リビア革命noと「直接民主制」

会員番号4655 佐藤裕一 投稿日:2011/02/22 17:59

 会員番号4655の佐藤裕一です。

 快活聡明なエジプト人女性、FIFIさんが公式ブログにてエジプトの隣国リビアを取り上げています。彼女の直近の文章を未読のかたは、どうぞご覧下さることをお勧め致します。

 

フィフィ オフィシャルブログ「All about FIFI」by Ameba
http://ameblo.jp/fifi2121/

 

 リビアの正式な日本語表記は現時点で「大リビア・アラブ社会主義人民ジャマーヒリーヤ国」だそうです。同国の実質的支配者であるカダフィ大佐は、果たして支配を継続出来るのか、政治亡命するのかどうか。

 40年以上もの君臨・統治は異常ですが、リビアの場合は政体(政治体制)そのものが異常です。建前と現実が乖離し過ぎていて、歪みきっています。民主政治の形骸化とか、そういう問題ですらないのがリビアです。

「ジャマーヒリーヤ」というのはウィキペディアによるとカダフィの造語で、適当な日本語訳が難しいためにそのままで表記されるものの、おおむね「大衆による共同体制」とか「大衆によって支配される共和国」とかいった概念で当てはまるらしいです。「直接民主制」の独自解釈みたいなものでしょう。

 リビアで今実際に行われている政治体制こそがまさしく「ジャマーヒリーヤ」なのだとカダフィに言われればそれまでの話ですが、リビアには元首がいないというのもただの建前ですし、「直接民主制」が実施出来ていないことは誰にでも分かります。

 私の結論は、といっても別段新奇なことでも珍奇なことでもなく、多くの日本人に違和感は湧かないでしょう。リビア人は一旦「ジャマーヒリーヤ」なるものを投げ捨てるべきです。「リビア共和国」になるべきです。「べき」などといっても私はリビア国民でもなんでもないので、もう止めた方がいいんじゃないの、という外国人・他国民の無責任な一意見に過ぎません。

 現在世界中の独立国で、完全な「直接民主制」を実現出来ている国は1つもありません。標榜しているだけのリビアはもとより、有名なスイスにしても伝統を部分的に併用しているだけなのです。形式的にも実質的にも世界の民主国はみな「間接民主制」です。

 まだまだ人類にとって遠い夢、将来的にはその段階に到達するのだろうかという、理想です。「インターネット直接民主制」を全面的に導入すれば、という考えが現時点のリビアに当てはまらないことは明らかです。

 長期独裁政権でないと軍や国民を抑えつけられず、内政が安定しない国は、民主政治の観点からは未熟です(短期政権が続くことがいいというわけではない)。極小の国や一部地域ですら未だに出来ない政治制度が、リビアのような広大な国で上手く作動するはずもないのです。

 政情不安など全然起こる要素も気配すらもないような国でないと「直接民主制」は不可能です。これはエジプトでもチュニジアでも当てはまるでしょう(無論、日本国もまだまだ無理)。

 そういった無理な建前を強引に押し通すとリビアのように、容易にかつ即座に「隠れ軍事独裁政治」に転化します。どうしても議会排除ばかりが先行するので危険なのです。前にもここの旧掲示板に書いたことがありますが、この21世紀の2011年になっても、到底「直接民主制」などは実現困難なのです。「国民主権」など悪い冗談、いや良い冗談? これが全世界人類の実情です。

 その国の実態に合わない「直接民主制」は一度止めてしまって、「間接民主制」、つまり正常な共和政体の国における「代議制民主政体」に立ち戻った方がいいのです。

 民主的投票による公明正大な選挙で大統領(共和国の元首にして行法の代表者)を選出するべきですし、複数政党や立候補者に不当な制限を設けない公平公正な選挙で議会の議員(立法府の各代表)を選ぶべきなのです。きちんとした成文憲法も制定施行しなければなりません。不文憲法と慣習だけで民主政治が上手くいくほど国民が成熟しきった国などはそうそうありません。

