日本の首相と大臣達が何故、靖国神社に自由に参拝してはいけないのか
4/12に、現職の大臣が「私的に」靖国神社に参拝したようです。
新藤総務相が靖国参拝―例大祭の対応明言せず(ウォールストリートジャーナル)
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303373904579496600431474022.html
(転載貼り付け開始)
新藤義孝総務相は12日午前、東京・九段北の靖国神社を、太平洋戦争末期の硫黄島戦の生存者・戦没者遺族でつくる硫黄島協会会員とともに参拝した。参拝後、記者団に「私的な行為」と説明。玉串料は同協会が支払ったという。
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それを、日本中が「何もなかったように」スルーしようとしてる。
いい機会なので、もう一度「この部分は何度も何度も読んで」理解しなければならないと思い、いっそ手打ちで文字起こししてみました。(問題があれば削除してください)
読む価値のある本だと思うので、みなさん買って読む事をオススメします。フトコロが寂しくて買えないという人は図書館で借りてもいいでしょう。少なくとも、広島市立中央図書館にはあるようなので、その他の地域でもある場所はあるでしょう。
日本の首相と大臣達が何故、靖国神社に自由に参拝してはいけないのかの理由を、以下に転載します。
『靖国問題と中国包囲網』(副島隆彦著・ビジネス社)より、p14~p18、p48~p49を転載します。
(転載貼り付け開始)
戦後の世界体制は連合国が作った
今から69年前の1945年の8月に、日本は戦争で負けた。連合諸国(ユナイテッド・ネイションズ:連合国側)が日本政府に通告してきたポツダム宣言を受諾した。それが昭和天皇の”終戦の詔勅(みことのり)”である。「世界の大勢また、我に利あらず。耐え難きを耐え、忍び難きを忍んで」というコトバとして有名である。日本は無条件降伏(アンコンデショナル・サレンダー。これに文句を言う人もいる)して敗戦した。
その後、極東国際軍事裁判(東京トリビューナル)が開廷した。1946年5月3日から開かれ、3年後の1948(昭和23)年11月25日に判決が出た。東條英機(首相、大将。当時)以下7人の戦争最高指導者たちが死刑で絞首刑になった。
起訴されたA級戦犯の指定(designation デジグネイション)を受けた28人のうち、25人に有罪判決が下りて、そのうちの7人が死刑だった。東條英機首相(現役のまま陸軍大将)たちに絞首刑が執行された。12月23日である。この日は現在の天皇の誕生日である。
その翌日の夜、児玉誉士夫と笹川良一と岸信介(会戦当時、商工大臣)たち「第二次裁判」の予定者たちは無罪放免された。「世界反共同盟」、「大陸反攻」のための日本の貴重な人材としてアメリカ政府によって重用される、と決定されたからだ。
それから30年後の1978年に、東條英機以下14人のA級戦犯と呼ばれている人たちの御霊(霊璽(れいじ)と呼ばれる)が、靖国神社に合祀するというかたちで、戦没者の名簿の中につけ加えられた。ここから問題が起きた。その前は問題ではなかった。靖国神社への参拝問題は、1975年(三木首相の個人としての参拝)のころまでまったく諸外国に問題にされなかった。以後は「A級戦犯合祀問題」となった。
The United nations (サ・ユナイテッド・ネイションズ)という言葉がある。これは「連合諸国」と訳すべきだ。×「国際連合」ではない。その略称の×「国連」も誤りである。ユナイテッド・ネイションズを国際連合と訳したことの間違いが、今に響いている。「ユナイテッド(連合)ネイションズ(諸国)」を正確に「連合諸国」と訳せば日本人はわかるのだ。日本はこの連合国側(ユナイテッド・ネイションズ)と戦争をしたのである。そして敗けた。
この連合国側=連合諸国が、そのまま、連合諸国(ユナイテッド・ネイションズ)の名前でその後の世界体制、世界秩序になり、それに日本は頭を下げて入れてもらったのだ。このことを日本人がはっきりとわかっていない。あれはただの終戦だ、ぐらいに軽く考えている。だから世界中が、怒るのだ。日本の首相の靖国参拝は戦後の世界体制=世界秩序への反逆、約束違反なのだ。1951年9月に結ばれたサンフランシスコ講和条約(平和条約。48カ国と結んだ。=戦争終結条約のことだ)の条文に違反している。
