尖閣諸島沖漁船衝突事件の動画流出についての考察

岡山アキラ 投稿日:2010/11/10 05:10

国家公務員をしている岡山アキラ(筆名、会員番号1603)です。

二つ下の投稿(「12」)の件、つまり尖閣諸島沖漁船衝突事件に関し、当該事件の状況を撮影したという動画がyou tubeにup loadされ(流出し)、新たな展開を見せてきたことから、引き続きこの件の大マスコミの報道姿勢及びこの時期に動画が流出したこと等についての考察について投稿します。
筆名で書いている理由は、二つ下の投稿をご覧ください。

(以後、である調で記述します。)

1 流出したビデオについての大マスコミの報道姿勢
二つ下(「12」)で投稿した件、つまり尖閣諸島沖漁船衝突事件の衝突時の模様等を写した動画約44分が11月4日、you tubeに流出したことについて、管・仙石政権は、以下の記事記載のとおり、例によって人のせいにすること、つまり、動画の中身ではなく、誰が流出させたかの方を大問題にした。

(貼り付けはじめ)
(前略)
沖縄県・尖閣諸島海域で起きた衝突シーンの映像を見ると、海上保安庁の巡視船「よなくに」と衝突した中国漁船が、今度は別の巡視船「みずき」にも自ら船首を向けて突っ込んでいく様子が赤裸々に映し出されていた。映像には、巡視船の乗組員が衝突時に「止まれ!」「ぶつかった」などと絶叫する声も収録されており、海保にとって命懸けの警戒行動だったことが手に取るように分かる。

 そんな彼らに応えようと、当時の前原誠司・国土交通相は自ら進んで船長の逮捕を指示。ところが、日中関係が悪化すると、手のひらを返すように船長を釈放した。その首謀者は、前原大臣とその後見人である官邸の主・仙谷由人官房長官だったことは、国会や各メディアで取りざたされた通りだ。

「この2人の日和見な対応に、捜査に当たった海保サイドはカンカンでした。自らの職務を否定されたわけですからね。海保を取材をしていると、『いつでもビデオを出す用意はあるんだ』と語気荒い海保関係者はゴマンといましたよ」(社会部記者)

 こうした一発触発の空気を官邸もうすうす察知していたのだろう。仙谷氏は5日の記者会見で「公務員が故意に流出させたとすれば、国家公務員法違反になる」と官僚の仕業だと言わんばかりに警告を発した上で、「捜査資料が外に出るのは大変な事態。相当大きなメスを入れる改革があらゆるところで必要だ」と大胆な発言に及んだ。この発言の趣旨を前出の政治部記者が解説する。

「あのような大胆なビデオ映像の流出劇は、個人の判断ではできないだろうから、海保ぐるみに違いないと読んでいるんです。『相当大きなメスを入れる』とは、海保を解体してでも犯人を突き止めてやる、とすごんでいるわけですよ」
(後略)
(貼り付け終わり)
( http://news.livedoor.com/article/detail/5122319/ )

(貼り付けはじめ)
(前略)
 「何か激励とかあれですか?つまり公開して“よくやった”と言うんですか?それは犯罪行為を
 称揚するということですよね。そういう気分が日本国中、少々あるのかも分かりませんけども、
 私はそのことについては同意いたしません」(仙谷由人官房長官)
(貼り付け終わり)

(元記事は、 http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4571664.html であるとみられるがすでに削除されており、http://blog.livedoor.jp/newsslash/archives/1547086.html から貼り付け。以後、引用記事は、特に必要としなければ、タイトル及びリンク先URLのみ掲載する。)

そのせいか大マスコミも当初は、動画の衝突場面ばかりをそのまま流していたところを、時が経つと、動画の中身よりも管・仙石政権の意向をそのまま受けたかのような犯人探しの方を主として報道するようになってきた。

例えば次の記事を参照。
警視庁、沖縄県警と合同捜査本部設置
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4572125.html
【尖閣ビデオ流出】警視庁と沖縄県警が合同捜査本部設置 東京地検、投稿者資料を押収
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/101109/crm1011092155052-n1.htm