 そしてもちろん、最初から軍人になど政治に口を挟む権利はありません。軍部が支持するも支持しないもないのです。そういう話が頻繁に出てくること自体、その国が民主政治を実施出来ていないという証明です。シビリアン・コントロール(日本語訳で文民統制)も、ガッチリと憲法と下位法で型を嵌めなければなりません(非武装国になれというのではない)。

 だからエジプトも急激に「直接民主制」などを目指すべきではありません。
 
 デモという国民運動の素晴らしい勇気ある「直接行動」は私も全面肯定致します。しかしながら、国民が国民の中から正当な国民の代表者を選ぶことを、最初から全面否定してはならない。これが先生が重掲で言うところの歴史の教訓ではないでしょうか。

 政治後進国でいきなりマルクスの共産主義という、平等の理想を実現しようとして起きた悲惨、おぞましい大量虐殺という惨劇の諸所は忘れてはならない、革命の失敗を避け、失敗革命をも避けることが肝要なのでしょう。

 

リビア – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/リビア

ジャマーヒリーヤ – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/ジャマーヒリーヤ

ムアンマル・アル=カッザーフィー – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/ムアンマル・アル=カッザーフィー

 

 それでは阿修羅掲示板から4本ほどリビア関連記事を転載貼り付け致します。

 

(佐藤裕一による転載貼り付け始め)

リビアの反政府デモが首都に飛び火、政権崩壊近いとの指摘も ロイター
http://www.asyura2.com/10/kokusai5/msg/446.html
投稿者 ダイナモ 日時 2011 年 2 月 22 日 08:07:33: mY9T/8MdR98ug

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19649020110221?sp=true

 [トリポリ 21日 ロイター] 最高指導者カダフィ大佐への抗議行動が拡大しているリビアで21日、反政府デモが発生以来初めて首都トリポリにも飛び火した。

 中東衛星テレビ局アルジャジーラによると、首都トリポリでは、軍用機がデモ隊に向かって実弾を発射した。現在のところ同報道に関する第三者による検証は得られていない。

 住民によると、ベンガジから波及した反政府デモは、現在のところ東部の複数の街を掌握するまでに勢力を拡大しているもよう。

 リビアの油田の1つでは、労働者によるストライキで生産が停止したと報じられているほか、欧州系石油・ガス会社は、駐在員の避難や同国での試掘準備作業を中断するなどの措置を取っており、石油生産への影響も拡大している。

 現地紙クリナ電子版によると、石油精製・石油化学コンプレックスがあるラスラヌフでもこの日、反政府デモが勃発(ぼっぱつ)した。

 首都で軍用機が上空から実弾攻撃したとの報道について、ロンドンのコンサルタント会社、コントロール・リスクスのアナリスト(中東担当)、ジュリアン・バーンズ─デイシー氏は「まるで(政府による)最後の必死のあがきのようだ。自国の首都に爆弾を落として、果たしてどのようにして生き残るというのか」と述べ、カダフィ政権の崩壊は近いとの見方を示唆した。

 アルジャジーラによると、今回の首都トリポリでの当局とデモ隊との衝突による死者は61人に上った。

 これより先、ヘイグ英外相はカダフィ大佐がベネズエラに向かう可能性があるとの見方を示したが、ベネズエラの政府高官はこれを否定した。

 また政権内でも亀裂が生じている。アブドルジャリル司法書記(法相)がデモ隊に対する「過度な暴力の行使」に反対して辞任したほか、インドに駐在するリビア大使も暴力的なデモ弾圧に抗議し職を退いた。 

 一方、目撃者の証言によると、リビアの戦闘機2機が21日、地中海のマルタに着陸した。マルタの政府関係者は、パイロット2人が亡命を求めているのかは不明としている。パイロット2人は当初、燃料補給を求めたという。

 ベンガジでは、民間人への発砲を拒否した兵士が部隊長によって処刑されたとの報道もあり、地元の元裁判官は「民間人への発砲を拒否しカダフィ支持派の当局者に処刑された兵士11人を埋葬した。遺体は切断されていた」と語った。

 フランスに本部を置く人権団体の国際人権連盟によると、ベンガジを含む少なくとも東部の9つの街をデモ隊が掌握している。

(佐藤裕一による転載貼り付け終わり)

 

(佐藤裕一による転載貼り付け始め)

