李漢栄さんへのお返事、それからインターネット無料文化の弊害問題についての再考

会員番号4655 佐藤裕一 投稿日:2011/01/09 09:19

 李漢栄さんへ

 会員番号4655の佐藤裕一です。

 最初に、李さんのブログサイト「異端医師の独り言」から、私宛の短文なので引用よりも転載貼り付け致しますけれども、よろしいでしょうか。

 

異端医師の独り言
http://blog.livedoor.jp/leeshounann/

(佐藤裕一による転載貼り付け始め)

2011年01月08日
【ブログ】 佐藤裕一君へ

サイト内(気になる…)で投稿法が分からなかったので、こちらで失礼します。
[121] 懸賞政策論文(集)を拝読させていただきました。これだけの量を引用される(できる)のは、遅読どころか速読ですね。目下、エーテル(暗黒物質)に取り組んでいますが、「アポロ13号」のくだりに違和感をおぼえています。

(佐藤裕一による転載貼り付け終わり)

 

 李さんへのお返事をメールしようと思いましたが、色々書いているうちにふくらんでしまったので、こちらにて書き込みます(そういえば以前送った返信無用の挨拶メールの方は無事届いていましたでしょうか?)。まずは「投稿法が分からなかった」とのことですが、昨年のサイトリニューアルから会員専用掲示板以外の掲示板※について、投稿方法が少しだけ変わりました。

 ※もっともトップに入り口が表示されている主要掲示板についての話です。隠れ幽霊掲示板群とか、過去ログの旧ヴァージョンの掲示板には以前の方法で投稿出来るようで、実際にリニューアル以降にも書き込まれているのを散見します。文章保存するなら投稿画面を消して閲覧専用にした上で入り口を表示させよと何度も書き込んでいるのですが。それにどういう基準で主要と非主要をわけているのか分からないのです。ただ単に放置しているところを見ると、有料会員としては学問道場のサイト管理の杜撰さを感じますね。

 さて主要掲示板の1つである「気になる記事の転載掲示板」への投稿方法です。非会員が投稿不可なのは同じですが、以前は各掲示板において投稿するごとに入力パスワードを打ち込んでいました。リニューアル後はログイン中でなければ「guest」扱いで、投稿欄そのものが現れません。「※ログイン後に投稿フォームが表示されます。」などと表示されているだけです。

 ログインしなければサイトから会員だと認識されませんので、自動的にログインする設定にしていないのでしたら、会員ページ用のぼやきを閲覧する際のように、ログイン画面でメールアドレスとパスワードを入力してログイン致します。

 そうすると主要掲示板において投稿欄が出現致します。最低限の投稿規程では名前、件名、本文が入力必須事項であります。メールアドレスや、後で記事を削除する際に使用する削除番号は必須事項ではありません。必須事項に入力して「送信」ボタンを押せば書き込みが可能となります。他会員のかたのパソコン画面を見たことはないので、多分ですが。私はそうしています。

 もし「全ての必須事項に正しく入力しているのに投稿出来ない」、「ログイン中なのに掲示板の投稿欄自体が出現しない」、「会員であるのに、そもそもログインが出来ない」などの状態が起きていたら何かの手違いか技術的な問題が発生している可能性がありますので、解決のためには「副島隆彦を囲む会」に問い合わせる必要があるでしょう。李さん、上記を試してみてはどうでしょうか。

 

 次に、「遅読どころか速読ですね」とのお言葉、ありがとうございます。

 しかしながら、以前に読んだものが保存されている場所を見つけたので参考までに貼り付けたということです。せっかくお褒め頂いたのに、申し訳ございません。

 ぼやき検索で「懸賞」で出せば下の方に出てくると思いますが、「第1回SNSI懸賞政策論文の入選作の発表」というのがありまして、先生の弟子育成の一環で遡ること8年だか9年前の企画です。私は前にぼやきで読んだと思いますが、読んだと思い込んだだけで読んでいないものもあったようで、それから新人のセミナーにしても流し読みです。

 あくまで私にとってのことですが、本の文章を読むのとネット文章を読むのとでは違いがあります。ネット文章は流し読みや飛ばし読みが出来ます。お気に入りに入れておいていつでも読めるし、消されてしまって読めなくなったら「まぁいいや」という感じです。

