柿本人麿とは何者か、10

守谷 健二 投稿日:2025/03/31 11:28

 天武天皇の結婚の異常さについて

『日本書紀』は、天武天皇を天智天皇の「同母の弟」と明記します。同じ両親(舒明天皇と皇后・後の皇極天皇、重祚して斉明天皇の間)から生まれた兄弟であると。

『日本書紀』は、天智天皇の娘を十人と記している。その十人の内、四人も天武天皇は娶っているのだ。また天武の長男・高市皇子も一人、皇后(天智の娘・後の持統天皇)の間に生まれた草壁皇子の妃も天智の娘・阿部皇女(後の元明天皇)である。高市皇子の妃は、安部皇女の実の姉・御名部皇女(みなべのひめみこ)である。

まるで天智天皇の血を、天武天皇とその子供で独占しようとしているように見える。

少しでも品種改良に関心を持った人間から見ると、全く系統の違う(性質の異なる)個体から新しい性質を持つ個体を作り出す際の交配のように見えてしまうのです。天智と天武は「同母の兄弟」などではなく、全く系統の異なる人間だったのではないかと。

『日本書紀』の言うように天智と天武が「同母の兄弟」であったなら、どうして天武は天智の娘を四人も娶り、子供を作る必要があったと云うのです。

天武はペドフィリア(異常幼女性愛症)であったとでも言うのだろうか。

ふたりを「同母の兄弟」とすれば、これらの結婚は全く異常です。歴史学者たちは、この異常さに気付かないのでしょうか。

私が最初に天智と天武が「同母の兄弟」とすることに疑問を持ったのは、天武結婚を調べた時からです。どのように考えても実の兄の娘を四人も娶るのは異常に思えたのです。

      (続く)