私説:日本書紀、古事記の正体(4)日本書紀は、天智・天武、両方の直系が、正当な王位継承者であることを主張した歴史書である。
投稿日:2024/12/29 09:46
伊藤睦月です。前回の続き。通説では、日本書紀は、壬申の乱で大友皇子を倒した、天武天皇の正統性を主張したものというもの、これをベースに藤原不比等が一族の正統性の主張を仕込んだ、という説もある(関裕二、井沢元彦、梅原猛、など)私、伊藤は、天武、天智、両方の血統(舒明直系)の正統性を主張したものだと考える。以下、説明する。
(1)前回述べたように、日本書紀が宗主国中国(唐帝国)向けでなく、国内向けだとすると、中国には言えない「不都合な事実」も、意味を持ってくる。
(2)当時の、「日中関係」の超重要案件は、「対等な日中関係」の構築である。通説では、第2回遣隋使(607年)で、史上初めて、対等関係を主張。隋皇帝のダメ出しを食らったものの、以後対等な関係を明治まで維持できたとする。(直木孝次郎、井上光貞など)
(2)-1 2000年代に入って、通説に異議を唱える見解も現れてきている。(中村修也、河上麻由子)
(3)以上の通説では、例えば、720年、日本書紀の完成後、平安時代中期965年に至るまで、当時の官人(役職を持っている貴族)全員を対象に繰り返し、日本書紀の勉強会(日本書紀講莚)を開催してきたことを説明できない。天智系全盛の世の中で、なんで天武系の正統性を勉強させる必要があるのか。
以下、次回。伊藤睦月筆