公務員業界用語(4)文書主義、なにはともあれ文書から。

伊藤 投稿日:2024/07/14 07:11

伊藤睦月です。今回は「文書主義」です。

(4)役所は、すべて「文書」ではじまり、「文書」でおわります。役所系はなんでもそう。最初は、口頭で相談したりしますが、行政手続のレールに乗せようとすれば、「文書化」は必須です。

(4-1)これは警察関係でもそうで、例えば、物を落としたり、窃盗にあったり、ストーカー被害などで、警察に「相談(普通は口頭)」して、じゃ警察が動きましょう(捜査、調査、照会など)となれば、改めて、こちらから「届け」という文書を出すことから始まります。

(4-2)落とし物などは、こちらが皇統でしゃべったことを、パソコンの所定の様式に警官が打ち込むこともありますが、原理的にはこちらから届けを出すことには変わりはありません。役所の窓口もそう。

(4-3)でも、本当は警察は届けがなくても動けるのです。警察官職務執行法に規定があります。ほかの役所系も緊急の場合は動けるようになっているはずです

(4-4)普段はそういうことはしません。公平を保つため、とか、恣意性を排除する、とか言っていますが、要は、届け出順に処理した方が仕事がはかどるからです。いわゆるカスハラ予防にもなります。

(4-5)公務員は、怠け者ですが、基本真面目で律儀なので、与えられた仕事(それのみ)はきちんとやります。(与えられた仕事だけは!)だから、災害等で献身的に働く公務員がいますが、これもそうするように決められているので、義務感で動くというところはあるのです。(使命感でやっておられる方、ごめんなさい。でもそういう使命感、義務感だけでやっていると、いつかは無理が来る、ということは、そういう立派な公務員ほど感じていると思います)

(4-6)だから、そうせざるを得ないように、仕事をシステム化すること。彼らは年功序列で終身雇用なので、そういうものじゃないメリットを与えることです。(要は褒める、感謝してあげる、ということです。リバタリアンの方は公務員嫌いが多いと思いますが、余計、ニコニコしてあげることです。彼らは、自尊心を少しだけ満足させ、皆さんのために身を粉にして働く・・・・かもしれません。(冷や汗)

(4-7)「お前ら、税金ドロボーは俺たちのために黙って働け!」などというのは最低最悪です。彼らはにこにこしながら、優先順位を大きく下げます。心の中でも、実際の取り扱いでも。特に下っ端公務員はそうです。キャリア(国、地方)はそれ以外にもインセンティブがありますから、それをうまく刺激してあげること。そのとき、「アメとムチ」を上手に使い分ける。役人の使い方がうまい政治家はみなそうしています。

(4-8)役所系はすべからく文書主義、言われてみれば当たり前のことですが、そういう「アタリマエ」を考察する、というのも副島学の方法論としてあっていい、と思います。かなり地味ですが。

(4-9)以上、文書主義、自己申告、査定、この3アイテムで役所仕事(対一般ピーポ向け)の大半は説明でき、応用も効きます。あとはこの展開系でこれについては、折に触れて指摘させていただきます。

(4-10)次回からは、この役所系行動原理の由来について。これも分かり切った話かもしれませんが、そういう話こそ、結局は役に立つ、と(小声ですが)考えております。

(以上、伊藤睦月筆)