日本とドイツとイタリアは、この連合諸国(ユナイテッド・ネイションズ)と対決して三国軍事同盟(1940年9月27日調印)をつくって戦った。連合諸国側は、①アメリカ合衆国と②ソビエト・ロシアと③中華民国と④フランス(ド・ゴールの亡命政権)と⑤イギリスの主要5カ国だ。この連合諸国が日独伊の軍事同盟を打ち破った。軍事同盟側は枢軸国(The Axis ジ・アクシス)と呼ばれた。「ベルリン ― ローマ ― 東京枢軸」の意味である。
日本とドイツとイタリアは負けた側だ。そしてその戦争指導者たちが、ドイツではヒトラー総統が官邸で自殺(1945年4月30日)しているので、ゲーリング以下の戦争指導者(ナチス政府の最高幹部たち)が、やはり絞首刑の判決を受けている。それがニュルンベルク軍事法廷(Nurenberg Military Tribunal) だ。イタリアのムッソリーニは、パルチザンたちに捕まって同年4月28日に銃殺の後で逆さづりの刑にされた。
この連合諸国が、そのまま世界の戦後体制をつくって、今もこのままだ。
繰り返すが、日本語で×「国際連合」と訳すからおかしなことになったのだ。どこにも国際(インターナショナル)というコトバはない。わざとやった誤訳だ。誤訳は必ず訂正しなければいけない。ユナイテッド・ネイションズは「連合諸国」と今からでも正しく訳し直さなければいけない。中国では正しく「聯合(諸)国」と訳して使っている。(引用者註:聯合=れんごう)だから略称の×「国連」も間違いである。
しかし、どうせ正しく訂正しないで、今後もこのままだろう。こういう点で、日本は世界に向かって恥ずかしい国である。国内向けにインチキをやるから、それがあとあと不都合なことになる。国民にも誤(理)解の原因をつくって「世界(中)が何を言っているのか」わからない。それで今回の首相の公式参拝で起こした靖国問題での大失敗ということになった。もはや公式参拝したことの言い逃れはできない。
アメリカが怒っている理由
戦争中にできた連合国側の体制が、そのまま世界の戦後体制(=世界秩序)をつくっている。そして、この The U.N 連合諸国の親分(お役人さま)である5つの大国、五大国のことを英語で、five permanent members(ファイブ・パーマネント・メンバース)と言う。前述したアメリカとロシアと中国とフランスとイギリスの5つの大国だ。これを安保理(安全保障理事会(セキュリティ・カウンシル)。軍事問題を扱う)の「五大常任理事国」と訳す。今もこの5大国を中心にUNは運営されている。
そしてこの The United Nation の判断で、東條たちは絞首刑にされたのだ。
だから、自分たち連合諸国(日本では極東委員会とか対日理事会と言った)が決断して軍事裁判(トリビューナル)を開いて首をつった東條たちの霊魂が、1978年から靖国神社に祀られることになった。この靖国神社を、一体、どうして連合諸国側の元首(ソブリン Sovereign)である大統領やヨーロッパ諸国の首相や国王たちが来日した時にお参りできるか。できるわけがない。お参りに行くわけがない。なぜなら、彼らUNの意思で東條たちを死刑にしたのだから。このことを日本人全員がわからないのだ。誰も説明してくれないから誰もわからない。
A級戦争犯罪人(ウォークリミナル)を合祀して、戦没者の兵士・軍人たちの鎮魂の神社である靖国追加で東條英機たち戦争指導者たちの霊を共同の名簿の中に入れた。(引用者註:原文のままです)
ということはどういうことか。
日本では、人は死んだら皆、仏さま、神さまになる。どんな人でも死んだら霊となり神になる。分けへだてなく拝めばいい。これが外国人にはわからない。通用しない。アメリカを始めとして東條たちの霊を拝むことを拒否する。当然のことだ。自分たちが処刑したのだから。
(中略。 ここからp48~p49部分)
だから日本の現職の首相と大臣たちだけは、靖国神社を参拝してはいけない。日本という国家組織が戦前からずっと続いていてその代表者なのだから、世界(今の連合諸国の体制)との約束を守らなければいけないのだ。世界(国際社会)はこのことを言って、日本政府が勝手にやっていることを非難しているのだ。靖国神社には東條たち国際社会から戦争犯罪人(ウォークリミナル)として処断された者たちが祭られている。ここを日本の首相が拝みに行くことは世界が許さないのだ。ここの重大な、肝心のところをわからないで、わざとこの重大問題をすっ飛ばして「どうして国のために死んだ軍人(英霊)を祀っているところに参拝しに行ってはいけないわけ」としつこく言う。そういう人間は愚か者である。
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