欧州連合(EU)は2022年3月、ロシアのニュースサイト Sputnik のEU域内での提供を全面禁止する法律を制定した。

会員 投稿日:2023/04/15 16:24

「ロシアによる偽情報を用いたプロパガンダを防ぐため」現在も禁止措置は継続中。

なお、Sputnikの日本語による情報ポータル「スプートニク 日本」 https://sputniknews.jp/ は閲覧できます。

●EU,ロシア国営のRTとSputnikを禁止
『放送研究と調査』2022年5月号掲載
https://www.nhk.or.jp/bunken/research/focus/f20220501_12.html

(転載はじめ)

欧州連合(EU)は3月1日,ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に関する偽情報を用いたプロパガンダを防ぐため,ロシアの国営テレビRTのヨーロッパ各国向け計5チャンネルと,国営ラジオ・ニュースサイトSputnikのEU域内での提供を全面禁止する法律を制定した。

同法は,EU理事会がEU法の一種である「規則」として制定したもので,加盟国が国内法化しなくても各国で効力を持つ。EU加盟国ではRTとSputnikの放送免許がはく奪され,衛星放送,ケーブルテレビ,IPTV,動画共有サイト,インターネット接続などのサービス提供事業者は,RTとSputnikの放送や送信を禁じられた。禁止措置は「ロシアによるウクライナへの侵略とEU加盟国に対するプロパガンダが終息するまで」継続するとしている。

3月2日の発効後,EU加盟国では,RTとSputnikのサービスにアクセスできなくなり,YouTube,Facebook,Twitterや,Googleの検索結果からも除外されている。これに対し,RTのフランス法人RT Franceは3月8日,措置は不当だとして欧州裁判所に提訴した。

EUがメディアの全面的な禁止措置をとることには前例がなく,懸念の声も上がっている。欧州ジャーナリスト連盟(EFJ)や国際新聞編集者協会(IPI)は,放送やメディアを禁止する権限はEUにはなく,各国の独立規制機関にあると指摘。さらに,禁止措置はロシアの報復措置を招いて状況を悪化させるおそれがあるとしたうえで,プロパガンダに対抗する最良の方法は,多元的なメディア環境を促進し,独立したジャーナリズムが情報の真偽の検証を行い市民に示すことだとした。

杉内有介

(転載おわり)