公務員業界用語(3)査定(続):要求なければ査定なし

伊藤 投稿日:2024/07/13 11:34

伊藤睦月です。

(3) この「査定」ですが、下々(上から目線で大変恐縮だが、あえて、下々(しもじも)、お上(おかみ)という言い方をさせていただきます。純正リバタリアンの方々、ごめんなさい)から、「申請(申し込み、お願い、同意、相談など)しないと、お上はアクション起こしません。本当になにもしません。これは役所、税務署、警察、裁判所、公務員系すべてそうです。だから、何かお上にしてほしかったら、なにはともあれ、役所に行き、アクション起こしてほしいと、お願いせねばなりません。役所はそういうお願いしている一般ピーポで満ち溢れています。そのなかから、役所は、優先順位をつけてアクション起こします。(これを「対応する」といいます)優先順位は何もなければ、お願いされた順ですが、そうでないときによく使われるのが(「緊急性」)です。事案(内容)の重大性などという言葉も使われますが、要はお上の都合(外圧、内圧)で、あえて言えば(そうだとわからないように)恣意的に「対応」します。

(3-1)事例1:コロナワクチン接種申し込み。ちょっと前に、コロナワクチン接種について、強制かそうでないか騒ぎになりました。そのとき、お上は一貫して「強制」ではない、あくまでも本人の申請によるもの、とし、最後までそうでした。今では、有料接種となっているのでなさらです。このとき同調圧力だとか、ワクチン打たない人が、職場や学校でいじめられたりしましたが、それは、お上にとってあずかり知らぬこと。一般ピーポが勝手に騒いでいるだけ。そのうち誰もワクチンの話題を口にしなくなりました。(別にお上がねらってやっているのではなくて、優先順位つけながら、「対応」していたら、そのうち納まった、というのが現場の感覚でしょう。

(3-2)事例2:マイナンバーカード申込

この副島系掲示板でも、これについて騒いでいらっしゃる方がいましたが、その後どうなりましたっけ?マイナンバーカード、作られましたか。これも、「申し込み」が前提です。本当は、マイナンバーカードをつくるかどうかよりも、カードの対象となるような、「個人情報」が何で、それをどう管理していくかの方が重要だと考えます。

 数年前、マイナンバー通知書が各人に送られてきましたが、この時点で勝負ありです。もう「個人情報」はしっかり特定されています。あとはそれをお上が、使えるように、各人から「同意」をとるだけ。そのためのインセンティブとしてポイントとか多少の特典を与えるということ(もうそれも必要ないぐらい普及が進みました)また、様々な個人に対する行政サービスをマイナンバーカードなしでは、できない、もしくは非常に不便な状態に追い込むことで、後は時間が解決します。

(3-3)我々、一般ピーポにとって、「平時」では、マイナンバーカードは便利です。私も作っています。ポイントもしっかりもらって、使いました(笑い)近々入院するのですが、そのとき健康保険「限度額証明書」がないと、負担が増えます。いままでは、発行まで数週間かかったのですが、マイナ保険証があると、病院で瞬時です。電子機器をうまく扱えない人でなければ、便利で、対象サービスも年々増加しています。

(3-4)私は、かねがね不思議に思っているのですが、「運転免許証」にはなぜ抵抗しない。あれには、個人情報満載で、実はマイナンバーカードとほぼ変わりません。違いがあるのは、「縦割り」か「横割り」の違い(これも業界用語)。運転免許証は、都道府県公安委員会が管理している、つまり警察の中だけで、他の役所には、当然に情報が流れない。流さない。(これを縦割り行政の弊害ならぬ思わぬ効果です。役所の縦割り体質のおかげで結果的に我々の個人情報が守られている)、一方で、マイナンバーカードは、役所の中を横断的に個人情報を活用する(福祉、税金、戸籍関係)という違い、どちらにしても役所の外には情報が出ていかない、仕組みには「一応」なっています。

(3-5)運転免許証を作る際には、平気で個人情報を警察に提供しているくせに、マイナンバーカードになると、抵抗する。本末転倒です。本来なら、運転技術を習得した、という証明さえあれば、免許証としては十分なはずです。戦前の特高の恐ろしさを忘れたのか。戦前は、警察も、役所も、内務省管轄だったから、警察は、個人情報を自由に活用できたのです。と、我々小役人は、そういう思いを持とうが持つまいが、自分の仕事をするだけです。

(3-6)ところが、「有事」となると話は違ってきます。役所は、本人の同意があろうが、なかろうが、個人情報を問答無用で使います。(形式上は、法律等でそういう例外を作っておくのです。実際に発動させるかどうかの判断はまた別です)「有事」といえば、戦争ですが、、まずは「災害対応」です。わが国では、「災害」が深刻化していますので、それに対応するためには、対象住民を普段から把握しておくことが大事で、まさに「個人情報」の掌握、管理が必須、です。今は、公助、共助、私助、とかいってごまかしていますが、そうもいっておられなくなります。そのとき、あなたはどうしますか。これが、あなたが、日本リバタリアンかどうかの分かれ道になります。私もまだ決めていません。災害のニュースが流れるたびに考え込んでしまい、結論でないまますぐ忘れてしまいます。貧乏暇なし、です。

次回に続きます。以上、伊藤睦月筆