(本題(答え合わせ))リズ・トラスの携帯電話ハッキングをめぐる報道内容の件

かたせ2号 投稿日:2022/11/06 21:05

かたせ2号です。

早速ですが、上の[530]でお出しした質問への答え合わせを行ないます。
ここでは、ある事実が発覚しています。2つの記事の一部を比較してみましょう。

デイリー・メール記事(2022年10月29日配信)
「このハッキングは、トラス女史が外務大臣だった夏の党首選挙中に発覚しました。
英語原文:The hack was discovered during the summer’s Tory leadership campaign, when Ms Truss was Foreign Secretary」

タス通信記事(2022年10月31日配信)
「同紙は、英国のセキュリティ・サービスの情報源を引用し、トラスの携帯電話は彼女が外務大臣を務めていたときにハッキングされたと述べた。ハッキングが発覚したのは2022年7月で、トラス氏が首相選に出馬する直前だった。
英語原文:The paper cited sources in British security services, who said that Truss’s phone had been hacked when she was serving as Foreign Secretary. The hack was discovered in July, shortly before Truss entered a race for prime minister.

さきに紹介されている、デイリー・メール紙の記事には、
「ハッキングが発覚したのは2022年7月で、トラス氏が首相選に出馬する直前」とまで詳しくは書かれていないのです。
これは、ロシア側がこっそり付け加えた新情報。
そのことが明らかになりました。

すなわち、「ハッキングが発覚したのは2022年7月で、トラス氏が首相選に出馬する直前」という情報を、ロシアは、デイリー・メール記事に頼らずに、独自に入手している。すでにそのことを世界に公表しているのです。この件の情報はすでに手中に収めていると。
要は、「リズ・トラスの携帯電話のハッキングをしたのはロシアだ」とロシア自身が白状していたのです。

では次に、
ロシアは、なぜ、そういうことを自ら世界にバラしているのか。
その動機がわかりません。

たしかに、動機は大切です。ここがはっきりしないと、話が前に進みません。

そんなわけで、私なりに、動機を考えてみました。

「ノルド・ストリームの爆破の犯人が、イギリスである」というロシアからの主張を、なんとか世界の人々に納得させたい。そのために、リズ・トラスのため携帯電話をロシアがハッキングしていたと、現在のロシアは、世界の人々に信じてもらいたいはずです。その方が世界の人々への説得力が増すはずです。
手のうちをバラさずに静かに情報を入手するという段階は過ぎたと、判断してもおかしくありません。
そんなところではないでしょうか。

では次に、これまでの考察が合っているのか、直近(2022年11月5日)のデイリー・メール紙の記事を紹介して検証します。

まず記事名から検証にかけてみます。

記事名:リズ・トラスは、ロシア人工作員によるハッキング疑惑で、2022年7月以来4回目の新しい携帯電話番号を利用している。
https://www.dailymail.co.uk/news/article-11394445/Liz-Truss-FOURTH-new-mobile-phone-number-July-alleged-Russian-hacking.html
2022年11月5日配信。

かたせ2号です。
「2022年7月以来」という情報は、デイリー・メール記事では初出です。そして「ハッキングが発覚したのは2022年7月」というロシア側の主張とぴったり一致します。そのことをロシア側に「回答」していることにもなります。

そして、もうひとつの「4回目の新しい携帯電話番号を利用している」とはどういう意味でしょうか。記事名にするほどの、こだわるべき情報でしょうか。少し不思議です。

該当箇所を記事から抜粋してみます。
(抜粋開始)
GCHQ(政府通信本部(せいふつうしんほんぶ、Government Communications Headquarters、偵察衛星や電子機器を用いた国内外の情報収集・暗号解読業務を担当する情報機関)は、ハッキングはおそらく英国内で発生したと考えている。この事件の後、トラス女史は後任の首相を選ぶ期間中、安全な(2台目の)携帯電話を渡された。
しかし、彼女がNo.10(首相官邸)に(首相として)就任してからは、さらに高度な予防措置が必要とされるようになった。2022年9月上旬に、この数カ月で3台目の携帯電話が渡された。
しかし、3台目の携帯電話の技術は非常に繊細であったため、先月2022年10月に、彼女が首相を退任した際に、再び携帯電話を渡すことを要求され、4回目の番号変更を余儀なくされたのである。
国防特別委員会のトビアス・エルウッド議長(共和党)は、「これはロシアからの絶え間ない脅威である。
彼らはサイバー攻撃やハッキングの技術をどんどん高めている。情報・安全保障委員会が調査すべきことだ」と述べた。
(抜粋終わり)

かたせ2号です。
まだ少し弱いですが、リズ・トラスが首相在任中の3台目の携帯電話も、セキュリティ上の問題があったとほのめかしている、と推察します。だから4代目の携帯電話が必要になった。
このあたりの話は、2022年9月下旬に起きたノード・ストリームの破壊事件の直後に、リズ・トラス(当時、英首相)がブリンケン米国務長官に「It’s done.」「完了」(作業が終わった)とテキスト・メッセージを送っていたという疑惑に、いずれ、つながっていくでしょう。要は、リズ・トラス「首相在任中も」情報漏えいのあったことが、いずれ暴露されていくでしょう。
また、ロシアの強気の姿勢から、この「It’s done」疑惑についてロシアが情報をつかんでいると見てほぼ、間違いないでしょう。

あとは、ロシアがどのように証拠を開示していくのか、ということが焦点です。
もう、それだけ。
今後の展開を待ちたいと思います。

以上