リビア、カダフィ体制窮地に 騒乱が首都に波及  日経新聞
http://www.asyura2.com/10/kokusai5/msg/443.html
投稿者 ダイナモ 日時 2011 年 2 月 21 日 22:23:56: mY9T/8MdR98ug

http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C9381959FE0E3E2E1948DE0E3E2E0E0E2E3E39C9CEAE2E2E2

 【ドバイ=松尾博文】リビアの最高指導者カダフィ大佐の独裁統治に抗議する反体制派のデモが首都トリポリにも及んだ。政権側は徹底的に弾圧する構えを崩さず、流血の事態拡大への懸念が強まっている。アフリカ有数の産油国の不安定化は原油市況にも影響を与える。41年にわたりリビアを強権的に統治してきたカダフィ体制は窮地に立っている。

 トリポリ中心部にある「緑の広場」。20日夜、ここに掲げられるカダフィ大佐の肖像に反体制派の市民が投石を始めた。抗議デモは複数の場所で発生し、治安部隊との衝突は夜半まで続いた。中心部のホテル従業員はロイター通信に「町中が騒乱状態」と語った。

 チュニジアやエジプトの政変に触発され、北東部のベンガジで抗議デモが発生したのは15日。それから1週間足らずでカダフィ大佐のお膝元である首都まで不満のうねりは到達した。

 リビアの北東部地域は歴史的にイスラム原理主義勢力の活動が活発だ。かつてクーデター計画が表面化するなどカダフィ体制に敵対的で、これまでも弾圧を受けてきた。今回の騒乱についても政権側は強力な警察・軍事力で押さえ込み、首都にまでは波及しないだろうとの見方が外交筋や専門家にも多かった。

 国内第2の都市ベンガジでは反体制派が都市の大半を掌握した。軍内部の兵士の中でも離反が相次ぎ、一部がデモ隊とともに政府軍と戦っているとの情報もある。

 20日夜、国営テレビを通じて演説した大佐の次男で、有力後継候補のセイフイスラム氏は「内戦の危機にある」と混乱を認め、憲法制定に向けた国民対話など政治改革の実行を約束した。一方で「カダフィ大佐は最後の1人になっても戦う」と述べてデモに譲歩しない構えを強調。「我々は勝利する」と反乱の抑え込みに自信を示した。

 エジプトでは軍が中立を保ったのに対し、リビアでは今回、軍や治安部隊がためらうことなく銃器を使用。ベンガジでは機関銃や対戦車ロケット弾なども投入した。犠牲者はすでに200人を超え、中東全域で火の手があがる民主化デモの中で容赦ない弾圧で際立つ。

 犠牲者の増大とともに国民は反発を深める。セイフイスラム氏の演説にも「うそつき」と冷ややかで、対話による事態収拾は望みにくい。人口の3割に相当する200万人が暮らす首都で騒乱が広がれば犠牲者が増えるのは確実だ。

 欧米諸国は混乱拡大に警戒を強めている。米国務省は20日、死傷者が多数出ているリビア情勢に「重大な懸念」を表明。ロイター通信によると、米政府当局者はセイフイスラム氏の演説を分析したうえで、リビアに対し「あらゆる行動」を検討していることを明らかにした。ヘイグ英外相は同日、セイフイスラム氏に電話し、対話と政治改革の実行を求めた。

(佐藤裕一による転載貼り付け終わり)

 

(佐藤裕一による転載貼り付け始め)

リビア:反政府デモ、首都に飛び火 街で激しい銃撃音(毎日jp)
http://www.asyura2.com/10/kokusai5/msg/440.html
投稿者 赤かぶ 日時 2011 年 2 月 21 日 14:55:45: igsppGRN/E9PQ

リビア:反政府デモ、首都に飛び火 街で激しい銃撃音
2011年2月21日 11時32分 更新:2月21日 12時52分 :毎日新聞
http://mainichi.jp/select/today/news/20110221k0000e030036000c.html

