高橋優「少年であれ」ほか

藤村 甲子園 投稿日:2011/12/17 00:15

<高橋優・略歴> たかはし ゆう。歌手。男性。1983年生。秋田県出身。自称「今思ったことを今歌う、リアルタイム・シンガーソングライター」。

<山本幸治氏による紹介記事>

(藤村注;富野由悠季や宮崎駿といった「大御所」から見ると、最近のクリエイターたちが小粒に見えてしまうのは致し方ないことだ、と認めた上で、)

今この時代にとっての真ん中のテーマって何だろうと考えたとき、2つの曲が頭に浮かんだ。「素晴らしき日常」(高橋優)と「3331」(ナノウfeat.初音ミク)だ。

真正面から描くというよりは自分自身を相対化しているように見えるかもしれない。でも、ダイレクトに時代を歌っていると言えるだろう。

そして、そういうスタンスが今の真ん中なのだとしたら、大御所たちにも新しい創作意欲を持ってもらえるかもしれない。

(出典)「SPA!」 Vol.60 No.42 (2011.12.13) P101、山本幸治「アニメ定量分析」Vol.45、扶桑社

<事務所宛・ファンレター>

拝啓 高橋優様
藤村甲子園と申します。「SPA!」12月13日号、山本幸治氏の連載コラム「アニメ定量分析」で、貴台のお名前を初めて知りました。

そこで、You Tubeにアップされている音源を、片っ端からチェックしてみました。久しぶりに新鮮さを感じさせる才能に出会ったと思いました。

小生のこれまでの不明を恥じます。やはり、地上波テレビの歌番組をチェックしているだけでは、本当に新しいものを見逃してしまうんだなあと痛感しました。

小生は「少年であれ」が一番好きです。歌詞と曲のバランスがよく取れていると思います。貴台の「私小説的メッセージ・ソング」系統では、この曲が一番、完成度が高いと思います。ピアノとチェロのアレンジも良いと思いました。

「誰もいない台所」、「虹と記念日」、「靴紐」も好きです。これらは、誰が聴いても「いいな」と思えるだろう、素直なラブ・ソングスですね。

「現実という名の怪物と戦う者たち」、「こどものうた」は、曲のテンポが良いので好きになりました。そうか、こんなアゲアゲの曲も作れる人なんだと思いました。

貴台は、才能に幅のある作家だと思います。これからの人だと思います。まだまだ伸びて行く余地のある人だと思います。

ここ10年ほどはリズム全盛、ダンス全盛の時代でしたが、そろそろ音楽好きの聴衆に飽きられて、これからメロディ・メーカーたちの巻き返しが始まるのでしょうか。

早速、最寄のCDショップにアルバムを注文します。貴台の今後益々のご清栄をお祈りします。 敬具

<アルバム「リアルタイム・シンガーソングライター」感想>

藤村です。
アルバム聴いて思いました。
これはなんと、性急で生硬な「異議申し立て」系メッセージ・ソングの連発ではないか。まるで40数年前の全共闘のアジ演説みたいだ。
でも、それこそが高橋優の楽曲の魅力ナンデス。

高橋は現在27歳。こういった青臭さが許されるギリギリの年齢だと思います。
もしもの話、48歳の小生が、これと似たようなメッセージ・ソングをこしらえて人前でシャウトしようものなら、良くて「さんまのSUPERからくりTV」の「サラリーマン替え歌選手権」、ヘタすりゃただの「頭のおかしいデブ男」扱いです。

性急で生硬。これは決して短所ではありません。実にこれこそが青年の特権なのであります。
ああ、「青年」なんて言葉、久しぶりに使うなあ。

天は高橋優に、イケてる歌詞とイケてるメロディの「二物」を与えました。
でも惜しいかな、美声は与えませんでした。ダミ声ナンデス。
声の良し悪しも、もちろんサウンドの一部です。スーザン・ボイルみたいなタダのオバハンでも「天使の歌声」ひとつで成り上がったのに、実に実に残念なことです。

ルックスの方は、まあ、スガシカオ程度にはイケてると思うンデスが。

「負けるな、少年よ。」©高橋優

(以 上)