岡田英弘先生が紹介したコトバ「指桑罵槐(しそうばかい)」は、思っていたよりも適用範囲が広い。

かたせ2号 投稿日:2024/04/06 12:56

かたせ2号です。

最近、いろいろと考えがまとまってきたので、書きますが、
表題の通り、岡田英弘(おかだひでひろ)先生が紹介したコトバ「指桑罵槐(しそうばかい)」は、適用範囲が広い。

指桑罵槐の一例を書きます。

1.
以下のような「仮説」をワタシは最近になって抱きました。

(仮説)
朝鮮戦争の歴史的経緯および現在に至るまでの北朝鮮の存在理由。
それは、「日本を軍事的に(=High Politicsのレベルにおいて)完全植民地化して封じ込めること。」
アメリカ・ロシア(旧ソ連)・中国による「権力者共同謀議」。
『全員悪人』。
こんな感じでしょうか?

ワタシのこの仮説によれば、この3国(アメリカ、旧ソ連、中国)がお互いにお互いを罵倒しながら、実は攻撃対象として日本に照準を合わせているところが「指桑罵槐」。
Low Politics(経済)での大勝利の果実がほぼ底をついた現在、High Politics(軍事・政治)で大敗北していた事実に、約70年ぶりに、日本国民も気づいてよいように思います。

2.
ウクライナ戦争の際に、2022年3月、ブチャの「ジェノサイド」騒動をきっかけにして、イギリス(リズ・トラス女史が筆頭)によってドイツが経済的につぶされそうになった。
以下の題名の、ふじむら掲示板での投稿で分析しているので、ご参考ください。
誰も表立っては、この戦争でドイツを敵国として攻撃対象としていないところが「指桑罵槐」。

題名:ブチャの事件の目的は、ドイツをロシア産天然ガスの年内輸入停止に追い込むことだった。
(投稿日 2022/04/30 06:51)
(サイト右側の「サイト全体を」検索に「ブチャの事件」をキーワードで検索いただくと、一番上でヒットしますので、ご参考ください。)

かたせ2号です。

最後に、岡田英弘先生の「指桑罵槐(しそうばかい)」の説明を引用します。
(あくまでワタシの理解に過ぎませんが)岡田先生は以下で、
中国人は、「今だけ」「金だけ」「自分だけ」の政権運営をして最後に殺された安倍晋三と変わらない、
との主張をなさっています。

2002年7月号 Voice
日中は理解しえない間柄 岡田英弘

(抜粋開始)
岡田 簡単にはわからないと思いますから説明しますが、中国人の世界では中国人と外国人という対立は存在しないんです。中国人は自分だけ。
――自分たちだけが、この世界に存在しているということですか。
岡田 自分たちではなく、自分だけです。それぞれの人間が、自分だけのために生きているんです。しかも、中国人はそういう生き方をするのが、人間の普通の生き方だと思っている。そのことがわからないと、中国人の行動がさっぱり理解できないことになります。
――しかし、日本人がこれほど中国に興味をもってきたのですから、日本人は中国をかなり理解しているのではありませんか。
岡田 残念ながらそうではないのです。中国は昔から日本の先生だった、多くの文化を取り入れてきたと、日本人は思い込んでいますね。だから、日本人は中国のことを知っていると。しかし、日本人が「知っている」と思っている中国とは何ですか。大概の日本人は、漢文に書かれていることが中国だと思っています。たとえば、杜甫の漢詩だとか『論語』の言葉だとか。でも、いまの中国人は漢詩を見ても何のことかさっぱりわからないし、『論語』などまったく読んでいません。
そもそも、日本人は中国人は漢民族だと思っているのですが、漢民族は二世紀ごろに滅んでしまっています。日本人は漢文を読んで、中国には信義に厚い、礼を重んじる人たちがいると信じ込んでいるので、現在の中国人と付き合ってみると愕然とするんです。
――そこにいるのは、「自分だけ」の原理で行動する人たちということですか。
岡田 中国人は日本人と接する場合でも「一対一」なんです。自分は中国に属して、中国人として外国人に接しているのではない。こうした世界観から出てくる行動に「指桑罵槐」があります。「桑の木を指さして、槐の木を罵倒する」という意味です。たとえば、中国は日本の教科書を激しく批判したり、尖閣列島問題で日本を非難しますが、じつは批判や非難の相手は日本ではなくて、中国国内の政治的ライバルであることが多い。
中国人は、どんなときも自分が絶対的な多数派であると信じることができないんです。そこでつねに正面からの対立を嫌うし、つねに言い逃れができるようにしておくのです。熾烈を極めた中国共産党内の権力抗争でも、相手を最後までは追い詰めない。相手が誤りを認めたと公言するまでは絶対に殺したりしない。この点、ソ連の粛清とは異なりますね。
――そうした行動パターンは、共産主義のせいではないのですか。
岡田 これもよく誤解する人がいるのですが、共産主義が現在の中国人の行動を生み出したわけではないのです。たとえば、現在の中国の産業制度ですが、これはきわめて中国的なものです。歴代の中国は総合商社のようなもので、皇帝というのは最大の資本家だった。特産品や高度の技術を要する製品の工場は、皇帝が直営するんです。外国貿易を行なう商人たちにも、皇帝は資本を貸し付けて利息を取るわけです。
これは、いまの中国経済の仕組みと同じです。皇帝の代わりに中国共産党があるだけで、要するに中国共産党の制度は、かつての皇帝制度そのままなんですね。現在の中国の国営企業をみれば、非常によくわかるでしょう。
――しかし、中国もWTOに入ったからには、そのような仕組みではやっていけなくなるでしょう。
岡田 そうではないんです。中国人は中国という国家が継続して繁栄するなどとは信じていない。継続させなくてはならないという発想がないんですね。あるのは自分が権力を握っているときに、どれだけ自分の蓄えを多くするかということです。企業を経営する人も、せいぜい二、三年もってくれればいいと本心では思っている。その間に投資したお金を増やして回収すればいいわけです。
だから、日本のビジネスマンは、中国という国を背景にしたビジネスマンと付き合うのだと思わないほうがいい。あくまで中国人とは「一対一」なのです。
(抜粋終わり)

以上