 対して本の場合は、私が赤線を引くような重要な本だと考えていると、「重要箇所を決して見逃すまい」となってしまうので、しっかり文章を読み込まないと気がすみません。余程つまらないか、自分と相性が悪いかして義務感だけで読むような本でなければ、流し読みや飛ばし読みは出来ません。速読というか私の速読もどきの読書作業では、内容が頭に入って来ないのです。

 さらに私は既に1度読んだ本と、未読(積読)の本を置き場所からして区別しています。なので流し読みやら飛ばし読みのような、読んだのか読んでないのか読んでないも同然なのかウヤムヤな状態は自分で許せないのです。

 ネット文章は作成・管理者が更新して文章を改変することが比較的安易なので、読む方までどうしてもそういう姿勢になってしまうという感じです。本の場合に更新にあたるのは版を重ねるか改訂版を出す・文庫版を出すなどですが、版ごとに買う人なんてほぼいないでしょうし、改訂版や文庫化にしたって、私のような貧乏人でなくとも、そうそう何回も買いませんよね。少なくても私は基本的に改訂版や文庫をあらためて購読というのは、先生の本しか対象になりません。

 なので最初に読む際に、ちゃんと読んでおきたいのです。そうすると、まだいっぱい読んでない本も多いし、新たに重要な本も出版されますから、読んだ本をまた読み返す時間というのも限られてきます。となるとますます初読みの本は遅読に、ネット文章はパッパと流し読み・飛ばし読みという傾向に拍車がかかってきます。あぁ、悪循環……。やはりこんな私の場合、読む本は選ばなけれなりません。

 ところで「第1回SNSI懸賞政策論文」には第1回と銘打ってありますが、第2回はまだないようです。というよりもうないのでしょう。SNSIといったところで「副島国家戦略研究所」は8年くらい前からいいかげん何の活動もしてないようですから意義がありません。

副島国家戦略研究所
http://snsi-j.jp/

 大体にして「副島国家戦略研究所」なんていう実際の場所など仮想空間にしかないんでしょうから。もしかすると登録所在地で何かの活動してるのか? とにかく現時点でネット上の活動実態がある公式サイトと公認サイトは「副島隆彦の学道場」と「副島隆彦の論文教室」だけです。

副島隆彦の論文教室
http://soejimaronbun.sakura.ne.jp/

 あとはネット掲載という形式を止めて、論文集を著作物にして発表するという方針に変わったのですね。先生も以前に仰せでしたが、インターネットには収益、対価がほとんどもたらされないという巨大な悪弊が氾濫して、すっかり定着してしまいました。私も何回か書いていますが再度書きます。

 それも最近ますます酷くなるばかりです。音楽業界なんか息もたえだえ、死滅しかかっているでしょう。楽器販売よりも、歌ったり演奏したりするほうが大変だと思います。ネット上でお金を払わずにいくらでも簡単に聴けちゃうんですもの。もはやこれからは、他の業界と組む以外では、ライヴ出演やイベント演出などの「その場に自分もいる感覚」だけしか生き残りはないのでしょう。李さんは音楽CDを購入したりなさいますか?

 音楽に比べれば、まだ映像産業は頑張っていますが、これからどうなるかは分かりません。一時期と違って、かえって映画館の方が良いくらいですよね。単に超巨大画面だからということと、大規模複合商業施設で他と組んでいるからということもありますが、映画館という雰囲気、その場そのものの感覚が大切です。だから意外にも映画館は滅び去らなかった。

 まぁ私は自分が好きな時に何回でも見直したいので専らDVD視聴派ですが。それから観たい映画に古いハリウッド映画が多いのも原因でしょうけれども。BD再生機器は所有していませんが、これからどうなっていくのか分かったものではありませんね。

 2009年に「週刊アカシックレコード」というサイト主宰者の佐々木敏さんというかたが「失業革命」という表現を用いて、詳しくて大変鋭い指摘をしたので、私もハッキリと問題を認識しました。有言実行で、今は新しい記事については登録会員が閲覧する有料版に切り替わっている模様です。一応URLを貼り付けます。

Akashic Record, the Weekly — 週刊アカシックレコード
http://www.akashic-record.com/

 本当に「失業革命」は、ネット無料文化の大弊害です。無料であるということは無条件で賞賛すべきことではないのです。しかも恐ろしいのは確か佐々木氏も言及していたと記憶していますが、ダメージをくらう側の人間達が気付かずに、革新的な媒体の出現に熱狂し、率先して無料文化を礼賛し押し広めてしまったということです。

