日本古代史研究小史(3)最後に若干のトレビアを補足する。

伊藤 投稿日:2025/01/11 10:51

伊藤睦月です。以上の私見のまとめ、補足をします。

1 邪馬台国論争は、学問的には、九州説に決まり(ただそれ以上の場所絞り込みは現状では無理)だが、政治化している畿内説(大和説)は、何かメンツがたつような説明を考えてあげないと、引っ込みがつかない。高校歴史教科書などの変化に注目(聖徳太子の前例あり)

2  歴史サイエンスは、海外では「普通」であり、日本史の解明にも、大いに有用。海外文献も読みこなす、理系人材参入していることも期待できる。ただし、科学的方法論の限界もあり、従来タイプの文献分析や、考古分析がおざなりになっているところも見られる。その辺は取り扱い注意。

伊藤睦月です。あと、「たこつぼ」と揶揄される日本学会だが、一応リマークしておくべきことがある。

3 日本史学会では、「日本古代史」は、飛鳥、奈良、平安、の3時代を指す。文献資料が比較的豊富な奈良、平安時代に1980年生まれ以降の若手・中堅研究者の関心が集中する傾向がある。飛鳥とは、継体大王以降であろう。

4 一方、飛鳥以前、縄文、弥生、古墳時代は、原則、「考古」の範囲。もちろん例外はある。一般向けには、縄文以降、平安までを「古代史」としていることが多い。(以上、2024年有富純也編『日本の古代とは何か』光文社新書)

5 飛鳥に人気がないのが、日本史料(海外史料は軽視していることはあいかわらず)としては、古事記(通説)、日本書紀という、当時の権力者に忖度しまくりの史料しかない、ためらしい。(有賀前掲)

6 ということは、それ以前の話(邪馬台国が典型)は、日本歴史学会においては、考古学の領域、「有史以前」、「先史時代」、「民俗学」、「人類学」の領域。私に言わせれば、すべからく「ファンタジー」である。このことは、アマチュアとして最低限、認識しておくべきであろう。不本意ながら。

以上、伊藤睦月筆