このような話は、いわゆる尖閣諸島沖漁船衝突事件の本質ではなくどうでも良い話である。少なくとも、むしろ何のしがらみのない報道関係者ならば情報の流出は歓迎すべきことのはずだ。大体、情報をもってそうなキャリア公務員等に年がら年中訪問して、彼らからの情報流出を待ち構えている大マスコミの連中がとるべき報道姿勢ではない。そもそも現に問題となっている動画について、youtubeからダウンロードし、その映像を何回も放送しまくって飯のタネにしたのはどこの誰なのか。ダブルスタンダードもいいところである。

おそらく、今回の大マスコミの報道ぶりの原因は政権に慮っているのか中国に慮っているか、あるいは以下の2で後述するように米国に慮っているか、これら複数の原因が重なっているのであろう。

まともな報道関係者ならば、政府機関のひとつである海保が以下の記事

尖閣映像流出:ビデオは石垣海保編集 衆院予算委で認める
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101108k0000e010004000c.html

のとおり、流出した動画を本物と認めたのであるから、

①流出した動画を基に海保が例の中国漁船を捕まえたのが妥当だったか及び中国漁船を捕まえたのち、漁船船長を法手続きの最中に釈放してしまった・・・・公式的には検察

の勝手な判断で釈放したとなっているが・・・が良かったのかどうかを再度検証し、政府を批判するなり擁護するべきである。

②また、対中配慮等の外交的配慮は無意味となり、全面公開しない理由がまったく無くなった。よって、流出した44分の動画だけでなく、数時間あるといわれている本件動画の全面公開を改めて政府に要求しなくてはならない。この事件は銛で海保関係者が中国人に殺されたとかの本当か嘘かわからない話も飛び交っており、この話の真偽を明らかにするためにも動画の全面公開が必要である。

2 この時期に動画が流出したこと 
動画を誰が流出させたかについては、この事件の本質ではない。しかし、その者の背後にどのような勢力がいるか考察することは有益である。

今回、APEC首脳会議直前であり、中国の現在のリーダーである胡錦濤氏が来日直前という時期から考えると、副島先生の弟子のお一人である中田氏の以下のブログに書いてある通り、流出者の背後には米国がいることが濃厚である。大マスコミがこの件に関して、この仮説についてまったく触れず、上述のように「衝突したところばかりの繰り返し」あるいは「犯人は誰?という犯人探しの進展状況」しか報じていない、つまり例えると、木を見て森を見ない式の報道を行っていることも米国の関与が高いことを伺わせるものがある。

漁船衝突ビデオ流出。ますます悪化する日中関係で漁夫の利を得る米国
http://amesei.exblog.jp/12205576/

この説の対抗馬としては、胡錦濤氏の日本訪問を取りやめ、すなわちそれだけでも彼にとってはダメージになるわけであるが、そういったことを喜ぶ中国国内の反胡錦濤勢力の仕業ということも考えられる。但し、インターネットを介して検察のネットワークに痕跡を残さず侵入するテクニックを中国が保有しているのか、あるいは中国に協力して石垣の海上保安庁からデータを盗む者が石垣島にいるのかということを考えるとその可能性は低い。

その他、背後関係など無い検察職員か海保職員等、この動画を入手できる立場にあった者が個人的な動機で流出させたということも考えられるがその可能性も低い(仙石長官は上述に張り付けた記事のとおり、海保が流出元だと決めつけている節があるが)。
というのは、この個人的な動機で最も考えられることは、動画が非公開となったことから、怒りに任せて動画を流出させたということであるからだ。

この説の場合は、非公開が決まった直近の日、即ち、二つ下に投稿にURL等のみ貼り付けた記事のとおり、10月中旬には、流出がないとおかしい。いくらなんでも11月初旬は開きすぎと思われる。
もっともわざわざ中国のトップが来る直前を狙って流出させようと考えた検察職員か海保職員もいたかもしれないが、そこまでタイミングを計るほど思慮深い者ならばそもそも流出させて発覚したあとのリスクを考慮する頭もあるはずで、そのような者が、個人的動機だけで流出させるとは考えにくい。

(追記)
さきほどネットを見直したところ、流出動画の発信元が神戸市内の漫画喫茶であるという趣旨の以下の報道が流れている。ますます那覇地検や那覇・石垣の海上保安庁関係者が流出元とは考えにくくなったわけだ。

尖閣映像、神戸の漫画喫茶パソコンから投稿
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101109-OYT1T00978.htm

岡山 拝