覇権アメを拾い読みする(2)第1章にほとんどすべてが書いてある。
伊藤睦月です。本日は、2025年9月2日です。
この覇権アメを久しぶり(多分20年ぶり)に通読している。かなり脳みそがしんどい状態になっているが、また楽しくもある。こういった本を初めてザクザク読んでいける若い人たちが正直うらやましい。
1)第1章に、本書(第2章~第7章のエッセンスがほとんど詰まっている。
①本書の目的はアメリカ政治思想の全体像を把握させたうえで、ネオコンの動きから、リバタリアンの胎動までを概観し、第6章で、リバタリアンをしっかり理解させることを目的としている。
➁だから、第2章以下を読み進むにつれ、第1章を読み返したくなる。そうならない人は、よほど頭の強い人か、おばかさんである。
➂具体的個所を指摘しよとすれば、第1章の相当部分に注釈をつけなければいけなくなる。それは将来の副島学の研究者たち(何年後かな?)の役割だろう。
④なお、第8章(黒人イスラム勢力の動き)、第9章(左翼地知識人と急進左翼運動の現在)については、それまでの各章とのつながりが薄い。つまり、第1章の延長線上でとらえられない。その分、アメリカ政治思想のフロンティアとでもいうべき分野。これについては、副島先生の他の著作か、各分野の専門家の業績で補うしかない。本書の中でも一番長く寿命(賞味期限)が長いのは、この2章ではないかと思っている。私には正直、手に負えない。
2)アメリカ政治における、学者、知識人、評論家、大学、シンクタンクの存在の重要さを理解する。
①(引用はじめ)アメリカの一流コラムニスト(社会・政治評論家)の力をあまくみてはいけない。日本国内の雑誌や新聞コラムでしか通用しない日本言論人の「国内評論」とは桁が違うのである。・・・(中略)この事実の重たさに日本国内言論人は、そろそろ気づくべきなのだ。(同書46P)(引用終わり)
➁伊藤睦月です。この本がでてから、アメリカのシンクタンクに焦点を当てた新書本がいくつか出ているが、私には、この本のパクリにしかみえない。あと大学や、知識人や評論家たちをこれだけ大量に紹介した本は、一般向けとしては、皆無だろう。(例えば、トランプはハーバード大学を「反ユダヤ主義」と非難しているが、なんか奇妙な感じがする)
➂これに関しては副島先生の他著や投稿などで、断片的に表れるが、こういう、アメリカ、欧米の知的世界については、体系的に紹介した本はない、ので、副島先生の跡を継ぐ人材は現れないものか。今後に期待したいな。
3)副島先生の政治思想遍歴のいったんがうかがえる。
①(引用はじめ)・・・私は70年代の新左翼学生運動に影響を受けた世代の一人である。・・・(中略)・・・私のような人間は、人類の理想である社会主義の大義causeを裏切ったソヴィエトや中共に激しい憎しみの気持ちを抱いて1970、80年代をずっと生きた。・・・(中略)・・・そのことを私自身は、知識人としての歴史判断を誤らなかったと自負している。しかし自分が複雑な立場であることからは逃れられない。・・・(引用終わり:覇権アメ30-31P)
➁伊藤睦月です。この本が、文章が、1995年に書かれたものであることに、刮目(かつもく)すべし。ここまで正直な文章は当時なかったと思う。他の学者、知識人たちは、すべからく沈黙した。時代の変化、そして海外の学者や佐藤優氏らの著作が普及するにつれて、「資本論」が、再評価された。ただし、1970年代以降に生まれた新世代の知識人たちによってである。知の世界でも強制的な世代交代が起こっている。その中で、副島先生は数少ない存在である。
➂そういえば、佐藤優氏も副島先生も、オールドメディアにはまず、登場しない。佐藤優氏は、池上彰氏、という「影武者」(私の感想。その前は手嶋龍一氏だった)を使っているようだ。
④副島先生の思想遍歴については、他著に詳しいから、紹介することもあるだろう。その後については、先生の投稿を拾っていくしかないけれど。それについては、後日。私自身の思想遍歴についても、また後日。(きわめて月並みだけど・・・)
以上、伊藤睦月記