 他にもデマやゴミ情報の氾濫と滞留や、謀略に利用される事、パソコンの画面に釘付けにされて現実世界での行動を伴わない事、匿名性と文章責任問題、私人のプライバシー侵害や個人情報の流出と名誉毀損、コンピューターウィルス感染の可能性、ネット犯罪の利用など、様々な弊害があります。しかし犯罪の無い世界など現時点ではあり得ません。

 そうすると一番の重大問題は対価の無さや、無料文化の攻勢による既存産業基盤への侵蝕と破壊でしょう。「ネット世界では無料である事は無条件に良い事である。有料は悪い事である。金を取るなんてとんでもない」などというのは考え違いです。私は条件付での賛成しかしません。ただより高いものは無いのです。無料には責任が伴いません。テレビを見れば分かりますね。

 音楽でも映像でも、ゲームや漫画や文章でもいえることですが、総じて作り手側・供給側に訪れた受難なのです。知的産業、創造産業の危機です。ただ同然で需要側が得られてしまう。

 受け手側・需要側は無料、それでいいのですが、作り手側にしたらたまったものではありません。馬鹿馬鹿しくて意欲減退ですよね。正しい言葉の使い方なのか分かりませんが、モチベーションだだ下がりです。

 これでやる気が維持出来たらおかしいのですが、だからここの各無料公開掲示板も書き込みが最近すっかり低調なのも関係していますけれども、なにせまるで利益が出ないですから。全然無い。

 といっても私の文章は最初から著作権も出ないようなもので、利益を生まないからいいのですが、利益が生じるほどの価値のある文章をみんなが無料で公開してしまうので、方々焼け野原なのです。先生の無料公開文章は絨毯爆撃です。ダンピングどころの話ではありません。ネットで話題になり注目を集めてから出版物その他で儲けを出すのはありますけど、間接的です。先生はこれの使い分けをしています。

 直接、ネット文章を登録会員制にして、文章を有料で読むことにお金を払うというのは、ネット詐欺を除外すれば、よっぽど好きか尊敬している人物の文章でなければ、無いのが現状です。私は貧乏だから先生だけですが、仮に私が金持ちだったとしても今のところ先生くらいしかいません。ネット有料文章だけで生活が成り立っている人は果たして日本にいるのでしょうか。広告収入やらアフィリエイト? だけで食べている人などは。

 なので電子書籍やらiPad(アイパッド)やらで出版不況や書店倒産が叫ばれていますが、インターネットが需給の問題を解決していないので、つまり安定した収益モデルを確立出来ていないので、まだ大丈夫です。

 あと、やっぱり紙媒体である強みで、本は本で読みたいという要求のこともあります。ネットで読めばすむような性質のものはネットで、本で読みたいものは本で、ということです。だから現状、出版不況の一番の敵は某新古書店最大手であり、書店の大敵は某書籍ネット通販事業最大手ということでしょう。

 ただ同じ出版物の括りでも、新聞はアウトです。保存して読み直す価値すら保てなくなったので、終わりですあれは。私は実家で両親がとっているので、ラテ欄だけは便利なので評価します。テレビは映像の力があるので、スタイルを徐々にかえるのに成功すれば、なんとかいけるでしょう。やはり大切なのは私も何度か書き込んでいますが、需給モデルをどう構築するのかということですね。

 最近になって突如出現し、急速に普及している「twitter」ツイッターとは、私はまだやってませんけれども、技術的問題その他を除いて考えると、インターネット本来の理想・目的に回帰しようとする試みの一環でありながらにして、人間関係希薄文化に対する反省・反動が生み出したものだと私は認識しています。

 単なる自己表現ツールという概念ではありません。ツイッターによって、人々はより繋がりやすくなりました。ミクシィなどよりすごいのはその辺でしょうね。ブログサイトなどと併せての無料文化です。そしてやはりそれでも、より直接出会う必要がなくなっていくのを促進するのでしょうか。

 私はインターネットの顕著な傾向である人間関係希薄文化については実質上肯定している人間です。他人と気軽に交信することによって繋がりやすくなるはずが、別に繋がらなくても済んでしまうのがネット文化です。

