから拒否反応を示す方達も多いでしょう。答えは他所の国を侵略していかなければいいだけ。
 
 1つの独立国家として、周辺事態有事やら集団的自衛権やら個別的自衛権(専守防衛)の発動などの天から降ってきた言葉(ご宣託)にかき回されることをやめ、国家防衛をまともに考えるようになりましょう。戦争を出来なくてしない国(属国の平和)ではなく、戦争は出来るがしない国(独立国の平和)を目指しましょう。

 さて、核兵器が世界で炸裂するなら、次はどこなのか?

 これも先生の近未来予測によると世界の火薬庫は極東と中東の2箇所ですから、炸裂するとすれば中東の可能性が最も高いということになります。これも納得出来ます。極東では既に広島と長崎に2回落とされているわけですから、次は中東ということになる。

 といってもイスラエルはパレスチナ人に核攻撃を加えられないのですね。自分達が建国し入植して住んでいる所ですから、使えば自分達も被爆してしまいます。

 現時点でイスラム教国においてはパキスタンしか公式核保有国がありません。これからイランやサウジアラビア、シリア、エジプトなどアラブ・イスラム諸国が核武装するとなると(リビアは路線転換)、いくらエルサレムが聖地でパレスチナ人が住んでいるとはいえ、イスラエルに向けて打ち込まないという保障はありません。当然イスラエルが黙っているはずもないので、そら恐ろしい事態になる可能性があります。今後も事態の推移を注視すべきでしょう。

 それからBRICsのうちブラジルだけが核武装していないという事実。近隣にはアメリカを除き脅威となる国はないので(南米では自身が一番強大だから)、周辺国が持たなければ自国も持たないということなのでしょう。あとはやはりトルコやインドネシアといったイスラム教圏と中国の関係に注目するしかありませんね。

 しかしながら、これから大航海時代以来の海洋覇権の時代が終わっていき、大陸覇権の時代が再び訪れるに際して、果たして時代に逆行するような中国人民解放軍海軍の海洋進出がそもそも必要なのかどうか。劉氏の戦略は時代を先取りしているのか時代遅れなのか? 軍事音痴には適格な判断が難しいですね。

 また長々と余計な文章を書いてしまいましたが、劉華清氏のご逝去に心からお悔やみ申し上げます。

 

訃報:劉華清さん 94歳=元中国共産党中央軍事委員会副主席、元党政治局常務委員 – 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/world/news/20110115ddm007060127000c.html

時事ドットコム:英空母、中国で再利用も=華人実業家が競売参加
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201101/2011010600597

asahi.com(朝日新聞社):「日本も空母持っていた。なぜ中国ばかり」中国高官反発 – 国際
http://www.asahi.com/international/update/0113/TKY201101120601.html

時事ドットコム:国産装備の重要性を強調=空母建造が念頭か-中国国防相
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201012/2010122900453

中国の最新兵器が次々と明らかに 米国は運用能力に疑問を呈す 2011-01-10(月) 144818 [サーチナ]
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0110&f=national_0110_081.shtml

劉華清 – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/劉華清

トウ小平 – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/鄧小平

第一列島線 – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/第一列島線#.E7.AC.AC.E4.BA.8C.E5.88.97.E5.B3.B6.E7.B7.9A

U・ボート (映画) – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/U・ボート_(映画)

ウォルフガング・ペーターゼン – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/ウォルフガング・ペーターゼン

category日本の核武装推進論者 – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/Category:日本の核武装推進論者

過去ログ 12
http://snsi-j.jp/boards/mail/12.html