覇権アメを拾い読みする(1)高校教科書レベルから始める。
伊藤睦月です。本日は2025年9月1日です。
朝から石破首相の膝について、報道されていた。昔から、自民党総裁が退陣する理由は、「体調不良」と相場が決まっているので、もしかして・・・とも思うが、あのストレスだらけの巨体を支える膝はさぞかし悲鳴を上げているだろう、と同じ膝関節変形症の身、としては、わかるような気がする・・・
ともかく、今回からは、副島学の基本書である、「覇権アメ」(世界覇権国アメリカヲ動かす政治家と知識人たち)を第1章から、通読しながら、所感を書かせていただく。ツッコミ大歓迎。レベルは共通テストレベルの知識があることを前提としている。(つまり高校教科書レベル)
さて、まずは、第1章「ネオ・コン」派の正体から。目次にある「小見出し」を読んでみよう。
1)80年代アメリカで何が起こったのか?
2)それは、「反ソ強硬路線」から始まった。
3)ネオ・コン派の知識人たち
4)ブッシュ(パパ)を揺さぶり落した台風の目
5)アメリカの言論誌は政治闘争の戦場である。
6)レーガンデモクラットの波がソ連を崩壊させた
7)本当は共和党の方が戦争をいやがる
8)「アメリカファースト!」の潮流が動き出した
9)共和党の保守主義を支持する中小企業経営者たち
10)永遠の保守思想たち
11)保守思想への巨大な地すべり
伊藤睦月です。この「覇権アメ」は、全9章、文庫本サイズで400ページぐらいある。しかも各章とも、岩波新書や中公新書1~2冊程度の情報量がある。だから、目次(小見出し)を頼りに読んでいくのが、一番賢い、と思う。
第1章は、80年代のレーガン政権(共和党)で採用された「サプライサイダー」経済学(ラッファーカーブ)の誕生に始まり、ネオ・コン派の誕生と政治変動(レーガン・デモクラット)、従来からの共和党保守思想、そして、本書の本当の主役である、リバタリアニズムの胎動が語られる。
副島ファンなら、言うまでもないが、この「ネオコン」「リバタリアニズム」、といった「コトバ」が、専門家レベルでなく、一般読者レベルにまで、浸透したのは、本書の登場(1995年)からである。これは間違いない。(同時期に佐々木毅東大教授や岡崎久彦が紹介しているが、それは、「覇権アメ(アメリカ政治思想大研究)」の後ですね。これは、押さえておきたい。
では、第1章から。(引用開始)
この「サプライサイドSupply-side (供給者重視)という経済理論自体は、もともとJFK(ジョン・F・ケネディ)が60年代初めにリベラルな経済運営をやって税金をカットしたところ、タイミングよく景気が回復したという過去の実績から始まっている。(「覇権アメ」24ページ)
サプライサイダーとマネタリストという相反したポリシーをいっしょにやろうとしたのが、レーガン政権だったのである。片方でサプライサイダーという「減税と、政府の経済への不干渉」の政策をやりながら、片方ではマネタリスト手法で「政府が積極的に干渉して通貨の流通量を統制しよう」としたのでる。(「覇権アメ26ページ」)
伊藤睦月です。サプライサイドの経済学、その中核理論である、「ラッファーカーブ」は、現在の主流派であるケインズ流経済学者からは、全否定され、今では、知らない人の方が多いかもしれないが、1970~2000年代にかけて、大流行した。「新自由主義」は、サプライサイドの経済学から出てきた。
サプライサイドの経済学の要点は2つ。1つ目は、「供給重視」(セーの法則を前提)2つ目は「適切な減税は、かえって政府に税収増をもたらす(この減税と増収の関係を表現したポンチ絵が「ラッファーカーブ」である)
セーの法則とは、「供給すれば需要される」とする。ケインズ以前からある考え。この関係を逆転させたのがケインズ。(ここまでは、高校レベル)
需要と供給の関係でいえば、政府支出は、政府の需要なので、コントロール可能。一方で、供給は、政府の手でコントロールできない。ということから、需要喚起は、政府によってできる、という考え。供給は、コントロールできないので、「自由放任」「夜警国家」を原則とする。その観点から、政策的には、減税、規制緩和、を推奨される。「セーフティーネット」などは、ケインズ的政策との妥協なので、できればしたくない。現在は、サプライサイドとケインズ政策との綱引きの結果で政策決定されている、というのが現状。
以上、稚拙な説明で恐縮だが、とりあえず、小休止。
伊藤睦月筆
さて、