 【カイロ伊藤智永】北アフリカ・リビアの反政府デモは20日夜、首都トリポリに波及し、数千人のデモ隊が最高指導者カダフィ大佐の支持勢力と衝突した。治安当局が実力で鎮圧を図るリビアのデモはこれまで、もともと反政府感情の強い同国東部などに限られていたが、首都に飛び火したことで情勢のさらなる激化は必至だ。一方、デモの中心地となった第2の都市ベンガジは同日、一部兵士がデモに加担し、反政府側の手に落ちた模様だ。

 AP通信などによると、トリポリでは激しい銃撃音が響き渡り、警官隊が催涙ガスなどを使ってデモ隊の分散に乗り出した。デモ隊は市内に飾られたカダフィ大佐の肖像画に投石するなどして抗議したという。

 一方、東部ベンガジでは、デモ隊は火炎瓶や石を武器に治安当局と衝突。さらに、ブルドーザーで政府関連施設に突入を図った。兵士の一部がこうした動きを支援したとされ、中東の衛星テレビ・アルジャジーラは「街は市民の支配下に入った」とのデモ隊の声を伝えた。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは20日、リビアでの一連の反政府デモの死者が4日間で少なくとも233人に上るとの推計を発表した。

 ロイター通信などによると、アラブ連盟のリビア代表が政府の強権的なデモ鎮圧に抗議して辞任した。また、有力部族も反政府デモを支援する立場を明らかにした。

 一方、中東・北東部アフリカでの反政府デモは20日までに10カ国以上に広がった。

 バーレーン、イエメン、ジブチでは治安当局や体制支持派との衝突で、デモの市民に死者が出た。アルジェリア、モロッコ、サウジアラビア、クウェート、ヨルダンでのデモは、今のところ小規模か散発的だ。チュニジアでは19、20両日、首都チュニスで、暫定政府の退陣を求める約4万人の集会が開かれた。

(佐藤裕一による転載貼り付け終わり)

 

(佐藤裕一による転載貼り付け始め)

カダフィ大佐次男 「反体制デモは外国の策略」、首都でも衝突 リビア AFP
http://www.asyura2.com/10/kokusai5/msg/438.html
投稿者 ダイナモ 日時 2011 年 2 月 21 日 12:34:04: mY9T/8MdR98ug

http://www.afpbb.com/article/politics/2786514/6845525

【2月21日 AFP】(一部更新)反体制を訴えるデモ隊と治安部隊との衝突で多数の犠牲者が出ているリビアで21日、同国の最高指導者、ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐の次男、セイフ・アルイスラム・カダフィ(Saif al-Islam Kadhafi)氏が国営テレビ演説し、リビアは内戦に陥る寸前だと訴える一方、反体制デモはカダフィ体制に対する外国の策略だと非難した。

 カダフィ氏は、テレビ演説のなかで、リビアの政情不安を扇動したとして、国外に居住するアラブやアフリカ出身者を批判し、暴力的なデモはイスラム主義支配の確立を狙ったものだと語った。

 その一方でカダフィ氏は、新憲法と自由主義的な法律の導入を約束した。

 だが、衝突の犠牲者数を誇張していると外国メディアを糾弾。また、「リビアはエジプトでもチュニジアでもない。リビアに政党は存在しない。われわれは銃弾が尽きるまで戦い、破壊分子を根絶する」と述べ、いかなる蜂起も容赦なく鎮圧する姿勢を明確にした。 

 さらにカダフィ氏は、「全国民が武器をとれば、それは内戦だ。われわれは互いに殺しあうことになる」とけん制した。

■首都にもデモ波及、銃声響き混乱

 一方、反体制デモは21日、首都トリポリ(Tripoli)にも波及した。

 現地のAFP記者や目撃者によると21日早朝、市内中心部で銃声が聞こえたという。銃声に混ざって、女性たちの泣き叫ぶ声や車のクラクションが鳴り響き、市内は混乱に陥っているという。

 市民の1人は、「銃声があちこちで聞こえ、市の中心部に向かっている」とAFP記者に語った。また、労働者が多く住む地域の住民によると、治安部隊が催涙弾でデモ隊を制圧しているという。
 
 リビアで起きた一連の反体制デモで、トリポリでデモ隊と治安部隊が衝突するのは初めて。(c)AFP
 
(佐藤裕一による転載貼り付け終わり)