ブレイク:渡部昇一について(ちょっとほろ苦い昔話)

伊藤 投稿日:2025/01/06 10:04

伊藤睦月です。渡部昇一(1930-2017)について。少しばかり・・・読書談義ばかりで恐縮ですが。

(1) 私が最初に読んだのが。『知的生活の方法』(講談社現代新書1976年)。それから、1990年くらいまではよく読みました。高校生から、20代ですね。渡部の著書だけでなく、彼の勧める本(ハマトン『知的生活』、スマイルズ『西国立志編』や保守系知識人の本など)もよく手に取りました。渡部の本以前は、岩波新書などの左系が多かったが、渡部の本で、そっち系にのめりこみ、のぼせることなく、生活破綻を免れたようなものです。そういう意味では、感謝しています。

(2)30代になり、バブルも崩壊した中、中堅公務員として仕事も充実するにつれ、だんだん読まなくなりました。司馬遼太郎とか他の保守系の論客たちもそうでした。なんか嘘っぽい。最後まで残ったのが、小室直樹博士、山本七平、山本夏彦の本です。そうして、35歳で副島先生の本に出会い、上書き修正されて、今に至っている。

(3)副島先生も「続英文法の謎を解く」では、渡部昇一を意識されていたようですが、後年、「渡部は、イエズス会の手先だ」と見切られて、私もああそうか、とガテンしました。

(4)渡部は、『知的生活の方法』で上智大学の図書館に住み込んだ、貧乏暮らしを勉強で脱出した、みたいなことを書いていましたが、それだけではない。渡部昇一は、講談社の一族から嫁を貰って、それから羽振りよくなって、大学図書館生活から脱出したのだ、ということを彼の大学の同僚の人(予備校の講師をしていた)から、聞いてはいました。で、なんのご縁で結ばれたのか。私の推測ですが、「イエズス会つながり」でしょう。それしか接点がない。一介の私大教員が、15万冊、しかも高価な稀覯本(きこうぼん)を買えるものか。空調付きのそれだけの書庫も整備できるわけがない。ひがみも半分あります。正直。

(3)日本クリスチャン(特にカトリック)の言論、知識人で注意しなければ、いけないのが、「二重忠誠問題」です。彼らが、天皇制を擁護するときには、気をつけろ!副島先生から、学んだことです。(私の理解です)

(4)それからは、スーとつながりました。私が20代のとき感心した、「甲殻類の研究」なんて、ハンナアーレントの焼き直しではないかなどなど。いずれにせよ、私の書棚の相当部分を占めていた、渡部の本たちは、「ブックオフ送りの刑」になり、今では、手元には1冊もありませんし、PHP文庫などで時折みかけても食指が動きません。ネトウヨなどが流行る前に、副島先生の本に出合えたことが、とにかく、幸運でした。

という、昔話でした。

次回から、通常モードに戻ります。

以上、伊藤睦月拝