 簡単に情報、知識を入手出来るから、わざわざ本人に話を訊きに行くためなどに、物理的に移動して会う労力、時間的代償及び金銭的代価を支払う必要は無い、手間が省けるということです。インターネットに生きる割合が多い人間の文化的側面であり価値観、合理的行動です。

 おそらく閉鎖性の無さの上で完全に最初から無料でもいいという、繋がりが大切だというインターネットの性質にピッタリ有っているのでしょう。それはそれでいいのです。問題は人間関係希薄文化よりも、やはり無料文化の方です。

 ところで、李さんのいらっしゃる医療業界や薬剤などの世界は、インターネットの影響はあっても、無料文化の弊害は引き起こしませんね。なにしろいくらパソコンに向かって画面を見て知識を仕入れても、お医者さんにかからなければ、あるいは薬を飲まなければ治らない病気は、インターネットだけ見ていても実際に入院手術は出来ませんからね。

 需要と供給の関係がインターネットを通過せずとも独立しています。ただし正しい・間違いに関わらず知識が広まる影響はあるでしょう。かろうじてここの「近代医学・医療掲示板」が生きているのは、そういう側面があるからということもあるのでしょうね。

 それにしても学問道場は私が所有・管理運営しているサイトではありませんので、はじめから私の文章に著作権など生じません。ということは学問道場の文章ということになりますが、別に私作成の文章くらいはどこに貼り付けられていようが誰も目くじら立てる人はいない、ということですね。これが先生の文章だとそうもいかないでしょう。それを抜きにしてもまだまだ私程度の文章作成能力では、とても著作権が発生するほどの商業水準まで達しないなと実感致します。精進しなければ自分にと言い聞かせます。

 ただし最低限度の、引用元や転載元の出典明示は大切だということは、先生が口をすっぱくして普段から仰せの通りだと思います。

 ここは「気になる記事の転載掲示板」という掲示板の性質上、各方面から気になる記事を転載させて頂いていますが、著作権云々を抜きにしても、やはり無断転載・無許可転載の問題があります。私がここの前身である「読者からの個人メールの転載掲示板」に書き込み始めた当初に、菊地研一郎さんから引用と転載の区別の基本を教えて頂いたことを思い出しました。ここにも引用(正しい引用であれば)ではなく転載には、より大きい問題が横たわっています。

 これら諸問題に通じているのは権利とお金、需要と供給の問題です。これはインターネットというものが出現してしまってから現在に至るまで解決の糸口が見えてきません。

 しかし、それら負の側面を補って余りある利益が国民にもたらされています。嘘が露見し真実の暴露されています。真相が満天下にさらされるのです。大切な公共財産になりつつあります。低劣・卑俗な真相暴露記事の雑誌が段々と役割を終えてきたのは当然の流れなのです。

 ジタバタ喘いでいる新聞編集員や経営者達の気持ちは理解出来ますが、それによって国民政治家への謀略攻撃を側面支援するようでは、望ましい未来は訪れません。そういう雑誌は早晩、国民から見捨てられて残っていた読者も去っていき、最終的には廃刊の憂き目にあうでしょう。
 だから正しい知識を発信して、広めていき、みんなの共同了解事項にしていく事が出来る可能性が有る、という事がインターネット無料文化の良い側面だと思います。他にも情報伝達速度の速さや、過去の情報の得やすさが良い部分として挙げられます。

 既存のマスコミ・メディアのテレビと大新聞に国民の意見が表出してくる度合いが少ないのです。それなのに捜査当局のリーク情報ばかり一方的に垂れ流すことが多いのです。ですからインターネット時代の到来を基本的には歓迎したいです。それがマスゴミ撃滅への第一歩ですからね。

 

 さて最後に「目下、エーテル(暗黒物質)に取り組んでいますが、「アポロ13号」のくだりに違和感をおぼえています。」とのことで『宇宙論の超トリック 暗黒物質の正体『現代物理の死角』復刻補強版』(コンノケンイチ著)についてです。

 巻末で先生とコンノケンイチさんが対談なさっているので分かりますが、全ての記述や考えについてご両人の考えが一致しているわけではありません。ちょっとズラズラと書き過ぎてしまったので、これについてはまたの機会とします。以上、一気に書いたので文章が乱れていますが、投稿してしまいます。